今のサンデーで一番カワイイのは指宿くんなのではと思える、サンデー25号くらいまでの「初恋ゾンビ」感想

初恋ゾンビ

 遅ればせながら、この前コミックス1巻を買いました。

 連載の方では指宿くんが回を追う毎にモリモリ可愛くなって来ていて微笑ましいんですけど、登場したての頃の指宿くんはタロウへの復讐に燃えていて態度や口調がえらい冷酷ですし、タロウはタロウで極力目立たずに要領よく日々を過ごすことだけを望む割とダメな男だったしと、今読み返すと「こいつら、この頃と比べると随分変わったなあ」と思えることしきりです。
 イヴの存在が、どれだけこの二人に強い影響を与えたかが伺えますね。

 「初恋ゾンビ」はそういったキャラの変遷も含めてたいへんに面白いので、みんなコミックスを買うが良いと思います(アフィリエイト活動)。

 そして物語的には、タロウへの恋心を取り戻して来ている指宿くんが、いつ「女」に戻ってタロウへ自分の想いを告白するのか(あるいはしないのか)? という辺りが長期的な視点における注目点になるのかなーという雰囲気になって来ました。
 指宿くんは、前回の話では(自分のことをイヴだと勘違いしていた)タロウから「キレイだ」と言われて著しく動揺してしまい、「自分がイヴじゃなくて指宿であることに気付いて欲しい」と自分から思ってしまう程にタロウのことを強く意識してしまっており、多分もう彼女は自分が初恋の相手であるタロウのことが好きだということを自覚せざるを得ない感じになっているものと思われます。

 しかし、彼女が今もって男でも女でもない「指宿くん」を演じている理由は、単に自分がタロウのせいで「初恋ゾンビ」という特殊な精神感応能力を得てしまったために普通の日常生活を送れなくなった恨みがあるというだけではなく、その精神感応能力によって(タロウを含めた)世の男女が様々な薄汚い欲望を抱えていることを知ってしまい、自分はそういうものにはなりたくないと拒否する心理が強力に働いてしまったがために、結果的に人間不信に陥っている面も多分にあることは間違いありません。
 かつての初恋の相手だったタロウが、自分とそっくりだけど本当の自分とは比べ物にならないくらいおっぱいが大きい「初恋ゾンビ」を連れて嬉しそうにしているのを見れば、まあウンザリしてしまうのも判ります。

 これが「絶対可憐チルドレン」だったら、登場する精神感応能力者たちは既に『人間はみんな汚いよ。汚い女よりも汚い男の方がイイ』とか割り切ることで葛藤を乗り越える覚悟を完了した猛者ばかりなので問題にならないのですが、残念ながら指宿くんはまだ「絶チル」のキャラ達のように汚れてはいないので、まだまだ彼女の葛藤は続くことが予想されます。
 指宿くんがタロウに自分の正体を明かして「女」に戻るためには、彼女が抱えている葛藤にタロウが気付いて解決してやる必要がありますし、指宿くんもタロウのことをイヴの存在を含めて認めて許してあげる必要があるものと思われます。難しいですね。

 あと、このマンガ最大の謎として、本来ならタロウの「理想の初恋の女性」の妄想に過ぎないはずのイヴに明らかな自我が宿り始めている点があるのですが、イヴが自我を持つのと指宿くんがタロウのことを意識するのには、多分何か関連があるのではないか? という気がしています。気がするだけだけど。

 以上の考察を踏まえた上での今のところの結論としては、江火野さんには幸せになってもらいたいです(おわり)。

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前作「ヒメゴト」は、一気に読むのがもったいないのでゆっくり読んでます。今3巻目

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コミュ症だって恋がしたい! サンデー25号「古見さんは、コミュ症です。」感想

古見さんは、コミュ症です。

 かつてサンデーにおいて、「一番湯のカナタ」以来となる『異星人が地球の温泉にやって来る』系SFコメディに果敢に挑んだことで個人的には評価が高い『デジコン』の作者・小田智仁先生が(オダトモヒト名義で)再登場。
 「古見さんは、コミュ症です。」は、以前掲載された読み切りバージョンをリブートする形で再登場することになった模様です。

 読み切り版の時は、作品世界はほぼ完全に主人公と「コミュ症の古見さん」が一対一で対峙する形で完結していましたが、今回は連載版ということで「上がり症の上野(あがり)さん」「ナルシストの成瀬くん」「幼馴染キャラっぽい長名(おさな)さん」「中二病患者の中々さん」「精神を病んでる山井さん」など、学園内に様々な個性的かつ安直なネーミングなキャラが登場することが既に予告されています。

 第一話では「上がり症」の上野さんがちょっとだけ出てきましたけど、彼女も古見さんに負けず劣らず、何というかこうもし彼女が実社会に存在したら三分くらいで世間のプレッシャーに負けて死んでしまいそうな感じのナイーブそうなキャラという印象を持ちました。自己紹介で全く喋れなかった古見さんも大概でしたが、上野さんも大概っぷりでは負けていなさそう。
 つまりこの学園は、あまりに個性的かつピーキーな性格を持つが故に、ごく普通の社会生活を送ることができなさそうなキャラばかりが集っていることが予想されます。

 そして、そんな過酷な猛者共が集う学園に放り込まれた主人公のマスターオブ凡人キャラであるところの只野くんは、「晴れて『友達』となったコミュ症の古見さんの願いである『友達を100人作りたい』を実現するため、相互意志の疎通すら困難を極めそうな学園の生徒達とコミュニケーションを取り、コミュ症の古見さんとの関係の構築を仲介しなければならない」という、かなり難易度の高そうなミッションに挑むことを余儀なくされることになった訳です。

 今回の第一話は、クライマックスにおける古見さんと只野くんの黒板での筆談の内容があまりに美しく感動的だったためか、この作品は「一風変わった感性を持った少年少女達が織りなす、ハートフルな恋愛ストーリー」であると認識している方が多いと思われますが、しかし作者のオダトモヒト先生は前作「デジコン」では惑星上の知的生命体を滅ぼすことを全く躊躇しない極悪な宇宙人達が地球で激しい戦闘を繰り広げ、ヒロインですら頭から血を流して死にかけるようなハードな展開を手がけていたことを考えると、ゆめゆめ油断はできないと考えるべきでしょう。
 「コミュ症」という、本来であれば精神的なケアが必要とされる障害を指すような言葉がカジュアルに使われているハードな現代社会において、理想的なコミュニケーションのあり方とそれを実現するための難しさを、如何にマンガを通じて見せてくれるのか。個人的にはその辺に期待していきたいと思います(大げさな感想)。

 なお、第一話の古見さんと只野くんの黒板での筆談ですが、サンデーの印刷具合によっては文字が潰れてしまって読めない場合があるとの話を聞きました(オダトモヒト先生のTwitter経由で)。できれば、クラブサンデーで第一話の電子版を掲載するなどの救済措置を取って欲しいですね。

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「古見さん」にも「デジコン」のヒロインのような硬派な女子キャラが出てくるっぽいので期待してます

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自分も寝る以外することがないとか言いたい サンデー24号「魔王城でおやすみ」感想

彼女の将来を期待させるカット
魔王城でおやすみ

 新連載。魔王の城に囚われの身となっているお姫様が、ただ寝る以外することがないので、せめて安眠を求めて魔王城の中を徘徊してアイテムを取得しつ就寝グッズをDIYしていく趣向の作品です。

 主人公のスヤリス姫は、見た目のみならず「己の睡眠欲のためなら魔物の殺害も躊躇しない」というちょっとわがままな性格も含めて大変に可愛らしいキャラであり、魔物も「でびあくま」を筆頭に可愛げがあるデザインのものが多いので、「ちょっと変わったファンタジー風コメディ」として人気が出そうだなーというのが第一印象です。

 ただ、このマンガの作者の熊之股鍵次先生は、かつてサンデーSにおいて『「クマのぬいぐるみ」を自称する全裸の男性が、主人公の高校生男子にモフられたい一心で彼の家に勝手に乗り込み、一つ屋根の下でひたすら彼に迫り来る毎日を送る』という、控えめに考えても頭がおかしい(褒め言葉)内容の「ぬいぐるみクラッシュ」を連載していた実績があるので、決して油断はできません。
 ですので、今のところはかわいくライトなコメディにしか見えない「魔王城でおやすみ」も、おそらく連載が続いていくうちに色々とおかしくなって行くことが予想されます。楽しみです

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登場人物は全て男かぬいぐるみという漢らしいマンガです(本当)

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