デコがあんなに立派になって…(「アーティストアクロ」を読みながら)サンデー39号感想
結界師
「烏森には一人の人間が封印されている
」という衝撃の真実を明かしつつ奥久尼さんが成仏しちゃったの巻。おキヌちゃん以来の幽霊美少女レギュラーキャラになれる逸材だったのに残念です(まだ言うか)。「この世の謎を解いたところで私は満足できない
」と言って成仏した彼女ですが、個人的には何より奥久尼さんの頭巾の中身が謎だったので、せめてその謎を解いてから成仏して欲しかった所存です。
そして、おそらく良守も「烏森には一人の人間が封印されている」「自分はその力を自在に使うことができる」という事実を近いうちに知ることになるのでしょうが、その時に良守が如何なる選択をするのか注目です(ちょっとだけまともな感想書いた)。
MAJOR
清水のシャワーシーン! 彼女が珍しく正ヒロインっぽいことしてるよ!
でも体育会系大学生女子によるシャワーシーンって、少年誌的には割とマニアックですよね!(何)
アラタカンガタリ
物語内でフォーカスが当たれば当たるほどどんどん小物臭が漂ってくる門脇君でしたが、ついに彼も革と同じく異世界送りの刑に。
こちらの世界ではナイフ振り回して粋がってる彼ですが、ファンタジー世界ではナイフは武器的に一番弱い装備であり、与えるダメージもせいぜい1D4程度なので、1D8以上の攻撃力を持つ剣を持ってる上にアーマークラスも高い連中がゴロゴロしており、かつ「鞘」を持つキャラともなるとノータイムで高攻撃力の飛び道具を平気で繰り出して来るこの世界では、ナイフは武器として心許ないことこの上ありません。世界が違っちゃえば親が金持ちとか権力持ってるとか全然関係ないですし、これから門脇君はどうなっちゃうんでしょうか。
革ブッ殺すことだけが生き甲斐であろう彼は、これから同じく革をブッ殺していきたい十二神鞘側にいいように使われちゃうことが予想されます。権力側に立っていたはずの彼が権力に使われてしまうという皮肉。彼はこのままカンナギ様以上のヘタレキャラとなってしまうのか否か。門脇君の今後が心配です。でも個人的にはヘタレキャラが好きなのでむしろ期待。どんどんヘタレて下さい(ひどい)。
ハヤテのごとく!
波乱が予想されたディナーでしたが、ハヤテに告白したい一心で上滑りを繰り返すヒナギクのドジっぷりと、そのヒナギクの気持ちを全く察しないでただこの場をやり過ごすことだけに集中しているハヤテのボンクラっぷりが相まって、結局何も起こらずに終わりという形に収斂。ヒナギクの告白妄想は微笑ましかったですが、流石に今回はハヤテのあまりの「つつがなくやり過ごしてみせる」という強靱な意志がもどかしかったです。
ヒナギクはハヤテの苦境に対する力になれるだけの才覚や覚悟を持っている人物なのは間違いないので、ハヤテはヒナギクに素直に相談するべきだとは思うのですが、ハヤテは割と相談しないで抱え込むタイプだしなあ。この話はまだまだ長引きそう。
マギ
アリババとモルジアナは「アリババと四十人の盗賊」では主従の関係にあるキャラなので、この「マギ」においてもこの二人の間には何らかのフラグが立つのではないかと予想していましたが、立ったフラグは主従でも恋愛でもなく殺戮フラグでした。
アリババがモルジアナに対して言ってる「ここは迷宮。あんたが領主様から逃げたって、誰もとがめやしねーんだぜ
」という理屈はもっともなのですが、モルジアナはジャミルに心の底まで支配されてしまっている状態なので、もはやアリババが口説ける状態ではなさそうです。彼女の心を開くのはアラジンの役目になるのではないかと思われます。
ところでモルジアナは、やっぱりパンツ履いてないですよね?(感想)
ジオと黄金と禁じられた魔法
たまにサンデーを読むような人から「このマンガは何ですか。作者はどんな人なんですか。大丈夫なんですか?
」と必ず聞かれるこのマンガ。先週も聞かれました。
とりあえず作者は小学館の新人コミック大賞に受賞し、これまでに何度か読み切りを描いてるサンデーの秘蔵っ子で、ちゃんと読めばまあ割と大丈夫なマンガなので安心して下さい、とお答えしてます。
話の方は、何だかんだでジオは無事に王に認められ魔法使いの「認可証」を得て、正体がこの国の王子であったサザとも仲良くなり、ついでにジオの過去についてもとりあえず「何だか判らないけどとにかく凄い」ことが判ってきたりと、結構彼の旅は順調なんじゃね? みたいな感じに。やっぱり見た目が可愛くて素直な男の子はモテますよね。男に。
「ジオ禁」って、実は見た目がショタっぽいキャラが様々なタイプの男性を出会った端から籠絡していく様子を楽しむという、かつての「DAN DOH!」みたいな視点で読んだらより楽しくなるんじゃね? とか思いました。女性のレギュラーキャラがここまで全く出てきていないのも、その傾向に拍車をかけてます。こうなったら、もうこのまま男だらけのファンタジー世界を貫いて欲しいところです。
オニデレ
「お主が祖国へ帰りし時、誇りを持って家族に語れる、本当はそのようにあたたかく地なのだ
」
茨城と聞いて「納豆」と「鹿島アントラーズ」と「つくばエクスプレス」しか連想できない私には、まだ茨城愛が足りないと思いました。
あと、茨城王はただでさえ格好いいのにその上イケメンなのはずるいと思いました(狭い)。
月光条例
現代日本において「人魚姫」と来れば勿論アニメ版「うみものがたり」のエンディングが連想されますが、それはさておいて今回のエピソードは、原典の「人魚姫」を読んだときに誰もが感じるであろう「納得できなさ」に対して、ちょっとムーンストライクされちゃった藤田和日郎先生が勢いで改編してハッピーエンドにしてしまったものに違いないです。
ちなみに椎名先生がムーンストライクされて「人魚姫」をアレンジすると、「卵は産んだのでここでなさってください
」になります。基本的に、優れた漫画家は皆等しくムーンストライクされていると考えた方が良さそうです。正気にては大業ならず。
はじめてのあく
「血を吸うのが気持ち悪いから汗を舐めて代用する吸血鬼の幼女
」というアイデアを思いついた時点で、藤木先生の勝利は決まっていたエピソードでした。
あと、ルナが持って来た契約金を見てエーコとエーコ母が「これだけあればガリガリ君が毎日…!
」「おかず一品増やせちゃう!
」と感想を述べてましたが、こういうみみっちい感想が出てくるということは実はあんまり大した金額ではないのかも知れません。あるいは、エーコ達は大金を前にしてもこういう発想にしか至れないという庶民的なセンスの持ち主であるということなのか。
読み切り:八咫烏
「烏っちゅうのはの、死ぬ時にゃあ何も残さず死ぬんじゃ
」
我々がカラスの死体をあまり見かけないのは、単にカラスの巣が人里から離れた場所にあること、および野生生物が死ぬとすぐに小動物や昆虫に食べられてしまうことにより、結果的にカラスの死体を見る機会が少ないから――とマジレスすると「空気読め
」と言われてしまうので何も言いません(手遅れ)。
マンガとしては判りやすくて面白くてかつ格好いい、優れた娯楽作品という印象です。作者の小林裕和先生は作者紹介を読む限りまだ新人さんのようですが、これだけ綿密かつ迫力ある絵を描けるのは素直に凄いと感心。再登場に期待します。
クラブサンデーに掲載されている「D.O.U.M」も小林裕和先生の作品ですね。こちらも面白かったです。