ふれるときこえる 一覧

はいてないことなんて些細な問題ですよと思ったサンデー14号感想

天野めぐみはスキだらけ!

 今回は浴衣ネタの定番であり、最強の飛び道具でもある「はいてない」ネタを繰り出して来た天野めぐみさんですが、今回の主題はむしろ「まーくんと手を繋いでみたい」というピュアな欲求のために彼女なりに頑張るかわいい姿を拝む点にあったと言えます。
 本当にありがとうございます

 何にしろ、彼女のピュアさ加減はこの世に存在していることそのものが奇跡のレベルであるので、関係者各位においてはその保護に全力を尽くして欲しいと思う次第です。具体的には、このマンガ面白いのでもっと続いて欲しいです。

なのは洋菓子店のいい仕事

 「菜花としらかわの共同作業」というセージの洋菓子屋としての理想が垣間見えた前回の学園祭パンケーキ回とは打って変わって、全てがゆるい感じの言葉メイン回でしたけど、さりげなく「言葉がセージの学校に転校して来る」という重要な情報が含まれている点は見逃せません。

 彼女の行動は全て「セージを籠絡してなのは洋菓子店を乗っ取る」という目的に直結しており、彼と同じ高校に行くことはその目的からすれば極めて合理的なんですけど、唯一にして絶対的な問題は、彼女が高校生活を無難に過ごしてセージとラブコメするような展開を繰り広げるのは彼女にはそもそも不可能であるということを、彼女自身が認識していない点です。
 今の状態の彼女が高校に入学したら、ラブコメどころか即「しきたりを知らない闖入者が騒動を引き起こす」系のスラップスティック学園ドラマに移行するのは必至の有様。いいですよねドタバタ学園モノ。「うる星やつら」以来のサンデーの伝統ですよね。色々な意味で楽しみです。

柊様は自分を探している。

 記憶喪失の検査のために入った病院で騒動を起こして脱出するって、「神聖モテモテ王国」のファーザーとやってることが一緒なのではないかと思いました。ギャワー。そう言えば彼女、常に男と物理的なトラブルを起こしているところもファーザーと共通してます。
 柊様って、謎の自称お嬢様だったり、23個くらいは秘密がありそうだったり、死んでも死にきれなさそうだったり、3つのノウハウがありそうだったり、にこやかな日本人女性の夢を見たり(正体か?)と、案外ファーザーと共通点が多いのでは? という気がして来ました。どうでしょうか(と言われても)。

 そんな彼女にとって幸運だったのは、彼女と同居しているのがボンクラなメガネスキーではなく、全てにおいてデキる男である白馬圭一郎であることだと思います。
 もし圭一郎が「もう、お前、好きに生きろ。だってお前の人生なんだから」と言って柊様を見捨てるような人物であったらこのマンガはそもそも成立しないことを考えると、やっぱり真のお嬢様には、お嬢様をお嬢様として立てることができる紳士の存在が必要不可欠なんだよなと思いました。
 お嬢様という存在は、周囲との関係性の上で成り立つものなのですね(感想?)。

ふれるときこえる

 ちょっと前までは『泉澤くんは、まだ人の心の声が聞こえることの残酷さをまだ判っていない! 彼を守るためなら、この私はなんだってやる! たとえ彼からどれだけ憎まれようとも、私が彼を人の心の声が聞こえる呪われた能力から救う!』とかっこよく悲壮な覚悟を決めてたはずのさとりが、今回は何かちゃっかり噪と仲良くなってフラグを立ててしまったところが面白いと思いました。

 このマンガは基本的に善男善女しか登場していませんが、さとりもその例外にもれず内面はものすごく良い子であり、噪達と付き合うことで彼女はいずれ本来の明るさを取り戻し、モリモリ可愛く魅力的になっていくんじゃないかと期待してます。
 ただ、さとりが噪達のグループの中で存在感を増して噪と仲良くなっていくことは、即ち現在の噪と結川と拓海の微妙な三角関係を突き崩すことを意味する訳で、いずれ彼らは善男善女の仮面をかなぐり捨てて、これまでの関係を破壊するような本心をぶつけ合う日がいつかやって来ることでしょう。
 個人的には、その日が来るのを今からものすごく楽しみにしています(性悪)。

BIRDMEN

 アーサーの夢敗れるの回。
 端的に言えば「アーサー達は目立ちすぎたのでEDENの大人達の判断で処分された。汚いさすが大人汚い」という話でしたが、彼らが壊滅する前の夜にアーサーとロビンがいちゃついてるシーンを入れることで「深夜のキャンプ場で男女がいちゃつく→死亡フラグが立つ」という基本的なプロセスをきちんと描写しているのは丁寧さを感じました(多分感心するところが間違ってる感想)。

今際の国のアリス

 最終回。実質的な話は前回で終わっていたので、最終回にはどんな話を持ってくるつもりなのか? と思っていたら、何かものすごくエモーショナルな表現をして来たので驚きました。
 いわゆる「デスゲーム」というジャンルは極限状態におかれた人間の有様を描くことが主眼であることを考えると、究極的にはこういう形でエモくテーマ性を全面に出すのも漫画表現としてはアリなのかなと思います。

 そして「今際の国のアリス」というタイトルが、死と隣合わせのデスゲームの有様を表現したものではなく、文字通り登場人物たちが今際の際にいたというダブルミーニングになっているのは上手いなーと感じました。長い間おつかれさまでした。

絶対可憐チルドレン

 「スリーピングビューティー」を自称する不二子ちゃんが久しぶりにその眠りから復活。でも、何かこうあからさまに様子がおかしいというか、サンデー13号のハシラで既に「黒い幽霊の計画は、不二子にレアメタルを植え付け実行段階へ」って堂々と書かれてしまっているので、もう「実は叙述トリックでした」とか言い訳できないレベルで「黒い幽霊」にヤラれてしまっていることが明確になってしまいました。

 「黒い幽霊」に精神をヤラれてしまった結果、彼女は何かいつにも増して性格が悪くなっていますが、なんだかこれはこれでというか、こういう不二子も割とアリなんじゃないかと思えてしまうところは、彼女の人格の賜物だと言えましょう(ひどい感想)。
 普段の態度がアレなだけに忘れがちなことではありますが、彼女も兵部と同様に戦中戦後におけるエスパーの歴史の闇の部分に浸かりつつ、己の理想のために社会を相手に戦い抜いてきた人間であることは間違いはない訳で、「黒い幽霊」によってその闇の部分が増幅されることは十分に考えられます。

 サンデー14号の冒頭で、兵部が不二子の悪夢を見たことから推測すると、最終的に不二子を「黒い幽霊」から解放するのは兵部の役目になるんじゃないのかな? という気はします。
 過去への執着を捨てて闇に囚われることを止めた兵部が、再び過去の闇に飲まれようとしている不二子を助け出す──という物語がもし本当に展開されたらとても美しいと思うんですけど、でも色々とひねくれている兵部と不二子のことなので、これから相当ひねくれたことになるのではないかと思います。この二人が今更ラブにコメるとか想像できないですしねえ。

今際の国のアリス(17) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2016-02-19)
売り上げランキング: 738

最終巻となる18巻は4月発売の模様。最終戦となるハートのクィーン戦は驚きの連続でした


今年は地蔵系女子がモテる!(モテない) サンデー8号感想

ふれるときこえる

 さとりさん、「噪の片思いが成就して自分が失恋しないと噪に感染ったサイコメトリー能力が消えない」ということが判っていながら、何故ここ一番でキメ台詞を言う時に限ってわざわざメガネとマスクを外し、己に秘められた美少女っぷりを噪にアピールしながら「あなたの恋を応援させてください!」って言い出す矛盾した行動に出るんでしょうか。
 叶わぬ恋と判っていながら、惚れた相手には自分を見てもらいたい複雑な乙女心って奴なんでしょうか? それとも露出するのが楽しいの?(ひどい)

 何にしろさとりさんは「メガネを取ったら美少女」という古典的なギャップ萌えという武器を持っているので、何かの間違いでその素顔がクラスメートに知られてしまったら、まかり間違いなくギャップ萌え属性を持つやっかいな男子たちに惚れられること必至だと思われます。これまでの話の中では、彼女は自分を犠牲にしてでも他人を思いやることができる優しい性格であることも明らかになってますし、彼女は本質的にはそこまでモテないタイプではないと思うんですよね。
 今は己のサイコメトリー能力を忌避して人との接触を極力断って静かな地蔵でいることを望んでいる彼女ですが、最終的には彼女も救われて欲しくはありますね。今は自分のことで手一杯な噪ですが、性根が優しそうな彼のことなので、自分が救われるためにさとりばかりに犠牲を押し付けることになる今の状況を何とかしなければ、と思うようになるのではないのでしょうか。

 何にしろこのマンガ、今のところ本当に善男善女しか出てきていないので、このマンガを読んでいる間はこんな清らかな心境になっていいのかしらと思えるくらいにピュアな気持ちになれます。歪んだ美少女がわんさか出てくる系のマンガが大好きな私が、こんな優しい心境になれるだなんて…(感想?)

マギ

 平和な世の中になって失業中でプライドを失った元兵士たちを集め、「現在我が国は侵略されている!」と彼らが最も機敏に反応するキーワードを使って危機感を募らせ、抽象的な戦略を語って希望を持たせつつ「常住戦陣」な心意気を説いてやる気を出させる。
 更に、国家の象徴として幼い美少女である紅玉を起用して「幼い女帝がすごい壮大な演説をする」萌え要素を創出し、女帝に対する忠誠心と庇護欲を持たせる。

 今回の「マギ」は、「マギに学ぶ企業運営」というバイラルメディア向けの記事が作れそうなくらいの濃い内容だったと思います。
 経営ビジョンの実現のために社員にやる気を出させたい企業の社長さんは、まず自らの容貌と性格を紅玉みたいなウブでネンネな美少女に変革しつつ、アリババのような有能なブレーンを招聘するところから始めて見るのが良いのではと思いました。

BE BLUES!

 「一条龍はー!
 マネージャーで巨乳の幼なじみと、監督の孫娘でハーフJCを、フタマタかけてます!
 最近通訳とも怪しいんですよー!」

 紛うことなき事実じゃないッスか!
 何故真実を告発するジョージ達が迫害されなければならないんスか!

 そんなアレで、ついに公式に龍がモテモテに。龍が活躍するといずれこういうことになるのではないかと予想はしていましたが、実際に龍がモッテモテになってる様子を見ると、なんかこう「あの野郎モテやがって!」的な嫉妬心が湧いて来てしまいます(心が狭い感想)。
 その一方、最近は龍と一緒にレギュラーで試合に出ているはずの優人は全くモテていないようで安心しました。彼はうっかりモテると調子に乗って浮かれて失敗するタイプだと思うので、藍子っちーに片思いを続けているレベルで停滞するのが良いと思います。

 話としては、久しぶりに友坂にスポットが当たる形になりました。「監督は俺が気に入らないらしい」と友坂は言っていますけど、カウンターサッカーを志向していた頃のチームでは彼のボールキープ能力は必須でしたが、今のショートパス主体の戦略には噛み合っていないということなのかも。
 また、今のチームでは友坂に変わってコーメイがすっかり重要なポジションにいることも判りました。サッカーチームは監督が違うとここまで変わるものなんですねえ。

サイケまたしても

 連載再開。能力を使いすぎてついにサイケが倒れてしまい、その結果自分が守ると決めた蜜柑を泣かせてしまったことにショックを受けた彼は、自らの能力の消滅をかつての敵・黒田に依頼するという展開に。
 自分の能力を使うことが本当に正しいのか思い悩むことは、真のヒーローを志す者なら誰もが一度は通る道です。彼の選択が今後どのような結果をもたらすのかはまだ判りませんがサイケの「ヒーロー」としての戦いが新しい局面に入ったことは間違いなさそう。

 ところでサイケの能力は「特定の池で溺れ死ぬことで、その日を最初からやり直せる」ということになっていますが、もし「特定の池で溺れ死ぬ」ことが条件なのではなく、単に死ぬことが能力発動の条件だったらものすごく辛いことになりそうと思いましたが、何かものすごく怖くなってきたのでそういう想像は止めました(感想?)。

最終回:AREA D

 なんだかんだで長期連載となった「AREA D」もついに完結。終盤の巻きっぷりを考えると、完結というよりは「打ち切り」と言わなければならない感じがするのは残念なところ。
 七月鏡一・梁慶一両先生の次回作に期待します。

 第二部では、やっぱり前身からごっつい銃がニョキニョキ生えるマリの素敵っぷりが目立ちました。身体から武器が生えてくる女子ってのは、空から降ってくる人間じゃない美少女と並ぶ男のロマンです(断言)。

絶対可憐チルドレン

 名探偵(自称)兵部京介が介入し、いよいよバベルに潜入した「黒い幽霊」のスパイ探しの展開が本格的なものになって来ました。
 現段階ではやはり以前亀のうんこを食らった賢木が、自ら「こんな犯罪者と一緒にいられるか!」とフラグを立てる台詞を言うなどしていて怪しさ一歩リードといった感じですが、この辺は叙述トリック的な演出であることも十分考えられるので、まだ何とも言えません。

 個人的には、「容疑者」の中に朧さんがいるのが、何だかちょっと嬉しいです。
 今の彼女の姿からは信じられないかも知れませんが、「絶チル」の連載が始まった頃の最初期では、彼女は前髪を半分下ろして素顔を見せないミステリアスな女性という位置付けになっており、「もしかしたら彼女は、バベルの予知を操作しているのでは?」という要素を匂わせなくもないような演出がなされていたような記憶があります(遠い昔のことなので若干表現があやふや)。

 今ではすっかり落ち着いている彼女ですけど、ここら辺でひとつ昔のミステリアスさを少しでも取り戻していただけたら嬉しいかも、とか思ってます。
 ここだけの話ですが自分の中では、「絶チル」の朧さんと「ハヤテのごとく!」のマリアさんは、少年サンデーにおける「連載始まった頃は主人公が憧れる素敵な女性でしたよね?」と過去形で語られる二大がっかり女子という位置付けです。

絶対可憐チルドレン 44 (少年サンデーコミックス)
椎名 高志
小学館 (2016-01-18)
売り上げランキング: 259

賢木が松風のペットの亀からうんこを食らう衝撃の展開を見せるエピソードが掲載されたコミックス44巻が発売になりました


今年もよろしくお願いします。サンデー2016年4+5号感想

ふれるときこえる

 メインヒロインのさとりのメガネ+マスク姿を見て、藤子・F・不二雄先生の「耳太郎」に出てきたテレパスのおじいさんを思い出した勢の人?(挨拶)

 「ノゾ×キミ」の本名ワコウ先生の新連載が開始。「ノゾ×キミ」は「覗く」という視覚的な要素をテーマに男女の心理の探りあいを描いていた作品でしたが、今回の「ふれるときこえる」は文字通り「相手に触れると相手が何を考えているのかが判ってしまう」超能力を持ってしまった高校生の男子が主人公ということで、今度は触覚をテーマにしていることが伺えます。触覚と書いておさわりと読むアレです。

 並の高校生男子だったら、こんな能力を持った暁には周囲の女子に触って触って触りまくってゲスい欲望を満たそうとすること必至であると思うのですが(その後女子の思考の闇の深さに怯えて絶望するオチ)、残念ながら今作の主人公の噪君は意中の同級生女子に触って誰が好きなのかを確認しようとすることすら躊躇してしまう紳士な好青年なので、あんまりゲスい展開にはならなさそうなのが残念です(そもそもそういうマンガじゃない)。

 「さわるときこえる」能力を彼に与えたさとりの能力の発動条件は「相手の男子を好きになること」なので、彼女に惚れられてしまった噪君としては彼女が自分を嫌ってくれるような行動をするしかないんでしょうけど、初対面のさとりに傘を差し出すイケメンっぷりからして、そういう態度を他人に取れるような人物ではないことは明白。さとりから意図しない能力を与えられ、しかも自分が親友との間で三角関係の渦中にあることを知ってしまった噪君は、果たしてこれからどう生きて行くのか。
 これまでの本名ワコウ先生の作品とはちょっとテイストが違った物語が読めそうで、今後の展開が楽しみです。

 あと、さとりが自分の脳力を噪君に明かすときにメガネとマスクを外したシーンは、「メガネを取ったら実は美少女」な演出って今でも有効なんだなと感心しました(そこか)。

天野めぐみはスキだらけ!

 サンデーSから移籍の新連載。基本的な話の構成が、ムチムチな身体に育ってしまったけど、そのことについてあまり自覚がないという、良い意味で純朴な女子高生の天野めぐみさんの日常を、幼なじみの学くんの(主に性的な)視点から観察して愛でるという形になっているのが特徴で、何というかこう「素晴らしい」としか言えない点が素晴らしいマンガだなと思いました。素晴らしい。

 また、ただ単に天野めぐみさんを(主に性的な)視点から観察して愛でるだけの話ではなく、第一話でめぐみが学と手を繋ぐ時に剣道でできた手のマメが少ない右手を差し出すところや、第二話で「天野がいないと平和だ」と言ってる学がさりげなくめぐみの帰りをバス停で待ってるところなど、双方がそれとなく相手を意識している幼なじみ同士の初な恋愛描写がさり気なく盛り込まれているところも良いと思います。
 総じて言えば、週刊少年サンデーに来てくれて本当にありがとうございます!という感想です。

 あと、「天野めぐみ」って我々の世代の人間だと知る人ぞ知る名作「菜々子さん的な日常」を思い起こさせる内容だなと思って久しぶりに読んでみたところ、「奈々子さん」ってこんなエロかったっけ? と思うくらいエロかったのでビビりました。「奈々子さん」と比べれば「天野めぐみ」は健全極まりないですよ。
 さすが「奈々子さん」は往年の「ホットミルク」に掲載されていただけのことはありますよねーとか変なところで感心した次第です(日記)。

初恋ゾンビ

 2015年後期のサンデーの大きな特徴として、「初恋ゾンビ」、「天野めぐみはスキだらけ!」、「ふれるときこえる」と、矢継ぎ早にラブコメ系のマンガを新連載として投入してきたことが上げられると思います。最近のサンデーで短い期間に連続してラブコメマンガが始まるのは、ちょっと珍しいのではという気がします。
 今から30年以上前、「うる星やつら」「タッチ」「さよなら三角」「ただいま授業中!」などのラブコメ作品を擁してジャンプに発行部数で肉薄した伝説を作って以来(参照)、「ラブコメのサンデー」はサンデーのパブリックイメージとしていまだに残っているものと思われます。サンデーの復活を目している現サンデー編集部としては、「サンデーのアイデンティティとしてのラブコメ」の復活、そしてあの頃の明るく楽しくライトな雑誌というイメージの復活も、また外せない要素なのかも知れません。

 そのラブコメ新連載陣の中でも、この「初恋ゾンビ」は、基本的には突然空から降ってきた人間じゃない女の子がパンツを無駄に見せて来る系の伝統的な明るく楽しくライトなエロコメっぽいマンガでありながら、イヴの存在の謎がこの作品の根幹となるミステリーとして成立している点、本来ならメインヒロインになり得る存在である指宿が複雑な事情で男装している点など、単なるエロコメで済ませるにはもったいない読み応えのある内容になっているのが、本当によくできていると思います。「ラブコメのサンデー」のイメージに沿っている作品という感じ。
 2016年にブレイクして欲しい作品の一つですね。

 本編の方は、「ギャルに恋心を抱いてしまったオタク男子の葛藤」を、『初恋ゾンビ』というこの作品特有のギミックを使って表現しつつ、このマンガの根幹となっているイブの存在の謎をより深めるエピソードも盛り込んであって良かったです。
 あと、「ギャルが清楚な格好をするとカワイイ」って演出も、「メガネを取ったら実は美少女」な演出と同様に古典的ながらも極めて有効なんだなと感心しました(そこか)。

ノゾ×キミ 8 (少年サンデーコミックス)
本名 ワコウ
小学館 (2015-06-18)
売り上げランキング: 36,776

「ノゾ×キミ」は、終盤のノゾミが本心を明らかにするまでの流れがステキだった記憶


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