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武蒼高校敗退記念 サンデー28号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 もう先々週の話になってしまいましたが、全国大会に出場した武蒼高校があっけなく二回戦で敗退したのにはビックリしました。

 憎しみに囚われて鏡をパンチして痛い痛い言ってる桜庭とは対象的に、名実ともに武蒼のエースとして輝かしい活躍をした龍を散々マンガの中で持ち上げておいて、最後の最後で自分が最初に蹴ったPK戦で負けて敗退し失意のどん底に突き落とされるという、かなり意地が悪い構成だったのが印象的でした。

 しかし、そもそも「BE BLUES!」という作品は、天才サッカー少年だった龍に大怪我を追わせるところから全てが始まったことからも判るように、龍に対してあらゆる艱難辛苦を浴びせ、それを乗り越えて成長する様を描く大河ドラマであることを忘れてはなりません。
 今回の「全国大会での二回戦敗退」という結果は、龍に対する新たな艱難辛苦であり、彼に「チームのエース」としての更なる成長のきっかけを与える糧となることでしょう。

 この辺、「いつまでも龍を逆恨みしてないで、ちゃんと局面に応じてパスができるようになれよ!」という段階で悩んでいる桜庭とは悩みのレベルというか待遇が違うような気がしますけど、でも桜庭さんはそれでいいんですよ! それだからこそいいんですよ!(甘やかす)

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やっぱり武蒼がもっと上に行くには桜庭の覚醒が必要だと思うんですよ


キレる桜庭はとても愛おしい サンデー27号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 個人的に「BE BLUES!」の高校生編とは、桜庭さんが大活躍して「武蒼のメッシ」の異名で呼ばれるようになるまでの物語であると固く信じているのですが、そこに至るまでの道は極めて厳しいものになるであろうことも確かです。

 彼の行路が厳しくなるであろう最大の理由は、桜庭さんが極めてワガママでキレやすい尊大な性格の持ち主であることに起因しているのですが、しかしワガママでキレやすい尊大な性格だからこそ彼は唯我独尊のストライカーとして成功できているとも言える訳で、この二律背反をどう克服するかという点が、桜庭というキャラクターの物語を語る上での大きなポイントであることは間違いありません。

 という前提を踏まえた上でサンデー27号の「BE BLUES!」なのですが、選手権決勝でライバルである龍が決勝ゴールを決める大活躍したことで桜庭の鬱憤が積もって大爆発する様子を一話を通じて丹念に描いた、桜庭さんのキレ芸を堪能するための回だったという感想を持ちました。

 自分が抜けなかった聖和台の真鍋のディフェンスを龍が抜いたのは自分に対するあてつけに違いないと思い込み、自分よりも格下だと思っていた龍が試合で活躍する様子を間近で見て余計に苛立ち、トイレで鏡を殴って「調子に乗るんじゃねえぞ!」と怒りを爆発させる。勿論、試合中に龍にパスは絶対出さない。
 これらの行動は、全て「龍はいつの間にか自分よりも成長していた」という現実を受け入れることを桜庭が全力で拒否していることを表現しているのは明らかです。いいですね! このひねくれた姿こそが、みんなが大好きな桜庭さんなんですよね!(ひねくれた好意)

 実際にはミルコが桜庭に対して言った「人を認めても、君自身を否定することにはならんのだよ」という言葉の通り、龍の今の実力を素直に認めた上で、龍を活かしつつ自分がもっと活躍できる戦術を取れるようになるのがベストなのですが、しかしそれが簡単にできない性格だからこそ、桜庭というキャラクターにはドラマが生まれるのです。
 このマンガの舞台はこれから高校選手権の全国大会に移って行きますが、龍に先に行かれた桜庭がこれからどのような形で龍に追いつこうとするのかというのが、今後の大きな物語のテーマになるのではないか。そんなことを期待させる回だったと思いました。

 そして今回の結論としては、ラストで「認めて…たまるか」と呟きながら茹で卵を食べる桜庭はものすごく可愛かったです。

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選手権決勝序盤の桜庭の勇姿が拝める27巻


桜庭の中には何が生まれたのか? サンデー12号 「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 みんな桜庭さんが、文字通りの最期の勇姿を見せた回。
 ありがとう桜庭さん! 感動をありがとう!(死んでません)

 いやもう私なんか、桜庭がボールを持った時、思わず脳裏でキャプテン翼の主題歌「燃えてヒーロー」が流れ始めましたね。ちょっとアレ見なエースが通るのアレです。
 実際、桜庭がボールを持ってディフェンダーをぶち抜いた瞬間、これまで散々桜庭のことを「真面目にやれ!」「そんな怠慢許せるわけないでしょ!」「何様だ!」と散々なじってきた優希達が、一斉にものすごい歓声を上げ始めたのが象徴的です。これぞ文字通りのスグレモノぞと街中騒ぐ状態であり、あいつの噂でチャンバも走る状態ですよ。

 桜庭はこの瞬間、ボールを持っただけで観客を湧かすことができる、本当の意味でのヒーローになりました。
 尊大な態度を取り続けた結果、周囲からクソクソなじられ続けたあの桜庭が! みんなの期待を一心に集めるスーパーヒーローに! いや実際桜庭さんは今もクソなんですけどね!(フォロー)

 しかし桜庭は既にこの段階で極限まで疲労していたため、ディフェンダーをかわして稲妻シュートを決めようとした瞬間、膝が折れて地面にへたり込んでしまいます。ここでスーパーヒーロータイムは終了。周囲から「ボール出せ!」と言われながらも、「俺様のボールだぞ!」と意地でボールをキープして自分で何とかしようともがく、いつもの桜庭に戻ってしまいました。
 これまでのこのマンガだったら桜庭がこのままKOされて終わりだったんでしょうけど、しかし今回の彼は違いました。肉体的にも精神的にも極限まで追い詰められた桜庭は、その心理状態が「俺様のボールだぞ!」から「やられてたまるか!」に変化。桜庭からのボールを期待してペナルティーエリアに走り込んできた龍に、クソクソ言いながらも自らパスを出すという行動を取ったのです。あの桜庭が、龍に自分からパスを出したのです。

 本来であれば、パスを出すならもっと早く判断するべきだったのかも知れませんが、桜庭がギリギリまでボールをキープしてディフェンダーの注意を引きつけ続けた結果、龍がペナルティーエリアに走り込む時間を稼いた上で絶妙なタイミングでボールを出すことで決定的なチャンスを作ることに成功した訳であり、客観的に見れば「桜庭の粘りが功を奏した」と評価できる形になったのではないのでしょうか。桜庭はそういう褒められ方は絶対に納得しないでしょうけど、自分の中にはそんな泥臭いプレイをすることができる選択肢があることには気付けたかも知れません。
 桜庭はこれまで、ミルコから命令されてパスを出したことはあっても、自分でボールをキープできないと判断して、ボールを奪われる前に他のプレイヤーにパスを出したことは、これまで滅多になかったと思われます。どんな形であれ桜庭が自分からボールを出したことは、彼にとっては極めて大きな変化なのです。

 ミルコは極限状態でボロボロになった桜庭を見て「やりたい事だけやってきた男だが…今、この時、何が残っているのか、彼に何が生まれるのか、何が、出せるのか、私はそれを見たい!」と言ってましたけど、現時点での結論としては「やりたい事ができなくなった時、己の意地を捨ててチームの勝利のためにチームメイトにボールを渡す」選択肢を持つことができたということになりそうです。
 これは本来なら当たり前のことなんですけど、桜庭がそういうことができるようになったというのは凄いことなんですよ。いやマジで。

 そして彼には、本当なら「勝利のためなら自分を活かすために献身的に動くことを厭わない、信頼できるチームメイトを得ることができた」ことにも気付いて欲しいところなんですが、もし桜庭がそれを自覚したとしても、どれを表には決して出さないで『俺様を尊敬しろ!』と言い続けるでしょうね。それでこそみんなが大好きな桜庭さんです。

 そんな桜庭からボールを受けた龍がシュートを放ったところで今回のお話は終わったのですが、もしこれが普通の少年マンガだったら、まず間違いなくゴールインするでしょう。しかしこのマンガは普通の少年マンガではなく、主人公の龍に(女子からモテモテになる以外は)艱難辛苦を与え続けることで有名な「BE BLUES!」ですので、まだまだ油断はできません。龍がボールを蹴った足が、直前のプレイで小早川に蹴られた右足であるというところも懸案事項です。
 「龍にボールを渡す」という桜庭の伝説のプレイは、果たして実を結べるのかどうか。ボールの行方が気になります。

燃えてヒーロー
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おっさんホイホイとして非常に有効な曲」 はい


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