感想 一覧

サンデー8号五月雨感想編

 時間ねえー(バナー略)
 そんなアレな状況なので、先週出たサンデー8号の感想をざっと書いておきます。

いつわりびと空

 二回程読み切りとして登場した経歴を持つこの作品が、ついに正式連載枠を獲得。頑張って欲しいですね。
 それでこのマンガ、表紙では「笑ってる糸目兄ちゃんと子狸」というハートフルかつ微笑ましいマンガのように思わせておいて、本編では血しぶき飛び交い子どもも大人も死にまくるブラッディきわまりない内容なのが凄いなと思いました。サンデー読んでてここまで心理的にキツいマンガを読んだのは、「マリンハンター」でシャークの恋人と妹が惨殺されるエピソード以来かも知れません。
 久しぶりに油断ならない連載が始まったなという印象です。

結界師

 おかっぱ予言者のサキ再登場。とてつもない重荷を背負っているにも関わらず毅然とした態度を崩さない気丈な彼女ですが、いつか任務から解放され、亡きかつての主人を想ってボロボロ泣くところを見てみたいです。絶対可愛いと思います(サド)。

神のみぞ知るセカイ

 桂馬苦境。発生している問題に対して適切なソリューションを見つけ出し、苦境を飄々と切り返すのが桂馬の主人公たる所以なのですが、今回はそれが裏目に出るという珍しい展開になってました。
 しかも、最期で桂馬が自ら「下手を売った」と判断した『お前の勝手な基準で人を見るんじゃない』という言葉が、実は長瀬先生に対して逆に効果を与えていたというのも面白いところ。これまでのパターンとは違った展開になりそうで楽しみ。

ハヤテのごとく!

 自分も機動戦艦ナデシコの魅力は、やっぱSF設定にあると思ってます。ルリルリ三部作最終話とかSF的にはベッタベタなネタなんだろうけどやっぱり泣かすよね!(←古いオタクはこれだから)

はじめてのあく

 はじあく男祭り開催。何だこれ(褒め言葉)。
 「ジローには恋愛感情という概念がない」というキャラクターのアドバンテージを活かしまくった話作りの旨さにメロメロです。あとジローがお耽美キャラに見えてしまう「キョーコビジョン」にもワロタ。妄想少女という設定は伊達じゃない。

アラタカンガタリ

 「それでも俺には大事な友達だったんだー!」に図らずもグッと来てしまいました。革はどこまでもこういう奴なのな。
 いつかこの想いが報われる日が来るんでしょうか。報われるまで相当酷い目に遭いそうな気がする(ひどい)。

金剛番長

 熱血系少年マンガにありがちな「無茶な特訓」そのものをギャグにしたエピソード。根性を論拠に無茶な展開を繰り広げる一方で、それをメタってギャグにすることも可能な「金剛番長」という作品の懐の広さを感じました。ホントこのマンガやりたい放題だよなあ。

アーティストアクロ

 瀕死のデコが色っぽすぎると思った(まちがい)。


絶対可憐チルドレン THE NOVELS感想

絶対可憐チルドレン・THE NOVELS~B.A.B.E.L.崩壊~ (ガガガ文庫 み 4-1)
三雲 岳斗
小学館
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 「絶対可憐チルドレン THE NOVELS」を読み終わりました。
 全体の感想としては、原作の持つフレーバーやテーマを上手く活かした上で小説オリジナルの要素を組み込むことに成功した、「絶チル」のノベライズとしての完成度が極めて高い小説だと思いました。要するに面白かったです。

 この小説が「絶チル」世界に持ち込んだ新しい概念は、基本的には以下の二点のみと言えます:

  • 気流を自在に操ることに特化したサイコキネシス能力を持つ謎の少女
  • 複数の予知能力者を集めて予知精度を上昇させるバベルの未来予知システムの概念を拡張した、複数の超能力者を集めることで超能力を増幅することができるシステム
  • (本当はもう一点あるのですが、終盤にならないと明らかにされない事なのでここでは割愛)

 今回の物語は、エスパーをノーマルの支配から独立させるという野望を持った男が、この二つを使って日本政府に対してテロを起こし、自分の野望を実現しようと画策する――というのが大まかな粗筋です。彼はこれらのリソースを使い、如何なる手段で政府と戦おうとするのか。そしてその脅威に対し、バベルは、そして皆本と「ザ・チルドレン」は如何に立ち向かうのか?
 登場人物や能力、装備などは、上記の要素以外はこれまで「絶チル」に出てきたものばかりです。皆本は限られた時間の中で、事件を解決するべく奮闘することとなります。

 この物語は、現実世界(この場合は「絶チル」の世界だけど)に最小限の「if」を持ち込み、それをギミックとして最大限に利用することでリアリティのあるストーリーを展開させる――という、実にハードSFチックな作品だなという印象を受けました。
 作者の三雲岳斗先生は後書きで『「絶対可憐チルドレン」という作品が本来持っている骨太な世界観や、その他の多様な魅力が感じられるような作品を目指してみました』と書かれていますが、読んでいても「絶チル」本来の世界観を極力活かしたリアルな物語を作ろうといることが伝わって来ます。
 実際、チルドレンと皆本のエロトークを含んだ会話も読んでいても、全く不自然さや違和感はありません。如何にも彼らならこういうやり取りするよなあ、と読みながら感心させられること請け合いです。

 あとこの話、後半になるとチルドレン達と対超能力装備を固めた謎の敵との戦闘シーンがメインになるのですが、これがかなり激しいというか容赦ないというか、敵が本気でチルドレン達を殺しにかかって来るのも特徴の一つかと思われます。物語に登場する対超能力装備は、基本的にはやはり全てマンガの中で出てきたものの応用であり、これもまた作品のリアリティを高める効果を生んでいます。
 このおかげで、かなり物語に緊迫感が出てます。一つ間違えればホントにチルドレン死んじゃう! みたいな危機感を、年甲斐もなく味わうことができました。

 そして物語の鍵を握る謎のサイコキネシス少女についてですが、(椎名先生のイラストから想像できるとは思いますが)端的に言えばそういうのが大好きなお兄さん達のハートを鷲づかみにする系の口調と性格を兼ね備えた期待通りの薄幸の美少女ですので、みんな大喜びして読むがいいです。

 総じて「絶対可憐チルドレン」のノベライズとして極めてよくできた小説だと思いますので、原作ファンの方ならぜひご一読を。
 アニメから入った人は、コミックスを(できれば11巻まで)読んでから読んだ方がより楽しめると思います。


澪のツンデレはもはや熟練の域だと思ったサンデー24号絶チル感想

 今更になりますが、サンデー24号の絶チル感想です。

 まずフェチ要素の確認から。パティの黒いストッキングが破けている様がいいです。椎名高志作品における破れストッキング描写というと、「GS美神極楽大作戦!!」コミックス9巻の横島君の妄想に出てくる美神令子のストッキングの破れが思い出されますが、それと比べると破れ描写技術が大きく向上しているのが伺えて嬉しいです。
 しかも、今度の場合は破れ対象がまだ少女であり、かつストッキングが黒いので、よりフェティシズムを刺激するっつうか、端的に言ってエロいですよね。ですよね(連呼)。このご時世にこんな描写にゴーサインを出した編集の人は度胸があるなあと思いました。パティに黒いストッキングを履かせたのは、これがやりたかったためなのな!(決めつける)

 今回の話で、黒パンスト属性に目覚めた子は必ず居ます。五人はいます。よくやった。

 バレットやティムはバベルに保護された結果立派なオタクに更正しましたが、パンドラに保護されたパティはこれからどうなるんでしょうか。ブラックファントムから課せられた使命である「チルドレンの監視」を無意識に実行する薫のストーカーになるのか、それとも真木×兵部に萌えちゃう立派なオタクになるのか。何にしろ幸せになって欲しいです。

 そしてそれ以外の点についてですが、今回(というか「ファントム・メナス」編全体)のメインテーマは、兵部が澪に語った「いつか君たちが手を差し出した時、自分でもよく判らない理由で彼女は拒絶できない。何故なら、それは彼女が幼い頃たったひとつ餓えていたものだからね」という台詞に集約されていると感じました。今回のサブタイトルが「ファントム・メナス」である所以がここでしょう。

 この台詞で個人的に気になったのは、兵部があまりに過去に拘りすぎていると思われること。
 実際、兵部自身や「パンドラ」の構成員達は過去に満たされなかった想いがあるが故に仲間となった訳ですし、伊号の未来予知も兵部の予測の正確さを裏付けているので結局このマンガはそのようになるんでしょうけど、人の未来の行動はそこまで過去に束縛されるものなんだろうか? とも思ってしまいました。

 もし薫がパンドラと組む理由が幼少時の愛情の欠如に起因するものであったとすれば、まだ現在の段階ではこの未来を回避できるんじゃないかという気がします。それこそが、このマンガの今後の大きなテーマの一つになるのではないのでしょうか。
 っていうか、まさにこれこそが “We can try over the future world“! ”We can try over the future world” なんですよ! 略すると「わー」ですよ! わー!

 ただ、この未来を回避するためには、今回の最後で薫の「甘え」を冗談だと思って軽く流した皆本のボンクラっぷりを何とかしないといかんですね。
 そういう意味では、やはり不二子ちゃんの取る「皆本とチルドレンをデキさせる。そのためには手段は問わない」という戦略は大筋では正しいのかも。やり方はかなり間違っている気がしますが。


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