ほの香さんは呪われてしまった。サンデー47号感想
なのは洋菓子店のいい仕事
一読すると「かの香→セージ→ほの香→タイム」な人間関係を淡々な雰囲気で描いたお話のように思えるのですが、つまるところ「ほの香さんの気は既に狂っています
」ということを改めて言いたいのではないかと推測しました。
今の彼女、パターンとしてはヤンデレの一種なんだとは想うのですが、初恋の相手に対して「死ねばいいのに」と思うくらいに拗らせている今の状態は、果たしてヤンデレというカワイイ言葉の範疇に入るのかどうかすら怪しいのではと思ってます。
普通のヤンデレさんは、相手のことが好きすぎて独占したくなった結果、ンもう刺し殺すしかないワ! ってところまで思いつめちゃう感じだと思うのですが、ほの香さんの場合はタイムの死を願うあまり、刺し殺すとかそういう生易しいレベルではなく、全人類を呪殺しかねない狂気を孕んでいるに違いありません(決めつけ)。
セージは「兄が既に死んでいることをほの香が知ったら悲しむだろうか
」と言ってましたが、それはこのマンガの中でいつかは明かされるヒミツでしょうから、いつかはほの香がタイムの死を知ることになるでしょう。
もし本当に彼女がタイムの「死」を知ったら、その時はいったい何が起こるのでしょうか。予測ができないだけに本当に怖いです。
「歴史のある洋菓子店と和菓子店の間で繰り広げられる『ロミオとジュリエット』的な悲喜劇」から連想される一般的なロマンスとは、ちょっと異なるところに突っ走ってますよねこのマンガ。いいと思います。
初恋ゾンビ
「指宿くん! 好きだ! オレと付き合ってくれ!
」
この時は『初恋ゾンビ』を消すための嘘だったんだけど、後で思えばこれが本当の恋の始まりでした…! 的な展開になるに違いないと思ってます。半分本気です。
暁の暴君
一真が柔道十段の老人・虎熊に勝負を仕掛けるという展開。
いわゆる「達人は保護されているッッッ
」的なアレで、多分虎熊さんはものすごい強いんじゃないかと予想されます。髪型がちょっと「鉄拳」の三島平八っぽいので、多分風神拳や雷神拳が使えると思います(柔道?)。
あと、現段階でのこのマンガのラスボスであるところの講英館の大嶽館長ですが、自分の配下の柔道家達と一真の戦いを遠くから不敵な笑みを浮かべて見守るとかいう大物のラスボスっぽいことは全くせず、わざわざ毎回登場しては自ら一真を策略にはめようとするセコさというか器の小ささを露呈しており、とても好感が持てます。
多分この人、一真のことが気になって仕方がないというか、多分もう一真のことが大好きなんだと思います。
前回からは新聞部の女子がレギュラーキャラとして登場していますが、主人公のことが大好きなヒロイン力的には圧倒的に大嶽館長の方が高いですね。このマンガのヒロインは大嶽館長で決まりですね。
競女!
今回の「競女!」は、「尻を突きつけられた!?
」から始まって、あまりに『しげ夫の網パンツ』のパワーが強いために水着が入ったケースに胸を近づけるだけで立ってしまう乳首、ちょっとイイ台詞的なノリで繰り出される「尻は道連れ世は情け
」という諺、そして「先輩、後輩の尻束固まり
」って書かれたラストのアオリに至るまで、この作品世界における競女ファイターの尻と乳が如何に我々の常識からかけ離れていて、それでいてそのギャップが如何に面白さを生み出しているのかを、流れるような展開で表現していると感じました。
このマンガ、やっぱり頭おかしいけど面白いです(最高級に褒めてます)。
tutti!
『君の瞳に恋してる』(曲名)と桜井さんが言っただけで周囲の部員共がドキドキしてしまうという、桜井さんにサークルクラッシャーの才能の鱗片を見てしまったエピソードでした。
あんな小さな部活で唯一の女性ですし、彼女が本気でおんなのいろけ(何故かひらがな)を部員たちに醸し始めたら、あっという間にサークルは崩壊してしまうに違いありません。桜井さんが純粋に音楽が大好きな女の子で本当に良かったです。
個人的には、彼女には実はオケ部部長との音楽性を巡る確執があって、あえてオケ部ではなく独立した吹奏楽部に所属して己の音楽を突き詰めようとしているとか、そういうドロドロしたハードコアな裏設定があって欲しいと思っていたんですけど、「tutti!」ってやっぱりそういうマンガじゃないですよねー(感想?)。
読み切り:空に想う
物語の舞台が夏休みの閑散とした図書館、登場人物は実質的に男女の二人だけというミニマル極まりない設定なのにも関わらず、この二人が一緒に「物語」を大真面目に創作していくやり取りだけで24ページの作品を作り上げていることに驚きました。
「作文をヤギに食べられる」オチをギャグではなく真面目にやらかしているのも凄いです。そういうことが許される世界観を作り上げている、という意味で。
話としては、主人公が女の子と共に物語を創作していく楽しさに目覚めて行く過程をポエジックに描いた爽やかな青春物語なんですけど、自分の心が穢れているせいか「これって図書館で男女が『物語を創作する』ことを口実にイチャイチャしているだけなのでは?」と思ってしまいました。
誠に遺憾に存じます。
絶対可憐チルドレン
自分が生まれた家の近くには小さな製紙工場があって、よく工場の倉庫に忍び込んで遊んでいたりしたんですが、原紙のロールって本当に巨大で重いんですよね。あんな巨大な質量のものをサイキックでボンボン飛ばす悠理のパワーは本当に底知れないんだなーと思いました。
彼女、製紙工場でフォークリフト代わりに働くといいのでは(まちがい)。
今回は悠理のバトルが物語の主題でしたが、「元ファントム・ドーター」としての彼女がベースにありつつも、その上で「黒い幽霊」と戦って勝ち得た自分自身の強さと、「仲間と共に戦うことでより強くなれる」今の彼女の心意気を垣間見ることができたと思います。
あとは、ちょっと上手いこと言ってドヤ顔して見せる辺りは、戦闘中でも彼女が基本的には天然ボケキャラであることを忘れていない感じが伺えて良かったです。
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言葉が登場する2巻からが本当の「なの菓子」の始まりなような気がします