ビッグカツは酒のつまみに最適記念 サンデー16号感想

だがしかし

 今回のお話は、端的に言えばほたるとココノツがビッグカツをネタにイチャイチャしてる話だよなーと思いましたが、ビッグカツが豚肉ではなく魚肉であることを指摘するココノツに対して「とんかつ」とグルグル目で強弁するほたるからは、「駄菓子コメディ」というこのマンガのジャンルが普段は覆い隠している、ほたるが抱えている内面の狂気が垣間見えたような気がします。あの表情はやっぱりヤバいですよほたるさん。

 実は彼女はああ見えて立派な(駄菓子の)狂人なのだという基本的な設定を、改めて再認識させられました。彼女は美しかったがイカれていた! 駄菓子マニアだった!

ふれるときこえる

 「主人公とヒロインがクラスメートの困り事を解決する」という、前の連載の「ノゾ×キミ」路線を彷彿とさせるお話でした。
 物語としては、主人公の噪君が、やっかいなサイコメトリー能力を他人を助けるためにも使えることに気付いた、という意味で極めて重要なエピソードだったと思うのですが、なによりこういう日常的な話を織り交ぜる余裕が出てきたということは、しばらくは連載が継続される見込みが付いたんだなあと思いました。良かったです(エラそうな感想)。

 あと今回の隠れたテーマは「さとりの眼鏡は伊達メガネであり、メガネをかけた彼女の姿は『自分の本性を隠すためのペルソナ』に過ぎない」ことが明らかになった点だと思います。つまり、彼女が自分の本性を隠す必要がないと自分で判断したらいずれ彼女はメガネを自ら外す時が来るでしょうし、この作品の最終的な終着点もおそらくはそこになるのでしょう。
 このまま噪達と明るく楽しいリア充ライフを繰り広げていれば、いずれ彼女はメガネを外して自分の本当の姿を晒してしまうことは必至なんでしょうけど、個人的なこのマンガ最大の見せ場はやっぱり「普段は冴えない容貌のさとりが、キメるべき時にはメガネとマスクを外して美少女面でバッチリキメる」点にあると思っているので、何とかしばらくは現状のコミュ障的な容姿と性格を維持して欲しいものだと思ってます(ひどい)。

暁の暴君

 一見するとただの非力なじじいだけど実は達人だった! というパターンが個人的に大好きなので、そんな達人じじいが三人も出てきて寄ってたかって将来有望な若者に己の技を伝授しているここ最近の「暁の暴君」のハヤト編はたいへんにツボです。ありがとうございます。自分も将来は若者に何かを伝授できる立派で偏屈なじじいになりたいですね。

 この展開の唯一の問題は、じじいから技を伝授されているハヤトは主人公でも何でもなく、まだ一真への挑戦者の一人に過ぎないという点です。柔道マンガの主人公としては最も正統派な位置にいることは間違いない彼が脇役に過ぎない辺りが、この作品がひねくれた柔道マンガである証左であると思ってます(ほめてます)。

アドアストラ ペルアスペラ

 主人公とライバルがモビルスーツで戦いながらお互いの主張を叫んでる! まるでロボットアニメみたいだ! もはやアニメ化必至の有様! と思いました(感想)。

 サテラの偏狭的な正義心は、まあ彼女の生い立ちからして致し方ないところはありますけど、彼女の純粋な「正義」の心を利用して彼女を戦わせようとする彼女の上司はとてもタチが悪いなと思いました。ああいう大人になっちゃダメですよ皆さん(娯楽マンガから教訓を得ようとする努力)。

競女!

 「ご存知の通り、競女ルールにおいて、水着の80%以上の破損はレース続行不能とみなされ、ポロリ負けとなります!」  

 ご存知ないよ! 今まで散々ブラを外しておっぱい振り回したしてたのはポロリ負けにならないのかよ! 「これは尻と水着による協奏曲『春』だ!」とか上手いこと言ってる場合じゃないよ! と叫びたくなるのは山々ですが、しかしこのマンガはこれまで散々やらかして来た「競女!」なので、我々は今更このような理不尽に屈するわけにはいかないのです。
 いかなる理不尽にも屈することなく立ち向かう、それが競女ファイターの心意気!(鼓舞)

 でも、こうやって「ポロリ負け」という概念が提示されたことで、今回のような「相手の水着を剥がしてポロリ負けに追い込む」という形のバトルが可能となり、競技における駆け引きの要素が増えたと思えば、取ってつけたような今回の唐突なルールにも納得がいくというものですよ! と自己暗示をかけることに成功したので、また一つ自分は強くなれたような気がします。ありがとうございました(グルグル目で)。

読み切り:カナミの音楽

 ちょっと前にサンデー本誌に掲載された「ファンタスティックリンク」の黒郷ほとり先生が再登場。こうして新しい作品を発表したということは、昨年末の読み切り企画である「新世代サンデーグランプリ」を勝ち抜いたと解釈していいんでしょうか。
 「ファンタスティックリンク」にしろ今回の「カナミの音楽」にしろ、少女マンガに近いタッチの繊細な絵柄で、美しく幻想的な作品世界を創り上げるマンガを描く人だなあという印象を受けました。今のサンデーにはちょっといないタイプの貴重な作風だと思うので、サンデー編集部におかれましては大事に育てて頂きたいと思う次第です。いやマジで。

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この作品、連載開始当初からは想像もできないくらい精神的にタフな展開になるのではと危惧してます(危惧?)

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「エロすぎ!」問題を考える サンデー15号「競女!」感想

競女!!!!!!!!

 「エロすぎ!」ジャッジが読者を震撼させたことが記憶に新しい、今回の「競女!」。

 「競女!」を読み慣れている歴戦のサンデー読者の方々は、このマンガで起こる大抵のとんでもないことは「まあ、『競女!』がやることだから」とスルーできるようになっていると思われますが、今回の「エロすぎ!」発言は、そんな歴戦の強者達をもビビらせるに十分なインパクトを持っていたと思われます。

 「エロすぎ!」が何故そんなに読者に衝撃を与えたのかといえば、これまで散々「ブラを外して乳ビンタをする『パイ・パイル・パイパー』」、「おっぱいを高速で震わせることでおっぱいを透明化して相手の視覚を狂わせる『インビジブル・バスト』」、「一つの水着に二人の体を密着させてねじ込む『ヒップップ・トレイン』」など、通常の概念であればエロすぎと判断されて当然な技がごく普通に行われて来たのにもかかわらず、今回はジャッジがあえて「エロすぎ!」と警告を発した点にあります。
 もし競女というスポーツに相撲における「不浄負け」の概念があったらとっくに退場に値するような技がこれまで散々行われて来たのに、何故今回に限って「エロすぎ!」という警告が出てしまったのでしょうか。

 これは私個人の感想なのですが、これは実は「エロス」というものの本質に迫る問題なのではないかという気がしてなりません。

 もともと「競女!」という作品は、『女性同士が水着で尻相撲をする』というエロに直結しそうな競技をテーマにしているにも関わらず、女尻相撲というタームから連想されるお色気要素が全く含まれていません。サンデー編集部自らが「ヒロインが毎週裸同然でお色気をふりまいているのにファンからは特にそこを喜ばれるわけでもない」と広告で言ってしまっている(サンデー13号参照)ことからも、製作者側があえてエロを全面に売りとして出す形にしていないことが伺えます。

 実際、上記の例として上げた『パイ・パイル・パイパー』『インビジブル・バスト』『ヒップップ・トレイン』は、どれもみんな乳をほっぽり出したりしている技にも関わらず、絵面からは全くエロスを感じません。感じるのはエロスではなく、「何だかよく判らないけど何かすごい技だ!」という、視覚による圧倒的な暴力のみです。
 このマンガの本質は、プロの競女ファイター達が己の特異な肉体を駆使して戦いを繰り広げて勝利を目指す超能力バトルであり、彼女たちの乳や尻は皆すべてエクストリームな暴力によって勝利を得るための武器なのです。ここには、もはや「女尻相撲」という単語が本来発するべきファンタジーは存在しません。このマンガにおける乳や尻は、全て暴力です。
 乳も尻も暴力である以上、単におっぱいやお尻を露出してぶつかり合うだけでは、そこにエロスには発生し得ないのです。お分かりいただけるでしょうか

 しかし、今回ののぞみと宮田のバトルは、単なる暴力を超えた領域にまで到達しつつあるのではないか? と個人的には思っています。

 この二人は長年に渡る戦友であり、そしてライバルでもある訳なのですが、そのあまりの仲の良さから「この二人、実はデキてるのでは?」と周囲から疑われています(サンデー11号参照)。
 勿論本人たちはそれを口では否定するんですけど、今回のバトルにおいては宮田がのぞみに対して「あなたが一番だった!」「あなたにとって一番でいたいから!」と愛の告白にも等しい想いをのぞみにぶつけ、のぞみもまた「全力でぶつかろうや、相棒!」とその気持ちを真正面から受け止めている覚悟を示しているところからして、この二人はもう相思相愛の仲であることは疑いようがありません。

 相思相愛の二人が、乳首を立たせて体をぶつけ、尻を振動させて相手の身体を心地よくさせ、相手の名前を呼び合い見つめ合いながら、激しく下半身をぶつけあう。これって、もはやセックス以外の何物でもないですよね。万人が観戦する中で公然とセックスが行われれば、ジャッジが「エロすぎ!」と警告を発するのも致し方ありません。

 単におっぱいやお尻が露出してぶつかり合うだけではエロスにならないことは先程述べましたが、そこに「相手を愛し、思いやる感情」が加わることで、初めてエロスが生まれるのです。実際、今回の二人の対戦を「相思相愛であることが初めて判ったカップルが、自分の愛情を相手に激しくぶつけあっている」というメタな視点を加えた上で鑑賞してみると、何かこうとてつもなくエロく感じるものがあるのではないのでしょうか。
 競女における能力バトルに相思相愛のカップルが睦み合うエロの文脈が持ち込まれた結果、この勝負は著しくエロいものになってしまった。私はそう思うのです。

 今回のバトルがセックスの暗喩であると仮定すれば、ラストでお互いの水着が弾け飛ぶシーンってつまりお互いが同時に絶頂に達し(略)。

 以上、何故今回の戦いでジャッジがあえて「エロすぎ!」と警告を発したのか、その理由を私なりに考えてみました。如何でしょうか(目をグルグルさせながら)。

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空詠先生の出世作・揉み払い師がゲスト出演するコミックス10巻。
アニメ化決定で「オレは揉み払い師の頃から空詠大智先生に注目していたんだ!」って主張するファンが出そう。オレとか

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はいてないことなんて些細な問題ですよと思ったサンデー14号感想

天野めぐみはスキだらけ!

 今回は浴衣ネタの定番であり、最強の飛び道具でもある「はいてない」ネタを繰り出して来た天野めぐみさんですが、今回の主題はむしろ「まーくんと手を繋いでみたい」というピュアな欲求のために彼女なりに頑張るかわいい姿を拝む点にあったと言えます。
 本当にありがとうございます

 何にしろ、彼女のピュアさ加減はこの世に存在していることそのものが奇跡のレベルであるので、関係者各位においてはその保護に全力を尽くして欲しいと思う次第です。具体的には、このマンガ面白いのでもっと続いて欲しいです。

なのは洋菓子店のいい仕事

 「菜花としらかわの共同作業」というセージの洋菓子屋としての理想が垣間見えた前回の学園祭パンケーキ回とは打って変わって、全てがゆるい感じの言葉メイン回でしたけど、さりげなく「言葉がセージの学校に転校して来る」という重要な情報が含まれている点は見逃せません。

 彼女の行動は全て「セージを籠絡してなのは洋菓子店を乗っ取る」という目的に直結しており、彼と同じ高校に行くことはその目的からすれば極めて合理的なんですけど、唯一にして絶対的な問題は、彼女が高校生活を無難に過ごしてセージとラブコメするような展開を繰り広げるのは彼女にはそもそも不可能であるということを、彼女自身が認識していない点です。
 今の状態の彼女が高校に入学したら、ラブコメどころか即「しきたりを知らない闖入者が騒動を引き起こす」系のスラップスティック学園ドラマに移行するのは必至の有様。いいですよねドタバタ学園モノ。「うる星やつら」以来のサンデーの伝統ですよね。色々な意味で楽しみです。

柊様は自分を探している。

 記憶喪失の検査のために入った病院で騒動を起こして脱出するって、「神聖モテモテ王国」のファーザーとやってることが一緒なのではないかと思いました。ギャワー。そう言えば彼女、常に男と物理的なトラブルを起こしているところもファーザーと共通してます。
 柊様って、謎の自称お嬢様だったり、23個くらいは秘密がありそうだったり、死んでも死にきれなさそうだったり、3つのノウハウがありそうだったり、にこやかな日本人女性の夢を見たり(正体か?)と、案外ファーザーと共通点が多いのでは? という気がして来ました。どうでしょうか(と言われても)。

 そんな彼女にとって幸運だったのは、彼女と同居しているのがボンクラなメガネスキーではなく、全てにおいてデキる男である白馬圭一郎であることだと思います。
 もし圭一郎が「もう、お前、好きに生きろ。だってお前の人生なんだから」と言って柊様を見捨てるような人物であったらこのマンガはそもそも成立しないことを考えると、やっぱり真のお嬢様には、お嬢様をお嬢様として立てることができる紳士の存在が必要不可欠なんだよなと思いました。
 お嬢様という存在は、周囲との関係性の上で成り立つものなのですね(感想?)。

ふれるときこえる

 ちょっと前までは『泉澤くんは、まだ人の心の声が聞こえることの残酷さをまだ判っていない! 彼を守るためなら、この私はなんだってやる! たとえ彼からどれだけ憎まれようとも、私が彼を人の心の声が聞こえる呪われた能力から救う!』とかっこよく悲壮な覚悟を決めてたはずのさとりが、今回は何かちゃっかり噪と仲良くなってフラグを立ててしまったところが面白いと思いました。

 このマンガは基本的に善男善女しか登場していませんが、さとりもその例外にもれず内面はものすごく良い子であり、噪達と付き合うことで彼女はいずれ本来の明るさを取り戻し、モリモリ可愛く魅力的になっていくんじゃないかと期待してます。
 ただ、さとりが噪達のグループの中で存在感を増して噪と仲良くなっていくことは、即ち現在の噪と結川と拓海の微妙な三角関係を突き崩すことを意味する訳で、いずれ彼らは善男善女の仮面をかなぐり捨てて、これまでの関係を破壊するような本心をぶつけ合う日がいつかやって来ることでしょう。
 個人的には、その日が来るのを今からものすごく楽しみにしています(性悪)。

BIRDMEN

 アーサーの夢敗れるの回。
 端的に言えば「アーサー達は目立ちすぎたのでEDENの大人達の判断で処分された。汚いさすが大人汚い」という話でしたが、彼らが壊滅する前の夜にアーサーとロビンがいちゃついてるシーンを入れることで「深夜のキャンプ場で男女がいちゃつく→死亡フラグが立つ」という基本的なプロセスをきちんと描写しているのは丁寧さを感じました(多分感心するところが間違ってる感想)。

今際の国のアリス

 最終回。実質的な話は前回で終わっていたので、最終回にはどんな話を持ってくるつもりなのか? と思っていたら、何かものすごくエモーショナルな表現をして来たので驚きました。
 いわゆる「デスゲーム」というジャンルは極限状態におかれた人間の有様を描くことが主眼であることを考えると、究極的にはこういう形でエモくテーマ性を全面に出すのも漫画表現としてはアリなのかなと思います。

 そして「今際の国のアリス」というタイトルが、死と隣合わせのデスゲームの有様を表現したものではなく、文字通り登場人物たちが今際の際にいたというダブルミーニングになっているのは上手いなーと感じました。長い間おつかれさまでした。

絶対可憐チルドレン

 「スリーピングビューティー」を自称する不二子ちゃんが久しぶりにその眠りから復活。でも、何かこうあからさまに様子がおかしいというか、サンデー13号のハシラで既に「黒い幽霊の計画は、不二子にレアメタルを植え付け実行段階へ」って堂々と書かれてしまっているので、もう「実は叙述トリックでした」とか言い訳できないレベルで「黒い幽霊」にヤラれてしまっていることが明確になってしまいました。

 「黒い幽霊」に精神をヤラれてしまった結果、彼女は何かいつにも増して性格が悪くなっていますが、なんだかこれはこれでというか、こういう不二子も割とアリなんじゃないかと思えてしまうところは、彼女の人格の賜物だと言えましょう(ひどい感想)。
 普段の態度がアレなだけに忘れがちなことではありますが、彼女も兵部と同様に戦中戦後におけるエスパーの歴史の闇の部分に浸かりつつ、己の理想のために社会を相手に戦い抜いてきた人間であることは間違いはない訳で、「黒い幽霊」によってその闇の部分が増幅されることは十分に考えられます。

 サンデー14号の冒頭で、兵部が不二子の悪夢を見たことから推測すると、最終的に不二子を「黒い幽霊」から解放するのは兵部の役目になるんじゃないのかな? という気はします。
 過去への執着を捨てて闇に囚われることを止めた兵部が、再び過去の闇に飲まれようとしている不二子を助け出す──という物語がもし本当に展開されたらとても美しいと思うんですけど、でも色々とひねくれている兵部と不二子のことなので、これから相当ひねくれたことになるのではないかと思います。この二人が今更ラブにコメるとか想像できないですしねえ。

今際の国のアリス(17) (少年サンデーコミックス)
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最終巻となる18巻は4月発売の模様。最終戦となるハートのクィーン戦は驚きの連続でした

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