感想 一覧

サンデー18号くらいまでの感想

最上の明医

 小児医療への希望を核に様々な人間模様を描いた社会派ドラマ「最上の命医」の第一部が終わったと思ったら、何の因果か「ザ・キング・オブ・ニート」の二つ名を持つ現役ヤンキーを主人公にしたスピンアウト作品「最上の明医」が始まったでござるの巻。どうしてこうなった(ネット用語)。

 とりあえず、「最上の命医」のテーマである「医者の本懐とは、患者だけではなく、その家族や子孫の繋がりである『無限の樹形図』を救うことである」についてはこのマンガも継承しているものと思われますが、そのテーマへのアプローチの方法は「最上の命医」とは真逆を向いている様に見えます。もしかしたら、最期には主人公の最上義明が西條命を救う医師に成長する――というドラマが待っているのかも知れませんけど、でも現段階だと多分そのレベルにまで主人公が育つ頃には命が死んじゃいそう。ここからこのマンガはどう転がっていくのでしょうか?

 個人的に、このマンガにはかつての「焼きたて!ジャぱん」の時のような荒唐無稽な面白さを期待してもいいのかなと思ってます。「最上の命医」を描いていたのがなら、「最上の明医」はだ! みたいな勢いで。ギニャー(おわり)。

T.R.A.P.

 筋骨隆々な大男が、様々な世の理不尽に対して「知ったことかー!」と叫びながら己の筋を通し、最終的に地球の危機を救った「金剛番長」がサンデーから去った翌週、新たにやって来たのは頭に包帯を巻いた、けなげ・はかなげ・いたいけを絵に描いた様な美少年でした。
 「國崎出雲の事情」といいこれといい、何か最近はサンデーの潮目が変わってきている様な気がします。個人的には大好きな潮目なので問題ないですが。

 そして、このマンガは基本的にはサッカーマンガというジャンルに含まれますが、かつての「ゴールデンエイジ」のようなサッカーそのものの競技性の面白さをマンガで描くタイプというよりは、むしろサッカーを題材にしたミステリーを描くことを狙った作品という印象を受けました。勿論、そのミステリーの中心となるのは、いたいけな美少年こと天草海音です。
 サッカー部の中心だった真崎を事故で失ったのと入れ替わる様に現れた海音は、その存在そのものがミステリーであり、それ故に彼がミステリアスであればあるほどこの物語は面白くなります。なので、しばらくは彼の正体不明っぷりにサッカー部員が惑わされ、心理的に振り回される展開が続くんじゃないかなと思いました。特に、死んだ真崎を彷彿とさせる海音に対して極めてアンビバレントな感情を抱いている五十嵐の動向に注目して行きたいです。パティさん的な視点で(ダメ)。

 ちなみに、「T.R.A.P.」の作者の大和屋エコ先生の前作「未来のフットボール」は、現在でもクラブサンデーで読むことができます。正統派フットボールストーリーとタイムスリップSFを掛け合わせた面白いマンガなので、読んでみて損はないです。おすすめ。

未来のフットボール

未来のフットボール

大和屋エコ
(C)Eco Yamatoya/Shogakukan2009

posted with EmbedSunday on 2010-04-07

MAJOR

 吾郎が様々なトラブルに巻き込まれて倒れる度に、私の頭の中に住んでいる「金色のガッシュ!」のキャンチョメが、「( ゚∀゚)o彡°てっつっのっ茂野吾郎~ むってっきっ茂野吾郎~」と歌いながら腕を振るんですよ。純真なキャンチョメはフォルゴレが無敵であると心の底から信じており、それ故にフォルゴレは何度も立ち上がることができたのと同様、吾郎ちゃんを応援する心の中のキャンチョメも、また吾郎の無敵っぷりを信じているんですよ。
 なので、例え何度も頭に硬球を食らっても、私の心の中のキャンチョメは無敵茂野吾郎の歌を歌い続けるんですよ。がんばれ吾郎ちゃん! 死ぬな吾郎ちゃん! ダッダバダー ダバダバダバダー(何これ)

最強!都立あおい坂高校野球部

 あおい坂高校が夏の甲子園優勝。本当に文字通りの意味で「最強」に。おめでとうございます(甲子園を描ききった田中モトユキ先生に対して)。
 個人的には、決勝戦では静浜の仲島がどんどんキャラとして立っていく様が面白かったです。後は神木のしょぼくれぷりにもグッと来ました(ダメ)。

 後は、最期の最期でキタローに平常心を取り戻させた千葉との決着をどう描くかに期待。

はじめてのあく

 ジローやキョーコがまさかの進級。彼らは「幸せの時間連鎖」の中に居たんじゃなかったのか(例えが古いです)。
 更にジローの弟なのか弟分なのかは不明ですが、「阿久野」姓を持つ新キャラ・サブローが登場したのも驚きました。ジローは末っ子じゃなかったのか。

 それよりも驚いたのが、渡ファンクラブの会員にして女子に踏まれることに最上の喜びを覚える希代の変態の太っちよ男子(黄村ヨシヒト。愛称M男)がジロー達と同じクラスになったことです。こんな変態を(まだしも性根はマトモな)緑谷君の代わりにサブレギュラーに昇格させるだなんて、藤木先生はなんて大胆なことをするんだと思いました。大胆な作品内改革に乗り出した藤木先生の今後に期待です。

DEFENSE DEVIL

 ぱんつ履いてない悪魔ブリルハート対ぱんつ履いてるイダマリアの対決が白熱。悪魔ブリルハートの最大のキャラ立ちポイントは勿論ぱんつ履いてない点にありますが、もしも「ぱんつ履いてない」状態の描写が許されないのであれば、悪魔ブリルハートのあらゆる意味での異常性を端的に表現するのは難しくなると思われます。つまり、「ぱんつ履いてない」という一点を以て、この作品は彼女の超常っぷりをアピールしていると解釈するべきではないのでしょうか。
 今がぱんつ履いてない女性を少年誌に描くことが合法的に許されている時代で、本当に良かったと思いました。

 一方のクカバラに襲いかかったブリルハートの「生徒」である男悪魔達の方は、股間がそんなにモッコリしていないので、多分全身タイツの下にはぱんつ的なものを付けているものと思われます。この世界の地獄では、ぱんつの有無がそのまま悪魔としての格の違いを表しているのかも知れませんね。ウソですが。


最近のサンデーまとめて感想日記(~2010年15号)

このエントリの要旨:

 ここのところ「絶チル」以外のサンデー掲載作品の感想とか書けなくてストレスが溜まっていたので、それを発散するためのエントリです。
 勢いで書いたので、内容の質はいつも以上に保証できません。

國崎出雲の事情

 私のリサーチによれば人妻に大人気な「國崎出雲の事情」(人妻サンプル数:1)。このマンガは、「女形」と「女装」を意図的に同一視し、「女形なんだから普段から女装しても大丈夫」みたいな流れでとにかくカワイイ主人公にモリモリ女装させてみんなにハァハァ言わせてやる! という意志に満ちあふれており、個人的にたいへんに好感を持っているのですが、今回の対玄衛編では「カワイイ主人公が女装して年下のもっとカワイイ男の子を籠絡する」というますます歯止めが効かなくなってるストーリーが展開されており、とても微笑ましいです。

 もっとも、ストーリー的には玄衛が「成熟を拒否して子どものままで居たい」気持ちと「役者として舞台に立ち、大人へ成長したい」気持ちの間で葛藤するという割と少年マンガらしい展開になっているのもポイントで、少年誌に掲載される作品として押さえるべきところはキチンと押さえている感じはします。でも結局、最後は玄衛も出雲(の女装姿)に惚れちゃってますますたいへんなことになるオチが待っている様な気がしてなりませんが。
 主人公の少女の周りに主人公のことが大好きな男性キャラがわんさか集まってくる系のコメディーは少女マンガ界では珍しくありませんが、主人公の少年の周りに主人公のことが大好きな男性キャラがわんさか集まってくる系のコメディーが少年誌に掲載されるのは、比較的珍しいことなのではないかと思われます。「國崎出雲の事情」は、そういった意味においてますます油断できないマンガに進化しつつあるのかも知れません。

境界のRINNE

 先週と今週のサンデーに載っていた、ドコモの携帯と「境界のRINNE」のコラボ広告を読んだ時の「何で貧乏な主人公がハイコストなドコモの最新携帯の宣伝をやってるの?」と不安になってしまう感覚に、適切な名前を付けて下さい(挨拶)。

 最近のこの作品は、鳳(あげは)を当て馬にして桜を嫉妬させ、りんねとのラブコメ機運を盛り上げようという、実に高橋留美子先生作品らしいストーリー展開を志向しているように思えます。今週の最後で、りんねと鳳がいちゃついているように見えるシーンでわざわざ桜を登場させる間の悪さは往年の「めぞん一刻」などでもよく見られたパターンであり、「今、まさに自分は、高橋留美子のマンガを読んでいるのだ!」との思いを改めて自覚させられます。
 そのせいか、最近は「RINNE」を読んでると「めぞん一刻」をリアルタイムで読んでいたあの頃の記憶がフラッシュバックしてしまい、当時の自分のアレっぷりを思い出して七転八倒した挙げ句に死にたくなって来るので大変です。あの頃の自分はもういないはずなのに! もう過去は振り返らないと決めたのに! いやもう本当に勘弁して下さい!(←何があった)

怪体真書0

 フルヘッヘンド!(挨拶) 先週から始まった「怪体真書0」は、「怪体真書」なるバイブルを武器に、人に取り付く虫のような姿形の「病魔」を退治していくという、サンデー的な意味において極めて清く正しい格闘モノ作品であると認識してます。
 個人的には、雷句誠先生の初期の傑作「玄米ブレード」を彷彿とさせます。あとは虫繋がりでクラブサンデーの「ムシブギョー」も。今、サンデーは虫がキているのかも。

 内容は極めて真っ当なので基本的には素直に「すごーい」と思いながら楽しく読める作品なのですが、強いて言えば主人公たちが自分自身の職業を「闇医者」と言ってるところがちょっと気になりました。闇医者
 自分から「闇」とか名乗っちゃうところからすると、彼らのやってることは「病魔」が渦巻くこの作品世界においても正規の医療行為ではなく、医療免許を持てない非合法な存在であることを自覚しているということなのでしょうか。それとも、普通じゃない魔法めいた力で病魔を退治するなんて格好いいから「闇医者」って名乗っちゃおうZE!的な、中二病的な何かの力が作用しているのでしょうか。あるいは、無免許医師の先達である「ブラックジャック」をリスペクトしているのか。闇医者だけに真相は闇の中です(上手いこと言ったつもり)。

 あとは、オペ時には毎回「怪体真書」から病魔の情報を得たり退治するための道具を出したりしていますが、連載が続くに連れてページ番号が同じなのに書いてあることが違う! みたいなことが起きないか心配です(まさに余計な心配)。

神のみぞ知るセカイ

 既に先週以前のエピソードの話になってしまいますが、対五位堂結編は本当に面白かったです。体が女になって精神が肉体に引きずられて絶望する序盤、その絶望は「駆け魂」の存在によってもたらされていることを自覚して反撃を決意する中盤、そして「乙女ゲー」のロジックで『万事を尽くして、後は信じて待つ』ヒロインに徹し、それが結果的に結を突き動かしてハッピーエンドに至った終盤と、どれも見応えがありました。改めてコミックスでじっくり鑑賞したいエピソードです。

 そして今週から始まったエピソードは、芸術家肌っぽくて明らかに存在自体がエキセントリックそうな春日檜。人気キャラの春日楠の姉ということもあり、今後の展開がかなり楽しくなりそうな予感がします。ここだけの話、「クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡」の佐久間絵美以来、ああいう頭にサングラス載せてるお姉さんキャラが好きなんですよ。

 今の「神知る」の面白さはかなり神懸かってますね。いやマジで。大丈夫でしょうか?(何が)

ハヤテのごとく!

 基本的に私はナギ派だと自負していたのですが、ここのところの展開を読んでるとアーたん派に転びそうです。助けて!(誰に)
 この世界は、アーたんが幸せになれるような場所になるべき。

ARAGO

 連載が始まってから今まで触れる余裕がなかったのですが、「ARAGO」は毎回楽しく読んでます。特にアラゴ(とユアン)の幼なじみであるリオが登場してからは、アラゴとリオの双方が相手に対してツンツンした態度を取りつつも徐々に信頼関係を築いていく様子がとても初々しく、何か妙に微笑ましいです。ツンデレ同士の恋愛ってのもいいものですね。
 個人的には、この二人の掛け合いを明らかに楽しんでるサリバン刑事に感情移入しつつ、ニヤニヤして読んでる次第です。若者同士のカップルの上に、人生の先輩に当たるおっさんを比較的重要なキャラとして配しているのが功を奏している感じ。さすがは「ダレン・シャン」でステキおっさんキャラを連発した新井先生。判ってますね(決めつけた)。

金剛番長

 最終回。金剛番長と日本番長による兄弟喧嘩で地球が破壊されそうになるものの、最後は兄弟が和解、地球の崩壊を食い止めてハッピーエンドという、このマンガらしく無駄にスケールの大きいクライマックスでした。
 「金剛番長」が連載開始時に狙っていたところとはちょっと違ったところに来ちゃったかな? という感はありますが、この作品本来のテーマである「ビックリ人間が大集合してすごいバトルを繰り広げるマンガ」については終始筋が通っていたので良しとしたい所存です。鈴木先生の次回作に期待。


サンデー新連載「國崎出雲の事情」第二話までの感想

國崎出雲の事情

 女形が登場するマンガといって真っ先に連想されるのは勿論「オヤマ!菊之助」ですが(いきなり)、「菊之助」が女形を学ぶという名目で女の子にエッチな事をするという、「ラブひな」とかそういうものが流行っていた90年代後半的なノリの判りやすいエロコメだったのに対し、この「國崎出雲の事情」の場合は『女形で女の格好をするなんて恥ずかしい』『でも女形として注目を浴びるのは気持ちいい』という相反する感情が主人公の中で交錯しつつドラマが進行して行く、一種のトランスジェンダーものとして描かれているところが、なんというかこう時代だよなあと思いました。
 ただ、主人公の出雲は既に女形として舞台に立つ快感を知ってしまっているため、今は「女形なんて」とツンツンしていても、話の展開的にはいずれデレて来ることは必至。主人公がツンデレなのもやっぱり時代ですね(決めつけ)。

 まあ個人的には「男らしさ」と「女形を演じること」は全く矛盾しないというか、むしろ女形とは「男」たるものを知り抜いた上で「女形」という名のアニマを演じるという意味においては男の中の男でなければできない仕事であると思っているので、最終的には出雲がその辺の感情的な折り合いをどう付けていくか? という形で話が進んでいくのではないかと思われます。

 あと第一話では加賀斗という女形が登場しますが、このキャラは立ち位置的に面白いです。出雲を女形の世界へと牽引する先輩キャラであると同時に、掛け算妄想要員としても機能するという抜かりなさが素敵。病弱気味なのも何かちょっとソソられます。この辺も時代という奴なのでしょうか。
 勝手に時代のせいにしつつおわり。


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