鼎 元亨 2006/03/30 (Thu) 23:04:12
井汲 景太様

『電化製品に乾杯!』でスタインベックの『二十日ねずみと人間』が出て来る理由について、私の意見を述べさせていただきます。話題がずれますので別のスレッドを立てさせていただきます。ちょっと長過ぎますが、ご容赦ください。

『二十日ねずみと人間』の主題は、プラグマティズムによって人間性が疎外される、という一文に集約されると考えます。つまり、役に立つか立たないかで価値が判断されて親近感とか愛情が顧みられなくなる、という意味です。
キャンディ老人の犬は老いて役に立たないという理由で撃ち殺されました。キャンディ老人の犬への愛情は有用性を失った事実の前に敗北せざるをえませんでした。
巨漢のレニーはねずみを愛していましたが、彼の怪力を受け止めるにはねずみの肉体はもろく、結局ねずみの死体は捨てなければなりませんでした。子犬もそうでしたし、カーリーの妻(ひどい事に彼女の名はついに明らかにならない!)もそうでした。けっしてレニーは虐待を楽しんだのでなく、彼なりにかわいがろうとして殺してしまいます。肉体の脆弱さという物理的条件がレニーの愛情を疎外したわけです。
結局、純朴なレニーは怪力ゆえに害をなすものとされて、彼を最も愛していた主人公ジョージの手で撃ち殺されてしまいます。その上ジョージの悲しみは、カーリーやカールソンのようにジョージとレニーを労働力としてしか見ない人間にはついに理解される事がありませんでした。

さて『電化製品に乾杯!』の最後で、保証期間の過ぎたミソッカスは律儀にも壊れてしまうわけですが、主人公は製品の機能よりその存在自体を愛していたのでミソッカスの今際の際で手を握って泣いています。
当人達の側では機械の持つ運命に負けて愛情を捧げた対象が喪われていく悲しみの中にあるわけですが、一方第三者としてみれば、機能を失った機械に愛情を感じるとは良く言っても感傷、悪く言えば滑稽なわけです。『電化製品に乾杯!』はギャグマンガですから、この最後のコマは滑稽という枠組みで捉えられるべき表現です。

しかし、このコマに『二十日ねずみと人間』という本が置いてある事でこのマンガ全体の意味が変わってきます。
もとよりこの作品全体がアンドロイドに対する愛情を変態性の愛情ではなく、むしろ新しい形態の心的関係、能動的インターフェイスのある機械に対する理解の形態としての「愛情」として好意的に描いた作品ではあります。
でも最後のコマに『二十日ねずみと人間』がなければ、「やっぱりそういう感情って滑稽だよな」という感想を読者は抱いて終わりです。
ところがこの本が置いてある事の意味を正しく捉えるならば、「そういう感情って、アリなんじゃない?」という作者の主張になるわけです。
椎名氏が描きたかった事は、まさに「有用性の前に愛が否定される疎外感」と「有用性を超越する愛の勝利」ではなかったでしょうか。

「本人には悲劇。他人には喜劇」という言葉がありますが、ギャグマンガには自己を客観視する視点がなければ成立しません。
椎名氏は自分を外側から客観視して冷笑するという立場に留まりたくなかったのだと思います。
だから、最後のコマで主人公のミソッカスに対する愛情の正統性を示すため、正統な文学作品である『二十日ねずみと人間』を置いたのだと思います。


『電化製品に乾杯!』は掲載は後ですが執筆時期が最も早い作品と私は推察しておりますが、みなさんはどうお考えでしょう。絵柄がまだ安定してなくて、あだち充のペンタッチとか士郎正宗のデザインとか柴田昌弘の表情表現とか、あろうことか椎名崇の髪の表現とか混じってますね。
単純に滑稽という解釈を許さないという作者からのメッセージがこんな初期から表現されている事に改めて気づかされて自分でも驚いています。
「有用性の前に愛が否定される疎外感」から有用性によって世界から愛を勝ち取ろうと試みる主人公、「有用性を超越する愛の勝利」の予感って『絶対可憐チルドレン』の皆本光一そのものだと思うんですが。
井汲 景太 at 2006/04/01 (Sat) 23:43:24

「読み」のままならぬ「周回遅れ」の読者相手に、丁寧な解題ありがとうございました。とても参考になります。

読んだのが結構以前で人名やストーリーの細部はもうだいぶ忘れ去ってしまっていた(笑)ので、いずれご教示いただいたポイントを念頭に再度読み返してみたいと思います。

> 「有用性の前に愛が否定される疎外感」から有用性によって
> 世界から愛を勝ち取ろうと試みる主人公、「有用性を超越する
> 愛の勝利」の予感って『絶対可憐チルドレン』の皆本光一その
> ものだと思うんですが。

この見解も興味深いです。「絶チル」の世界に新たに筋が一本通ったような気がします。

web 上での椎名作品の論考については、ご存知かもしれませんが、あしのまことさんの「『GS美神』私注」http://www3.plala.or.jp/asinom/hikkei/gstyuu.html が一歩抜きん出た存在かと思います。よろしければ、あしのさんとも一度コンタクトをお取りになってみてはいかがでしょうか。

鼎さんの椎名高志論が実り多きものになることを祈っております。それでは。

るかるか at 2006/04/06 (Thu) 03:21:58

既に4月に入ってますし、この掲示板は後どれ位もつんでしょうね? f(^^;
でもまぁ、消える前にご質問関連でのレスを試みてみます。

>『電化製品に乾杯!』は掲載は後ですが執筆時期が最も早い作品と私は推察しておりますが、みなさんはどうお考えでしょう。

質問の御主意をどう受け取るべきかと悩んだのですが…以下、考え得る2択の範囲で。

(1) 「掲載は後」が、コミックス上でのソレを表すと言う場合。

この場合は、(ほぼ)ビンゴです。 コミックス上で『電化製品~』に先行して掲載されている『ポケットナイト』シリーズは、『電化製品~』の翌年に発表されたものですから。
サンデーコミックスにせよ、そのワイド版にせよ、作品末頁に初出記載されてますので自分なぞが改めて言うまでもない事なのですが… (^^;;;;
その辺りの初出順に関しては、ASK-YOUさんのサイトを御参照(更新は止まってますが、コンテンツが残っているので使わせて頂きます…一応自分でもリスト化は試みているんですけど、ヒトサマに見せられる状態ではないので…^^;)
【http://homepage3.nifty.com/~askyou/cnainfo.html】

るかるか at 2006/04/06 (Thu) 03:24:09

(2) 「掲載は後」が、雑誌初出と言う意味でのソレを指す場合。

この場合、『Dr.椎名の教育的指導!!』が3回、『電化製品~』に先行して発表されてますが(上記リスト参照)、画柄が固まっていないと言う点ではそれらも同様で、『電化製品~』が『Dr.椎名の教育的指導』より先に執筆されたと判断できる材料は無いですね。
但し、以下はあくまで私見ですが…『電化製品~』が掲載された雑誌が通常のサンデー増刊号(=月刊誌)ではなく「8月スペシャル増刊号」と言うイレギュラーな雑誌であった点や、椎名先生自身がデビューしたての新人の立場だった事も思うと、その発表時期のタイミングから、或いはここで使用されたネームは先生がデビュー前に担当編集氏との間で詰められていた幾つかのアイディアの内から(部分的にでも)採られた可能性は有るのではないか…とも考えてはいます。
まあ、それはさて置いても。 ストーリー物としては事実上最初のプロ作品となりますし、何れにせよ椎名作品としては最初期のモノとしてカテゴライズ出来ます。
(そう言った作品の立ち位置からも、本作はより趣味性に走っていると言う部分が感じられますし、これはこの数ヵ月後に発表された『オール・ザット・ギャグ』との差として見ても興味深いなと思ってます)


末筆になりましたが、『二十日ねずみと人間』に掛かる解釈、とても共感できました。
鼎さんの椎名高志論、ますます楽しみになっております (^^)

鼎 元亨 at 2006/04/06 (Thu) 18:41:12

るかるか様

『電化製品に乾杯!』の初出について、確認したいのですが、
教えていただいたページでは1989年の4月スペシャル増刊号となっております。
私の持っている『[有]椎名百貨店1』1991年初版第1刷では、同作の掲載はと書かれております。ということは1990年初夏ですよね。
私が作った年表では『ポケットナイト2』と同時期と考えていたのですが。

後々の事もありますので、どなたかご確認いただけますか?

鼎 元亨 at 2006/04/06 (Thu) 18:47:13

すいません。肝心な所がタグと認識され消えてしまったようです。
消えた所はこうです。

私の持っている『[有]椎名百貨店1』1991年初版第1刷では、同作の掲載は週刊少年サンデー平成2年8月スペシャル増刊号と書かれております。

いろいろ資料を集めておりますが、『パンドラ』が重要な作品とされているようで、どうにか入手できないか苦心しているところです。
書けましたら、ぼちぼちブログで公開していきたいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。

井汲 景太 at 2006/04/06 (Thu) 22:55:43

当方の所持しております少年サンデーコミックス「[有]椎名百貨店」第1巻 1993年7月初版第7刷、及び少年サンデーコミックスワイド版「(有)椎名百貨店」2000年1月初版第1刷では、「電化製品に乾杯!」の初出は「平成元年8月スペシャル増刊号」となっています。おそらく、鼎さんのお持ちの第1刷で「平成2年」となっているのが誤りで、後になって修正されたのではないでしょうか。

「パンドラ」につきましては、お譲りすることは(少なくとも単行本発売までは)できませんが、郵送にてお貸しすることなら可能です。ご希望の場合は、本記事に付帯します電子メールアドレスまでご一報ください。

るかるか at 2006/04/07 (Fri) 03:07:18

>鼎さん
>私の持っている『[有]椎名百貨店1』1991年初版第1刷では…

成る程、その様な情報の齟齬があったんですね。
お陰で先般のご質問の意図がようやく把握出来ました f(^^;

また、その関係情報の補完をして頂き有難うございました m(_ _)m >井汲さん


>いろいろ資料を集めておりますが、『パンドラ』が重要な作品とされているようで

ソコに行き着かれたのは流石ですね!
私も、将来的に椎名先生の作品譜が語られる時には『パンドラ』は絶対欠かす事が出来ない位置に在ると思っています。
恐らく、長く椎名作品に接してきたファンなら同様な感慨を持っているのではないでしょうか。
↓は既にチェック済みの情報かもしれませんが、公式サイトのログは既に消されていますので、念の為に参考として上げておきますね。
【http://web.archive.org/web/20041013000733/www.ne.jp/asahi/cna100/store/news/030302/030302.htm】
 →作品を創り始めた当初の様子が窺えます。 この時点では“何時もの通り”な椎名先生“らしさ”が読み取れるに過ぎませんが… (^^)
【http://web.archive.org/web/20041028080250/www.ne.jp/asahi/cna100/store/news/030426/030426.htm】
 →で、最終的な感慨。先生御自身が、『パンドラ』が特別な位置付けに在る事を自覚された様子が興味深いです。 ここから先生の漫画家としての再生が始まったと、私などは思っています(実際、読切版『絶チル』は、この直ぐ後に産み出されたのですしね)。

鼎 元亨 at 2006/04/07 (Fri) 23:35:20

井汲 景太様
初出の情報いただきありがとうございます。
この月に2本掲載で片方の絵柄だけ旧作っぽいなぁ、と疑問に思っていたのですが誤植でしたか。

るかるか様
「パンドラ」に関するご紹介いただいたログを拝見しました。

うぁ〜〜〜〜〜〜!
僕が書こうとした事、本人はとうに自覚してるかもしれない!
すると覚悟の上か?いや、そんなに往生際が良いとも思えないなぁ
「GSホームズ」で観念したように見えたけれど、「パンドラ」がその後だから居直って腹を据えたのか?

というわけで、これはぜひとも「パンドラ」を読まねばならなくなりました。
そうでないと「絶対可憐チルドレン」の意図を読み違えるかもしれないからです。
井汲 景太様、のちほど当方よりご連絡いたします。よろしくお願いいたします。

ここから先は宣伝になりますが、早川書房のSFマガジン2006年5月号に私の文章が掲載されております。もとより発行部数の少ない雑誌ですので、お目に留まる可能性は少ないと思いますが、もし見かけましたら立ち読みでもしてやってください。

fukazawa at 2006/04/09 (Sun) 11:18:13

 掲示板が盛り上がってきましたね。
 終了アナウンス効果はすごいなあ(まちがい)。

>既に4月に入ってますし、この掲示板は後どれ位もつんでしょうね? f(^^;
 移転作業が終わり、pos.toネットとの契約が切れるまではこのまま残します。
 4月中は稼働します。多分5月ぐらいまで伸びると思う。

>パンドラ
 もし読めましたら、2話までと3話目のノリの違いに注目して頂きたいと思います。
 私は、「空から降ってきた人間じゃない女の子サイコー!」という台詞に、覚悟を決めた椎名高志の本気を見ました。

 あとパンドラ絡みでは、構想段階ではヒロインは(成人女性ではなく)少女だったという裏話もあります。今考えると興味深いです。
 当時の椎名氏は萌え萌えな少女キャラをデザインすることを恥ずかしく感じていたフシがあるのですが、その感覚が「裏返った」のがパンドラ3話だったのかなと思いました。
 → http://cwww.pos.to/hihou/comic/index.html#pandora

  鼎 元亨 2006/03/25 (Sat) 10:24:54
初めまして。
実は椎名高志論を書こうとして調べものをしているのですが、椎名先生ご本人が明かされていない情報を知りたくこちらでお聞きしたいと思います。
椎名先生は大学はどちらのご出身でしょうか?
京都私立芸術大学と大阪大学説を聞いております。(もちろん両方という事もあろうかとはおもいますが)
椎名先生の引用なさるネタ元を拝見すると、SFと映画以外にも国内外文学(国外は主に英文学)からの引用が多いことに気づきます。これからして椎名先生は英文科卒程度の素養をお持ちのようです。
どなたか情報をお持ちでしたら、お教えください。
るかるか at 2006/03/25 (Sat) 16:16:23

鼎さん、初めましてです m(_ _)m
えっと…正味な話、私はプライベートに絡んだ情報は全く解りかねるのですが…(←役立たずで申し訳ないです)…興味ある話題でしたのでレスさせて頂きました。

ネット上の話しでは「はてな」と「Wiki」の流れの情報が混在してて実際解り難いですね…東進ドットコムのコンテンツ内では大阪大学卒業でUPされてたりしますけど【http://www.toshin.com/news/ob/index.html】、これもソースは不明確で保証できかねますし。
これまで活字的な情報としても、せいぜい椎名WEBで触れられるレベルのお話がせいぜいで、それよりプライベート情報に踏み込んだ具体的な記事って余り記憶にないんですね…。
PNを使用してる事もその一端かもしれませんが、“職業人としての漫画家”としてプライベートとの線引きをしてメディア露出している印象を持っていました(だもんで、以前に「サンデーGX」読者頁に先生の奥方が写真付きで登場された時は、心底吃驚しましたが ^^)。

私の手持ち資料の中で、先生のデビュー前に関して唯一ソースを明示出来る些細な情報は次の一点のみです。
【「週刊少年サンデー」1988年第43号】において、「8月期まんがカレッジ」の入賞記事が掲載されているのですが、ここで佳作入賞者として「しいなたかし (22 京都)」と記載されています。
私も当初は大阪大学説を耳にしてましたので、これを見た時(大坂生まれで大坂の大学に通ってた筈なのに、京都を現住所にしてたの?)と少なからず頭抱えました。
記載の年齢(22才)だと勘定が合いませんが、UPされてる生年月日(’65年6月生まれ)換算だと ’88年時点では23才…ストレートでの大学入学&卒業後に京都へ移られた可能性もあり得ますが…今に至るも解答は得ていません(←結局、役立たずですね ^^;)
私からも、事情にお詳しい方の情報期待したいです。

実りが無いくせに長レスで申し訳ありませんでした。
鼎さんの「椎名高志論」が書き上がった折には、是非拝読したく存じますが、その際にはWEB上で公開されるのでしょうか?
期待して待っております (^^) …では。

鼎 元亨 at 2006/03/25 (Sat) 21:45:48

るかるか様、レスありがとうございます。

私は二者選択なら阪大法学部卒説の方を採りたい気持ちですが、ソースがないのが悩みです。
椎名先生は相当に教養が高いです。
というのは、高等教育を受けた人でないと引用できない元ネタが多いからです。
ファンの方には常識かもしれませんが、私の調べた範囲で披露させてください。

執筆が最も古いと思われる『電化製品に乾杯!』の最後のコマ、保証が切れたとたんに故障したミソッカスの枕元にスタインベックの『二十日ねずみと人間』が置いてあります。
『Dr.椎名の教育的指導』の最初の掲載分、キリスト教宣教師が踏み絵を強制されてすでに大地に描かれた絵を踏んでいた話の題名『沈黙』は遠藤周作の同名作品。
『GS美神 極楽大作戦』第4巻『教室漂流!!』で教室から脱出するために黒板に書いた英語の例文は、シェイクスピアの『テムペスト』からプロスペローの有名な台詞。
『絶対可憐チルドレン』の梅枝ナオミの名前は、源氏物語を現代語訳した谷崎潤一郎(谷崎主任の元ネタ)の『痴人の愛』のナオミから(カタカナで書く点まで同じ)。

というように、シェイクスピアや谷崎潤一郎はともかく、遠藤周作やスタインベックというのは尋常の教養ではありません。しかも、作品の主題に適切な作品を引用しています。元ネタを読んでいるか、少なくとも内容を把握しているわけです。

これほどのパロディをやれるのは、吾妻ひでお先生以来の傑出した存在だと思います。
それゆえ研究の対象にしたいと思うのです。

引き続き情報提供をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

fukazawa at 2006/03/27 (Mon) 22:36:40

 はじめまして。
 このサイトの管理運営を行っている、深沢と申します。

 椎名先生の出身大学についてですが、本人が公開していない情報については憶測しか語れない以上、「正式なことは判りません」としか答えられません。申し訳ない。
 あくまで個人的にですが、Wikipediaに掲載されている京都芸大説の方が有力ではないかとは思ってます(芸大→漫画家というコースはあり得そうなので)。というか、むしろ阪大法学部卒業説がどういう論拠でどっから出てきたのかの方に興味がありますね。先生が頭良さそうだから?(笑)

 椎名高志作品におけるパロディの元ネタは、文学作品からホラーや特撮やアニメに至るまで幅がたいへんに広いので、それをまとめるだけでもかなりの研究価値があると思います。がんばって下さい。
 個人的に、氏の幅広い知識と教養と、「悪魔のいけにえ」みたいなどうしようもないB級スプラッタが大好きだという氏の趣向がそうやって両立できているのか不思議でなりません。

井汲 景太 at 2006/03/29 (Wed) 22:26:25

■ 鼎さん
はじめまして。

>『GS美神 極楽大作戦』第4巻『教室漂流!!』で教室から脱出する
>ために黒板に書いた英語の例文は、シェイクスピアの『テムペスト』
>からプロスペローの有名な台詞。

!!そうでしたか!10年越しの疑問( http://ikumi.revery.net/cwww/cnabbs/nbbs.cgi/cwww/228-229,248,254 )が解決しました。ありがとうございます。また、踏み絵4コマにも元ネタが隠されていた、という点に感服しました。

個人的には、椎名先生の場合は、教養の高さは高等教育を受けたかどうかとは直接は関係していないのではないかと思っています。マンガ・アニメやお笑い・SF方面にまで広い知識を持ってらっしゃることから、後から身に着けたものではなく、子供の頃からたくさんものを見たり読んだりして、いろいろ知ってる人だったんじゃないでしょうか。ある程度以上裕福な家庭に生まれて、家に文学全集が揃っていたりして、なおかつ両親が大らかな方でテレビもマンガもいっぱい触れることを許されて育った…というようなイメージを抱いています。

トキワ荘グループは手塚先生の影響でよくものを知り、教養の高い方が多いと思うのですが、椎名先生にもその伝統が「隔世遺伝」しているような気がします。高橋留美子の影響はもちろん顕著なのですが、それとは別に椎名高志は実は手塚マンガの正当な後継者の一人という面も確実に持っている、と、以前から勝手に思っています。

椎名先生のデビュー前の経歴については、アニメージュ1998年12月号に掲載された、アニメーターの吉松孝博氏へのインタビューにチラっとだけ出てきます。高校で椎名先生と同級生で、アニメ研で自主製作をした際、ストーリーを椎名先生が考えた、とのことでした。「ソ連とアメリカの宇宙飛行士が大気圏突入しながら、一つの酸素ボンベを巡って戦うという話でした」「命と国の威信をかけた戦いです。炎に包まれながらアチアチアチとか言いながらの」「(その話を考えたのは)仲間の同級生で、すごく漫画が上手かったヤツなんです。今『GS美神 極楽大作戦!!』とか描いてますけど」というわけで、高校生の頃すでにあのギャグセンスの片鱗を発揮していたことがうかがえます。残念ながら高校名は不明なので、資料としては非常に不満足なものしか提供できず、申し訳ありません。

>しかも、作品の主題に適切な作品を引用しています。

「二十日ねずみと人間」って、「電化製品に乾杯!」で興味を惹かれて読んでみた(というのが情けないですが(笑))ことがあるのですが、あんまり主題と関係あるような感じはしませんでした。どの辺りに着目すると関連性が見えてくるでしょうか?

井汲 景太 at 2006/03/29 (Wed) 22:27:32

■ 深沢さん

>個人的に、氏の幅広い知識と教養と、「悪魔のいけにえ」みたいな
>どうしようもないB級スプラッタが大好きだという氏の趣向がそう
>やって両立できているのか不思議でなりません。

本当の教養・知性というのは、ばかばかしいものをばかばかしいまま、その価値を認めて惚れ込むことができる、という懐の広さを持っているものだと思います。椎名先生って、まさしくそういう方なんじゃないでしょーか?

  コピーキャット 2006/03/24 (Fri) 20:06:50
田中ほさな先生の乱飛乱外第一巻発売中。

単行本でかがりのむっちりした肉体を鑑賞できるというのはなかなかいいものです。

姫丸も乙。

ほさな先生のGS美神リメイク作品を読んでみたいと思う今日この頃。
あのタッチの美神さんを是非とも見てみたい。
  スーパードルフィン葵 2006/03/17 (Fri) 21:28:43
京都に住みたい。じゃないとラグンが、ブラックラグーンが見れない。
「またテレ東かっ!」と、言い過ぎたのがいけなかったのか、もうGXは関係ないのか、椎名せんせえ、とは。
読切なんてもんは、不吉、時期的に死兆星(漢字変換にはならない)でしかないのか。

大亜門先生のコミックが地元の「まだ4冊あるんだ」と見つけた店が、2日後に抹殺されていたので、チルドレンだけ買いました。
面白いマンガじゃない、流行っているマンガですよ大先生!!(吼えペンを読むと分かります)感涙。
更に言えば、ハンターの先生の単行本の1話は大亜門カラーになっているのか!25巻は 。

巨匠である椎名先生には、(TVの影響で)打倒ゴルゴで、パンツだけ描く漫画家でお願いします。毎週50ページはいけるね。
以前のMYキャッチフレーズの打倒手塚だとかOOとか□□とかよりはマシだと思いたい。シナリオはコアな椎名ファンがいるさ。
ああ炎先生、手塚先生より面白い、テニプリの。
  葉梨らいす 2006/03/06 (Mon) 00:59:02
 椎名百貨店が3/5に更新されてました。
 トップは2/28のままでしたので気づきませんでした。

 誰か椎名先生に教えてあげてー!

 椎名先生が大好きなマンガの劇場版に対しての心叫びが記されてます。

 私はキャスト一新した時に、鰹の声が変わったときとは比較にならないカタストロフィーが脳内に起きそうなので全く見てませんが。
るかるか at 2006/03/11 (Sat) 02:38:16

リーム! リーム!! リ~~ム・ストリ~~~ム!!!(姐さん召喚呪文)
つ【http://ww21.tiki.ne.jp/~kenji-i/reem.htm】

少年期に『T・Pぼん』に出会った読者たちに「姐さん属性」を“健やかに”インプリンティングして“切なく”去って行ったリーム姐さんには、F作品至高キャラの称号を付与したく! いやさ、彼女に比肩し得るのは、ロッテ・ミュンヒハウゼン嬢をおいて他にはありますまい!(←うぁ…此処にも「やっかい」なFファンが居ましたよ?<自嘲w)。
…そんな彼女の魅力については、夜を徹してでも語り明かしたい所ではありますが…“場違い”なので止めときます(←賢明な判断かと)。

マジメに反応すれば…椎名先生が言及されているコミカライズの件は、映画版のソレではなく、メディアミックスしたDS版のソレなのですが…いえ、多分、椎名先生も承知の上で叫んでおられるんだろうなぁ…ただ単に、動いて喋るリーム姐さんを見たかったん?(確かにやっかいw…私もヒトの事は言えませんけど… ^^;)
もっとも、当のルル嬢より悪役のチョイ出な少女の方に気持ちが行ってしまった私はどうしたものでしょう?(←読んだんかい!)【http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?isbn=4091401503】
取り合えず「のび恐06」は、時間工面して観に行く予定立ててる自分がココに居ます (^^)

※ 召喚した姐さんは、いやながさん【http://ww21.tiki.ne.jp/~kenji-i/index.htm】とこのギャラリー内へ直リンしたものです…その配色感覚がかなり私好みな心地良さに溢れたイラスト描かれてる方で、ちょっとご紹介をば。 ギャラリー内には、ユミ子隊員も控えておりますゆえ(ご馳走様です ^^)。

  peace 24 2006/03/08 (Wed) 20:15:50
 一応、ご報告です。

 ようやく!FOMA N902iに機種変更しました。mova D506iにしてしまった事は、2005年最大の失敗でした。自分の無知も悪いけど、店員さんもそこはFOMAを勧めてよ…。
 au W31Tはもう少し様子を見てから、解約する予定です。 結果的に、1万円上乗せしてでもN901isに変更してた方が費用はかからなかったわけですが…、それは後の祭り。あの時は、ああするしかなかったと思ってます。 ともかくこれで、パケット通信料が3分の1!! ようやく…!


 ついでに少し雑感を…。オリンピックは、『ブリアク』のおかげでかなり楽しめました。主にフィギュアしか観てませんが…。 プルシェンコ選手のショートの90点の演技を見逃したのがちょっと残念ですけど。女性のスルツカヤ選手の速くて滑らかな滑り、サーシャ・コーエン選手の美しいI字スピン、荒川静香選手の得点にならない(?)のにやるイナバウアー、とっても素敵でした!
 本編では、吹雪が世界初の偉業をやってますし。凡才が努力して活躍する物語が増えてきた中で、才能に磨きをかけて頂点を目指すという、まさに王道。楽しみな漫画が、またひとつ増えました☆
  るかるか 2006/03/02 (Thu) 02:01:17
巷で話題な(?)某『ワイルドライフ』小学館漫画賞の作者受賞コメント…What’s newでも触れられてましたが、私の感想もほぼ同様です。 (流石にこれは何だかナァ)って気分ですけど…まぁ、それはそれとして。
13年前には椎名先生も『極楽』で受賞してたのを、少し振り返ってみたくなりました。

受賞時、先生がサンデーに寄せられたコメントは以下の通りです(覚書メモ紛失で、サンデー掲載号が不明…情報補完頂ければ重畳至極です)。
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
 このたびはえらい事になってしまってどーもすみません(笑)。 去年友人の藤田和日郎先生が受賞した時「そんな賞は酸っぱいぞ」「来年は俺だ!」などとバカいってましたが、まさか本当にこんな事になるとは…いや、ちらっと思った事はありますがそれくらい誰でもやりますよね!?
 決して本気ではなかったんです(笑)。
 まだこの商売を始めて4年、五里霧中でひたすら原稿に向かう毎日でして、こんな名誉ある賞を頂いていいのかどうか分からないのですが、下さるということですので、頂いてしまいます。 本当にどーもすみません。 …月並みですがこれもひとえに読者の皆さんと関係諸氏のお陰だと、月並みでない感謝をしております。
 有難うございました。
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
↑「酸っぱいぞ」ってアータ(w…いえいえ、流石と言うべきですね (^^)
ちょっとした照れと、それを包み隠す先生らしいユーモア、でも、やっぱり誇らしい気分が端々に溢れてくる…そんな新進気鋭の若手作家(当時)らしい楽しいコメントです。
何より、感謝の辞で真っ先に「読者」を挙げられているのが嬉しいじゃないですか?
文量も妥当ですしね…これと比べると、やはり藤崎先生のコm(ry


注)まぁ最後ネタっぽくいきましたけど、藤崎先生、ご自身のHPでは日記上で 「皆さんに支持していただいて読み続けてもらったからで、読者さんと勝ちとった賞ですよね!」 と、述べられてますし、その辺は補完しときます(w
http://www.wild-life.jp/
るかるか at 2006/03/02 (Thu) 02:08:43

補足

●当時の審査委員は…石ノ森章太郎、さいとう・たかお、里中満知子、福田義也、高橋源一郎、藤子・F・不二雄、藤子不二雄(A) (以上敬称略)
 …既に鬼籍に入られた方もみえるのが寂しいですが…でも、この面々に選ばれた事って、椎名先生には(そのマンガ世代的に言っても)とても嬉しい事だったでしょうね…自分の仕事が、自分が尊敬して止まない先達の方々に認められるって、どんな気持ちなのかぁ?(←そんなワンダホーな体験とは終生無縁な私デス ^^;)

●同時受賞として、「児童部門」で青山剛昌先生の『YAIBA』が受賞
 …同時期のサンデー連載作品ですが、何より「児童部門」というのが興味深いです。 元々「児童部門」は、コロコロ作品が結構常連気味なんですけど(モチ、例外多数)…サンデーが“雑誌として”低年齢向け作品を意識していたのは、別に昨今に始まった路線では無いって事なのでしょうか?

●「少年部門」での最終候補作(『極楽』以外の3作)は…こせきこうじ著『ペナントレース やまだたいちの奇蹟』、西森博之著『今日から俺は!!』、八神ひろき著『DEAR BOYS』
 …意外でしたけど、『今日俺』って結局受賞出来てないんですね。 てっきり受賞したと思ってました。 翌年、翌々年の「少年部門」は集英社作品に持っていかれてます。 西森先生が受賞するのは、第46回の『天使な~』まで待つ事になり、一度逃すと受賞ってホントに難しいのだなと実感(但し、その難しい受賞を2回も経験されてる稀有な作家さんも少数ですけど存在してますが ^^;)

実際の所、二回目の受賞ってハードルがキツイのでしょうけど、『絶チル』も連載長期化して賞にノミネートされる日が来る事を信じ、期待してます。
いえ、別に(久米田理論で)講談社漫画賞にノミネートされるのでも構わないのですが f(^^;