サンデー 一覧

そばにいられればそれでよかった サンデー10号「舞妓さんちのまかないさん」感想

舞妓さんちのまかないさん

 主人公のキヨが何故舞妓の屋形でまかないさんとして働いているのかという過去を描いた話でした。端的に言えば、彼女は「舞妓に憧れてはいたけど、舞妓になりたかった訳ではなく、舞妓の側にいられればただそれで良かった自分に気が付いた」ということになるんでしょうか。

 今のキヨは舞妓さんの側でまかないさん役に徹しているだけで幸せそうなのでそれでいいとは思いますが、いつまでも彼女がこの場所で料理を作り続けることができるのか、そしてこの場所に留まり続けることが彼女にとってベストなのかどうかは、多分まだ判りません。

 これが並の少年マンガや少女マンガだったら、ここから彼女の運命が大きく変わって再び舞妓への道を歩むとか、本格的に料理人への道を志すようになる的なドラマが起こること必至なんですけど、でも多分これはそういうマンガではないので、しばらくはこのまま特に大きなドラマもなく、彼女は彼女が自分で決めた居場所で、大好きな舞妓さん達のために穏やかに働き続けることになるんじゃないんでしょうか。

 劇的なことが起こらず、ただ日常だけが続いていくマンガが少年誌に載ってるというのは、ホントにすごいことだと思います。「舞妓さんちのまかないさん」は、サンデーが大きく変わったことを象徴するような作品になるのかも知れませんね。

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「ちろり」も一度ちゃんと通して読んでみたいです


やればできる最高神、てらす様。 サンデー10号 「だめてらすさま。」感想

だめてらすさま。

 藤木俊先生お得意のドタバタ学園コメディ展開の回。アマテラス様の学生服姿も可愛かったし、新聞部の天城のトラブルメーカーっぷりも冴えてたし、国津神の百足のおっさん臭いエロさや男子学生共のボンクラっぷりも楽しかったし、そして散々ドタバタしつつもラストはきっちりと爽やかな青春ドラマとして落としてたし、最初から最後までちょう面白かったです。
 藤木先生がサンデーに帰ってくるからには、やっぱりこういう話が読みたかったんだよ! って感覚が具体化したようなエピソードでした。先生ありがとう!

 今回の白眉は、一日だけの学園生活を満喫したアマテラスが「悪くなかったかな!」と笑顔で言うところです。彼女がこんな表情したの、この話が初めてだったんじゃないんでしょうか。彼女もやればできる最高神なんですね。
 やればできる神様なのに、結局は最後に引きこもりに戻って色々と台無しになってるところも含めて、さすがてらす様だと思いました。やっぱりこのマンガ面白いです。

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「だめてらすさま。」1巻は3月発売らしいですよ


魔王様=この世界のゲームマスター説 サンデー9号 「魔王城でおやすみ」感想

魔王城でおやすみ

 このマンガの魔王様は、典型的なRPGの「姫さまをさらった悪い奴らの親玉」というよりは、「人間の勇者がプレイしている『姫さまをさらった魔王を倒す』ゲームを遂行するため、魔王役をやりながらゲーム進行を管理している(TRPGで言うところの)ゲームマスター」の立場に近い描写がなされているように思えます。
 この世界そのものがゲームであり、魔王様がゲームの進行を司るマスターである以上、彼には自分が用意したシナリオの筋書きに沿ってゲームを進行させつつ、勇者であるプレイヤーを楽しませなければならない義務があります。

 彼が姫様をさらったのは、勿論勇者であるプレイヤーを冒険の旅に出させる目的を作るためだったと思うのですが、彼にとって災難だったのはその姫様がただのおとなしい姫様ではなく、よりによって傍若無人な(略)。彼がゲームマスターとして練り上げた崇高なシナリオは、そのシナリオの冒頭でさらって来た姫様の手により、完膚なきまでに破壊されてしまったのです。

 今回の冒頭で『十傑集であるサンドドラゴンが勇者にやられた』との報告を聞いた魔王様が「勇者め…やられるばかりではないということか…面白い!」と魔王らしいことを言いつつ嬉しそうな表情をしているように見えましたが、あれは多分「姫様に邪魔されてシナリオ進行が滞っていたけど、やっと彼らを前に進めることができた」という、運営側の立場からの安堵から来るものであったに違いありません。おつかれさまです

 今回はその「十傑集」メンバーが初登場した他、魔王様がゲームシナリオ進行の気苦労でぶっ倒れた時に「父上」と叫ぶなど、魔界の側の設定に深みを与える描写が見られました。この作品も、いよいよ本格的な長期連載を睨んだ布陣を敷きつつあると考えて差し支えないのではないのでしょうか。
 連載が長期化するということは、スヤリス姫の乱暴狼藉も長期化するということであり、魔王様の気苦労もまた長期化することを意味しています。はたして魔王様は、スヤリス姫という最大の不確定要素を抱えたまま無事ゲームマスターとしての使命を果たし、「魔王」としての大役を演じきることができるのか。魔王として勇者に倒されるのが先か、スヤリス姫が与えるストレスにやられて過労で倒れるのが先か。
 こんな大変そうな魔王が出てくるファンタジーマンガは、珍しいのではないかと思います。

 でも、スヤリス姫に「いいこいいこ」されて照れてしまう魔王様はちょう可愛かったです(感想)。
 魔王様は彼女をお妃様にすればいいんじゃないかな?

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2巻でも既に魔王様の純情な一面が見られます


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