鬼ヲ辿リテ幾星霜 一覧

少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(前半)

論旨

 先週号より、ついに週刊少年サンデーが電子書籍化され、Amazon等の各種電子書籍販売サイトで購入できるようになりました。

 ジャンプ・マガジン・チャンピオンのライバル週刊少年マンガ各誌が先行して電子書籍化されてスマートフォンで読めるようになり、また同じくスマートフォンでマンガを読むことに特化したいわゆるマンガアプリがマンガ業界で存在感を伸ばす中、唯一電書化されないサンデーは「電子書籍化に乗り遅れている小学館」を象徴する存在となっていたと言わざるを得ませんでした。
 が、これでサンデーや小学館もようやく競合他社と同じ土俵に立つことができたと言えましょう。

 そしてサンデーの電子書籍化を記念する形で、8/9までの間、先々週号となるサンデー32号を無料で入手することができるキャンペーンが実施中です。せっかくタダでサンデーが読めるんですから、一応サンデーのファンサイトという形態になっている当サイトとしては、この機会にサンデーを読んで欲しいところではあります。

 サンデーは昨年の夏に編集体制に大鉈を振るう大改革を実施したことはまだ記憶に残っている方も多いとは思いますが、この電子書籍版サンデーは、実際に「大鉈が振るわれた後」の新しいサンデーをじっくり読めるチャンスです。しかもタダで。
 という訳で、昨年夏以降に連載が開始された作品の簡単な紹介記事を作成してみました。ご参考になさって下さい(引用文はサンデーのサイトより)。タイトルの順番は32号の掲載順です。

鬼ヲ辿リテ幾星霜/兎中信志

大昔、大陸には国を殺す妖怪「西神鬼」がいた。最強最悪のその妖怪は、一人の道士に一度殺されかけたが、体を千に散らばせ逃げおおせた。その時の道士は転生の術を使って幾度も生まれ変わり、今でも西神鬼を追っている…それが、少年・アキである。
 時は明治、舞台は横浜。道士・アキは西神鬼の体の一部が取り憑いた化け物を追い、ひたすら倒しまくる!! 宿命の妖鬼殲滅活劇!!

 主人公は太古の昔から転生を繰り返しながら「西神鬼」と戦い続けている道士の魂を持った少年、というタイムスケールの大きさが設定上の特徴ですが、個人的には何よりこのマンガを特徴づけているのは、良くも悪くもこれまでのサンデーっぽくない個性的な絵柄や雰囲気だと思っています。このマンガに出てくるのは基本的に男と妖怪だけです。

 作者の兎中信志先生は、以前は講談社の少年ライバルで「弟キャッチャー俺ピッチャーで!」を連載、その後サンデーSでの読み切り掲載を経てサンデー本誌で連載を開始したという経歴を持ちます。
 「生え抜きの新人作家を育成して輩出する」という現編集部の方針の下で、講談社のマンガ雑誌での連載キャリアを持ちながらも小学館のマンガ雑誌での再スタートを選択した作者が、今後どんな作品を描いていくのか? という意味で興味深い作品です。

天野めぐみはスキだらけ!/ねこぐち

これは、中学校で疎遠になるも同じ高校に進学し再び距離を縮めた、凸凹で真逆な幼なじみの二人──東大を目指すガリ勉スリム・学と、剣道に励む体育会系ぷに子・めぐみ──の、微笑ましくもドキドキな日々の物語である。

 端的に言えば、好意を持っている幼馴染の男子の前で油断してうっかりパンチラとかをしてしまう、いろいろな意味で隙が多い少女・天野めぐみの姿を、「尊い…」と呟きながら眺める作品です。
 いわゆる「ちょっとエッチなラブコメマンガ」として面白いという以上に、天野めぐみの健康的なむちぷにな肢体、そして彼女と学の間の青春時代特有の微妙な距離感が醸し出す初々しい雰囲気に対して「ありがとうございます…本当にありがとうございます…」と感謝の念を込めてしまうこと請け合い。私は毎回拝んでます。

 この作品、おそらくそう遠くないうちにアニメ化されるに違いない! と勝手に信じています。ぜひこの作品の名前を覚えてからお帰り下さい。

あおざくら 防衛大学校物語/二階堂ヒカル

勉強好きの近藤勇美は、食堂を営む実家が再開発で潰れることになり、学費無料で給料をもらえる防衛大学校に進学することを決意し、見事合格する。
 幹部自衛官を養成する機関・防衛大学校を舞台に繰り広げられる、疾風怒濤の青春物語!!

 サンデー往年の名作「め組の大吾」や「モンキーターン」と同系統の、独自性のある職業の世界をマンガ化した作品として分類されるであろうこのマンガですが、作品の舞台として「幹部自衛官を養成する防衛大学校」を選んだところが今っぽいです。
 『極限状態で花開く若者たちによる青春群像』と書けば聞こえは良いのですが、まあ舞台が舞台なだけあって基本的な物語の構成は「先輩が何かと押し付けて来る理不尽な問題に主人公たちが翻弄される」という体育会系(というか文字通りの軍隊系)のノリであり、読者層が非体育会のボンクラに偏っていて体育会系に強い嫌悪感を持っているに違いない少年サンデーのイメージ(あくまでイメージです)とは異なっているのが興味深いです。
 そういった意味では、現在のサンデーの「攻めの姿勢」を象徴している作品の一つと言えるのかも知れません。

魔王城でおやすみ/熊之股鍵次

かつて、人と魔が存在していた時代。その安定を乱す魔王が人間の姫をさらい、自らの城に幽閉した。「返してほしくばこの世の支配を全て魔の物に引き渡せ!」と……
 人々は怒り、勇者は姫を救うために旅立った!! 魔が棲まう城で姫は泣き、絶望し、助けを待つ…はずだった。…が!?
 暇を持て余したスヤリス姫が、安眠を求めて魔王城で好き放題! 新感覚、睡眠ショートコメディ―♥

 古典的なドラクエタイプのコンピュータRPGのパロディ的な雰囲気の世界を舞台にしたファンタジーといった趣きのある作品ですが、本来であれば「勇者に助けられるのを待っている姫君」役であるスヤリス姫が「魔王城で安眠したい」以外のこと(例:魔王の城から脱出する)を全く考えておらず、自分の安眠のためなら魔物相手にあらゆる乱暴狼藉を何も考えずに実行してしまう姫さまのアレな様子を楽しむのがこの作品の基本コンセプトです。姫様に萌えられれば勝ち。

 最近始まったサンデーうぇぶりでも掲載されるなど、着実に人気が出てきているように思われます。本編を読んで面白いと思ったらぜひサンデーうぇぶりでチェックを。多分そのうちアニメ化されます(願望)。

双亡亭壊すべし/藤田和日郎

東京・沼半井町に佇む屋敷「双亡亭」は大正時代より存在し、有名な幽霊屋敷として噂されていた。近隣に住む凧葉 務は、「双亡亭」に引っ越してきた少年・緑朗と仲良くなるが、緑朗はその家で父を亡くしてしまう。そんな時総理が、因縁深い[双亡亭」へ異例の空爆を指示。しかし屋敷は自衛隊の空爆を受けても傷一つ負わなかった… その直後、45年前の行方不明機が突如飛来し、中には一人の生存者・凧葉青一が乗っていた。務の親戚と思われる名の不思議な少年は、緑朗同様に双亡亭を憎んでいるが…
 謎に満ちた奇妙な屋敷「双亡亭」… 叫ぶ声も亡失する、戦慄のスペクタクル・モダン・ホラー!!

 現少年サンデー編集長がサンデー復帰を強く願い出たと言われる、藤田和日郎先生の最新作。コミックス1巻が7/12に発売され、COMIC JINにおける週刊コミックランキングで首位になるなど、既に人気を博している模様です。

 既にメジャーな作品なので特にここで述べる必要もないと思うのですが、連載の方はいよいよ主人公たちを含めた変な能力者達が集まって双亡亭に乗り込む展開になって来ており、かなり盛り上がって来ている感があります。
 能力者達はみんな個性的でキャラが立ってるので彼らが喋るだけで楽しいんですけど、何か最終的には主人公チーム以外みんな死んじゃいそうな予感がヒシヒシとするところが特に良いです(良いのか)。

週刊少年サンデー【期間限定無料配信】 2016年32号(2016年7月6日発売) [雑誌]

この機関限定版、期間が過ぎたら読めなくなっちゃう仕掛けが付いてるのかしら


コミュ症です。(挨拶) サンデー26号感想

肉球ステッキ
鬼ヲ辿リテ幾星霜

 新連載。作者の兎中信志先生は、かつて(今はなき)月刊少年ライバルで『弟キャッチャー俺ピッチャーで!』を連載していた経歴を持ちます。ライバルからサンデーに移籍って何か劇的(イメージ的に)。

 ストーリーは、明治時代を舞台に大陸から渡って来た妖怪と時空を超えたバトルを展開するダークファンタジーといった趣で、少年マンガとしては割とオーソドックスな作品という印象なのですが、主人公のアキ少年の使う武器が猫の手が先にくっついた肉球ステッキであるという点だけが異彩を放っています。
 猫のぷにぷにした肉球ステッキが伸びてカウンターパンチを食らわせて敵を倒すというビジュアルはある意味圧倒的で、これがやりたいがためにあえて主人公の武器を猫の手にしたのではと訝しんでいるところです。

 おそらく今後も、肉球ステッキのような奇妙なアイテムがいくつも出てくるんじゃないかと思われるので、今後も圧倒的なビジュアルの威力で「何故猫の肉球をわざわざ武器に?」的な無粋なツッコミを粉砕して頂きたいと思います。

古見さんはコミュ症です。

 早くも幼馴染属性の長名さんが登場。名前だけ見た時は「誰に対してもギャルゲーの幼馴染キャラ的な雰囲気で接してくる女子なんだろうか」と予想していたのですが、その実態は「過去に一度でも接触した人間全てを『幼馴染』にしてしまう、脅威のコミュ力を持ったコミュニケーションモンスター。しかも女装癖ありというか、そもそも性別が不明」という、こちらの想像の遥か上を行くおかしいキャラでした。
 ただ、あまりに幼馴染の定義が緩く友達が多いためか、後半ではその幼馴染属性っぷりに一方的に惚れてしまった面倒くさい元同級生に性的に襲いかかられる始末。これは交友関係をむやみに広く持ちすぎるがゆえのリスクだと言えます。長名さんは、おそらく古見さんとは違うタイプのコミュ障なのではないか? と思えてくるほどです。

 何にしろ、このマンガは(視点キャラの只野くん以外は)基本的に本来ならカウンセリングを必要とするレベルにキャラが立ってる変な人揃いである、という認識を新たにさせられました。エクストリームでいいと思います。

 長名さんと友達になれて嬉しがってジャンプした古見さんがカワイイですね(結論)。

なのは洋菓子店のいい仕事

 今回の「なの菓子」は、ついにセージが「菓子を作る側の人間」に回る覚悟を決めた回として記憶されることになるでしょう。

 これまでも、佐井の危機を菓子を作ることで救って「君は菓子を作る側の人間だ」的なことを言われたり、文化祭で廉価で美味いホットケーキを作ったり、「本当の菓子屋」であるしらかわの日常に触れて自分の店の菓子屋としての至らなさを知ったりと、彼が菓子職人へ進む道を示唆する描写はあったのですが、今回のエピソードによって、セージは「自分が一人で生きていくために菓子を自分で作らなければならない」という強い動機を手に入れ、ついに本格的に菓子職人となる決意を固めました。
 おそらく今回は、この作品における大きなターニングポイントとなったと思われます。

 そして、単なる「なのは洋菓子店の次男」に過ぎなかった彼が「なのは洋菓子店の菓子職人」と立場を変えることで、これからほの香達との人間関係も大きく変わっていくことでしょう。セージとほの香がこれから本当に恋人同士になってしまうのかどうかまではまだ不明ですが。
 ある意味、ここからが本当の洋菓子店マンガとしての「なの菓子」の始まりであると言えるのかも知れません。

 それにしても、最初のうちはパティスリーであるタイム自らが「ケーキは暴力」とか言って洋菓子好きを徹底的にディスる、「洋菓子店が舞台」という設定から想像されるハートフルストーリーのイメージを逆手に取って破壊しにかかるような内容だったこのマンガが、今では何かすっかりまっとうな洋菓子マンガになってしまいましたね。
 今となっては序盤のノリがちょっと懐かしいです。

初恋ゾンビ

 前回の感想の結論は「江火野さんには幸せになってもらいたい」でしたが、今回の感想もやっぱり「江火野さんには幸せになってもらいたい」と書かざるを得ません。昔のタロウがあそこまでボンクラじゃなかったらなあ。でも江火野さんはタロウには勿体無いくらいいい子だしなあ。

 以上です。

湯神くんには友達がいない

 湯神に「よくやった門田!」と褒められた門田君が健気で可愛かったです(間違った感想)。
 もちろんこのマンガは「湯神くん」なので、湯神の「よくやった」の本当の意味が最後で明らかになってガッカリするんですが、その辺も含めて門田君は可愛いです。

 明らかに湯神系の人間である面倒くさそうな新人の仁堂君も登場しましたし、野球部もこのマンガもまだまだ安泰だよなーと思いました。

絶対可憐チルドレン

 今は亡き皆本(注意:死んでません)の意志の元に、若き指揮官である松風とザ・チルドレン達が一つにまとまり、見事に「黒い幽霊」のエスパーの撃退に成功した! というカッコいい展開だった今回のお話なんですが、要所要所で微妙におかしい箇所があったため、全体的には微妙に面白おかしい雰囲気なバトルとなっていた感があります。
 まあ、タコの触手をイメージした半裸なボンテージファッションのフェティッシュな格好の敵を相手にガチでやられても困るので、これくらいのゆるい雰囲気の方が良いと思います。

 というか、ギリアムがトップに立ってからの新世代クローンのエスパーって、基本的に格好がみんなピチピチなボンテージが基調なような気がします。ギリアムの趣味なんでしょう(決めつけ)。

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ギリアム程度のコミュ症なら「古見さん」の学校に行っても目立たなさそうな気がする


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