今回はこのマンガの一つの到達点だと思った サンデー2+3号感想「BE BLUES!」感想
BE BLUES!
立彦✕龍のカップリングを中心として桜庭・三石・荻本といった面々の感情が絡みあう、レッズユース対武蒼高校の試合の名を借りた熱い愛憎劇が繰り広げられている最近の「BE BLUES!」ですが(挨拶)、サンデー2019年2+3号の展開は、立彦の龍への長年の想いが「かつての龍だったら可能だったであろうスーパーゴール
」を立彦が決めるという一つの形となって実ったという意味で、このマンガの一つの到達点な回だったのではないかと思いました。
立彦は今でも龍のことがホントに大好きなのは試合前からダダ漏れだったんですけど、彼の中で龍がどれだけ大きい存在であったのかを、立彦は「かつての龍だったら可能だったであろうスーパーゴール」を本当に決めることで表現しました。
立彦の中の「理想の龍」は既に現実の龍を超えた超人の域に達しているんですが、彼はその超人と重なることをサッカーのモチベーションとしており、それが彼をここまで成長させたことは間違いありません。
かつての立彦の姿を知っているミルコは彼を「努力だけで獲得できる領域を超えている。あれは怪物だ」と評していましたが、それは即ち立彦の龍への熱い思いが彼をただの人間ではいられなくしたということを意味します。深い愛情は人間を怪物に変えるのです。
龍のことが大好きで妄想の中の龍と重なるために尋常ならざる努力を重ね、最終的に怪物に進化してしまった立彦。正統派サッカーマンガであるはずの「BE BLUES!」で、人知を超えた究極の愛の姿を見ることになるとは思いませんでした。ほんとこのマンガ深いですよ(ミスリーディングの可能性)。
そんな立彦のプレーを見ていた優希も「あれはまるで怪我する前の龍そのままの姿だ
」と察しましたが、優希はそれを口に出すことはできませんでした。
「もし龍が怪我しなければ、今頃は…」という仮定はもう決して訪れない世界線の話であり、また怪我から復帰した龍が尋常ならざる努力の末に現在の地点まで到達したことをよく知っている彼女にとって、「もし龍が怪我をしなかったら」は口には出せない言葉であることは間違いありません。
優人もおそらく優希と同じことを思ったに違いないのですが、実際に彼が龍に対してかけた言葉は「立彦…すごいね
」だけでした。
同じく「今の立彦は怪我する前の龍の姿だ」と思ったナベケンも、実際にそれを龍に言うことはないでしょう。大怪我をした龍が今の姿になるためにどれだけ努力してきたのかを知っているからこそ、その言葉は龍には決して言えないのです。
しかしこのマンガには、そんなタブーを吹き飛ばせる男が一人だけいます。桜庭巧美です。
「てめえがポンコツになる以前ならやってそうなプレーだったな
」
「くやしくねーのか、自分のプレーパクられて。よりによって久世立彦に!
」
桜庭はハッキリと、今の立彦は「怪我する前の龍そのままの姿だ」と龍に言い放ちました。幼馴染の優希や優人やナベケンには言えなくても、「性格がひねくれている」という体の桜庭さんなら、こんな言いにくいこともハッキリと言える! 桜庭さんマジかっこいい! と、本気で思いましたね。
こういうことを龍に対して言えるのが桜庭というキャラの強みなんだよなあと、改めて感じた次第です。
もちろんこの台詞は単なる嫌味ではなく、真意は龍に対する奮起を促すところにあることは明白であり、龍も「くやしいさ!
」「だから力を合わせようぜ!勝つためにな!
」と桜庭に感情をぶつけて応えます。サッカーのために常にクレバーであろうとする龍からこういった人間らしい感情を引き出せるのも、桜庭の役回りの一つだと言えるのではないのでしょうか。
サンデー46号で相手に先制点を許した時も桜庭は龍に嫌味っぽい口調で叱責して龍の奮起を促し
ていましたし、桜庭が気落ちした龍を叱って励ますしかる桜庭(しかるねこっぽい発音で)というキャラ付けはますます強固になったと思われます。
こんな感じで、龍と立彦を中心とした彼らの熱い愛憎劇はまだまだ終わりそうにありません。
次回以降で起こるであろう、龍や桜庭の逆襲にも注目です。
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桜庭さンかっこいいなあ(表紙)