感想 一覧

「結界師」のカケル×ミチルは百合的にイケるのかどうか判断が難しいサンデー34号感想

7/29追記あり:

ハヤテのごとく!

 ハヤテにとっての「宿命の女」、より格好良く書くとファム=ファタールであるところの、天王洲アテネことあーたんがついに再登場。ハヤテとの偶然の再会で沸き上がった感情の昂ぶりをわざわざ小指を噛みながら表現するシーンはたいへんにエロティックであり、「ハヤテ」史上最も存在自体がエロいキャラの面目をさっそく躍如させてます。
 幼少期ですら退廃的なエロスをあれだけまき散らしていた彼女ですから、あれから10年経った今では更にそれに磨きがかかっているに違いありません。今後の彼女の一挙手一投足に注目です。性的な意味で(ひどい感想)。

 しかしアテネとハヤテの関係は、例え互いに愛し合っているとしても、同時に傷つけあわないと済まされないような、そんな激しい関係であるような気がします。ドラマチックではあるけど、結局最後には破綻することが宿命付けられているような。
 ハヤテが平和な人生を歩みたいのであれば過去を忘れて新しい恋を見つけるべきで、実際彼の周りにはそれができるだけの女性が沢山いて彼を待っていたりするんですけど、しかしこうしてまた再びアテネと出会ってしまったということは、結局そう簡単に過去からは逃れられないし、ハヤテには平穏な人生は歩むことはできないということなのでしょう。天然ジゴロも楽じゃないのね。

マギ

 アリババがアラジンの大切さに目覚めるの巻。しかしようやくアリババがアラジンのかけがえのなさに気付いたその時、アラジンを狙う新たなるライバル・ジャミルが姿を現して唐突に熱烈なアプローチを仕掛けてきたよ! 果たしてアリババの愛は報われるのかな! という展開であると解釈しました。大枠では多分それほど間違ってはいないと思います。

 あとは直接は関係ないですが、領主ジャミルの奴隷少女であるモルジアナがイイですね。何がイイって、あの全てを蔑んでいるかのような、サディスト的ながいいです。あの冷たい目で見つめられたら、サンデーの男性読者の八割を占めるであろうマゾヒスト達はそれだけで昇天しかねません。
 おそらくは奴隷という立場が彼女の瞳をそうさせているのでしょうが、彼女の主のジャミルはこの彼女の瞳を見たいからこそあえて奴隷にしているのかも知れません。ということはあのジャミルもマゾヒストなのか。夜な夜な「僕をその冷たい目で蔑んでおくれ」とか懇願してるのか。さすがアラビアンの世界は違いますね(違います)。

 オリジナルの「アリババと四十人の盗賊」では、モルジアナは迫る盗賊達を知略でブッ殺してアリババの窮地を救う聡明な女性として描かれているので、おそらくは今後も彼女が物語の大きな鍵を握る存在になると思われます。全マゾヒストはモルジアナに注目のこと。

ジオと黄金と禁じられた魔法

 先週提唱したこの作品の略称「ジオとと」でググってもこのサイトしか引っかからくて残念です(本気だったのか)。まだ「ジオ禁」の方が通りがよさそうな感じ?
 それで「ジオとと」ですが、自分の観測範囲でもそのあまりに異質な絵柄などに対してかなりの拒否反応を示している人がいるみたいで、久しぶりにサンデーに「問題児」が登場したなという実感が湧いて来てます。この反応をサンデー編集部が織り込んでいるのであればまさに「計画通り!(AA略)」なのでしょうけど、実際サンデー編集部がそこまで計算しているのかどうかは謎です。計算してないのかも知れない。

 今週はこの作品世界における「街」が初めて登場したのですが、出てきたキャラがパンクロッカーチックな金髪メガネだったりヘビ柄の服を着たスキンヘッドだったりと、何か妙に70年代のパンクロックテイストな雰囲気を醸していたのが気になります。
 第一話の段階では、「魔法」とそれが持つ「力」の描写に注力したハイ・ファンタジーな物語を展開するのかと思っていたのですが、今回は魔法使いには認可証が必要とか、魔法使えるから俺たちがこの町の法律だぜヒャハー的な俗っぽいザコが出てきたりとかしたところを見ると、もうちょっと緩めなファンタジーを狙っているのかも知れません。
 このままだと、ジオが魔法認可証を獲得するために格闘大会に出場するみたいな展開になっても不思議ではないなと思いました。このマンガの掲載誌がサンデーじゃなくてジャンプだったらそうなりかねない流れ。足払いキャンセル花咲かす魔法で攻撃とか(何それ)。

以下、7/29追記:

電脳遊戯クラブ

 おそらくこれ読んだ現役プログラマの方々は総出で突っ込んでいるとは思うのですが、「もしも0なら」を(コンピュータ言語で)「if (0) { ... }」と表現するのは間違っています。このif文は(「もしも0なら」ではなく)「0が真かどうか」を意味しており、コンピュータの世界では0は真ではなく常に偽であると決まっているので、このif文は結果的に何もしません
 コンピュータ言語の世界では、一般的に「もしも0なら」をチェックしたい場合は「何を0と比較するか」を明示的に指定する必要があり、その「何」にあたるのが変数と言われるものになります。例えばXという変数に入っている値が0かどうかをC言語で比較したい時は、「if (x == 0) { ... }」と書くのが普通です。以上解説おわり。

 あと何かニシン君はゲームの基礎部分を作ろうとして躓いているみたいですが、今回作ってるエッチゲーはコマンド選択式のよくあるアドベンチャーゲームなんだから、全て一から自分で作ろうとしないでNScripterなどの稼働実績があるフレームワークを使った方がよくなくない? その方がエッチゲーの核であるシナリオ部分の作り込みに集中できて制作のモチベーションも上がるし、開発工数も少なくて済むんじゃね? と思ってしまうのは、自分が職業プログラマだからなのでしょうか。

アラタカンガタリ

 コトハの「アラタ様にだったら、私何をされても…」という台詞を聞いた時のカンナギ様の喜びっぷりが、頭の中がエロ妄想でいっぱいな中二男子チックで面白かったです。
 あと仮にアラタがコトハと一緒に大人の階段登ろうとしても、あれだけ緊張してると多分失敗すると思いました(感想)。

はじめてのあく

 この前部屋を整理していたら、藤木先生が「こわしや我聞」の連載が終了した頃に作ってコミケで領布した同人誌『夏休みの友』が出てきました。もうこの本が出てから3年も経つんですよね。
 あの頃の藤木先生は、同人誌というアンオフィシャルな場所じゃないと自分のマンガの女性貧乳キャラを脱がすことができなかったシャイボーイだったものでしたが、あれから様々な紆余曲折を乗り越えて大きくなった今の藤木先生は、本編でヒロインの貧乳キャラを堂々と何度も脱がした上、「うら若き男女が二人きりで旅行」だなんてドッキドキなシチュエーションのエピソードまでこなせる余裕と貫禄を身につけた、立派な少年マンガ家に成長したのです。何か嬉しくなって来ちゃいます。
 そういう訳なので、ジローとキョーコがうっかり大人の階段を登っちゃいかねないようなドッキドキなエピソードを期待したいところです。いや絶対にそうならないことは判っているんだけど。

 そして、エーコ姉さんは実家に帰ったら大姉上に酷い目に遭わされる運命になることを、もうちょっと自覚した方がいいと思いました。


遅くなりました(いつものことです)サンデー33号感想

結界師

 良守が修行の果てに生み出した「極限夢想」はスゲエぜの巻。「極限夢想」は、要するに「スタンド」みたいなものだと解釈してます。能力そのものが姿形を取って具現化したものっぽいので。
 ただその良守の「極限夢想」たる「しぐま」は、見てくれが海外のトランプのジョーカーに描かれているような萌え要素皆無のクラウンみたいなデザインで極めてキモいっつうか不気味なので、どう考えてもマスコットキャラになってクレーンゲームの商品になるようなタイプではないなあと思いました。いやまあ、ここで「神のみぞ知るセカイ」のよっきゅんみたいな萌えキャラに出てこられても困るんだけど(萌えキャラ?)。

 個人的な感想ですが、「しぐま」の喋り方はどことなく火黒に似ているような気がしました。火黒はピュアに人を斬る道を極めちゃった挙げ句エンディングの向こう側にまで突き抜けてしまった存在でしたが、良守にもそうなっちゃうだけの資質があるのかも知れません。今の良守も割と黒い感じしますし。
 「しぐま」に染まってだんだん黒くなっていく良守に対して「そんなの良守じゃない!」って言うヒロインキャラの座を射止めるのは時音になるのか、それとも閃ちゃんになるのか。その辺を今後の見所にして行きたいです。

最強!都立あおい坂高校野球部

 あお高は守備ができない神木に対してバント攻撃をしかけて攻略するんじゃないかと思ってはいましたが、まさか「あお高」界きってのマスターオブ凡人であるところの我らがキャプテンがやってくれるとは痛快です。凡人が超人を制したよ! 多分、今がキャプテンの人生最良の瞬間ですよ! もう次はないかもよ!(ひどいよ)
 これからあお高は下位打線に入るわけですが、ここでもバンドばっかりやって完全に神木をキレさせたら「砂漠の野球部」みたいで格好いいなあ。どうなるんだろう。

金剛番長

 「細胞がスジを通した。
 サンデー33号でもっとも面白かったのがこのコマでした。
 今回、細胞がスジを通すと何で環境への適応をも超越して進化の極みを超えられる存在になれるのかという理由は全く解説されていませんが、連載開始直後から今までの間、主人公の金剛番長が「スジを通す」というただ一点を行動原理として活躍してきた結果、この無茶な言葉にも読者を「スジを通しているなら仕方がない」と納得させるだけの説得力を帯びさせることに成功しています。
 エンターテイメントにおいて、物語に一本スジを通すことの大切さを、このマンガ自体が体現していると言えましょう。正直感動しました。さすが「金剛番長」は違う。馬鹿馬鹿しさが(褒めてます)。

電脳遊戯クラブ

 「編集部注)この作品での『エッチゲー』は、中高生でもできる健全なものです
 これって「この作品に登場する人物は全て18歳以上です」とか「作中の登場人物に血縁関係はありません」とかと同じくらい説得力がないと思いました。マンガの中で出てくる「家族にエッチゲーをしていることに気付かれない方法」って、完全にエロゲーとかアダルトビデオを家族に内緒で鑑賞する方法論と一緒だもんなあ。いや、私はオトナなのでその辺は大人の事情で華麗にスルーしますが。
 とりあえず、こういうのは本人が気付かれていないつもりでも「それでもママは何でもお見通しだ」というオチに終わることが多いので、みんな母親には親切にしておいた方がいいと思います。

アーティストアクロ

 連載序盤はあまりに生身の女性キャラが出てこなかったため、「アーティストアクロに女はいらない」がこの作品のモットーではないかと思われていた(というか自分が勝手に決めつけてた)ものでしたが、ついにアクロに好意を持ってる美少女キャラが登場するフェイズに突入。読者にとっては微笑ましいことですが、アクロのことが大好きなデコにとっては一大事になりそうな予感がします。負けるなデコ(何となく)。
 にしてもアクロは7歳にして年下にしか興味がない真性だったとは。幼女しか愛せない少年マンガの主人公って、冷静に考えると凄いですよね。時節柄。表現の自由って素晴らしいです。


魔法使い(ネットスラング的な意味で)の皆さんこんにちは!サンデー33号「ジオと黄金と禁じられた魔法」感想

ジオと黄金と禁じられた魔法

 新連載。作者の桐幡歩先生は、かつて(椎名先生の読み切り「破壊僧ジョドー」が掲載されていた)サンデー超増刊に載っていた新人コミック大賞入選作「魔法の卵使い」を読んだ時から、「絵柄や作品世界は個性的で凄いものを持っているけど、少年誌でやるには向いていないんじゃないか」と思っていた人で、その後何度かサンデーに掲載される作品を読んでも、その認識は変わりませんでした。
 そして今回の「ジオと黄金と禁じられた魔法」も、また桐幡先生の特徴であるところの「独特の絵柄と世界観」を活かす為、安易に表現方法を少年マンガ向きにチューンしないまま誌面にぶつけて来た感が強いです。おそらく作者の側は、初連載作品にして早くも「オレはこういうマンガしか描けないんだ」と覚悟を完了させていると思われます。ジャイガンスティック!(専門用語)
 ちなみに、68ページもあるのに登場人物がわずか4人、それも主人公のショタっ子以外はじじいロン毛冷酷眼鏡という男性読者に全く媚びていないラインナップなのも凄いです。しかも唯一の希望のショタっ子も、最後の方ではもはやショタと呼ぶには微妙な年齢の少年に成長してしまってますしね。こんなところからも桐幡先生の本気っぷりが伝わってくるというもの。

 作品としては、「魔法使いになって弱くなる奴もいる」という台詞が強調されていることからも判る様に、テーマとしてはいわゆる “With great power comes great responsibility”(大いなる力は大いなる責任が伴う)路線になるものと思われます。この世界における最強の魔法「禁呪」を手にすることとなった少年ジオは、「禁呪」の力に溺れることなく、たった一人で「世界一の魔法使いになる」という極めて漠然とした目標に到達することができるのか否か。多分そんな感じ。
 真面目にやろうとするとかなり壮大なスケールな作品になりそうですが、とりあえず個人的にはこの読者に媚びない覚悟完了っぷりを貫いて頂き、桐幡先生ならではの作品世界を存分に描いて欲しいです。個人的に昔から注目していた作家さんなので、頑張って頂きたい所存。
 でも、できれば「鬼月」に出てきたようなミステリアスな美少女キャラも出して下さい(弱い)。

 あと「ジオと黄金と禁じられた魔法」はタイトルが長くて呼びにくいので、編集部側で適当な略称を付けるべきではないかと思われます。同系のネーミングのゲーム「剣と魔法と学園モノ。」の略称が「ととモノ」なので、このマンガは「とと禁」や「ジオとと」とかは如何でしょうか。もはや何のマンガか判りませんが。


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