サンデー 一覧

論旨:高橋留美子先生が「バブみ」の境地に挑んだ意欲作 サンデー12号「境界のRINNE」感想

境界のRINNE

 謎の失踪を遂げていた主人公の母親が、変わり果てた姿でついに主人公の前に姿を表し、秘められた謎について語り始める──という、作品によっては最終回間近にならないと出てこないようなストーリー上における最重要級な謎を、「母親は既に近所の幼女に転生していた」「しかも母はとんでもないホラ吹きだった」ってネタに落としてしまう、大らかというか大胆というか「え? こんなオチでいいの?」ってこちらが戸惑ってしまうくらいの投げ出し感が、色々な意味で凄いなと思いました(ほめてます)。

 あとこの「幼女の中身が母親」であるというところから感じる彼女独特の貫禄は、世間で言うところの「バブみ」に相当するものではないか? とも思ったのですが、何か微妙にこの事例はバブみとは前線違うような気もします。この幼女に対して、りんねや鯖人がいわゆるバブみを持つ女性に対する典型的な反応(例:シャアのララァに対する「私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!」的な昂ぶるアレ)をしておらず、母や妻に対する普通の反応をしているからなんでしょうか。

 「バブみ」という概念は、母性を与える側と受ける側の双方の協力がないと成立しないものなのかもしれません。概念って難しいですね。おわり(何この文章)。

境界のRINNE 28 (少年サンデーコミックス)
高橋 留美子
小学館 (2015-12-18)
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アニメ版は独特のリズム感にようやく慣れて来ました


論旨:ほたるは性と無垢の象徴 サンデー12号「だがしかし」感想

だがしかし

 ほたるさんはそのデザイン全てがエロスであるが故に、彼女がこの作品におけるココノツから観た「性の象徴」であることは間違いありませんが、そんな彼女に決してパンチラはしない・させないところが、「だがしかし」の作品世界を健全なものにしているんだなと改めて思いました。

 即ちこのマンガにおいて、彼女のパンツは決して登場してはならないのです。もしパンツが見えてしまったのなら、性と無垢の間の絶妙なバランスで成り立っていたこの作品における健全性は失われ、ただほたるのパンツを読者が期待してしまうお色気作品に変化してしまうことは必至。
 故に、「だがしかし」が今の「だがしかし」であり続けるために、ほたるのパンツは聖域として位置付けられているのです。

 まあでも、彼女はマンガの中で全裸を晒したことはあるんですけど、基本的に無垢が故に性に対する恥じらいというものがない彼女の場合、全裸を晒してもエロくなるどころかむしろギャグマンガ的な面白さを帯びてしまうところが、またマンガのキャラクターとして素晴らしいと思っています。
 パンツは聖域だけど生尻は晒せる、この微妙なバランスがほたるというキャラの奥深いところだよなーと改めて思いました。

 でも、パンスト越しのパンチラっていいですよね(だいなし)。

だがしかし(1) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2014-12-08)
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ほたるの貴重な脱衣シーンはコミックス1巻に収録


アニメ化決定記念・サンデー11号「競女!!!!!!!!」感想

競女!!!!!!!!

 祝・アニメ化決定!
 正気ですか!(←喜んでます)

 Webサンデーの記事では『「競女」とは、水着の女子選手同士がお尻や胸を使って闘う水上競技♥』とか可愛いことが書いてありますが、その実態は製作者側が若い女性の乳と尻に対する想像力を極限まで高めた結果繰り出される、乳や尻を用いた常識を著しく逸する必殺技が飛び交う新世代超能力バトルマンガであり、

  • 尻をものすごい勢いで振るう「旋風尻」!
  • 乳首に相手の水着の紐を引っ掛けてからの背負投げを敢行する「乳首一本背負い」!
  • おっぱいを自ら捻ってその反動力で攻撃する「パイ・パイル・パイパー」!
  • 一つの水着に二人をねじ込んで着用することで一心同体化する「ヒップップ・トレイン」!

 など、読者を色々な意味で呆然とさせる技が毎回繰り出される作品であることは、熱心なサンデー読者の皆さまであれば既にご存知かと思います。

 勿論、このマンガは単なる女体を題材にした超能力バトルだけが見所という訳ではなく、あくまで基本は努力・友情・勝利の少年マンガにおける三大要素を余すことなく搭載した少年マンガであり、そして現実社会のボートレース界を連想させる勝負師達の厳しい社会の中で成功を目指す少女達の生き様を描く職業マンガの側面をも持ち合わせています。
 一見すると「珍妙なお色気バトルマンガ」としか見えないこの作品ですが、実はかなり骨太なテーマを背負っているのです。本当です(強調)。

 そのアレっぷりでこれまで我々全国40万のサンデー読者を楽しませてくれたこの作品ですが、アニメ化されることで「競女!」が今以上にメジャーな存在となり、この作品の面白さや楽しさがより世間に共有されることを、私としては願ってなりません。「競女!」は読む人を幸せにできる作品です。

 そして今回の「競女!」ですが、かつて競女界の頂点に君臨する「五尻」達に対抗しようとして一度は夢破れたドン小杉が、今まさに「五尻」に対抗するための力を渇望して戦いに挑んでいる主人公ののぞみに敗れたものの、その戦いはドン小杉にかつての栄光と希望を再び与えることとなった──という美しい物語が展開されており、「アニメ化決定!」の報を知って初めてこのマンガに触れた方にとっても、「競女!」が極めて真っ当な少年誌的バトルマンガであることは判っていただけたのではないかと思いました。

 バトルシーンで乳を自在に伸ばしたり捻ったり鈍器化させたりドリル化したりしていたのは「真っ当な少年誌的バトルマンガ」としてどうなのよ? という意見も勿論あるかとは思いますが、しかしそういった表現ができるからこその「競女!」であり、エクストリームな乳尻表現はこのマンガを構成する大切な要素の一つであることはぜひ納得していただきたいというか、納得できなくてもこれはそういう世界を描いたエクストリームなマンガであることは理解した上、無理やり飲み込んで下さい。
 「競女!」を読む際は、オタクの美徳の一つである「考えるな、感じるんだ!」「こまけぇこたぁいいんだよ!!」の精神を発揮して臨んでいただきたい所存です(←「競女!」の魅力を伝える説得力のある文章を書くことを放棄した結論)。


競女!!!!!!!!(9) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2015-12-18)
売り上げランキング: 10,488

10巻は2/18発売


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