神のみぞ知るセカイ
ちひろ編完結。今回特筆するべきは、桂馬がちひろをギャルゲーの攻略テクニックではなく、桂馬が彼女に付き合っている間に彼女が何に悩んでいるのかを理解し、そこをケアする形で口説いて攻略を成功させたという点にあるのかなと思いました。
ちひろは桂馬にとって(ゲームでは決して攻略対象にはならない没個性な存在故に)リアルの権化とも言える存在だったのですが、その桂馬がちひろの「個性」を見抜き、没個性であると自分で思い込んでいた彼女に自信を与える形で口説くことに成功したことは、彼にとっても現実というものに対する認識を改めるきっかけになりそうな感じです。
作者のサイトでは今回のエピソードを「2周目」と表していますが、桂馬も徐々に変わりつつあるということなのでしょうか。かつて「現実なんてクソゲーだ!
」と高らかに宣言して我々の喝采を浴びた桂馬も、いつかは現実と折り合いをつけて特定の女性と落ち着く日が来たりするのでしょうか。桂馬は何だかんだでモテる素質あるしなあ。
何か書いてて悲しくなってきたのでこの項おわり。
金剛番長
「荒殴零猛怒
」って、「モード」はともかく「荒くれ」は日本語なんだから、わざわざ「荒殴零」にしなくてもいいんじゃいか? と一瞬思ったのですが、すぐにそれが無粋であることに気付いたので考えるのを止めました。
今回のマンガ的な見せ場は、金剛が打舞流叛魔を放ってマシン番長を破壊するところを2ページの見開き×2を使って描いた、「4ページぶち抜き」としか表現しようがないシーンで決まり(個人的に)。2ページで1コマを表現する手法は頻繁に見かけますが、4ページ使って1コマを表現するってのはちょっと珍しいんじゃないかと思います。鋼鉄の身体を持つマシン番長が倒されるシーンに説得力を与えるためには、これくらいのオーバーな表現が必要だったという判断があったのかも知れません。
マンガ表現の限界に挑戦せざるを得ないところまで力のインフレが進んで来たこのマンガの、今後の展開が楽しみです。いやマジで。これでもまだストーリー的には半分過ぎたくらいですよね。我々はこれから更に恐ろしいモノを見なければならないのか。
アーティストアクロ
「いかに素早く敵を倒すか、それで君達の技巧の価値は決まるんだ!
」
アーティスト協会の教育が「子どもに戦闘技術を仕込む」ことだけを考えていることがよく判る台詞。今回のエピソードは「アクロの能力は師匠のヴルーの作品から影響を受けて開花した」ことの提示が主題なので、人々の笑顔を見るために技巧を使うと教えたアクロの師匠と正反対のことを子どもに教えるドーナに対して怒りを覚えるのは当然でしょう。
前回のデコと謎の壁の男との会話もそうですが、このマンガは「師弟の絆」が大きなテーマとなっているのかなと思いました。
あと、アクロとスバルが女性の好みで口論してるシーンを見て、「いいから君たち付き合っちゃえYO!
」とか思いました。アクロがスバルよりも年上だったら両思いも可能ですよ?
月光条例
「いかのおすし」の標語を子どもが暗唱してるシーンを見てると、都市部における体感治安の悪化はここまで来てるんかと絶望的な気分にさせられてなんか鬱になって来ます(挨拶)。
今回は、そんな現代社会における都市部の子どもの悪夢を具体化した様なエピソードだと思います。これは怖い。すげえ怖い。自分は子どもの頃はいわゆる「鍵っ子」(ビジュアルアーツ的ではない意味で)だったので、尚更怖く感じます。当時この話を読んだら絶対トラウマになってます。
藤田先生はこういう話描かせるとホント上手いですよね。世界中の子供たちに愛と勇気を与えてあげる前提でまず怖がらせるだけ怖がらせる、富士鷹ジュビロスピリッツは今も健在であることを再認識させられました(注:富士鷹先生と藤田先生は別人物です) 。
魔王
爪の下にある皮膚は刺激に対してもの凄く敏感なので、爪が剥がれると治るまで本当にやっかいです。なので、生爪剥がれ経験がある人は、してない人に自慢して良いと思います(何)。
主人公が金属バットで兄の敵を撲殺しようと血走り眼で街を歩く展開も凄かったですが、今回は無実の人に生爪剥がして拷問させて罪を着せようとする変な組織が登場したことで、更にその上を行ってしまった気がしてなりません。しかもこの「令嬢」って組織、構成員が基本的に変態っぽいです。瓶底メガネで七三分けサラサラヘアーの三人組が一斉に髪を梳き始めるコマなんか、図らずも笑ってしまいました。そういうマンガじゃないのに!
これからこんな変態さん達が沢山出てくるのかと思うと、なんかワクワクして来ます。まさか「魔王」第二部がこんな路線になろうとは(認識間違い)。
オニデレ
ユナの兄(属性:染みついた女装癖)登場。
見た目の割にはかなり性根が歪んでいるサドキャラっぽいので、単なる直情おバカキャラで耐久力がやたら高い竹取君とはお似合いなのかも知れません。SM的な意味で。
ハイド&クローサー
まさかの第一部完+Web連載移行。ハイドを復活させてからの春瓶君の精神的成長は著しいものがあり、「少年の成長物語」としてのこのマンガはとりあえず第一部でケリを着けたという形になりました。ちょっと急成長し過ぎな感はありますが、随分立派な男の子になりましたよね。『誰かに「信じる力」を与えることが呪術である』とか、さらりと凄いこと言ってますし。
Web連載化についてはサンデーとしても初めての試みであり、正直どうなるか不安なところはあるのですが、今後のサンデーという漫画公開媒体の場所の存続を考慮した上での実験的な企画として、個人的には好意的に捉えてます。連載が終わって読めなくなるよりは、Webで連載が続いて単行本も出る方が読者としてはありがたいですし。
現実問題として紙の雑誌が徐々に売れなくなっている現状、コミックスを出し続けていくために「固定ファンが多くコミックスは出せば売れる」タイプの作品はWebで連載するという形態は、今後更に増えていくのかも知れません。