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桜庭さんが現実を受け入れた記念 サンデー8号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

やっぱり一条のが上手いのか?

 この回の「BE BLUES!」は、あの天上天下唯我独尊で傲慢でワガママで人の言うことを聞かなくて「俺様を尊敬しろ!」がモットーだった桜庭さんが、ついに龍が自分よりもサッカーが上手いことを認めた! という事実が、読者に大きな衝撃を与えました。

 桜庭というキャラクターは、テクニック面ではこのマンガの登場人物の中でも最強レベルの力を持ってはいるものの、性格面で極めて難があるためにフォア・ザ・チームな行動を全くすることができないことが彼のフットボーラーとしての活躍の足を引っ張っていることは、このマンガの読者の誰しもが判っていることだと思われます。
 ただ、そういう性格面の欠点を抱えているからこそ桜庭巧美というキャラが魅力的になっているのもまた事実であり、個人的にも「桜庭さんには、いつまでも『俺様を尊敬しろ!』なクソな桜庭さんのままでいて欲しい」と常日頃から願っている始末でした。

 そんな桜庭さんが、ついに龍や聖和台の真鍋といったライバル達の実力が自分を凌駕するものになりつつあることを認めたんですよ。そりゃーもう我々読者としては大事件です。ついにあの桜庭さんのねじ曲がった性根がまっすぐになってしまうのかと、期待と不安を抱かずにはいられませんでした。

 しかし我らが桜庭さんは、龍達の実力を認めたコマの直後、飼い主監督であるミルコにこう言い放ったのです。

 「もっとうまくなりゃいいんだよな!
  一条や真鍋のヤロウ、俺を止める奴らまとめてぶっちぎるために、
  どうすりゃいい? じーさん!

 この台詞からは、彼は龍たちの今の実力は認めたものの、自分が今以上のテクニックを身につけることさえできれば彼らを超えられるに違いないという自分の才能に対する執着が伺えると共に、彼の切羽詰まった表情からは、このままでは彼の自我の象徴であった絶対的なテクニックを失って「俺様を尊敬しろ!」と言い続けることができなくなることへの恐れをも伺うことができると思います。

 彼がミルコに「(龍や真鍋達が強くなっていることを)認めるよ」と言っているコマの前後に、以前の周囲が自分よりも強くなっていることを認められなかった頃のカットを挿入しているのは、彼の心境がこの頃から変化していることの描写でしょう。
 彼は、自分がこれからも「俺様を尊敬しろ!」と言い続けるためには、周囲が自分よりも強くなりつつあるという決して認めたくなったことを認め、その上で自分が彼らよりも更に強くなるための努力をせざるを得なくなったことを、あの頃から続けてきた葛藤の末に悟ったのです。

 己がまだまだ未熟であることを認め、それを克服するために新しい修行をすることを決意するという、少年マンガ的なロジックにおける「成長」のプロセスを忠実になぞることになった桜庭さん。まさかあのひねくれ者の桜庭さんが、「師匠の元で修行して強くなる」だなんて正統派の強化のされ方をするなんて! という驚きはあるんですが、でもその修行を受ける元の動機が「周囲を見下して『俺様を尊敬しろ!』と言い続けたい」ものである辺りは、やっぱり性根の部分は変わってないなと嬉しくなります。
 何にしろ、ミルコの特訓を経て桜庭が如何なる変化を遂げるのか、ワクワクしながら待ちたいと思います。次の試合では、前とは逆に真鍋を這いつくばらせて高笑いする、これまで以上にクソになった桜庭さんの姿が拝めるかと思うと楽しみです(褒めてます)。

 あと今回面白かったのが、桜庭から「やっぱり一条のが上手いのか?」と言われた後のミルコの態度ですね。多分ミルコは桜庭が大きな壁に突き当たって悩んでいることは把握していたとは思うのですが、実際に桜庭から悩みを打ち明けられた時に「信じられない」と(脳内で)言っているところからすると、今回の桜庭の行動は彼にとっても想定外に嬉しい出来事だった模様。
 桜庭からの告白を聞いた後、いきなり「初めて見た時から君は…とびきり輝く星のようであったよ」と桜庭を称えるポエムを語ってしまう辺りに、ミルコが今回の桜庭の告白を如何に祝福しているかが伺えるというものですよ(決めつけ)。

 そしてもう一つ面白かったのが今回の桜庭に付き合わされた藍子の挙動で、龍のことをやたら見つめている桜庭を心配して声をかけたら「馬のシッポ」呼ばわりされて激怒、激怒しているところを龍に見られて赤面、その直後に桜庭から素直に謝られて困惑、そして桜庭の「やっぱり一条のが上手いのか?」を聞いて呆然と、今回だけで実に様々な表情を見せてくれました。
これは龍×藍子のメジャーカップリングでは決して拝めない、桜庭×藍子というカップリングだからこその展開だったと言えるのではないのでしょうか。

 桜庭×藍子の組み合わせは、現段階では優人×藍子以上のマイナーカップリングという認識なのですが、これを機会に盛り上がって欲しいですね(カップリング厨的視点)。

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この巻で描かれた聖和台との試合の顛末が、今回に桜庭の決断に繋がっているんですよねー


連載継続決定記念 サンデー7号までの「シノビノ」感想

シノビノ

 前回はペリー提督がアメリカ国旗が胸に刺さった血まみれの状態で副官のメガネに発見されるというヒロイックな終わり方をしたため、「本当に殺っちまったんか甚三郎!」と思ってしまったりしたのですが、今回は「甚三郎がペリーを気絶させる→ペリーが何者かに殺されたように偽造し、副官のメガネを騙して江戸襲撃作戦を中止させる→今回の黒幕である老中にペリーを連れて行き、ペリーに江戸襲撃をさせる密約があったことを認めさせる」と甚三郎が見事な手腕を見せ、「ペリーによる江戸襲撃作戦を辞めさせた上、老中による倒幕の陰謀も防ぐ」ことに成功。
 本来の任務である「ペリー暗殺」以上のことを、甚三郎は結果的に成し遂げてしまいました。

 というか、甚三郎は最初から「ペリー暗殺」という任務そのものが老中が仕組んだ陰謀であることを見抜いており、日本とアメリカが戦争を起こすことなく秘密裏に事態を収拾するには、この手段を取るしかないことを理解していたのでしょう。
 あとついにで言えば、ペリーと拳を交えて戦った結果、おそらくペリーは甚三郎のことを武人として尊敬の念を抱くようになったに違いありません。もうペリーは甚三郎にメロメロですよきっと。後に日米和親条約が無事締結されたのも、ペリーが甚三郎にメロメロになったからに違いないですよきっと(決めつけ)。すごいなじいちゃん。

 そして、次回で「黒船編」が終了するとアナウンスされた「シノビノ」ですが、その後も幕末を舞台に物語が続くことが決まった模様です。
 実際このマンガはものすごい面白いので、今後も続いてくれることが素直に嬉しく思えます。

 このマンガで個人的に魅力的だと思っているところは、主人公の甚三郎がカッコよくてカワイイのは勿論なのですが、何より毎回インパクト重視な展開で「毎週読んでいる読者を驚かせて楽しませよう」とする作り手側のスタンスが垣間見えるところです。

 例えば、サスケハナ号の中に巨大な狼がいて突然甚三郎に襲い掛かってくるエピソード(サンデー47号)が象徴的で、ここでは「狼の習性を利用して狡猾に戦いつつも、突然変異した孤独な狼に『最期の忍者』である己を投影して憐れむ」甚三郎が印象的な回ではあったのですが、「いくら江戸を襲撃する計画があったとはいえ、アメリカから日本までこんな化物を連れてくるのは割に合わないのでは」とか、「狼にトドメを刺す前に藤堂平助が空から降ってきて彼とのバトルが始まってしまったが、結局あの狼はどうなったのか」とか、「藤堂平助とのバトルが始まった後は、同じ部屋にいるはずの狼の存在が無視されている」とか、細かいところを突っ込み始めると色々とアラが出て来る回でもあります。

 しかし実際に読んでいる最中は、甚三郎が狼を翻弄する姿や、ヤンチャな戦闘バカである平助とのバトル、そして更にはそこに乱入してくる謎の中国拳法使いの老人、そして刻一刻と迫りくるサスケハナ号が江戸に到着するタイムリミットと、毎回毎回矢継ぎ早に繰り出されるおもしろ要素があまりに魅力的で、細かい整合性などは全く気になりませんでした。自分の場合はむしろ「甚三郎おじいちゃん、こんな夜更かししてしまって眠くならないのかしら…」とか、そういう余計なことを心配してしまう始末です。

 毎回何かしらの想定外な出来事が起こり、かつそれに甚三郎は忍びらしく的確に立ち向かって対処していき、そしてまた新たな展開が巻き起こる──という話の作り方は、極めて真っ当な少年マンガと言えます。「シノビノ」は、主人公が齢58歳のおじいちゃんという特異性を売りにしてはいるものの、その内実は正統派の少年マンガになっていると、個人的には思っています。
 「シノビノ」は多分、世間的にも2018年に来るマンガの一つになるんじゃないかと期待してます。

 あと、椎名高志先生ファンサイト的な視点では、サンデー2018年2号で甚三郎がペリーの眼に勲章を突き刺した際に「NOOOO!」と叫んで血をブッシャアアアと大げさに吹き出す姿が、ちょっと椎名高志先生のマンガっぽいテイストを感じて嬉しかったです。判ってもらえるでしょうか

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平助はこれからの幕末編で出てくること必至なので期待


サンデー2号くらいまでの「絶対可憐チルドレン」感想

絶対可憐チルドレン

 「けものフレンズ」のアニメ2期に関するお知らせについては、本当に残念でしたね…(挨拶)。

 もうかなり前のことになってしまいますが、サンデー2018年2号で「黒い幽霊」に操られた明・初音コンビとの戦いを描いた「けものパークへようこそ」編が終了しました。

 前の対ナオミ戦もそうでしたが、「黒い幽霊」に操られたかつてのバベルのメンバー達との戦いは、そのキャラが持つ根源的なテーマに再びスポットライトを当てることを主題にしているように思えます。
 ナオミの場合は彼女にとっての「運命の男」である谷崎主任とのSM関係の再構築がテーマでしたが、今回の明と初音の場合は動物に変身したり憑依したりする一族の能力故に社会から阻害されて来たという「一族の宿命」を如何に乗り越えるのかという点がテーマだったと言えましょう。

 結論としては「社会への怒りに身を任せるのではなく、まず隣人を愛して身近な幸福を手に入れなさい」という、まあ当たり前ではあるけど大切なことに二人が気付き、先々代の力もあって「黒い幽霊」の誘惑を撃退することに成功します。
 「まず隣人を愛せ」とか書くと極めて説教臭いというか宗教っぽくなってしまいがちなんですけど、こんなテーマをちゃんとコメディの範疇に収めて描くことができたのは、特に初音というキャラが持つバカっぽさ(良い意味で)に救われているところが大きいのではないのでしょうか。やっぱりいいキャラですよね彼女。良い意味でバカだけど(良い意味で)。

 あと、先々代の二人が初音と明に対して「家に帰ったら子作りでも始めろ!」と言ってましたけど、自分も以前親戚の戦前生まれで年代的にはあの先々代と同年代であろう叔父の一人から、「結婚したかったら、まず女の子を孕ませろ」とド直球なことを言われた経験があるので、あの年代の男性ならこういうことを本気で言いかねないのでは? と妙に納得してしまいました。
 多分「絶チル」の最終回では、この二人の子供がわんさか出てくるに違いないと思ってます。お幸せに。

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絶チルが50巻に到達。連載開始の頃を思い出すと感慨深い


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