銀の匙
サンデー春期大攻勢の最期を飾る、みんな大好き「鋼の錬金術師」の荒川弘先生の新連載がついに開始。ガンガン系作家のサンデー移籍については「マギ」の大高忍先生の前例はあるものの、荒川弘先生というビッグネームを引っ張って来たことについては、素直にビックリせざるを得ません。現在のサンデーは発行部数の面で苦境に立たされているのは皆さんご存知のとおりですが、荒川先生の登板によってとにかくサンデーが本気で変わろうとしているのをアピールすることには成功したのではないのでしょうか。
後は、「『銀の匙』のコミックスは売れたけど、サンデー本誌は売れませんでした\(^o^)/
」というマンガ業界にありがちなことにならなければいいんですけどね(ドクロ)。
それで連載の方は、まだ第一話ということもあって内容は舞台設定とメインキャラクターの紹介がメインでしたが、農業高校という場所の独特さ、個性的な同級生たち、そして主人公のメガネ(八軒勇吾)の性格や現在抱えている悩みなどが過不足なくかつ判りやすく描かれており、ここからいくらでも面白いエピソードが生み出されそうな雰囲気がビシビシします(変な表現)。
『銀の匙』はこれからのサンデーを代表する息の長い作品となることは間違いないと思われますので、これからじっくり楽しまさせていただくことにします。人生の楽しみが一つ増えた気分ですね。いやマジで。
BUYUDEN
「しまった…ついうっかり美少女フィギュアを作ってしまった…
これが恋わずらいってやつか…
」
こんなやっかいな恋わずらいは前代未聞だと思います。
話としては、ついに主人公の武君が(萌花にモテるために)ボクシングを始めたけど、萌花からは「無理してるのバレバレやで
」と一発で見透かされて台無しになったでござるの巻でした。「彼女に対していい格好をしようと取り繕っている間は、絶対に彼女からモテない」という展開はラブコメからエロマンガに到るあらゆる物語に適応されるセオリーであり、この「BUYUDEN」もまた例外ではなかった模様です。
武君はこれまで格闘技をやったことが全くないので、形だけ真似たところで「無理してる」と言われてしまうのは致し方ありませんが、しかし問題はこのマンガがあくまでボクシングマンガであること。このままでは女子ボクサーとして天性の才能を持つ萌花の活躍(=ストリートファイト)を武君がハァハァしながら見守りつつ彼女の美少女フィギュアを造るという、新感覚ボクシングマンガになってしまいかねません。
萌花に対して見栄でボクシングをするのではなく、彼自身が本当にボクシングをやりたいと思う時がいつか来るといいんですけどね。おわり(終わりません)。
ポケットモンスターReBURST
でんきタイプの技はじめんタイプのポケモンには効かない、というポケモン世界における普遍的な問題をバースト戦士は如何にして乗り越えるのかが着目点であった今回のバトルは、「他のポケモンの力を借りつつアイデアで勝負する」という、少年マンガの基本である努力・友情・勝利に沿う形で解決に至りました。ポケモンと少年マンガが融合した真意がここに!(おおげさ)
あと個人的には、リョウガに倒された性格の悪そうなドリュウズの戦士が「さすが本物のBURST戦士…やるじゃねえか…
」とリョウガを褒めてたのが印象的でした。何か妙に清々しい男になってますよ彼。死ぬ前にいい奴になるパターン?
はじめてのあく
真のヒーローはピンチの時に高い所から現れるのは「人造人間キカイダー」の時代からのお約束ですが、今回はサブローのピンチに颯爽と何者かがちょっと高いところから登場してワンパンチで老人マッチョを撃破したという話でした。
今回のポイントは、サブローはその何者かを見て「にいさん
」とは言ってるけど、それが(修行のためバトルに遅れている)ジローであるとはどこにも描かれていない点です。もしかしたらこの人物は、まだ物語では語られていないけど「サブロー」「ジロー」という命名規約の法則からしておそらく存在しているのであろうと思われている、まるで天王星の発見後にその摂動から存在を予測されていた海王星のような存在である「イチロー」兄さんなのかも知れません。勿論、普通にジローである可能性もありますが。
斯様なテクニックは、ミステリーの世界では『叙情トリック』と呼ばれている手法に相当します。ついに藤木先生も叙情トリックなんて高尚な技を使えるくらいに成長したのか…(えらそう)
神のみぞ知るセカイ
意表を突くエルシィ×ちひろ回でした。
ちひろは基本的に(桂馬による攻略後は特に)「攻め」キャラだと思うのですが、「受け」に回ると途端に可愛くなりますね。そして今回は、その可愛らしさを引き出すエルシィの鬼のような天然攻めっぷりが見事でした。このカップリングも意外にイケるのではないかと思います。
おすもじっ!
「おすもじっ!」とは、寿司屋の若き大将にして天性の誘い受けキャラでもある司が発する無意識な誘惑の数々を、その弟子の寿が一生懸命我慢するというときめき性倒錯寿司コメディなのである! ということがよく判るエピソードでした。
風邪引いて寿の前で倒れて色っぽくハァハァする司の天然っぷりも、そんな司の髪に思わず花を添えてしまう寿の狼狽っぷりも、どっちも愛しいです。何かこのマンガ好きになれそう。性倒錯コメディとして。
マグロの漬け丼は私も大好きです(料理漫画的なフォロー)。
ランウェイをプロデュース!
連載第六話にして、いつの間にか主人公の大和が周囲の人々から慕われるビッグな男になっててビックリしました。何というスピード出世。
あと、今回のエピソードで大和のライバルになるプロデューサー・周藤が、「世界的ビッグプロデューサー・周藤あまねだ
」と自己紹介しているのが、なんか妙に面白かったです。自分のことを臆することなく「ビッグ」と称するマンガというとまずヤンキーマンガが思い浮かびますが、実はこの作品もヤンキー的な価値観に支配されたヤンキーマンガとして読むべきなのかも?(ホントか)
結界師
ついに最終回。最終回にも関わらず、今回目立っていたのは主に正守と無道のおっさんコンビでした。正守は正確にはおっさんではありませんが、彼を「おっさん」と称しても全く問題ないのは皆様も判っていただけると思います。今回も「まさかのフレッシュ担当
」とか書かれていたところからすると、多分作者の田辺イエロウ先生も彼をおっさんとして扱っていたことは明らかでしょう。
あと今回では、繁守が時子と和解している描写があったのが個人的に嬉しかったです。繁守じいさんの時子に対する長年の想いがようやく報われる時が来たかと思うと感慨深いですね。
以上のことからも判るように、田辺先生はおっさんやじいさんキャラが大好きな漫画家なので、おそらく次回作は主人公がおっさんとなる可能性が高いものと予想していますが(勝手に)、個人的にはぜひ一度、読み切りで良いので美少女わんさかコメディーを描いて頂きたいです。私は、田辺先生が本気で読者を萌えさせる気概を込めた、萌えっ萌えな女子キャラを、一度でいいから見てみたいのです!
長い間連載おつかれさまでした(フォロー)。