サンデー9号「鬼月」感想
鬼月
個人的には好きな作家さんなんだけど、でもそのあまりに少年漫画してなさ過ぎるダークな作風から「やっぱ少年誌でやっていくのは難しいんじゃないだろうか」と余計な心配をしてしまう新人漫画家・桐幡歩先生が、「天国の本屋」以来の再登場を果たしました。
しかも今回はビッグネームや若手有望作家が次々登場する、「読切大連立」というネーミングセンス以外は素晴らしい読切枠での参加ということは、「少年誌でやっていける作風なのか」という自分の懸念は杞憂であり、既にサンデー期待の新人作家にまで成長している、ということで良いのしょうか。良いのでしょうか?(反復)
その辺はともかくとして今回の「鬼月」ですが、どこか前で読んだことがある話だなーと思っていたら、これって以前超増刊に掲載された同名の作品のリメイク版っぽいですね(→超増刊版の時の感想)。話そのものは「閉塞環境にいる無垢な少女が世界の姿を知ってしまう」タイプの極めてシンプルな構造なんですけど、桐幡氏独特のダークな雰囲気を読者にアピールするという意味においては、この「鬼月」という物語は最も適しているのではないかと思いました。氏の描く和風の女の子はとっても可愛いですしね(そこか)。
氏のあまり少年漫画らしからぬ絵柄と作風がどこまで受け入れられるのか、果たして本誌での更なる再登場はあり得るのか。個人的には頑張って欲しい作家さんなので、今後の活躍に期待しております。
そしてこの物語から得られる教訓は、いくら大切な女の子でもあまり過保護にし過ぎると世間知らずに育ってしまい、パッと見の男にホイホイ付いて行ってしまうようになるので、あまり過保護過ぎるのも考え物だというところでしょうか(間違い)。