過去のサンデー振り返り型感想:サンデー35号の「BE BLUES!」でゼリー食べてた藍子の心の闇について

BE BLUES!

 ちょっと前の話になりますが、サンデー35号で藍子が風邪を引いて女子マネージャーチームがお見舞いに行った時の、「ゼリーうめえ。超うめえ。和菓子より全然うめえ」(要約)と呟きながら虚ろな瞳でゼリーをモリモリ食ってた藍子の姿が忘れられません。
 これまであまり隙を見せなかった藍子が垣間見せた、彼女の心の闇を象徴するシーンだったからでしょうか。

 物語的には、そこをきっかけに藍子が「自分は和菓子屋の跡取りにはなりたくないばかりに英語を独学で勉強して海外に脱出することしか考えていない、何も持っていない女」と自分の心情を暴露し、(何気に同姓を籠絡して自分に懐かせる必殺技を持つ)優希から「ちゃんと根性あるじゃん! イケるよ!」とフォローされて立ち直り、最後はチームメイトからベンチコートをプレゼントされて自分が武蒼に受け入れられて笑顔を取り戻す──という爽やかな展開を辿ることになるのですが、でも個人的には虚ろな瞳でゼリー食って本心を吐露していた藍子の姿もとても魅力的だったので、彼女にはあの時の心の闇を忘れないで欲しいなとも思いました。

 彼女は過去に「和菓子屋の跡取り」という宿命から逃れられない不安と恐怖を抱えていたからこそ、それから逃れるために外国語を積極的に学んでそれがきっかけでミルコの通訳となり、結果的に現在の武蒼高校サッカー部のマドンナの座を手に入れた訳であり、つまりは心の闇こそが今の魅力的な彼女を作ったと言えます。心に闇を持ってひねくれた女子さいこう!(個人の感想です)

 あと、あれだけ女子が一つの部屋に集まってお菓子食べてお喋りしてるんだったら、普通は恋バナの一つや二つは出てくるんじゃないかと思うんですが、その辺どうなんでしょうか。特に窪塚マネージャー。あの彼女が、あそこでああいう話をしないはずがないとは思いませんか皆さん。
 まあでも、あの場では落ち込んでた藍子が優希に励まされてやる気を取り戻している様子を目の当たりにしていることもあって、あえて空気を読んで自重したのではないかとも考えられます。もしあそこで恋バナがヒートアップして藍子と優希の間で龍を巡って正妻争いをされたら、今後のチームの運営に支障をきたすことは必至ですしね。窪塚さんオトナだなあと思いました。

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まだ闇を表に出していなかった頃の藍子

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烏丸君は、中二病です。サンデー40号「BIRDMEN」感想

BIRDMEN

 今週の「BIRDMEN」を読んでいて気が付いたのですが、もしかしてこのマンガって、いわゆる中二病テイストの含有量が割と半端ないんじゃないんでしょうか。

 今週特にグッと来たのが、烏丸のクラスメートの鮫洲あやめが彼に「おはよう」と声をかけた時に見せた、烏丸の表情と態度ですね。
 ここではないどこか遠くを見ているような焦点の合わない瞳、周囲に全く興味がなく、かつ周囲を見下しているかのようにも見える態度、そして「まあ俺、主な活動時間夜だから」という、自分は他の奴らとは生活そのものが違うんだよ的なアピールを含んだ台詞。いいですね。実にソレッぽいと思います。

 我々読者は、既に烏丸が人類を超越してセラフ達を導く「先導者」として覚醒しているが故に、彼の言動が結果的にそうなってしまうことを知っていますし、また彼のその態度から「烏丸はどんどん鷹山に似てくるなあ。やっぱり彼は鷹山が大好きなんだろうなあ」とか妄想を働かせて楽しむこともできるのですが、当の鮫洲あやめはそんなことは知らないため、彼のあまりに中二病的な言動を目の当たりにして「烏丸君って、あんな感じだったっけ…?」と不審に思わざるを得ないのです。

 その他にも今週は、EDENから捨てられた実験体達(実験体!)で構成される秘密結社エクソダスという新たな組織が登場(秘密結社!エクソダス!)、その組織に接触しようとしたイヴ(イヴ!)にEDEN(EDEN!)の生体強化兵(バイオブーステッドソルジャー!)が瞬間強化剤(ライトニングブースター!)を使って襲いかかり、それを一撃で撃退したフードで全身を覆ったエクソダスの構成員は(フード!)、「薬使ってあの程度…」と呟いて「フ…」と鼻で笑ったり(フ…と鼻で笑う!)、更にイブはエクソダスの首領であるナイル教授(教授!)に、「次の人類」であるセラフが統べる世界を作るため、セラフを「拡散者」(スプレッダー!)の能力で増やしつつ今の人類を抹殺する計画を提案する(人類を抹殺!)という、何かンもうあらすじを書いているだけでワクワクするようなキーワードが満載で、実に愉快なエピソードだったと思いました。

 考えてみたら、BIRDMENって「先導者(ベルウェザー)」とか「繋げる者(リンカー)」とか「超越者(トランセンダー)」とか、セラフのタイプの呼称にいちいちフリガナをカタカナで振ってある辺りからして、そういうセンスを内包していたんですよね。今更ながら気付きを得た気分です。

 そういえば今週の「古見さんはコミュ症です。」に自称中二病の中々さんが出て来ましたが、彼女の「中二病」っぷりは所詮は「中二病でも恋がしたい!」のフォロアーの域を出ておらず、「中二病でも~」以降に定着したテンプレート化された中二病の症状を演じている程度に過ぎないのがちょっと残念だなと思いました。
 彼女も真の中二病キャラを目指すのであれば、「BIRDMEN」の烏丸や鷹山のように、人類を超越した者だけが持つ尊大さ、「超越者」であるが故に浮世では生きられない孤独感を醸し出しつつ、教室の窓から外を眺める姿が様になるくらいのレベルにはなって欲しいです。彼らはホンモノなので(中二病がではなく、人類を超越した存在であるという意味で)貫禄が違います。
 中々さんもホンモノの超人を目指せ! 中二病の道は険しくないのよ!(「古見さん」はそういうマンガではありません)。

 あと今回では、鮫洲あやめがクラス内で中二病的な態度を取り始めた烏丸に対して「烏丸君って…あんな感じだったっけ…?」と感じた時、彼女が妙にドキドキしていたのが気になります。彼女のこのドキドキの正体は一体何なのでしょうか。
 もしかしたら、普段とは違う烏丸君を見て恋に落ちてしまったのでしょうか彼女。「中二病でも恋がしたい!」どころか、烏丸は中二病になったらモテるようになってしまったのでしょうか。

 ただ、鳥男になる前の烏丸だったらともかく、今の烏丸はもう人間の女子からモテても何とも思わないんじゃないかと考えると、ちょっと寂しいですね。連載が始まった頃に「烏丸バリアー」(教室で机に座って顔を手の平で覆ってるアレ)をやってた彼の姿が懐かしいです。あの頃の君のままで居て欲しかったよ…


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はい、「BIRDMEN」は「中二」ではなくあくまで「青春ジュヴナイル」であることは承知しています

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さようなら、枝垂ほたる記念・ここ一ヶ月くらいの「だがしかし」感想

だがしかし

 このマンガのキャッチコピーは「ウマイ駄菓子×ヘンな美少女? ハイテンション駄菓子コメディー開封ッ♪」なのですが、ココノツとほたるの夏祭り花火デート回以降は明らかに話の雰囲気が変わって来ています。まるでタイトルが「さようなら、枝垂ほたる」に変わったかのような切なさと重苦しさです。
 ほたるがいずれこの町からいなくなるであろうことは、これまでのエピソードの中でも示唆されてはいましたが、ついにその時が訪れてしまいました。

 話の雰囲気が変わってきたのは、明らかにココノツがほたると「二人きりで」花火に誘った、ホームランバーのエピソードからでしょう。
 本当なら遠藤兄妹と一緒に行くはずだった花火大会を、ココノツがほたると二人で行くと言ってしまったことは、彼にとってはほんの一時の気の迷いというか、(ほたるから「二人で?」と聞かれたことによる)偶発的な出来事だったと思うのですが、しかしその選択はココノツ・ほたる・遠藤兄妹の間の微妙な人間関係のバランスを壊し、今後の彼らの関係を大きく変化させるきっかけになってしまう可能性はあり得ると思います。

 そしてほたるは、おそらく現在の人間関係や駄菓子屋を巡るこの町の状態に満足しており、それが大きく変わることは望んでいなかったのではないかと思われます。
 しかしその一方、いずれそれらは時代と共に変わってしまうであろうことも、多分彼女は判っているはずです(幼少期に通っていた駄菓子屋がなくなってしまったエピソードが象徴的)。

 そんなほたるに対して、ココノツがこれまでになく積極的なアプローチをして来たことは、ほたるにとっては「ついにこの町も変わる時が来てしまった」ことを意味していたのかも知れません。この町が変わってしまう以上、自分もこのままではいられない。そんな考えが、彼女を動かしたのかも知れませんね。全て自分の妄想ですが。

 あと今回の話では、ほたるが不在であってもいつも通りにココノツに接するサヤの姿が印象に残りました。
 でも、彼女の側から今のココノツ達の状況を見た場合、

  • 花火大会の時にココノツとほたるの姿がなかった
  • つまり花火大会の時、ココノツとほたるは「一緒に花火を観る」約束を破って二人きりで逢っていた
  • 二人は付き合っていたのか?
  • しかし花火大会が終わった途端、ほたるは姿を見せなくなってしまった
  • ほたるが姿を見せなくなったのは、花火大会の時にココノツがほたるに何かやらかしたからなのでは?

 と訝しまざるを得ない訳であり、サヤの今の態度はココノツに対して微妙に引いている結果である可能性も否定できないのでは(嫌な感想)。

 そんな感じで、否応なく人間関係がネクストステージに進む可能性を秘めたこのマンガ。
 次にココノツの店に訪れた時のほたるの姿は、これまでのままの駄菓子大好きな美少女の姿なのか、それとも駄菓子界隈の衰退を憂うあまりホームランバーの当たり棒どころか全てを忘却の彼方に追いやってしまった、変わり果てた姿なのか。
 そんな妄想をしつつ、次回の「帰ってきた枝垂ほたる」編を待ちたいと思います。

 今回の結論としては、「二人で?」と言ってココノツを見つめる時のほたるさんはすごく可愛いと思いました。


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今考えると、アニメ版のほたるさんは少々エキセントリック過ぎた気がする

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