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小山愛子先生サンデー帰還記念 サンデー5・6号「舞妓さんちのまかないさん」感想

舞妓さんちのまかないさん

 新連載。作者の小山愛子先生は、昔(といっても10年くらい前)は男の子が活躍する正統派な少年マンガらしいマンガを描く人というイメージがありましたが、カフェで働く一人の少女に焦点をあてて彼女の働く様を丁寧に描写した「ちろり」のゲッサンでの連載を経て、今度は舞妓さんの屋形でまかない飯を作る少女が主人公となった、普通の少年マンガとは少々ノリが異なる「舞妓さんちのまかないさん」で少年サンデーに再登場を果たすこととなりました。

 「舞妓さんちのまかないさん」は、いわゆる少年マンガらしくはない極めて雰囲気が静かな作品ですが、「少年マンガ」という枠に囚われずに多様なジャンルの作品を許容するというか、むしろ積極的に多様性を求めるようになった今のサンデーにおいては、こういった作品も普通に存在できるようになったんだなーと思います。個人的にはこういう系統のマンガは大好きなので、ンもう大喜びです。
 何と言っても、サンデーに掲載されている料理がテーマのマンガなのに、登場人物の舞妓さんが料理を食べても「なんやて!」と叫ばず、ダルシムに変身とかもしないんですよ? これってすごくないですか?(前例が異常という説が有力)

 あとこの物語は京都が舞台ということもあって(主人公のキヨさん以外は)登場人物がみんな京都弁を喋っているんですけど、他人のプリンを勝手に食べたり他人の化粧品を勝手に使ったりしつつも、みんな流暢な京都弁を喋りながら適当に責任逃れをしている腹黒いところが、何というかこう我々のイメージする「京都人」っぽくていいなと思いました。
 我々が観たかった京都がここにあるよ!(あるの?)

PING PONG RUSH(1) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2012-09-25)
売り上げランキング: 398,975

自分が連想する小山愛子先生の作品というと、まずこれが思い浮かびます(古い)


コミックマーケット91 椎名高志作品関連サークル


※作品名が書かれていないサークルは、「絶対可憐チルドレン」「THE UNLIMITED -兵部京介-」の二次創作です。

12/30(金)
12/31(土)

武井からツンデレヒロインの気迫を感じたサンデー3・4号「あおざくら」感想

あおざくら

 武井の遅刻が原因で始まった、全校生徒を巻き込む厳しいヘルウィーク(ただし一週間では終わるとは言っていない)の真っ最中の展開。

 全学年に渡ってハードな指導が飛び交う中、原因となった武井だけは罰則の事故走り等をやらされないという、周囲のヘイトが武井に集まることで彼に反省の念を促して周囲に弁明を言わせる社会的な制裁システムの真っ只中に叩きこまれているにも関わらず、当の武井は未だに弁明を口にしないため、それが更に周囲のヘイトを高める結果になっています。

 これがもしサンデー掲載の「あおざくら」ではなく、ベトナム戦争モノの合衆国海兵隊新兵訓練基地が舞台の物語だったら、多分次回辺りに武井がトイレで同級生からリンチされた挙句殺害されるに違いないフルメタルジャケットな展開になることは必至でしょう。少年誌掲載の「あおざくら」の登場人物で良かったですね武井くん(そういう問題なのか)。

 当の武井は、己のプライドとかまだ明らかになっていない(けど多分客観的に見たらそんなに大した理由ではなさそうな感じの)理由とか何か色々あって未だに反省の弁を述べていないんですが、勿論今の最悪な状況を招いているのは自分が原因であることも判っている訳で、そのアンビバレンツな心理状態に相当心身ともにヤラれている様子です。
 こんな彼の心理状態をあえてラブコメに例えるなら、自分が彼のことが好きだということを自覚していながら、己のプライドや今までの彼に対する高慢な態度が仇になって自分の気持ちに素直になれないツンデレ美少女の心理と一緒であると言えるのではないのでしょうか。ツンデレキャラが素直になれずに思い悩んでいると思えば、武井のワガママも多少は可愛く見えてくること請け合いです。

 まあ、並のラブコメの登場人物はどんなに思い悩んでも胃が食べ物を受け付けなくなるくらいのストレスを感じたり、ましてや仲間にトイレで絡まれてリンチされたりはしないものなんですけど、それだけ今の彼が抱えるツンデレ的な葛藤はハードコアなものだと言える訳ですよ。
 果たして武井は最終的に無事デレることができるのか、それともこのままフルメタルジャケットな世界の狂気に陥って微笑みデブと化すのか。デレオアダイ! デレオアダイなのです!

 ここまで極限状況に追い詰められるツンデレキャラって、なかなか例を見ないのではないのでしょうか(まちがった感想)。

あおざくら 防衛大学校物語 2 (少年サンデーコミックス)
二階堂 ヒカル
小学館 (2016-12-16)
売り上げランキング: 2,190

コミックス2巻は16日発売。2巻は坂木部屋長の巻と言えます


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