ほたるさん突然再登場記念 サンデー3+4号 「だがしかし」感想

だがしかし

 マンガの持ち込みに行ったはいいけど酷評されて帰ってきて傷心なココノツの前に、突如としてほたるさんが再登場の回。
 ココノツが己の純潔の全てを捧げる勢いで崇拝しているほたるが! ココノツの心が傷ついているこの絶妙なタイミングで! 失踪する前と何も変わらぬ、あの時のままの姿で! 相変わらず立ってるだけでエロいほたるが! 今ココノツの前に! 立っているんですよ!(興奮)

 今のココノツは、「漫画家になる」という自分の将来の夢が揺らぎ、かつ「駄菓子屋の店長」という今の自分の現実に対しても疑問を持ち始めた、精神的に非常に不安定な状態にあることは間違いありません。今のココノツを「神聖モテモテ王国」風に言えば、がっかりフラレナオン祭り状態です。
 がっかりフラレナオンは確率変動中で大当たりの確率が高まって落としやすいって、ファーザーも言ってました。

 そんなタイミングでほたるに出会ってしまったココノツは、仮にほたるが以前と同じように駄菓子に対する偏愛っぷりを語りだしたとしても、冷静にツッコミを入れられるとはとても思えません。自分のマンガを酷評されてそのまま家に帰りたくない心境になっている今のココノツにとって、ほたるは今の悩みから逃れる場所を与えてくれた救いの女神のように見えるはずです。
 色々と心が揺らいでいる今のココノツに対し、もしほたるが「漫画家の夢を捨てて駄菓子屋を継げ」と言ったとしたら、がっかりフラレナオン祭り中で確率変動中のココノツが実際にそうしてしまう可能性は非常に高いのではないのでしょうか。

 もっとも、ほたるはまかり間違いなくそういうことを言うキャラではありません。彼女はあくまでココノツの駄菓子屋の店長としての高いセンスと志を買った上で、自分の意志で駄菓子屋への道を選んで欲しいと思っているはずです。
 ほたるが今の迷えるココノツにどんな言葉をかけて来るのか。次回はその点が非常に注目されます。


 あと今回の話で感心したのは、これまではちょっと(というか相当)頼りないボンクラなお姉さんと思われていたハジメさんが、ココノツがマンガの持ち込みに向けて原稿描いてる姿を見て「大丈夫です。完成させましょう。自分が手伝いまス!」と応援して目一杯手伝ったり、その一方で(ココノツがマンガ家になるかも知れないと浮かれるサヤに対して)「めっちゃ落ち込んで帰ってくると思うんで」と今のココノツのマンガ家としての力量を見抜いていたりと、ココノツの「夢」に対して極めて前向きかつ冷静なスタンスを取り続けていたことですね。

 ココノツのマンガ家になりたいという(駄菓子屋の店長という今の立場からすると荒唐無稽な)夢を簡単に否定せず、むしろ彼が最大限の力を発揮できる環境を作ってあげる一方、今の彼の実力ではそう簡単にマンガ家にはなれないことを判っていて周囲に浮かれないようにと優しく諭す。とても理知的な、大人な態度だと思います。

 このマンガ、基本的な構造が「周囲のおかしな人達にココノツが常識的な観点からツッコミを入れる」になっている関係上、ココノツの周囲には大人も含めておかしい人しかおらず、今回のハジメのようにココノツに対してフォローを入れられる歳上の人材は皆無でした。そういった意味で、今回はハジメに「ココノツの成長を見守ることができるお姉さんキャラ」という、新しい存在価値を与えた回でもあったと思います。

 何にしろ、「だがしかし」はココノツの漫画家へのチャレンジ、そしてほたるの再登場をきっかけに新しい局面に向かいつつあることは確かであり、これからますます目が離せなくなって来たと言えるのではないのでしょうか。

 そして駄菓子界は今、おやつカンパニーのベイちゃんが2016年を以って引退し、新たなイメージキャラとしてパリピ系男子がフィーチャーされるというニュースが流れて騒然となるなど、正に新しい激動の時期を迎えています。
 このタイミングで駄菓子界の守護者であるほたるが帰ってきたことということは、即ち来年は駄菓子の世界に更なる大きなうねりが起こることは必至であり、ほたるは駄菓子界の大変動に立ち向かい愛する駄菓子文化を守るべく、表舞台に戻ってきたのではないのか。そうは思えないでしょうか?(思えません)

だがしかし(6) (少年サンデーコミックス)
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6巻最期のココノツとほたるの別れのシーン、今読んでもちょうドキドキします

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