What's Old


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00/ 5/29(更新情報へ)

 「すっ、すみませんですぅ〜」
 (うっかりよろめいたためにお尻を男の子に押しつけてしまい、赤面しながら挨拶)


 というか、この前発売された週刊少年チャンピオン27号に掲載されていた、可愛くて優しくてちょっと天然ボケ入ったヒロインが、事あるごとにうっかりオッパイやお尻を主人公に押しつけちゃう系の読み切りラブコメマンガ「神の御心のままに」を読んでいたく感動した今日この頃です。どのくらい感動したかと言えば、別に欲しいプレゼントもないのに、読者アンケートにこのマンガの感想書いてウッカリ出したくなる程でした。
 ホント、オレってこういうの好きな!

 で、「ゲッチューまごころ便」や「NUDE」などのライトな絵柄+雰囲気なマンガが掲載される辺りから顕著になって来ているのですが、ここ最近の週刊少年チャンピオンは、昔からの看板マンガであるところの硬派路線な「ドカベン」「バギ(グラップラー刃牙)」が順調に連載を続けているその裏で、徐々に連載マンガのカラーをソフトな方向にシフトしつつあるように思えます。
 実際、前述の「神の御心のままに」や、最近連載が始まったファンタジー要素入りラブコメマンガ「ぐる輪ぱ」なんかを読んでいると、なんかチャンピオンじゃなくて、「うる星やつら」「タッチ」の二強ラブコメを中心に数々のラブでコメってるマンガが集っていた80年代の週刊少年サンデーを読んでいる気分になって来ますよ。

 以前、「ラブひな」がマガジンで連載が始まった時には、「何故、こんな10年前のサンデーに載っているようなマンガが、よりによってマガジンに!?」とかいう意見をネットで見た覚えがありますが(私も当時はそう思いました)、ここ10年間のサンデーは、この手のベッタベタなラブコメ要素を徐々に切り捨て、より爽やかなスポーツマンガ方面に路線を転換させる歴史を歩んで来たと言えます。
 実際、おっぱいムニュ☆とかお尻でムニュとかいうお色気要素をマンガの主軸に据えたマンガは、「GS美神」「なぎさMe公認」が終了した以降、既にサンデー誌上にはもはや存在していません。「軟派な雑誌」と思われがちなサンデーですが、もはや軟派マンガの最右翼であるラブコメマンガとは縁遠い雑誌になってしまっているのです。数々のラブでコメってるマンガが集っていた80年代のサンデーの栄光は、今はもう遙かな過去の物語になってしまいました。
 かつてはサンデーのお色気担当マンガだった「GS美神」が、連載末期では形骸化したパンチラを連発するようになってしまった様を見て、「ああ、古き良き80年代のサンデーは死んだ……」と涙した古株のサンデー読者も多かったに違いありません(ウソ)。

 しかし、当のサンデーが切り捨てたベッタベタなラブコメマンガは、80年代にそういうマンガを読んで育った現代の現役作家に大きな「種」を残していたのも確かです。その種の芽は、「ラブひな」やチャンピオンの新連載ラブコメマンガなどの形で、現代のセンスを取り入れて変容しつつ確実に育ち、徐々に人気を博しつつあります。
 サンデーにとっては、ある意味皮肉な結果とも言えますなぁ。


 そんな感じで、「おっぱいムニュ」ってノリでラブでひなってる少年マンガ界からやや離れた位置にいる感がある我らが少年サンデーなのですが、そんな中でも今特に異彩を放っているマンガがあります。
 その名は「デビデビ」。今、サンデーで(色々な意味で)最も面白いマンガの一つです。

 このマンガ、元々は「人間の兄弟(双魔・神無)の中に、ひょんなことから仲の悪い悪魔(ソード)と天使(イオス)が憑依してしまった」って設定がベースの、割と普通のファンタジー要素入りラブコメマンガだったのですが、それが連載を重ねるうちにどんどん変な方向に話が走り始めました。
 今では、「魔界の主・サタンを滅ぼした真四元魔将(「神の使い」の天使)を倒すため天界に乗り込もうとするソード達が、巨大学園『神聖鳳凰学園』に通学しながら武闘大会を戦い抜く」という、ハッキリ言ってかなりおかしい(頭が)展開を繰り広げています。

 普通のストーリーの作法においては、この手のストーリーの迷走は厳禁であると言われています。実際問題として、80年代に栄華を誇った少年ジャンプが「次週の展開がどうなるのか、作者にすら判らない」ような行き当たりばったりなマンガを乱発した結果、90年代中盤に主軸の連載マンガを次々と失い、発行部数で手痛い損失を被ったのは記憶に新しいところでしょう。
 また、いわゆるラブコメマンガも、必要以上に連載を延ばすことは作品のクオリティを保つ面からすると非常に危険な行為となります。ラブコメの名作と言われる「めぞん一刻」でさえ、連載後期になると「新キャラを出す→五代 or 三鷹がモテる→響子が嫉妬する→ドタバタ発生」を延々と繰り返すパターンになってしまい、それのおかげで響子さんの性格がどんどん悪くなってしまったばかりか、再婚する時はもう三十路に突入してしまってたじゃないか! これじゃ「やっぱ結婚するなら、響子さんじゃなくてこずえちゃんだよな!」って主張する七尾こずえファンに対抗できないじゃん! と叫んでいだ往年の「めぞん一刻」ファンの皆さん、お元気でしょうか?(挨拶)

 だがしかし、この「デビデビ」の素晴らしい点は、このような連載長期化に起因する作品の劣化の問題を、「突飛で唐突な展開の繰り返し」という強引な手法でクリアしている(というか、むしろ超越している)事です。
 試しに、手元に資料として積んであるサンデー14号(「MISTER ジパング」連載開始号)以降の「デビデビ」の展開の変遷っぷりを、ダイジェストでお送りしてみます:


120話 神の刺客〜121話 約束
 浮遊要塞編クライマックス。サタンを殺した真四元魔将からサタンの魂を奪い肉体が復活したソードだったが、「神の使い」を自称する真四元魔将=天使達が、墜落しつつある浮遊要塞を人間界に落下させようとしたため、ソードは自らの肉体を犠牲にする必殺技「魔王破滅拳」で浮遊要塞を粉砕。世界は救われた(らしい)が、ソードは体を失い、双魔の中に戻ってしまう。
 結局、何も解決していない。

122話 マンモス
 このまま天使を追って「天界編」に突入するかと思われたこのマンガだが、しかし舞台はいきなり日常生活に戻る。
 日常生活に戻ったレギュラーキャラ達が通う学校は、知らない間に「神聖鳳凰学園」というマンモス学校に併合されていたのだった。
 ヒゲ親父の校長がソード達を見ながら「おもしろい生徒達が集まったようだな」と高いところから含み笑いをし、黒幕度をアピール。

123話 お祓い
 実家が神社の新キャラ・神楽坂ひろみは、実家が教会でエクソシストの薬味みずのに、変な置物に取り憑いた悪魔祓いを頼む。
 そこに居合わせたソードはその悪魔にパンチを入れたが、魔力が使えなくて全然ダメージが入らずピンチ。

124話 魔王の紋章
 神楽坂が学校で拾ったアイテムは、実はソードが一定時間だけ魔力を使えるようになる能力を秘めた、大サタンから(知らない間に)渡された変身アイテムだったのだ!
 それを察知したヒゲ校長は、「ククク、おもしろくなってきたなぁ」と含み笑いをして、黒幕度をアピール。

125話 コンテスト
 ヒゲ校長が、何の脈絡もなく「制服コンテスト」を実施!
 その裏では、ヒゲ校長が培養していた魔物の実験体が暴れ出し、イオス大ピンチ!
 この辺りから、このマンガの本格的な暴走が始まりますよ!

126話 緊急事態
 制服コンテストに実験体が乱入して大ピンチ! ソードが変身アイテムを使って実験体を撃破!
 「オ〜、発表にあわせたアトラクションか〜!」
 ンな訳ねぇだろ!

127話 普通の生活
 たまたまヒゲ校長が培養していた魔物を見てしまった七海達。
 七海「私は普通の生活がしたいの!」
 校長「この学園で行われる地下武闘大会に参加すれば、普通の生活を保障してやるぜ!」
 ついにトーナメント編に突入、大人気間違いなし。(@神聖モテモテ王国)

128話 出場資格
 ソード/双魔に危ないことさせたくない七海は、双魔に悪魔を封じる力を持つ「封印のメガネ」をかけさせ、戦力ダウンに成功。
 武闘大会は5人チームで参加しないといけないので、メンバーが足りません。どうしよう。
 なんか、「すごいよ! マサルさん」にもこんな展開がありましたよね(勘違い)

129話 ガマン
 ヒゲ校長と乱封(傘小僧)が「武闘大会の優勝者には人を越えた力を与える」と話しているのを聞いたコウモリネコ(「デビデビ」が道を踏み外すキッカケを作ったロリキャラ)が、「あちしがメンバーに入ってやるニャ!」とか言いながら参加。さらに、七海を騙してメンバーに加えて5人組を強引に結成。
 あと、第一回戦の前に封印のメガネを取ろうとした七海だが、都合良く取れなくなってしまいました。どうしよう。

130話 降参
 第一回戦は、双魔が裏暗黒魔闘術(変な武器を作り出す技)を発動させて勝利。
 双魔の手の甲にある悪魔の卵からチビソードが出てきて戦闘を援護。
 かわいいソードの出現に、女子読者はもうメロメロ!(社交辞令的に)

131話 敵情視察
 第2回戦の相手は、メカを操る理系マニア軍団。しかもヒゲ親父の一存でトーナメント形式が急遽1対1の闘いに変更、このままではおミソで登録した七海も闘うハメになってしまう。先鋒のコウモリネコもあっけなく破れ、主人公チームピンチ! しかし!
 「ソードさん達が魔界に行っている間、私だって何もしていなかったわけではありませんよ!」
 みずのがそう叫び、突如として脱衣! その下からは、どう考えても校則違反のSM女王様チックなレザースーツが!
 「なんだぁあのカッコは!」
 こっちが聞きたいよ!


 このように、わずか12回の間に、「魔界での壮絶なバトル」→「真四元魔将の登場」→「学園編開始」→「制服コンテスト」→「校長が魔物を培養」→「校内武闘大会開始」とめまぐるしい展開を見せています。ちなみに「MISTER ジパング」は、この12回のうち10回を消費して日吉が信長の家臣になるまでを描いているのですが、それと比較すると如何に「デビデビ」の展開ペースが早いかがよく判ります。もはや、伏線という概念がこのマンガに存在するのかどうかすら判らない程のパワーとタフネスを抱えて突っ走っているこのマンガを止めるモノは、もはや誰もいません。
 というか、もうここまで来ると、逆に「暴走を止めない方が面白いよこのマンガ! ゼッタイ!」って気になってきますね。

 連載作品というものは、本来はどう成長するかが作った側にも予測できない「生き物」として定義されるされるべきものであり、元々予定していた展開から大きくかけ離れて話が暴走するのは、日本でもいわゆる大衆娯楽として「小説」が読まれるようになった江戸時代以降、よくある事なのです。
 勿論、当サイトでは、あくまで「作品は、事前に練り上げた方が質が良くなる」と日頃から主張しており、事前のブラッシュアップこそが作品の質を高める――連載前に半年の準備期間をかけた「MISTER ジパング」に私が期待を寄せている論拠の一つですが――と思ってはいるのですが、しかし「物語」というのは、諸般の事情によって作者のコントロールを離れて独り立ちしてしまう事が往々にしてある事も、また事実です。

 「もっと主人公の活躍を読んでいたい」と望むのは読者(及び、版元の出版社)の当然の要望であり、それ故に作者は物語を先に引き延ばすって事は昔からよくある事だったのですが、その引き延ばしの部分こそが「生き物」となり得ると言えましょう。
 このような現象が起こるのは、人気によって掲載期間が左右される連載作品の宿命と言えます。連載作品の作家は、この「生き物」を自ら産み出すのみならず、それを育て、そして最終的にケリを付けて当初予定していた最終回に話をつなげる管理運営能力も、また必要になるのです。
 「デビデビ」は、今まさにその能力を試されている! と言えましょう。


 キャラクターを無尽蔵に消費し、何本も普通の連載マンガを作ることができる設定を大量に投入しつつ、見えない明日に向かって突き進む「デビデビ」。このマンガは今、「連載マンガは生き物である」という命題を証明しつつ、「突飛で唐突な展開の繰り返し」という技を常に繰り出して「生き物」をどんどん育成させています。
 この調子で行けば、この「生き物」はもう作者自身もコントロールできないモンスターに成長する事は必死の有様のように見えるのですが、しかしこのマンガの成長は、もはや誰も止める気がないようです。

 即ち、この「デビデビ」の圧倒的なアレでナニなパワーを前にした我々読者は、もはや「来週のこと考えてないだろうこのマンガ」とか、「先週までの設定を台無しにするムチャな展開するよなぁ」とかいう凡庸な思考を巡らせることすら叶わないのです。ただ、毎週毎週圧倒的な勢いでもって邁進するこのマンガを鑑賞し、その勢いっぷりに感動するのみであります!
 この、「物語が急激な勢いで膨張しつつある」様を眺めるのは、個人的にはかつて「GS美神」コミックス31巻辺りの話がサンデーに掲載されていた頃以来であり、今私は「デビデビ」を読むにつけ、話がリアルタイムでダイナミックに転がって行くというあの頃の高揚感を、再び感じずにはいられません!

 という訳で、走れ「デビデビ」! 我が前に敵なし!
 毎週楽しみにしてますよ!(マジで)


更新情報:

* 創作作品コーナーに、今回初投稿となる桜華さんの作品・「Flower message」を掲載しました。現役の学生さんからの投稿です。
 タマモからの視点で横島を見つめた、趣深い作品に仕上がっています。「タマモが横島の『良さ』に気付いて行く」様子を描写するという着眼点も良いですし、何よりもしっかりとした文章が書ける方だと思いました。今後に期待。
 にしても、やっぱ横島ってモテる要素が揃ってるのな!

* 「煩悩の部屋」創作作品コーナーに、こちらはお馴染みのまきしゃさんの作品・「『嵐を呼ぶ女!』」を掲載しました。
 今回は解説通り、冥子を巡るお話です。というか、冥子に対して余計な事をするとヒドイ目に遭うって事を改めて認識していただきたい所存。


00/ 5/23(更新情報へ)

近況:
 供養の意味も込めて、「歩武の駒」コミックス最終巻となる5巻を買いました。(挨拶)


 サンデーで連載されていた時は当サイトでも色々とネタにさせて頂いた「歩武の駒」でしたが、こうして最終巻を手に取ってみると、何というかあの頃の思い出が次々に甦って来て、妙に感慨深いモノがあります。
 柘植 樹が登場した週には「尻だ! 樹の尻がいいんだ!」「いや、あの控えめな乳が!」とチャットで議論したり、マイクが登場した週には「だから、マイクを巨乳で頭が足りてないアメリカ人女子にすれば!」「いや、奴の抱える問題はそれどころじゃ解消できねぇ!」とチャットで議論したり、打ち切りを食らって最終回を迎えた時には「歩武の駒」に一家言ある連中が集って「このマンガのどこがまずかったのか?」とチャットで議論したりしていたあの頃が懐かしいですね。
 要するに、ただチャットで「歩武の駒」をネタにダベってただけなんですが。

 この「歩武の駒」5巻には、このマンガのダメな部分の象徴である「マイク編」、このマンガの最良の部分の象徴である「霧島対歩武の決戦編」、そして作者自身が持っているラブコメ創造能力の高さを証明した短編エピソード「ホワイトバレンタイン編」の3つが収録されており、「歩武の駒」が如何なるマンガであったのかがこの一冊に全て濃縮されている、と言えます。
 「歩武の駒」の栄光と挫折、夢と現実、愛と哀しみがこの一冊! この一冊に込められているのよ! と申しても過言ではありますまい!(←過言です)

 このマンガ、ネット上ではサイトのリンク集である「歩武の駒ウェブリング」が作られるなど、同人女子を中心にカルト的な人気はあったと思われるのですが、でも100万部以上刷られて世の中にバラまかれるマンガとしての立場上それだけじゃダメだった、という事になるのでしょう。100万人以上に読まれるマンガが同人女子にだけカルト的な人気を得ても、営業上ちょっと困るのは理解できます。
 「歩武の駒」は、最後は松浦聡彦氏の新連載「ブレイブ猿's」が場に出る時のコストとして支払われる生け贄クリーチャー(専門的表現)みたいな形でバタバタと終了してしまいましたが、作者の村川和宏氏には、これに懲りず(失礼)ぜひ何らかの形でまた連載を持って再起して頂きたいと思います。
 個人的には、樹が「お兄ちゃん…」って台詞を連発する、樹と大の許されない恋愛を描いた本格将棋ラブロマンスなんかどうかと。だって、あの最終回の二人の様子ってそうやん? 大の名字が最後に柘植に戻ったのは、大が樹と結婚して柘植家に婿に入ったからってことやん? 兄妹同士の恋愛って、なんか「ママレードボーイ」みたいで萌え萌えですなぁ!(←例えが古い上に不適切です)


 あと、このサイトは一応村川和宏氏ではなく椎名高志氏のファンサイトですので、「MISTER ジパング」の話題を少し。
 前回の What's New では「信長ヒロイン説」をでっち上げてみたので、今回はその相方である日吉について触れてみたいと思います(ダメな方向に)。

 連載開始以来怒濤の展開を繰り広げてきた「MISTER ジパング」ですが、サンデー24号(「信長行状改方」編)でとりあえず「連載を続けるための体制」は整った様子です。サンデー25号からは、話のノリがどことなく「GS美神」に似ているインターミッションっぽいエピソードである『殿と野獣』編が始まりました。
 この話では、信長のキャラ特性をギャグ方面に大きく振って笑いを取る形になっており、このマンガの中での「信長」というキャラに新しい要素を積み上げることに成功していると言えます。エピソード全体に流れる『UFO特番』っぽい独特のインチキ臭さの演出も絶妙であり、久しぶりに「GS美神」の頃の椎名氏のギャグセンスが出てきたな、という感じがしますね。

 ただ、今回の話で唯一疑問なのが、225ページに出てくる日吉の信長評の存在です。
 ここでは、日吉が信長の事を「誰にも判ってもらえないが、やっぱり凄い人なんだ」と評価していますが、読者の側からすれば別にそんな事はこのマンガの第一話から繰り返し提示されている事実に過ぎない訳であり、ここであえて話のテンポを殺してまで『分かり切っていること』を挿入する必要があるのかなー、という気はしますね。
 『心に常駐』内の「本能寺が変」で Turbo さんも仰っていますけど(いつも無断でリンク引用して申し訳ない>Turbo さん)、「同じことを何回も言われて鬱陶しい」って感じてしまうんですよ。
 今回の話はあくまでインターミッションに過ぎない(と思われる)ので、ここは内面描写よりはテンポ重視で突っ走って頂きたかった所存です。

 まぁ、今回の内面描写に関しては、日吉が「徐々に信長の考えに対して肯定的になりつつある」という事を提示するのが目的であった、と捉えるべきでしょう。日吉の信長に対する評価は、信長が何か行動を起こして「信長様ってスゴイ!」と思った直後にヒドイ目に遭い、「ああ、やっぱりダメじゃん!」と思い直すパターンを繰り返しているのですが、それでも徐々に日吉の評価メーターが「スゲエ」の方に振れつつある様が伺えます。
 この評価の背景には、勿論信長がそれだけいろいろな意味においてスゴイ事をしており、日吉がそのスゴイ事の意図を正しく評価しているから――というのが優等生的な理解の仕方になるのですが、しかし本当にそれだけなのでしょうか。まだ出会って日が浅い上に身分も生い立ちも思考パターンも違うし、何よりも今では超法規的な権力によって信長の側に強制的に置かれる立場となった日吉が、本当に正しく主君である信長の素性を見抜くことが可能なのでしょうか?

 この疑問に対しては、今の日吉の精神状態を説明できるキーワードが存在します。
 一般的に「ストックホルム症候群」と呼ばれる、特殊な環境下で発生する心的相互依存症です。


 「ストックホルム症候群」とは、強盗などで人質に取られた被害者が、長期に渡る犯人との監禁生活の中で、やがて被害者が犯人に対して必要以上の同情や連帯感、好意などをもってしまうことを指します。
 元々は、1973年にストックホルムで発生した銀行強盗事件で、1週間に渡って人質に取られた女性が、事件解決後にその犯人グループの一人と結婚した――という事件が起こったことから名付けられました。今では、ストックホルム症候群はPTSD(心的外傷後ストレス傷害=いわゆるトラウマ)の一種として認められています。
 1993年に発生したペルーの日本大使公邸人質事件でも、監禁されている人質達が自分を監禁している年若いゲリラ達に対して理解を示すようになり、やがて彼らに日本語やフランス語などを教えるという、ある種の文化交流まで発生していたそうです。

 で、この「ストックホルム症候群」が発生するためには、以下のような状況設定が必要になると考えられます:


・監禁状態にあること
 犯人との接触を避けることができない状況下では、人質は犯人としかコミュニケーションを取ることができず、結果として人質は犯人に対して常に何らかのコミュニケーションを取る必要性に迫られます。そして、コミュニケーションを取ることによって、犯人と人質は「共同体」を形成するようになります。

・犯人が人質に対して「殺意」を持っていること
 何故犯人が人質を取っているかと言えば、それが犯人にとって有利に働くからであり、当然自らが不利な状況下に置かれないためには「警察が踏み込んできたら人質を殺す」という選択肢を残しておく必要があります。
 逆に言えば、人質にとっては自らの生命剥奪の権利を犯人が握っている事になります。警察が踏み込む=自分の死、という状況を理解した人質は、犯人よりもむしろ警察が踏み込んで来ることを恐れるようになります。

・監禁期間が長期化すること
 犯人は人質をいつでも殺せる立場にはいますが、自らにとって有利な状況を作るためには人質を最後まで「生かして」おく必要があります。人質に食事を与えたりトイレに行かせたりといった行動を取らなければなりません。
 しかし、人質の側から見ると、この犯人の行動を見て「いつでも自分を殺せるのに、犯人は自分を生かしてくれているんだ」と思うようになります。また、事件が長期化すればやがて犯人と人質の間でコミュニケーションが生じますので、やがて犯人が何のためにこんな事件を起こしたのか、犯人が今までどんな生活をして来たのか、などの事情も理解できて来ます。
 犯人に対する安心感と理解は、やがて犯人に対する近親感に変化します。

・犯人が何らかの「怒り」を持っていること
 政治犯などに顕著ですが、社会とか権力機構とかに対する怒りが犯行動期になっている場合、犯人と深くコミュニケートしてしまった人質も、やがて犯人と同じような怒りを持つようになってしまう事があります。
 俗に「同じ釜の飯を食った仲間」とか言いますが、警察権力と戦っている犯人との共同生活が長くなるに従ってこの論理が働き始め、やがて人質は犯人に共感し、警察などを犯人と一緒に憎むようになるのです(この現象をトラウマボンドと呼ぶらしい)。


 では、これらの条件に信長と日吉の関係がどこまで一致するのか、検証してみます:

・監禁状態にあること
 日吉は、現段階ではまだ木曽の蜂須賀家に居住しているという設定になってはいますが、信長の側近という立場上、信長と一緒の城に住み込むことになるのは確実です。彼の行動の自由は、徐々に奪われつつあります。
 それより何より、まだ信長から逃げられる可能性があった段階で、彼を理解している(はず)の蜂須賀小六やヒナタが、揃って「信長との監禁生活」を勧めた事は、日吉にとってかなり大きな精神的負担を与えたはずです。小六やヒナタに促されるままに日吉は信長に任官することを決定しましたが、これによって日吉は「信長の付き人になるのは、自分で選択した事だ」という精神的なプレッシャーを自らに課す結果になりました。
 負けず嫌いな日吉の性格からして、仮にも自分で決定した決断を覆すことは考えられないので、「逃げる」という選択肢は事実上存在しなくなりました。彼は、結果的に自らの意志で監禁状態の生活を選んだ事になったのです。

・犯人が人質に対して「殺意」を持っていること
 これはもう、説明の必要がないですな。帯刀が認められていない日吉は、刀を持っている信長や信秀に逆らえません。
 彼は、常に「死の恐怖」に怯えながら精神的な監禁生活を送っています。

・監禁期間が長期化すること
 マンガの中でどのくらい時間が経過しているかは判りませんが、多分まだ信長と日吉が出会ってから1ヶ月も経過していないでしょう。まだまだこれからと言えます。
 まだ信長は日吉に対して心をそんなに開いているようには見えませんが、両者の間には既にコミュニケーションが発生する兆しが見えつつあります。この二人の行くところには様々な困難が待ちかまえているのは歴史が証明していますが、その困難を二人で乗り越えることにより、二人の間にトラウマボンドが発生するのは時間の問題です。

・犯人が何らかの「怒り」を持っていること
 サンデー24号での平手政秀と信長とのやり取りにも見られますが、信長は自分のスタイルを理解しない家臣や家族に対し、常に「怒り」を持っています。この怒りこそが信長のキテレツな行動の根幹にある訳なのですが、日吉はそれを徐々に見抜きつつあります。
 今はまだ客観的な視点に立ってはいますが、おそらく日吉が信長に対して近親感を抱くようになるに従って、信長を理解しようとしない家臣に対して、信長と同じ様な「怒り」を感じるようになる可能性が高いです。
 ここまで来れば、かなりストックホルム入ってきたかなー、って感じですね。


 ――と、長々と詭弁を書いて来ましたが、ここで私が述べたいのは別に日吉がストックホルム症候群に陥っているということではなく、「彼のマンガの中での思考が、やや不自然に感じられる」って事なのですよ。実は(手遅れ)。

 つまり、日吉が信長のキテレツな行動を事あるごとに善意に解釈し、そこに「信長様ってスゴイ!」って描写が入る事に対しては、どうもまだ抵抗感が拭えません。サンデー25号の例の独白を例に取れば、「日吉が信長の事をそう思っている」というよりも、むしろ信長の台詞に対して「日吉の口を借りて、作者が読者に対して信長の台詞の真意を解説している」という風に受け取れてしまいます。
 キャラクターの心情を台詞や表情などから推測するってのは、マンガを読む方に取っては大きな楽しみの一つであり、マンガを提供する側にとっては描写の見せ所であると思うのですが、サンデー25号における日吉の独白は、その楽しみをわざわざ減衰させている効果しか生んでいないと思います。
 ここは別に、日吉が後ろから信長を感心するように見つめて「……」って吹き出しを付けるくらいの控えめさで十分なんじゃないかしら、とか思いましたがどうか。

 あと日吉は最近「侍になりたい」という欲求が頭をもたげるようになって来ていますが、これについても「何故、侍になりたいのか?」っていう動機付けを一発入れて頂きたい所存です。
 日吉の境遇からすれば、今のところ一番大きい理由は「立派になって義父を見返してやりたい」「力ある存在になって、弱いモノをいじめる連中を見返したい」辺りかなと推理できますが、この辺の理由だったら別に「立派な行商人」になっても果たせそうですしね。


 何にしろ、今の日吉はストックホルム症候群に陥ってもおかしくない人質状態であり、この状況下で「日吉と信長の関わり合いによる成長」を読者に納得できる形で描くのは結構大変なのではないか? という気がします。現段階での日吉の唯一の強みは「家老並の権限が与えられている」ってのがありますので、この設定を生かして信長と対等に渡り合えるような展開に持っていくのでしょうか?

 信長は「恋人の前ではなかなか素直になれないシャイでおシャマなヒロイン」である事が証明されましたが、その相方の日吉は信長との関係が「監禁状態でのみ成立する相互理解」に起因するトラウマになってしまう可能性を秘めている気がしてなりません。
 ああ、信長と日吉との関係は、かつて「めぞん一刻」で音無響子が五代祐作に対して与えたような、恐怖と緊張と圧迫が全面に押し出された歪んだ愛情になってしまうのでしょうか。二人の関係の今後が心配です。

※参考:
PTSD.info - 犯罪の被害者のための心的外傷後ストレス障害についてのページ

※注意:
 ここの「ストックホルム症候群」は、あくまで「日吉の今の境遇を強引にストックホルム症候群に当てはめる」ために生半可な知識で書いたものであり、正確な描写ではないことをお断りしておきます。
 本当の心身症はシャレにならないッスよ!


更新情報:

* リンク集ページに、絵描きサイト集として名高い TINAMI を追加しました。
 サイト移転に伴い、ようやく人並みに TINAMI に登録してみた模様。

* 同じくリンク集ページに、アニメ・声優・ゲーム関係リンク集「ぶろふぇるどのかってにリンク集」を追加しました。リンク集としてはかなり有用なサイトだと思います。
 4月にぶろふぇるどさんからリンクの申し出があったのですが、リンクに追加するのが遅れてしまいました。大変に申し訳ない。


00/ 5/16(更新情報へ)

「超歴史型ファンタジー、エンジン全開!!」
(週刊少年サンデー24号「MISTER ジパング」のハシラのアオリ文句より)

 自分から「このマンガはファンタジーだ」ってバラしてどうするよ!?(個人的な返答)

 つうか、別にこのマンガは本格的な歴史マンガではなく、あくまで「歴史を題材にした椎名高志オリジナルの創作マンガ」であることは、大抵の読者にとっては言われなくても承知しているはずです。
 ただ、Cna-BBS での書き込みなどから判断する限りでは、「MISTER ジパング」が持っている歴史マンガっぽさの部分に惹かれて読んでいる人も結構存在するのも確かであり、下手するとその手のマジメな歴史ファン系の人をバッサリ切り捨てかねない「超歴史ファンタジー」という表現をこの段階で行うのは如何なものか? とか思いました。

 こちらは、椎名高志ファンホームページ C-WWW です(挨拶)。


 で、戦国時代とか三国志とかに代表される歴史系創作の肝は、史実や伝記を元に構築されている既存のキャラクターなどのイメージを、どう作家が自分なりにアレンジして作品として表現するのか? という部分にある訳であり(多分)、逆に言えば「既存のイメージ」を基調にして話を作ることができなければ、それはあえて「歴史」を題材にする必要がなくなってしまいます。
 ですが、今回のハシラに書かれていた「超歴史型ファンタジー」(および、2ページ目にある「この時空がどれくらい我々の歴史に近いのかはまだわからない」という言葉)という表現だと、この「歴史を題材にした創作が守らなくてはいけない一線」を、時と場合によってはアッサリと越えてしまいかねない→最後はモラルハザードを起こして作品性崩壊、という危険性を自ら孕むことになってしまいます。
 「ファンタジー」ってのは、言ってしまえば「何でもアリ」って意味ですからね。

 で、この「この時空がどれくらい我々の歴史に……」って表現については、「歴史ファンから『史実と違うじゃん』と突っ込まれる事に対する防衛策である」という推測が成り立ちます。
 実際、今までも細かいところではかなり史実と異なる設定になったりしている箇所もあり、歴史マニアな諸子から多数のツッコミがサンデー編集部に対してなされたことは容易に推測できます。特に、ヒナタとヒカゲのアレなんかに至っては、もう純粋な「歴史モノ」としてはとても言い訳できない設定と言えますね。私も、こんな設定を「純粋歴史モノとして許される存在」として擁護しようとは思っていません(笑)。

 ただ、「MISTER ジパング」という作品(更には、いわゆる「秀吉モノ」と呼ばれる、豊臣秀吉の半生を描いた作品群)の本質は、あくまで「日吉が信長と関わり合うことによって、一介の農民から『天下人』に成長していく姿を描く」ことにあるのであり、その本質さえキッチリ描けているのであれば、それ以外の部分で多少の歴史の改編とかファンタジー要素が混ざっていたりしたとか言っても、作品そのものの評価を落とす要因にはならないのではないかと思います。
 私が思うに、「MISTER ジパング」における『史実と違うじゃん』と突っ込まれる箇所ってのは、今のところは「作者が『日吉と信長の関わり合いと成長』を促進するために創作した」という理由で説明できる事項がほとんどではないのでしょうか。特にヒカゲの「能力」は、日吉の成長プロセスの節目に発動してこそ最大の効果を発揮する類のものであり、作品のテーマを週刊少年マンガという限定された媒体上で判りやすく表現するという観点からすれば、むしろ「なくてはならない」キャラクターであると言えるでしょう。
 このマンガ、見てくれは「ファンタジーマンガ」という呼称が付いてもおかしくない内容に見えますけど、あくまで本質は「歴史マンガ」と言い張っても一向に構わない作品にちゃんと仕上がっていると思いますよ。今のところは。

 ですが、せっかく「歴史マンガ」と言い張れるだけの内容を持ちながら、最初のうちからマンガを提供する側が「これはファンタジーです!」とか「これは我々の世界とは違う次元のお話です!」とか事前に言ってしまうってのは、何というか作者の側が事前に逃げ道を作っているように見えてしまい、こちらとしては興醒めしてしまいますね。
 まぁ、これらの言葉はあくまでシャレの範疇で言っているのは判っていますけど、あんまりこういう後ろ向きな事を書くのはほどほどにして頂きたいです。個人的には。

 というか、むしろサンデー編集部には、「貴様らがどう言おうとも、これは本格歴史マンガなんだよ! 細かいことでガッタガッタ抜かすな! 本質を見据えろ! 黙って読め!」と強硬に主張して読者を騙し、そして最後の最後で「このマンガはこっちの世界の歴史とは違うんだよ〜」ってネタバラシをして逃げ、再び読者を敵に回すくらいの事はして頂きたい所存です(ドクロ)。


 あと、サンデー24号を読んでいて気が付いたのですが、この回の「MISTER ジパング」に出てくる信長って、なんか妙に可愛くないですか? いやその、決してやおい的な発想ではなく! なんつうか、今回の話の描かれ方が、まるで「ラブコメマンガのヒロイン」の如き演出を伴っていたように見えてならないんですよ!
 例えば:

・P124 3コマ目〜 P125 1コマ目
 伝説の樹の下(間違い)で日吉を待つ信長。コマの奥では白馬が草を食んでいる姿が描かれていますが、これは信長が「清洲城から出てきた日吉を先回りし、樹の下でずっと待っていた」ことを意味します。
 先回りして待ち伏せし、偶然を装って意中のカレに遭遇! いじらしいッスね!

・P125 3段ブチ抜き信長
 ここでは、なで肩体型で受けフェロモン(専門用語)を発散している信長に注目。意外に色っぽいです。女装が似合うのも頷けますね。
 後、草を口に加えている仕草に注目。日吉を待っているうちに、口が物寂しくなったのでしょう。日吉を待ちながら、草の幹を噛む! これが何を暗喩しているのか、賢明な皆さんならもうおわかりですね?

・P125 3コマ目
 日吉に家族のことを突っ込まれて頬を赤らめている信長。
 家族というプライベートな事をまだカレに話せない、内気な気持ちが垣間見えます。

 ……えーと、要するに何を言いたいのかと言えば、今回のエピソードの目的は「日吉が信長の側にいられる合法的な状況を作る」ことであり、それ故に信長と日吉の現段階での関係の描写が必要なのは理解できます。しかし、上で紹介したように、ここでの信長の描かれ方は、そのままラブコメマンガのヒロインに(妄想を駆使すれば)変換が可能であるって辺りが興味深いですね。
 ラブコメマンガの定番ストーリーの一つとして、「アタシは普段は『活発でおてんばな女の子』って思われてるけど、でも本当はちょっと寂しがり屋さんなの! 最近カレのことが気になるんだけど、でもカレと二人っきりになっちゃうと、どうしても素直になれないの! アタシどうしよう!」ってのがあるのですが(あるのか?)、今回の信長って、なんか行動がコレっぽいんですよ。

 日吉の事が気になり、先回りして待ち伏せしたのにも関わらず、彼に対して素直な態度が取れないばっかりに、彼も日頃のおてんばっぷりを警戒して気を許してくれず、なかなか関係を進展させることができない信長。ああもう、これって立派なラブコメシチュエーションの一つですよ! いいたーいな! いえなーいな! チャンス! のーがしてばーかりー! って感じですよ!
 「男勝りな女の子が彼氏の前で見せる素直な姿」ってのは、男性向け成人コミックではお馴染みの(←馴染むな)萌え萌えシチュエーションなのですが、まさか信長が! 信長殿がこのパターンにハマってしまうとは! このマンガの真のヒロインは信長だったのか!

 「MISTER ジパング」は、今のところは主にマンガを沢山読んでいる玄人層や歴史ファン辺りにはそこそこ以上の人気を博している模様ですが、まだ「GS美神」の頃のような広範囲に渡る手広い人気を得るところまでには至っていないようです。その一因には、やはり美神令子やおキヌのような、作品のイメージをそのまま体現できる判りやすいヒロインキャラの不在が上げられると思います。
 が、信長をヒロインとしてこのマンガを読み直せば、この「ヒロイン不在」問題は一挙に解決します。
 いわゆる秀吉モノの肝は「日吉と信長の関わり合いによる成長」であることは説明した通りですが、これって早い話が「頭はいいけど臆病で弱虫な日吉と、カッコイイけどケンカ早くてお転婆な信長が繰り広げるラブストーリー」に容易に翻訳可能な訳であり、即ちこのマンガのヒロインは、実は信長だったのです! 帰蝶姫でもヒナタでもヒカゲでもなく!

 という訳で、当サイトでは今後、心の中で「信長がヒロイン!」と思いながらこの作品を鑑賞することを推奨するモノであります。
 これぞ「超歴史型ファンタジー」の面目躍如だぜ!(強引)


更新情報:

* 「煩悩の部屋」創作作品コーナーに、まきしゃさんの作品・「『私が月までついて行くっ!』」を掲載しました。
 今回の犠牲者は、やはり横島でしょうか? 乞うご期待(するな)。
 あと、ときめき月天神の一人・朧って、今見返すとデザイン的にヒナタに似てますなぁ。

* リンク集ページに、あしの・まことさんが運営するコミック評論系サイト「らせんせいかつノート!」を追加しました。
 『横島、ルシオラ、「長いお別れ」』は、ファンなら読む価値がある文章だと思います。


00/ 5/ 7(更新情報へ)

サンデー22/23号の日吉の台詞:
「正論とか忠告なんてのは、それが正けりゃ正しい程、言われるとアタマにくるもんじゃないですか。
 『お前は間違ってる』なんて言われて、おもしろい人間なんかいませんよ」

この台詞から得られる間違った教訓:
 常に『お前は間違ってる』と正論を言える立場の側に回れ。


 この手の「正論」がどうとか言う主張は、『彼氏彼女の事情』(津田雅美/白泉社)にも「安全な場所で正論語るのは楽でいいよなぁ!」というえらい辛辣な台詞があったと記憶しています。
 マンガの中にこういう台詞が出て来ると、「マンガ家って、日頃から読者からいろいろ言われて大変なのかなぁ」とか思ってしまいませんか?


更新情報:

* 創作作品コーナーに、西表炬燵山猫さんの作品・「boy meet girl」を掲載しました。今回は、ゴーストスィーパーを兵力として利用しようとする国家権力との争いに巻き込まれた横島は……という、かなり重い筋書きです。

 アシュ編後の舞台設定としては面白いですし、美智恵が令子を説得する辺りは結構グッと来るものがあるのですが、権力機構やそれに対抗するGS達の描写の仕方に関しては、「GS美神」世界をバックグラウンドにした話にしては疑問を感じます。直接的な描写ではなく、(「暗殺のソロ!」編のように)権力機構のダメっぷりをパロディにして表現しないと「GS美神」らしくならないかな、と思いました。


 以下は、連休中の個人的な日記です。
 暇な方のみどうぞ:

4/28
アイアンジャイアント
 元々はアメリカでもほとんど売れなかったアニメ映画なんだけど、あまりに「泣かせる」ストーリーに感動したアニメファンが口コミで面白さを伝導、最終的に国内上映+早期ビデオリリースまでこぎ着けた事で有名(らしい)。一応アニメファンの端くれとしては観なければいけない映画だと感じたので観てきた。

感想:
 放映時間が短いせいか、全体的に「ストーリーを早回ししている」という印象を受けた。なんか、1本の映画を見ているというよりは、全13話構成アニメのダイジェスト版を観ているような感じ。個人的には「怖いと思われていた鉄人が実はいい奴だったと街のみんなに知られる」部分はもうちょっと時間を割いて欲しかった。そういうパターンが好きなので(わがまま)。

 とは言え、それ以外は素晴らしいと言っても良いほどの出来。登場するキャラは皆個性的でかつ性格が判りやすいし、当然ながらアニメーションも滑らかで美しい。特にジャイアントの戦闘モードのフォルムは格好良すぎであり、通常モードの愛嬌のある姿とのギャップを出すことに成功している。このギャップがあるからこそ、「自らが人を殺す兵器であることに悩む」というアイアンジャイアントのテーマも際だつというモノだ。
 ただ、全体的に内容が地味っぽいのは否めない。何よりも絵柄が典型的なアメリカのカトゥーンアニメ調なので、どうしても牧歌的なイメージが付きまとってしまう。日本アニメやディズニーアニメのようなキャッチーな絵柄とかけ離れているため(より判りやすく言えば萌えない絵であるということ)、広く一般にウケるとは思えない。
 勿論、カトゥーンアニメ調の絵柄がこの作品の舞台である「1950年代のアメリカ」を表現するのに最も適しているのも確かであり、この点をもってこの作品を非難することは出来ないのだが、地味な絵柄でかなり損をしているのも確かだ。これじゃあ、同時期に「トイストーリー2」なんて派手なアニメ作品をやられたら、そりゃ勝てないよなぁ。

 噂によれば、この作品は日本国内のアニメ業界関係者にバカ受けだったらしいので、今年の秋のアニメには「主人公を女の子にすり替えたアイアンジャイアント」みたいなロボアニメが始まるに違いないよ! と思うがどうか。個人的にはこんなタイプのアニメを希望。


4/29 - 4/30
ニューマシーン制作
 私は「2年に一度だけマシンを自作する」という特殊な趣味があるので、自作した。
 フツーのパソコンマニアみたいに秋葉原行ってお店回ってパーツ買ってきましたよ! エロ同人誌やエロマンガ目当て以外で秋葉原行ったの久しぶりなので大興奮!
 でも、結局1冊エロいマンガ買って帰ったけどな!(お約束)

購入品:
Athlon 700MHz バルク \22,554
Dual Fan Cooler \3,980
PC100 SDRAM DIMM 128M \10,880
MSI MS-6195 (K7Pro) \18,800
ATI RAGE FURY Pro AGP 32M \17,800
Windows98 Second Edition \15,000

 これだけ買って来て、残りの CD-ROM や HDD やサウンドカードといった周辺機器は現在のマシンから引っこ抜いて使い回そうという計画。

購入+組み立て日記:
・Athlon 700MHz の売値相場は、この時は \25,800 程度が相場だったのだが、なんか DOS/V パラダイスは他店よりも 3,000円近く安い価格を提示していた。思い切って購入したところ、いきなりショーケースに飾ってあった CPU を渡されビビる(弱気)。その日の最後の一個だったらしい。

・Athlon と CPU ファンをどうやってくっつければ良いか判らず、仕方がないので本屋へ行って自作PC本を立ち読みし、CPU+ファン組み立て方を研究する。Socket 7 の奴ならすぐ判ったのにな! これがプロセッサ技術の進歩って奴なのですか?(ヘボ)

・そして CPU とメモリとビデオカードだけ装着した状態で電源を投入してみるが、マザーボードの診断機能が「CPU を認識できない」と言って止まる。まさか CPU のハズレを引かされたのか! かと思って調べてみたら、CPU ファンを支える器具の組み立て方を間違っており、ちゃんと CPU がソケットに刺さっていないのが原因と判明(ヘボ)。

・CPU を正しく装着するのに成功したのもつかの間、今度は「メモリが認識できない」と言ってまた止まる。試しに旧マシンの DIMM を刺してブートしてみたらちゃんと立ち上がるので、メモリの初期不良の公算が大きい。ああ、ついにやっちまったよ!(ヘボ)
 メモリがないのは困るので、地元のショップに行って PC100 SDRAM DIMM 128M を購入。秋葉原価格よりも 1,000円高く、ちょっと損した気分。アキハバラはいい街だなぁ。

・そして HDD (IBMの15Gの奴), CD-ROM(ノーブランド24倍速), サウンドカード (MONSTER SOUND MX200)、LAN カード(Corega Ether PCI-T) を刺して Win98 SE をムリムリインストール。だがしかし、時刻の設定の箇所で、画面に出てきた時計が異様に速いスピードで時を刻み出すという前代未聞のトラブルが発生! 見る見る間に時間が過ぎてくよ! なんか安手のSF映画のタイムスリップ演出みたいだよ! うわ、なんか藤子Fの「TPぼん」みてぇな演出! 萌え!(ヘボ)
 さらに、ここで強引に設定をして先に進めると、リブートするところでマシンがハングアップする現象まで発生して途方に暮れる。仕方がないので拡張スロットに刺さったハードを抜いて試行錯誤した結果、サウンドカードを刺していると当該の障害が起こることが判明し、このハードは泣く泣く捨てることに決定。当時は2万円くらいした高級品だったんだけどなぁトホホ。

・代打のサウンドカードとして、廉価の Labway XWave-320 を大購入した(店頭価格 3,000円程度)。
 「とりあえず音が鳴れば!」と思って刺してみると、これがアンタ前の MONSTER SOUND MX200 よりも音がキレイなような気がする(特に MIDI 再生)。さすが YAMAHA YMF724F-V チップ積んでるだけのことはあるなぁ! ビバ YAMAHA! オレの中の YAMAHA テクノロジー技術レベルのランクが、ジオン公国並みに高まったよ! ジオン驚異のメカニズム!

・現在はどうにか正常に動いているものの、CD-ROM が Win98 発売以前に購入した古いものだったためか、CD→MP3 作成ツールが動作しなかったり、時折起動時の CD-ROM の認識でマシンが20秒くらい止まってしまう現象が発生している。せっかくなので今度は DVD 対応のドライブを購入し、アニメ鑑賞もできるマシンにしてみる所存。


4/30
ラブひな第2話
 マシンの組立をしながら、溜め撮りしていたビデオを一括鑑賞。その中でも注目は「ラブひな」。
 アニメ版第1話は、世間的な「ラブひな」の評価の期待に違わない見事なドタバタエロアニメ(でもパンチラなし)っぷりを披露して世間に呆れられていたのだが、第2話はうって変わって「離婚する両親の間で悩む女子中学生の苦悩」を描いた中学生日記みたいな真っ当な内容のドラマが展開されており、とても驚いた(オレが)。やればできるじゃん!

 この話の主人公は、なんかファンの間では成瀬川なると人気を二分している前原しのぶ。マンガの中では彼女の背景設定や「何故彼女が主人公に憧れを抱くようになったのか」の理由がキチンと描かれていないのだが、アニメの方ではこの描かれていない部分をちゃんと補完するように作られており、素直に感心した。マンガのアニメ化にはこういう手法もあるのか、と思った次第。
 一般では「マンガとそれをアニメ化した作品は別物」として評価するのが慣わしなのだが、『ラブひな』の場合はマンガの作者が「アニメの内容をマンガの方にフィードバックして行く」とか何とか言ってた(ような気がする)ので、もしかしたらマンガとアニメの関係に新しいパターンを作るものになるのかも。買い被り過ぎだろうけど(結局)。

 にしても、こういうドタバタラブコメディって、一昔前はアニメではなく、普通のホームドラマが担当する分野だったのではないのだろうか。今はドラマはOLが観るものって事になっているので、「ドタバタラブコメディ」よりは「自分探しのドラマ」の方が売れるんでしょうかね?


5/3
ラブひな第3話
 連休中でサンデーもマガジンも発売されないので「今日が水曜日である」という事をすっかり忘れており、アニメ版「ラブひな」も当然見逃す。ああ、素子っちが! 素子っちが!
 その翌日、「アニメで『ラブひな』を初めて観た」という知人に対し、ひなた荘の女子住人キャラの解説を一生懸命して鬱憤を晴らそうと試みた私がいた(実験の結果:失敗)。


5/5
Magic: the Gathering
 この日は Type 2 レギュレーションの大会があったので、それに参加。
 現在の Type 2 環境(専門用語)は、俗に「Parallax-Replenish」(専門用語)と呼ばれるコンボデッキが最も強いと言われており、それへの対策は必須である、なので、今回はそれに理屈の上では対抗できるはずの赤緑土地破壊デッキ(専門用語)で行ってみた。緑のマナクリーチャーを展開して早めに相手の土地を赤の呪文で壊し、相手の動きが止まったところで「Parallax Wave」で除去されない「Blastoderm」を展開し、さっさと殴り勝つ趣向のデッキです。

 が、でも実際に大会に出てみると、なんかあんまり「Parallax-Replenish」デッキで参加している人がおらず、一度も対戦しなかった。「Parallax-Replenish」は強いだけあってかなり対策も進んでおり、今このデッキで参加するのは分が悪いという判断が働いたのかも知れない。それに高いレアカードばっかり使うデッキなので、使えるプレイヤーも限られるしね。
 結局、「Parallax-Replenish」にメタを張った(専門用語)黒/黒緑クリーチャーデッキに二回当たり、緑クリーチャーの天敵カード「Perish」をガスガス撃たれて負け。結果は4勝2敗とまずまずだったんだけど、負けゲームはどちらも黒に対する対策をまるで講じていなかったのが敗因なので、ちょっと悔いが残ったような。つうか、「Delraich」と「Albino Troll」強過ぎ! オレの前にタフネス6以上のクリーチャーとか再生能力付きクリーチャーとかを出すな!(勝てないから)


5/6
天下統一〜乱世の覇者〜
 「MISTER ジパング」連載開始で戦国ゲームやりたい熱が高まっていたので、システムソフトの名作戦国時代シミュレーションゲーム「天下統一」を Yahoo! Auctions で落札。歴史ゲームと言えば光栄の「信長の野望」シリーズが有名だが、「天下統一」はゲームシステムそのものの出来がかなり良いので、シミュレーション性はこちらの方が高いと思う(逆に「信長の野望」はエンターテイメント性を重視しているような)。

 とりあえずお約束で織田家を選んでプレイしましたが、やってみて判るのは「織田家と斉藤家はどうしても争わなければならない状況下にある」という事。織田としては戦国大名になるためには美濃の国力は必須だし、斉藤も尾張から輩出される豊富な人材が喉から手が出るほど欲しい。また、近隣には武田家や今川家といった強力な大名が陣取っているので、織田としては早めに美濃を手に入れて勢力を拡大しないと死あるのみである。史実では「斉藤と同盟→尾張平定→今川迎撃→美濃攻略」という手順で進んだが、このゲームにおいては「尾張平定→美濃攻略→今川迎撃」の方が最善手だろう。
 まぁ、今回のプレイでは、今川がなんか知らないけど武田と勝手にケンカを始めてしまって尾張に侵攻する余裕がなくなってしまったため、後ろを心配することなく早々に畿内平定できたので楽だったです。秀吉(日吉)や蜂須賀正勝(小六)が自軍に登場した頃には、もう中国・四国地方の大半を制圧してしまっており、連中にさせる仕事がほとんどないという状況になってしまった程ですわい。

 このゲーム、PC-9801 時代から名作の評判が高かったんだけど、やっぱ今やっても面白いです。
 つうか、あまりにこのゲームが面白いため、連休中はパソコン立ち上げてもネットにほとんど繋げずにずっと「天下統一」ばっかりやってたくらいです。やっぱゲームだよな! ゲームゲーム!



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