コミック 一覧

Jコミは「こういうことを本当にやっていいんだ」という驚きに満ちたサイトだと思った日記

 ラブひな!(挨拶)

 現在絶賛ベータテスト中のJコミで公開されている「ラブひな」を読みました。

 今読み返してみると、「ラブひな」って本当にハチャメチャなマンガですね。おっぱいムギュとか裸見られてキャーとかしししししのぶちゃんのパパパパパンツとかのエロ要素の表現は、執拗に繰り返されるうちに次第に記号化してだんだん本来のエロの意味をなさなくなってますし、連載が続くにつれて唐突で無茶な設定が続出するようになってますし、何より物語の最終目的地である「東大」ですら、現実社会における権威の象徴というよりはむしろ呪術的なパワースポットへと変化してしまっているように思えます。
 「ラブひな」という作品は、『美少女わんさかコメディー』というお題目以上に、極めてアナーキーかつスラップスティックなコメディマンガだったんだなーと思うことしきりでした。

 それでも、そういうギャグマンガ的なハチャメチャさをやらかした上で、「主人公の成長」や「ヒロインが主人公を好きになっていく過程」といったラブコメマンガの本題もちゃんと描かれているのが、このマンガの凄いところです。勿論、今読んでもものすごく面白かったです。
 こんなに楽しい作品を、「実験」の名目で無料で公開に踏み切ってくださった赤松健先生に、改めて感謝の意を表したいと思います。ありがとうございました。

 それで話は変わりますが、個人的に「ラブひな」が当時の少年マンガ業界に与えたもので一番大きかったのは、「少年誌でもこういうことを本当にやっていいんだ」ということを、漫画家や読者に認知させたことなのではないかと思っています。
 古典的な「ちょっとエッチなラブコメマンガ」の要素に、当時隆盛を極めていた「ときめきメモリアル」型のギャルゲー(特徴:プレイヤーが女の子たちからモテてモテて困る)の要素を組み合わせ、露骨な形で女の子をバンバン脱がせて主人公の男子にぶつけていくだけのマンガを、メジャー誌である週刊少年マガジンで堂々と連載する。今になって思えば「ラブひな」型の作品が少年誌に掲載されるのは割と当たり前のことなんですけど、当時は「ギャルゲーみたいなマンガが週刊誌にあったら面白いかも」と思うことはあっても、それをここまで大胆な形で本当に実行に移してしまう漫画家が出て来るとは思っていませんでした。
 それだけに、少年誌でここまでやってかつ人気の面で大成功した作品の登場は、当時のマンガ業界に対して相当のインパクトを与えたことは間違いないでしょう。「エイケン」とかは正にそうですよね(笑)。

 そして現在、赤松健先生が立ち上げているJコミですが、これもまた「こういうことを本当にやっていいんだ」という驚きに満ちたサイトです。

「Jコミ」は、「広告入り漫画ファイル(pdf)」によって構成される、全く新しい漫画共有システムを提案します。

すなわち、
ユーザーよってアップロードされた絶版漫画マンガ作品に対して、著作者の先生方の了解を得て何枚かの広告ページを挿入し、インターネット上で共有する。 それによって、
・ユーザーの皆様には、無料で過去の名作・幻の漫画・埋もれた傑作を楽しんでいただく。
・そして作者の漫画家先生には、その漫画史に残した足跡の対価を受け取っていただく。

「Jコミ」はそういうシステムの構築を目指しています。

Jコミ サイトコンセプトより抜粋)

 「絶版マンガを電子化する」というアイデアは既に存在していましたし、またユーザーがマンガをスキャンして電子化するムーブメント(専門用語で言うところの「自炊」)も存在しているのですが、これを組み合わせる形で合法的なネットサービスを立ち上げ、公開される作品にはいわゆるDRMをかけずに複製も流通も自由に行えるようにし、かつ漫画家に対しても対価を支払うことを可能にする──というのは、正直今のデジタル書籍の常識からはちょっとできない発想です。
 ネットからマンガを合法的にダウンロードして自分が都合の良いデバイス(PC/タブレット/スマートフォン/携帯など)で閲覧でき、かつ作者にも利益を与えるシステムというのは、「そういうのがあったら面白いかも」と思うことはあったのですが、やはりそれをここまで大胆な形で実行に移す人が出て来るとは思っていませんでした。
 しかも、それを立ち上げたのは、よりによってあの赤松健先生ですよ。本当に驚きを隠せません。

 このサイトが成功し、赤松健先生の目論見通りに「Jコミ」を中心としたマンガ流通のエコシステムが生成されれば、おそらくデジタル書籍業界に相当のインパクトを与えることは間違いないでしょう。やってることはちょっとハチャメチャなのかも知れませんが、そのハチャメチャさこそが今の業界には必要なのでしょう。
 もしかしたら、我々は当時の「ラブひな」に匹敵する、何かとんでもないモノが生まれる瞬間に立ち会っているのではないのだろうか。「Jコミ」は、そんな興奮を感じさせる存在であると思いました。


コミックス23巻発売記念・乳首アンケート結果発表

 「絶対可憐チルドレン」コミックス23巻が発売になりました。

 コミックスの収録エピソードは、サバンナナバンサを舞台に可憐GUY’Sが身体を張った漫才を延々繰り広げる「ロスト・ガイズ」編、『九具津△』の一言でその内容を要約できる「トイ・ソルジャーズ」編、およびフェザーの覚醒と薫の更なる成長を描く「マイ・ウィングス」編の冒頭となっており、基本的にはティムやバレット、そしてハンゾウも含めて男性キャラが(色々な意味で)大活躍といった印象のある巻なのですけど、この巻で何より重要なのが、以前サプリメントで予告された、おまけマンガにおける乳首トーン貼りつけネタなのです。詳しくはこちらにゅーあきばどっとこむさん)

 既にコミックス23巻を読んだ方は、「誰に乳首が貼られたのか」という結果はご存知かと思いますが、とりあえず男性キャラが大活躍しているこのコミックスに相応しいオチだったのではないかと感じました。
 あと個人的には、不二子が脱ごうとするのをあの兵部が妨害していたのが、意外と言えば意外。そんなに不二子の乳首を見られるのが弟の立場として恥ずかしかったのか、それとも本当に不二子の乳首がみっともなくて見せられたものじゃないので阻止したのか。

 そして、このサイトでは以前、「あなたなら誰に乳首トーンを貼りたいか?」という趣旨のアンケートを実施していたのですが、現時点(10/19 午前2時)での結果は以下の通りとなりました。

  1. 薫(102,206チクビ)
  2. 紫穂(54,659チクビ)
  3. 葵(54,655チクビ)
  4. 不二子(46,969チクビ)
  5. 皆本(3,256チクビ)
  6. 兵部(2,398チクビ)
  7. 賢木(489チクビ)

 薫が極端に突出していますが、それ以外は比較的バランスの取れた、皆様の良識が反映された数値になっていると思います。
 まあ確かに、男性読者的には賢木の乳首は積極的には見たくないですよね。どうせ見るなら、皆本の綺麗な乳首を見たいですよね。わかります(間違い)。

 ご協力下さった皆様、ありがとうございました。


SUNDAY GX COMICS 10YEAR’S CHRONICLE 吼えろペン

SUNDAY GX COMICS 10YEAR’S CHRONICLE 吼えろペン

封印されていた『新吼えペン』幻の最終回をついに公表!!
ついに完結を迎える『炎尾燃サーガ』を見逃すな!!

 『吼えろペン』及び『新吼えろペン』から、作者の島本先生自身がセレクトした傑作選。巻末には、半分以上完成しながら諸事情により封印されていた『幻の最終回』を完成させて収録。雑誌&単行本掲載バージョンとは全く異なるエピソードで『炎尾燃サーガ』は真の最終回を迎える!! 見逃すな!!
 あなたはまだ、『吼えペン』本当の最終回を知らない…!!

 元椎名高志先生の担当編集者であったアリイどんこと有井氏より、サンデーGXコミックス 10YEAR’S CHRONICLE版「吼えろペン」のプレスリリース掲載の依頼がありました。
 リリースの内容はMOON PHASEさんやコミックナタリーさんなどで既に報じられているので詳しくはそちらをご覧頂くとして、せっかくなので今更ながらこちらでもご紹介します。

 このクロニクル版は基本的に「吼えろペン」「新吼えろペン」からより抜いた作品が計9本掲載された傑作選の体裁を取っているのですが、最大の売りはやはり「新吼えろペン」の幻の最終回が掲載されていること。
 「新吼えろペン」最終回といえば、(このサイトでは当時GX読んでなかったのであえてスルーしてましたが)「ついに島本和彦がパクリマンガを容認したのか!?」ともとれる衝撃的な内容が賛否両論を引き起こし、ネット上で大騒ぎになったりしたものでした。現在でもGoogleで「吼えろペン」と入力すると「最終回」がサジェストされたりしますけど、それだけ吼えペン最終回当時の盛り上がり方が凄かったことが伺えるというもの。
 このクロニクル版では、その頃島本先生に(そして小学館で)何が起こっていたのか、何故最終回がああなってしまったのかを今になって暴露するマンガ「リアル吼えろペン」、および当時のGX編集部からボツを食らった「幻の最終回」が掲載されています。

 その暴露マンガ「リアル吼えろペン」は、7月17日発売のサンデーGX8月号にも掲載されています。
 以下、そのプレスリリース。

リアル吼えろペン~10YEAR’S CHRONICLE 吼えろペン 刊行によせて~

マンガ家vs編集者 最終章!!
全漫画界を揺るがす禁断の告発が、今、始まる……!!

 熱血マンガ家・炎尾燃が突如拝金主義に走り、そんな主人公の姿勢を否定することもなく終わった『新吼えろペン』の最終回。各方面で物議をかもした最終回は、実はすったもんだの末に描き直された“バージョン2”だった!? GX8月号に掲載される読み切り「リアル吼えろペン」では、半分以上描き上げていた会心の最終回を全ボツにされ、全く発想の異なる最終回を1日で捻り出さざるを得なかった島本和彦先生の苦悩が生々しく語られる!! 作中に垣間見える某有名週刊誌休刊騒動の裏事情、そして出版業界の暗部に蠢く巨大な権力と陰謀劇!! 近年急速に増加する出版業界のトラブルにおいても、ここまで生々しく、マンガ家と編集双方から事実が検証され、そして告発する雑誌それ自体の誌面に告発漫画を掲載してしまったのは島本先生とサンデーGXだけ!! これは告発の名を借りた壮大なプロレスなのか!? それとも全エンタメ界を揺るがすガチンコなのか!? ただひとつ確かなのは、『新吼えペン』最終回にまつわる数奇な実話の数々は、皮肉にも『吼えペン』それ自体にすら勝るとも劣らないドラマチックなものであったということだ!! 100%実話!! マンガ家、島本和彦の苦悩、挫折、そして再生の物語を、絶対に見逃すな…!!

 実際に読んでみた感想としては、まず暴露マンガに出てくるアリイどんが格好良すぎて痺れました。作者の島本先生自らが「(当時の事情により)ボツになった正しい最終回が世に出ることはない」と思っていたこの作品に対して「何故こっちを発表しなかったんですか!? こっちの方が全然いいですよ!」と率直なコメントを延べ、「でもGXの編集部からダメって言われたんだよ!」との島本先生の反論に対しては「私がこんなこと言うのも何ですが戦わないと!」と正論を述べて先生を悶えさせる様は、編集者として流石です。多分。

 そしてその「幻の最終回」は、読めば確かにこれがヤングサンデーが休刊するという時節に発表するに相応しい「正しい最終回」だと納得できる内容なのですが、それ故にやっぱり時節柄を考えると当時のGX編集部が掲載を躊躇するのも理解できます。ヤンサンの存在が「歴史」となった今だから公表できる作品なのかも知れませんね。

吼えろペン (サンデーGXコミックス CHRONICLE)
島本 和彦
小学館 (2010-07-17)

※Amazonでは現在品切れ中の様ですが、このコミックスはコンビニでも取り扱っているので、そちらを探してみるのも手かも。うちの近くのファミマにはありました


スポンサーリンク
1 3 4 5 6 7 8 9 10