キレる桜庭はとても愛おしい サンデー27号「BE BLUES!」感想
BE BLUES!
個人的に「BE BLUES!」の高校生編とは、桜庭さんが大活躍して「武蒼のメッシ」の異名で呼ばれるようになるまでの物語であると固く信じているのですが、そこに至るまでの道は極めて厳しいものになるであろうことも確かです。
彼の行路が厳しくなるであろう最大の理由は、桜庭さんが極めてワガママでキレやすい尊大な性格の持ち主であることに起因しているのですが、しかしワガママでキレやすい尊大な性格だからこそ彼は唯我独尊のストライカーとして成功できているとも言える訳で、この二律背反をどう克服するかという点が、桜庭というキャラクターの物語を語る上での大きなポイントであることは間違いありません。
という前提を踏まえた上でサンデー27号の「BE BLUES!」なのですが、選手権決勝でライバルである龍が決勝ゴールを決める大活躍したことで桜庭の鬱憤が積もって大爆発する様子を一話を通じて丹念に描いた、桜庭さんのキレ芸を堪能するための回だったという感想を持ちました。
自分が抜けなかった聖和台の真鍋のディフェンスを龍が抜いたのは自分に対するあてつけに違いないと思い込み、自分よりも格下だと思っていた龍が試合で活躍する様子を間近で見て余計に苛立ち、トイレで鏡を殴って「調子に乗るんじゃねえぞ!」と怒りを爆発させる。勿論、試合中に龍にパスは絶対出さない。
これらの行動は、全て「龍はいつの間にか自分よりも成長していた」という現実を受け入れることを桜庭が全力で拒否していることを表現しているのは明らかです。いいですね! このひねくれた姿こそが、みんなが大好きな桜庭さんなんですよね!(ひねくれた好意)
実際にはミルコが桜庭に対して言った「人を認めても、君自身を否定することにはならんのだよ
」という言葉の通り、龍の今の実力を素直に認めた上で、龍を活かしつつ自分がもっと活躍できる戦術を取れるようになるのがベストなのですが、しかしそれが簡単にできない性格だからこそ、桜庭というキャラクターにはドラマが生まれるのです。
このマンガの舞台はこれから高校選手権の全国大会に移って行きますが、龍に先に行かれた桜庭がこれからどのような形で龍に追いつこうとするのかというのが、今後の大きな物語のテーマになるのではないか。そんなことを期待させる回だったと思いました。
そして今回の結論としては、ラストで「認めて…たまるか
」と呟きながら茹で卵を食べる桜庭はものすごく可愛かったです。
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選手権決勝序盤の桜庭の勇姿が拝める27巻