サンデー 一覧

藤木先生ご帰還記念 サンデー48+49号「だめてらすさま。」感想

だめてらすさま。

 オレ、藤木俊先生がコミケで配布した同人誌「夏休みの友」を持ってるもんね!(古参アピール)

 かつて週刊少年サンデー誌上で「こわしや我聞」「はじめてのあく」を連載し、その独特のアクションとラブコメの絶妙のバランスの良さのテイスト、および女性キャラ達の可愛らしさから固定ファンも多い藤木俊先生が、久しぶりにサンデー本誌に復活。我々のような10年以上前からサンデー読んでるおっさん達はみんな大喜びしているものと思われます。

 藤木先生、3年くらい前に脳内出血が見つかって入院するなんてことがあって心配していたんですが、週刊連載に耐えられるだけの体調に復活されたようで、ホントに何よりでした。
 そういう意味でも、藤木先生の本誌復活はファンとして嬉しい出来事です。

 そして今回の「だめてらすさま。」なんですが、内容は本当にいつも通りの藤木俊先生の作品だったので安心しました。
 ヒロイン(多分)のアマテラス様は「最高神」という地位と実力を持っていながら、自ら全く働こうとしないというタイトル通りに人としてダメな神なんですが、藤木先生の作品の登場人物は基本的に大抵どっかしらダメなので、そういう意味においてもその伝統を正しく受け継いでいると言えます。
 また、ヒロインがスレンダーな貧乳キャラなのも、割と先生の作品の伝統です。ホント貧乳好きですよね先生(きめつけ)。

 藤木俊作品の伝統ということを考えると、今後は「我門」の桃子や「はじあく」のルナのようなロリっ子、および「はじあく」のエーコのような黒髪ロンゲ女子などが登場して来ることが予想されます。そうなってからが藤木俊作品としての本番なので、それらのキャラが登場するのを今から心待ちにしていきたい所存です。

 そしてこの話の大まかなストーリーは、様々なモノに宿っている八百万の国津神が全然働かなくなってなってしまったので、天津神が新たに人を神にする計画を立案した──という形になっており、「ニート」という言葉に象徴される昨今の「働かない若者」を揶揄する体裁を取っています。
 が、現実問題としては、薄給なのに多忙で劣悪な労働環境・職場に蔓延するパワハラやセクハラ・正規雇用への道が狭く不安定な非正規雇用に甘んじなければならない雇用情勢・将来への明るい展望が見えない社会情勢など、様々な社会的・経済的要因が重なった結果として働けなくなってしまったと言えるのであり、単に働かない者達を成敗したところで解決する問題ではないのは、既に皆様もご存知のとおりです。

 私の予想では、この「だめてらすさま。」という作品は、現代社会を舞台に「労働」をテーマに掲げている以上、サンデーを読んでいる若者たちに対して、斯様な情勢の中でどのようなスタンスで労働に向き合って生きていけば良いのか? ということについて、風刺を交えて考えさせられる作品になるはずです。多分
 今のところは、八百万の神々も、天津神たるアマテラスも、そしてアマテラスから神の力を頂いた主人公のコーヘイも、誰ひとりとして己に課せられた労働をあまりマトモにやってませんけど。でもテーマはあくまで「労働」ですよこの作品。多分

 まあ今のところの結論としては、働かなくて済むならそれが一番いいってことですかね…(おわり)

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「はじあく」最終巻は、今も時々読み返して幸せだったあの頃を思い出してます(←つらいの?)


連載終了残念記念 サンデー48号「なのは洋菓子店のいい仕事」雑感

なのは洋菓子店のいい仕事

 最終回。しばらく前から連載が終了することはアナウンスされていたとはいえ、実際に終わってみると寂しいですね。
 セージが「自分の人生は自分で切り開かなければならない」と覚悟を完了させて菓子職人への道を歩き始めた辺りからの展開は本当に面白かっただけに、彼のこれからの菓子職人としての栄光のモテモテ人生(多分)を見ることができないのは本当に残念です。

 このマンガ、前作「神のみぞ知るセカイ」程ではないにしてもそこそこ人気はあったと思いますし、「なのは洋菓子店」の歴史を巡る物語にしろ、セージを中心としたラブコメ的な展開にしろ、今後の展開を匂わせる様々な伏線が仕込まれていたので、連載を続けようと思えばまだまだ続けられたのでは? と思われます。
 作者の若木先生のブログなどを拝見している限りは「ねじの人々」の連載と並行して「なの菓子」を作るのは精神的にも肉体的にもしんどそうな様子が伺えたので、ここで連載が終わってしまうのもその辺の都合があったのかな? と思っていたのですが、若木先生のブログのこの記事によると連載終了の最大の理由は「なのなとねじの連載を続けると大赤字だったから」だった様ですね。世知辛いなー(´・ω・`)
 個人的には「なの菓子」は「BIRDMEN」や「湯神くん」のような月イチ連載化してもいいから続いて欲しかったのですが、それでもコスト的には見合わなそうなので致し方ないところです。

 作品としては、美少女がわんさか出てきた「神のみぞ知るセカイ」の若木先生の新連載というイメージ、および「洋菓子店が舞台の物語」から連想されるハートウォーミングな物語のイメージを意図的にぶち壊しにかかったであろう連載初期の展開がちょっと衝撃的過ぎて、良くも悪くもそこでこのマンガに対する印象が決まってしまったのが勿体なかったかなーとは思います。
 ただ、序盤でそれをやったからこそ、その印象を更に覆しに来たコミックス3巻以降の展開がとても面白くなったのも事実なので、難しいところではありますが。

 おそらくそう遠くない時期に再び若木先生の作品がサンデーで読めることになるとは思うので、その時を今から楽しみに待ちたいと思います。おつかれさまでした。

 ここだけの話ですが、「なの菓子」で一番好きな女子キャラは佐井でした(告白)。

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この作品はここら辺からが本番


新人作家大抜擢記念 サンデー47号「RYOKO」感想

RYOKO

 リィヨコォー!ウィーンズ!ファイターズヒストリーダイナマイトの勝利ナレーションっぽく挨拶)

 これがデビュー作となる、三ツ橋快人先生の新連載。「新世代サンデー賞」大賞受賞作にして、その受賞作を編集長の一存でそのまま連載作品にしてしまったという、色々な意味でダイナミズム溢れる作品です。
 『「新世代サンデー賞」史上初の大賞受賞作!』『新人賞の受賞作が、そのまま少年サンデー本誌にて連載!』『河合克敏、藤田和日郎以来の快挙!』『市原編集長が異例の大抜擢!』と様々な売り文句が並ぶ様からは、とにかくサンデー編集部はこの大型新人を力の限り積極的に売り込みたい! とにかく売り込んでいきたい! という並々ならぬ意気込みを感じさせるに十分ですね。

 市原氏が編集長に就いた時には「生え抜きの新人作家を育成して輩出する」ことに注力することを宣言していましたが、あれから一年が経過した今、いよいよその「育成した生え抜きの新人作家」が誌面を飾る時がやって来たということなのでしょう。宣伝に力を入れたくなるのも判るというものです。

 話の内容は、端的に言えば「食肉や野菜がモンスター化した世界で、セーラー服着て日本刀を持った女の子が食材を狩って食べるファンタジー」ということになるのですが、個人的な感想としては、まず何よりもその「セーラー服着て日本刀を持った女の子」である主人公の料子がものすごくカッコイイのが素晴らしいと思いました。刀を構えている姿、母の敵である牛に突進する姿、刀を振りぬいて一刀両断にする姿など、要所要所のカットがいちいち様になってて素敵です。
 あと、戦闘中にちらちらヘソやパンツを見せてるところもいいですよね。ヘソ見せはセーラー服戦士の醍醐味です。

 そして、そういった凛々しいフォルムで魅せる一方で、ところどころで料子がまだ歳相応の幼さを残した少女であることを示唆するようなカットもちゃんと入れているところも印象的です。
 「師匠抜きだと不安だよぉ」と不安げに呟いているコマや、その師匠に「甘い匂いするぞ」と言われて照れてるコマが代表的ですが、家族のために料理を作っている姿や、美味しそうに料理を食べる姿といった日常的なシーンに見せる表情などからも、彼女が「普通の女の子」としての一面もちゃんと持っていることを感じさせてくれます。

 そういう意味では、戦闘中に見せてるヘソやパンツからも、彼女の幼さや若さというものが醸しだされていると思うんですよね。年上の異性である師匠の前であんなに惜しみなくヘソ出しパンチラアクションができるのは、彼女の体や心がまだ未成就だから故だと思うんですよ。そう考えると、彼女のヘソ出しやパンチラにも単なるサービスカットを超えた必然性が生まれて来るんですよ。素晴らしいですね。

 全体的な感想としては、とにかく主人公の料子を魅力的に見せることに全力を注いでいる作品だと思いました。
 こういうキャラは個人的に大好きですので、今後の彼女の体を張った活躍に期待したいです。

週刊少年サンデー 2016年47号(2016年10月19日発売) [雑誌]

「RYOKO」は一話完結の読み切りマンガとしての完成度が非常に高いので面白いッスよ


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