高橋留美子先生のラブコメ展開を読むと気持ちが若返るサンデー41号感想

マギ

 迷宮攻略編終了。モルギアナを奴隷の軛から解き放ったのは、同じ奴隷仲間のゴルタスだったというのは、個人的に意外な展開でした。無口な大男が最後に少女を助けて自分は死んじゃう展開は割と自分の泣かせるツボです。自分も背が無駄にデカいので(私心)。

 迷宮編は主要キャラクターの「正体」を紹介する意味があったと考えられますが、アラジンは「マギ」と呼ばれる王の選定者、アリババは国王としての教育を受けた王族の落とし子、モルギアナは暗黒大陸の戦闘部族の末裔と、誰一人として只者がいないところが英雄譚っぽいです。ただ、アラジンは何で自分が「マギ」なのかまったく判っていないみたいですし、アリババは何らかの事件を起こして国を追放された過去があり、モルギアナは奴隷の立場ではなくなったものの心はまだジャミルに囚われたままでカウンセリングが必要な状態であったりと、各キャラクター毎に解決しなければならない問題が山積しているのも事実であり、そういう意味で彼らの冒険はまだ始まったばかりだ! と言えましょう。
 最後の方ではもう一人の「マギ」とおぼしき少年が出て来て「迷宮」を消滅させていましたが、彼はアラジンとは違って自分が「マギ」であることに自覚的である様子。彼がアラジンのライバル的なキャラとなるのでしょうか。

神のみぞ知るセカイ

 愛梨ちゃんの造形はどこかで見たことあると思っていたんですが、今日になってようやく「ゲゲゲの鬼太郎」のネコ娘に似ていることに気付きました。アニメ版の第5期ではなく、第3~4期のおどろおどろしさを残したバージョンの方です。第5期のネコ娘は最初のうちは「ネコ娘がこんな可愛くていいのか」と言われていたものでしたが、やはり結果的にはかわいいは正義が正しいことを証明した形になったことは記憶に新しいです。

 話の方は愛梨の奇行っぷりをクローズアップする形でしたが、夜中に墓地に出てきた「幽霊」はやはり駆け魂であること、「あそんでくれなきゃくびきるぞ」という歌はあの地方に伝わるものであること、そして愛梨の祖母の幼少期は愛梨の今の姿とかなり似ていたこと、などの断片的な情報は提示されており、次回の解決編では「謎は全て解けた!」的な流れになるものと思われます。
 もし愛梨の中に本当に駆け魂が入っているなら、駆け魂が抜けた後の愛梨は第5期のネコ娘並にえらい可愛くなるんじゃなかろうか? と妄想でニヤニヤしながら次回を待っていきたい所存です。でも、もし駆け魂が入っているのが愛梨じゃなくて祖母の方だったら、桂馬はどうやって攻略するんだろうとも妄想してます。老女萌えの時代になるにはあと30年くらいは必要かと(何の話?)。

アラタカンガタリ

 革を一方的に敵視する門脇君が、早くも「逐力」と書いて「オロチ」と読ます中二病的なネーミングセンスのファイナルウェポンの装備に成功して、革にいきなり襲いかかってきたでござるの巻。
 彼が現時点で「逐力」の鞘となっているのか、それとも単に「逐力」に取り込まれて操られているだけなのかは不明ですが、物語的にはフォースの暗黒面に取り込まれた門脇が革にとってのライバルとして立ちはだかり、かつ革はそんな門脇に対しても「説得して降す」戦法を貫いて和解に至らないといけない方が物語的には盛り上がるので、何とか門脇君にはここで踏ん張ってもらい、中二病的ウェポン「逐力」に負けない憎悪っぷりを見せて欲しいところですね。中学時代から延々と革を逆恨みでいじめ続ける歪んだ執念を持った君ならできる! 君だからできる!(何だこの感想)

ハヤテのごとく!

 ヒナギクがアテネのことで悩むハヤテに檄を飛ばして彼を突き動かした回。今夜のディナーでハヤテに「好きだ」と告白するつもりだったところで逆に「そんな風にウジウジ悩んでいるハヤテ君、私は嫌いよ!」と言ってしまうのは彼女にとっては不本意だったでしょうけど、ハヤテのことで散々ウジウジ悩み抜いて来たヒナギクだからこそ「ちゃんと自分の気持ちを確かめてきなさい」とハヤテにアドバイスする事ができ、彼の「幸せ」のための力になれた訳で、彼女の悩みは決して無駄ではなかったと言えるのではないのでしょうか。結果的にフラレちゃったけど。
 ヒナギクはこういう損な役回りを演じる立場がやっぱり似合ってますよ(ヒドい)。

 そして「ストーリーの流れをぶった切ってどうでもいい1話完結の話をやりたい……」と悩む畑先生は、椎名先生に倣って増補版の四コママンガを初めて見たらどうかなと思いました。そしてそのうち四コマのネタを考えることに時間を取られるようになって自爆するようになるんですよね(ね?)。

ジオと黄金と禁じられた魔法

 サザ死すの巻。しかしあのサザが実際に死んだとはとても思えません。この世界における「魔法」はかなり強そうな印象があるので、体を氷で貫かれたくらいでは魔法使いは簡単に死ねない気がします。実は忍法空蝉の術で入れ替わっていたとかどうか(忍法?)。

 あと今回は、サザの「死」を目の当たりにして怒りを感じたジオがついに禁じられた魔法の行使を決意し、リィンに対して「オレ、力を抑えられないかもしれないから…」というところが良かったです(中二病的な意味で)。やっぱり男に生まれたからには、一度くらいは「力を抑えられない…!」とか美少女相手に言ってみたいものですよね。
 でもジオの禁呪は使うと周囲が全て凍り付いたり焼き尽くしたりするやっかいなもののはずであり、かつてジオの師匠がそうであったように下手するとリィンを残して全滅、リィンには大層な心の傷を残すという展開になってマンガが終わりかねないので、ここは一つ何とか力を抑えていただきたい所存。
 今回は魔力を暴走させかねないジオですが、いずれは炎と氷の魔法を同時に操る飛び道具を体得して大活躍した「ダイの大冒険」のホップのような立派な魔法使いになって欲しいものですね(もはや感想ではない)。

読み切り:幻影少年

 オレ達の万乗先生が週刊少年サンデーに帰って来た! という感じで、クラブサンデーで人気を博している「幻影少年」が、17日に発売されるクラブサンデー掲載作品のコミックスの宣伝を兼ねて本誌に初登場。
 話の中身はクラブサンデーに載っている話と比べると悲劇度が三割り増しくらいの超泣かせる展開で、読者の心に爽やかな感動と共にトラウマも植え付けかねない勢いだなと思いました。万乗先生の力の入れ様が伺えます。連帯保証人制度ちょうこわい。

 17日発売のクラブサンデーのコミックスでは、個人的には一度見たら忘れられない個性的な絵柄と演出が印象的な「UNDEAD」、巨大化した純情ヒロインがとても可愛らしい「超弩級少女4946」、現代美少女版「アウターゾーン」とも言うべき「魔法行商人ロマ」の各作品がどのくらい注目を得られるのか期待したいところです。

幻影少年

幻影少年

万乗大智
(C)Daichi Banjo/Shogakukan 2009

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UNDEAD

UNDEAD

寺嶋将司
(C)Masashi Terajima/Shogakukan 2009

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魔法行商人ロマ

魔法行商人ロマ

倉薗紀彦
(C)Norihiko Kurazono/Shogakukan 2009

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超弩級少女4946

超弩級少女4946

東毅
(C)Takeshi Azuma/Shogakukan 2009

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サンデー・マガジンのDNA展に行ってきました日記

サンデーマガジンDNA展

 川崎市市民ミュージアムで9/13まで開催されている、サンデー・マガジンのDNA展へ行ってきました。

 展示内容は、サンデー・マガジン50年の歴史の間に掲載されて来た代表作100作品の原画展示をメインに、10年毎に区切られた時代年表、両誌がこの50年で如何に相互に影響を及ぼしながら「進化」してきたかをDNAの螺旋に見立てて「野球」「学園」「ラブコメ」などの要素ごとにディスプレイした図解、戦後マンガ史を語る上では外せないトキワ荘時代の漫画家達の資料など、様々なものが展示されていました。
 あだち充先生のラフスケッチも展示されてましたよ。初めて見た。

 以下雑感。

  • 年代物の作品の原画がずらりと並んでいる姿は、やはり圧巻。これは確かに漫画原稿は美術品として解説付きで美術館に飾られるだけの価値があるものだ、と実感させられます。「ゲゲゲの鬼太郎」の原画とか見てると、何故かとてもありがたい気持ちになって来るのが不思議です。
     あと個人的には、ながいけん先生の生原稿を初めて見られたのが嬉しかったです。現在展示されているのは、「神聖モテモテ王国」でモテモテ王国主席全権大使がガンダムの盾を持って犬と和平条約を結ぼうとしているところ。勿論、「GS美神極楽大作戦!!」の生原稿も展示されてました。あれはコミックス4巻で小竜姫のいる妙神山で修行するエピソードの第一話の冒頭部分ですよね(細かい)。
  • 60~70年代のマガジンの代表作にはことごとく「梶原一騎」の名前があり、当時における氏のマガジンに対する影響力はすさまじいものがあったことを伺わせます。かつてマガジンの編集長が「マガジンの基本は梶原イズム」と語っていたのもよく判ります。「空手バカ一代」面白いもんなあ。当時の子ども達は、「空手バカ一代」に載っている話は一字一句全て真実だと思っていたものだったんですよ(よ?)。
  • 展示を見ていると、マガジンが今のようなスタイルになったのは70年代初頭、一方のサンデーは80年代の初頭くらいかな? という感想を持ちました。マガジンは前述のように梶原一騎作品や「あしたのジョー」「巨人の星」が、サンデーは「タッチ」「うる星やつら」のあだち+高橋の両巨頭による影響が大きいことがよく判ります。
  • 過去のサンデーやマガジンの雑誌そのものも、資料として豊富に展示されていました。60年代のサンデーはまだ少年向けの総合情報誌という要素が色濃く残っており、表紙に陸上攻撃機イントルーダーの編隊写真が載っていたり、鼻に骨を刺してるニューギニアの高地人の写真が表紙を飾るサンデーに「カラーショック!世界の未開人」「難事件をズバリ解決!佐賀の超人間」なんて記事が載っていたりと、何というかこう当時は色々な意味で大らかな時代だったんだよなという気にさせてくれます。60年代の佐賀にいったい何が。
  • 展示されていたDNA螺旋図の「学園」の解釈によると、「ハリスの旋風」「愛と誠」から始まったマガジンの学園ジャンル作品の伝統を今に伝える役目を果たしているのが、「さよなら絶望先生」と「魔法先生ネギま!」になっていたのが面白いところ。週刊少年誌に掲載されるマンガはその「時代」を象徴しているものであると考えれば、「絶望先生」や「ネギま」は確かに今の時代を反映した学園モノであるという解釈には納得できます。君のためなら絶望して死ねる。
     そしてサンデーの「男組」から始まる学園DNAの現在を受け継いでいるのは「金剛番長」らしいです。先祖返りしていると言えなくもなくない?
  • 展示されている全作品の中で一番新しい作品は、サンデーは「神のみぞ知るセカイ」、マガジンは「ダイヤのA」。どちらもその雑誌の「今」を象徴している作品という位置付けと捉えると、興味深いチョイスであると言えます。
  • ちなみに原画ですが、久米田先生(絶望先生)と畑先生(ハヤテのごとく!)は隣り合って展示されてました。そして1つ離れた場所には「魔法先生ネギま!」を擁する赤松先生が悠然と構えています。この配置には何か深遠な意図が!(単に年代順に並んでいるだけです)

河童
 写真はサンマガ展の横で展示されていた河童。

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賢木は6巻で不二子と再会するまで騙され続けていたのか…(´;ω;`) サンデー40号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 黒巻姉さん…(´;ω;`)ブワッ
 遅くなりましたが絶チル感想です。

 今回の焦点は、勿論ユーリの第四人格さんこと「フェザー」が皆本にキスしたこと。というか、より正確に表現するなら皆本がフェザーに唇を奪われたこと。敵か味方か正体不明の仮面キャラからいきなりキスされて赤面しちゃうだなんて、やっぱり皆本さんはどこまでも乙女です。何という堂々たるヒロインっぷり。流石です。

 あの時、皆本はフェザーに拘束されながらも「一緒に来てもらうぞ! それが君のためでもあるんだ!」と相変わらずのエスパー保護欲を発露させてましたけど、結果的にそれがフェザーの中の保護されたい欲求(後の皆本が「心のどこかでSOSを発している」と表現した感情)を自覚させてキスに至らせたとも考えられる訳で、あの局面ではああすることがフェザーに対するフラグを立てるという意味においては最善の行動だったと言えます。フェザーに唇は奪われたけど、逆にフェザーの心は奪った皆本。格好いいですね。代わりにチルドレンからの信頼は失いましたが。
 でも、チルドレン達も皆本が乙女だということは判っている訳ですから、そろそろ「皆本が女に迫られる」ことはあってもその逆は絶対にないことに気付くべきだと思います。紫穂は多分気付いててからかってるっぽいですけどね。皆本に盟神探湯仕掛けるとかマジハンパない。

 今回の話からすると、「フェザー」はユーリの人格が分裂したものというよりは、元々レアメタルのイヤリングに宿っていた別の人格がユーリの体を動かしていると考えるべきであり、今後の悠理/ユーリを巡る物語は「レアメタルに宿っていた元の人格は誰なのか」が焦点になると考えてよさそう。
 今回のエピソードはとりあえず次回でほぼ完結するっぽいので、次回でどこまで謎が明かされるのか気になります。あとは「Strings」の歌詞も気になります。二番までフルコーラスってどれだけ本気なんだ。

 ちなみに今回薫が川底に隠れていた念動力者を気絶させた技は俗に「ガッチン漁法」と呼ばれているもので、水辺にある岩をハンマーとかで叩いて衝撃波を起こし、周囲の魚を根こそぎ気絶させて捕まえるという、たいへんに環境によくない漁法です。よい子は真似しない。
 個人的には、安永航一郎先生の「海底人類アンチョビー」のクライマックスにおいて、海底人類を全滅させる目的で使用されたことで有名です(古い)。

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