サンデー 一覧

「龍のちんこがでかい」という設定の意味について考察する サンデー37+38号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 今回の「BE BLUES!」は、いわゆる温泉回。より正確に言えばちんこ回
 端的に言えば、龍のちんこは実は大きかったというお話でした。

 今のサンデーで「ちんこ」と言えば、勿論主人公のちんこがどんどん大きくなるマンガである「キング・オブ・アイドル」に決まってますが、今回の「BE BLUES!」はそれに触発されたと解釈してよろしいのでしょうか。「ちんこの数なら負けねえ!」とか、そういうアレで。
 今、サンデーにちんこの嵐が吹き荒れようとしているのでしょうか?(多分しません)

 そしてちんこと言えば、龍の世界水準のちんこのデカさ以外にも、みんな大好きノアさんが無毛マニアだったことが判明しました。本人は「余計な毛がないのでパフォーマンスが上がる」と脱毛した理由を述べていますが、多分ノアさんが無毛な好きなあまり、自分も無毛にしてしまったのでは? と推測せざるを得ません(きめつけ)。
 彼はこれまでも、この手の合宿の風呂ではみんなの前で脱衣して無毛っぷりを披露することでウケを取っていたに違いないと思うと、流石ノアさんは違う! と言うしかありません。男だらけな体育会系ならではのコミュニケーションの取り方を弁えていらっしゃると思います。褒めてます。

 逆に今の龍には、その手の「仲間と上手くやる」センスや気遣いは全くない要素なので、龍との対比という意味においても、今回のノアさんはホント面白い存在だったと思いました。

 というか、今回の合宿編におけるテーマの一つは、間違いなく「サッカー以外のことには気が全く回らない、龍のボンクラっぷりを少しは何とかすること」であると思われます。
 今回の途中に挿入されたレノンの回想シーンの中で、優希・優人・ナベケンが三人揃ってレノンに「龍を介護して下さい!」(意訳)と頭を下げていたことからも判るように、ここのところの龍はサッカーやらせると凄いしサッカーを通じたコミュニケーションはできるんだけど、サッカーに全てを注ぎ込むあまり生身の人間としての味がない、言わば「魂のないサッカー人形」(神聖モテモテ王国的表現)的なキャラクターになりつつあったのは? というのが正直なところです。
 この前のバレンタインデーのエピソードでも藍子のことなど気にも留めていない感じでしたし、女子のことに興味がないのはともかく、あの年頃の男子だったら普通にあるはずの性欲の処理とかどうしてるんだろう? みたいな余計な心配をしたくなるレベルですよ。マジで。

 今回はさすがのレノンも龍の「周囲に気を利かせる」という概念がないクラスのボンクラっぷりには手を焼いていましたが、コミュニケーション強者であるノアさんが強引に龍のフォローに入ったことで、「龍とレノンとノアが脱衣所で一緒に脱ぐ」→「ノアの無毛っぷりに龍が驚く」→「龍のちんこのデカさにノアが驚く」→「前回のエピソードで龍を『つまらん奴』と一括してわだかまりを作った滋賀の遠藤も龍のちんこのデカさに驚く」という、ちんこを介したポジティブなフィードバックが発生しました。
 つまり、あまりのとっつきの悪さが災いして合宿メンバーから孤立してしまう可能性があった龍の危機を、ノアの機転が救ったのです。そう考えると、今回の真の立役者はノアさんで決まりでしょう。ノアさんいい人だなあ。実際に隣りにいたらウザそうだけど(褒めてます)。

 次回以降は、ノアの活躍によって他のメンバーと上手くやれるきっかけを得た龍が、「サッカーでのコミュニケーション能力だけは抜群に高い」特性を活かして(ちんこのでかさ以外で)一目置かれる存在になれるかどうかという点になります。
 今回登場した高校生選抜メンバーは、今後龍が本当に日本代表選手になった暁にはまかり間違いなく同じチームのメンバーになる面々であることを考えれば、ここで好印象を彼らに与えて「また一緒に戦いたい」と思わせておくことは、龍の人生計画において極めて重要でしょう。

 果たして龍は、無事人並みのコミュニケーション能力を獲得し、彼らと選手として上手くやることができるのでしょうか。それともコミュニケーションに失敗し、「ちんこがでかい奴」という印象だけを与えることになって今後「武蒼のちんこのでかい奴」呼ばわりされてしまうことになるのでしょうか。
 そう考えると、今回の話は単なる温泉回なのではなく、今後のターニングポイントとなり得る極めて重要な回だったのでは? と錯覚できるようになるのが不思議ですね。おわり。

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対聖和台戦を読むと、龍は「拳で語り合う」的なノリで「サッカーで語り合う」のはとても上手いなと思います


「あなたと同じ女の子だよ」の深さに迫る サンデー36号「初恋ゾンビ」感想

初恋ゾンビ

 先週も「初恋ゾンビ」の感想(だけ)を書きましたが、引き続き今週も「初恋ゾンビ」のことを書きます。
 何故なら、今まさにこのマンガは大きなターニングポイントの真っ只中にあり、ものすごく面白くなって来ているからに他なりません。

 今回は、ついに指宿が本当は「指宿くん」ではなく「指宿ちゃん」であることが江火野にバレてしまう話でしたが、今回の一番のポイントは最後の方でなされた江火野と指宿のこのやり取りでしょう。

「じゃあ、あなたは正真正銘の女の子なんだね。あたしと同じ<」 「…うん。江火野さんと同じ、…女の子だよ」

 ここで言う「女の子」とは、ちんこの有無を表す生物学的な性差としての女であるのを指しているのは勿論なのですが、それ以外にも指宿はジェンダー的にも江火野と同じであり、男性を恋愛対象とする性的嗜好も江火野と同じであり、さらに言えば今好きな人そのものも江火野と同じであることを、指宿は「江火野さんと同じ女の子だよ」という台詞に込めていることは明らかです。

 つまりこのシーンは、江火野は指宿に対して「あなたもタロウのことが好きなんだね?」と問いかけ、指宿はそれに対して逃げることなく「ワタシもタロウのことが好き」と告げたに等しい意味を持ちます。自分の性別を江火野に知られた指宿は、ついに江火野に対してこれまで隠していた性別のことだけでなく、自分の秘めていたタロウへの気持ちも江火野に知らせたのです。

 より判りやすく言えば、恋のライバル宣言です! 恋のライバル宣言なんですよ奥さん! もしこのドラマが「ママレード・ボーイ」のアニメ版だったら、指宿が「江火野さんと同じ、女の子だよ」って言う台詞と同時に國府田マリ子が歌う「MOMENT」がオーバーラップすること必至なくらい、ここは重要なシーンなんですよ!(例えが古くて申し訳ない)

 前回までは、江火野がこれまでの「恋愛には興味がない」「タロウとは単なる幼馴染」だったこれまでの自分を、「ロミオとジュリエット」の演劇を通じてかなぐり捨ててタロウへの想いを強く自覚するに至る、言うなれば江火野覚醒の回だったと言えますが、今回は自分の秘密を知られたことをきっかけにこれまで誰にも言えなかったタロウへの想いを江火野に伝え、彼女と「恋敵」の関係となる覚悟を決めた指宿の心理的な変化を描いた回だったと言えるのではないのでしょうか。
 「指宿が自分の性別を偽っている」ことはこのマンガの根幹を支えていた設定の一つなのですが、それが(相手が江火野限定であるとは言え)崩れてしまった以上、このマンガはいよいよ新しい局面に入ってきたと思われます。この二人の恋の行方がどうなるのか、ますます目が離せなくなって来た感がありますね。いやもうホントにこのマンガ面白いです。

 あと今回個人的に面白かったのは、指宿くんを探すクラスメートの目を誤魔化すために指宿が江火野のスカートの中に隠れた後、江火野から「とにかく劇はちゃんとしよう」と叱られて「…わかった」としゅんとして言うシーンです。多分、指宿くんはこれから江火野に頭が上がらないんじゃないかなと思いました。江火野×指宿というカップリング妄想もアリなのでは。いやマジで。

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今の展開は、コミックスのこの辺の展開からの積み重ねの集大成的な感じがする


もう幼馴染のままではいられない サンデー34~35号「初恋ゾンビ」感想

初恋ゾンビ

 「初恋ゾンビ」の江比野さんに対しては、常々「もし彼女が覚悟を決めて自分の恋心に正直になってタロウにアプローチし始めたら、ンもう大変なことになるんじゃないか?」と個人的に思っていたのですが、ついにその懸念(懸念?)が現実のものとなって来たように思えます。

 現在の学園祭の「ロミオとジュリエット」編は、江比野が自分のタロウへの感情が何であるかを自覚し、自分の感情に素直になって行く過程を描いたものであると言えます。34号の「あたしは、タロウのロミオとこのシーンがしたかった」という彼女の台詞は、自分がタロウの事を好きで、タロウにもそれを判ってほしいと思っていることを表現した、今の彼女ができる精一杯の告白だったと思われます。
 江比野はこれまでの「恋愛には興味がない」と公言するキャラクターを脱し、タロウとの「ただの幼馴染」の関係から抜け出すべく、自ら一歩を踏み出したのです。

 それに続く35号は、それを受けたタロウが「ロミオとジュリエット」の劇でジュリエット江比野の相手役としてロミオとして登場し、劇中で恋を語り合う台詞の応酬を全うすることで、江比野の気持ちをキチンと受け止めるという意思表示をしました。タロウはこの行動がこれまでの「幼馴染」の関係を崩すことになることを承知の上で、江比野の前に立ったものと思われます。
 タロウは本来「恋愛はエネルギーの無駄」と公言する、自己保身を第一とする性格のボンクラなキャラクターだったのですが、江比野の気持ちを理解した上で、それを受け止められる甲斐性を発揮できる男に成長していたことを示す意味でも、今回は非常に重要なエピソードであったとも言えます。

 タロウはその童貞純潔を「初恋ゾンビ」であるイヴに捧げることを決めており、その決意は今も彼の中では揺るいでいないとは思うのですが、江比野と劇中で恋を語り合っている間はイヴが眠っていた=初恋のことを忘れていたことを考えると、タロウの気持ちも江比野に揺らぎつつあることは間違いないでしょう。

 35号の最後ではついに江比野が指宿くんが実は指宿ちゃんであることを知ってしまいましたが、これによって物語はこれから確実に大きく動き出すことになるでしょう。
 「幼馴染」というこれまでの自分への枷を外し、タロウへの想いに素直になることができた江比野さんに対し、未だにタロウに対してジェンダーを偽っている指宿くん。指宿くんも今のままではいられないことは確実の有様であり、いよいよ指宿くんがタロウの前で指宿ちゃんに戻れるかどうかが物語の焦点になる時がやってきたのかも知れません。これからの展開が本当に楽しみです。

 そして人吉君ですが、彼には着衣妄想フェチの達人として一目置いていただけに、今回のヘタレっぷりには心底ガッカリですよ(感想)。

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指宿の心理に大きな変化があった田舎編が収録されたコミックス8巻


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