恒例企画 バーチャル読者アンケート
(サンデー21/22号より)
カナタ連載開始
やっとマンガをゆっくり読む暇と精神的余裕ができたよー!ヽ(*´∇`*)ノ
という訳で、今更ながらですが、ファンサイトらしく「一番湯のカナタ」の感想を少し。
なお、一応事前に申し上げておきますが、この「一番湯のカナタ」というマンガの第一話は素直に「とてもおもしろい」と思える良いお話でしたし、また「おもしろい」以上のコメントを言う必要もない、純粋にエンターテイメントとして楽しむべきタイプの作品であるとも思うのですが、しかしただ単に「おもしろーい!」と連呼して書くだけだと「単に萌え〜萌え〜と叫ぶだけじゃないコメントが読めるファンサイト
」として評価されたこともあった(←過去形?)当サイトのブランドの名折れですので、ここでは頑張って「頭の良い読者が要求している、理屈っぽい読後コメント」をひねり出して行きたい。
こんなだから理屈をこねくりまわすのが好きなオタクは嫌われるんだよ!(誰ともなしに)
雑感
とりあえず、色々な意味でとても「手堅い」路線の作品だなー、というのが第一印象でした。勿論良い意味で。
おそらく、これは世間一般のマンガ読者が想像している「椎名高志の描くマンガ」のイメージにかなり近いスタイルのマンガなんじゃないか? と思います。
前作の「MISTERジパング」は、少年マンガとしては極めて正しい題材を扱ってはいるものの、逆にこれまでの『椎名高志』という名前が持つブランドイメージとは外れた場所に位置する、おそらく作者にとっても雑誌にとっても大きなチャレンジだった作品でしたが、今度の「カナタ」の場合は、作品の素地となる部分に、「GS美神」以前の時代から作者が積み上げて来た『椎名高志』的な要素をかなり強く感じ取ることができます。
前作の「ジパング」の第一話は「少年マンガの王道!」と言えるものでしたが、今度の「一番湯のカナタ」の第一話は「椎名高志のマンガの王道!」と表現するのが相応しいでしょう。
そして、こういうタイプのマンガは、掲載誌である週刊少年サンデーにとっても望まれていたんじゃないかと思われます。
椎名氏のサイトにあった「プロに徹した
」というコメントは、『雑誌にとっても読者にとっても望まれていた形の作品を提供した』、という意味も含まれているのかも知れません。
作品世界
まず、この作品の世界設定のベースが「懐かしさ」(それも、作者の椎名氏の世代にとってのソレ)にあることが、第一話に明確に提示されています。
第一話のサブタイトルが「お湯の中からコンニチハ」だったり、宇宙船のデザインが太陽の塔そのまんまだったりする辺りから、既に作者の世代が共通で背負っている「大阪万博」という名の幼少期のトラウマ(間違い)が反映されていますし、物語の中心となる「下町にある銭湯」という存在も、今ではどちらかと言えば懐かしさを持って語られる、失われつつある旧世代を象徴するものであると言えます。
他にも、カナタのカラータイマー、タコ型宇宙人、壁にスプレーで落書きするヤンキーなど、『判る人には判る』タイプのノスタルジーを想起させるに十分な要素が作品内に散りばめられています。
その中でも、銭湯を舞台に持ってきたのは、「ノスタルジー」をキーとする作品としては大正解でしょう。
マンガの舞台としての銭湯には、勿論「男だろうが女だろうがキャラを脱がせ放題」という強烈なアドバンテージを得られる利点がありますが、このマンガの場合は更に「今は失われつつある、古き良き時代への懐かしさ」のシンボルという意味合いを持たせていると思われます。
というか、そういう効果を持たせなければ、現代劇の中にわざわざクラシカルなスタイルの銭湯を登場させる必然性はあまりないとも言えますが(銭湯をそういう意味で使った最近の作品の代表例が「NieA_7」(のコミック版)。近未来SFの割にはクラシカル感がにじみ出ていてオススメ)。
第一話で主人公のリョウが「…わかってるよ。ここは絶対に潰さねぇ…ガキの頃、俺はそう誓ったんだ…!
」という台詞を喋っていますが、これはそういった時代の流れを認識しつつも、その失われそうな懐かしい場所をこれからも守っていこうとする、彼の意志の現れに他なりません。
そして、そんな彼の前に、ある意味「彼が守ろうとしている懐かしさ」を具現化したような、あからさまに70年代前半の要素を纏った奇妙な姉弟が登場した――という第一話の展開は、このマンガのテーマを如実に表していると言えましょう。
また、この手の「ノスタルジー」をキーとする作品に対しては「子供がこんなの読んで面白がれるのか」という批判が必ず出てきますが、とりあえずこのマンガの主要な要素である「銭湯」は何故かどの雑誌でも大抵どっかしらのマンガでネタにされているので、仮に本当の銭湯を見たことがない読者でも、「銭湯はどんな場所か」を理解するのはそれほど難しくないと思われます。
私も、実はこのマンガに出てくるような「銭湯」には行ったこともなければ観たこともないのですが(地方ではこの手の銭湯はもう失われて久しいです)、でも子供の頃に見たドリフターズの銭湯コントで「銭湯」に対する知識を刷り込まれているので、まったく問題ありません。
つまり、今や銭湯は、少なくとも少年マンガの世界では「カワイイ女の子ばっかりの女子寮」や「目からビームが出る猫耳少女が店員やってるグッズショップ」と同列の、ファンタジーの世界に存在する施設になりつつあるのが現実なのです。少なくともオレにとっては、「マンガの中ではよく出てくるが、現実ではまだ見たことがない」という意味においては、宇宙人とクラシカルな銭湯はほとんど等価値ですよ?(比較するなや)
実際、「銭湯」+「宇宙人」の組み合わせそのものは、マンガとしてはそれほど目新しいものではなく、既にネット上でも「NieA_7」や「円盤皇女ワるきゅーレ」などとの類似性を指摘する声が散在しています(特に「円盤皇女ワるきゅーレ」は、『銭湯に宇宙人が降ってきて主人公いきなり死亡』のシークエンスまで一緒なので尚更っぽい)。ただ、これらの作品とは「宇宙人の存在が公に知られているかどうか」という前提が大きく異なるので、それらの作品とは今後の物語の展開が大きく異なって行くのは間違いありません。
とりあえず、テーマからして「昔懐かしい感じ」が売りなマンガらしいので、例によって昔どっかしらで見たことあるようなシチュエーションを今後も意図的にバンバン出してくることは間違いないでしょうが、そういうネタをどうアレンジするのか注目して行きたいところ。「見たことはあるけど、でもどこかなにか違う」方向が狙いでしょうから、その方向に突っ走って欲しいです。作者のセンスの見せ所ですね。
……ああ、でも、もし間違って「かわいいけどおかしい(頭が)宇宙人の女の子達が、次から次へと主人公の家に勝手に同居し出して、風呂に入り放題
」という、「がぁ〜でぃあんHearts」みたいなダメハーレムマンガになったらどうしよう……(´д`;)
キャラクター
リョウのダメ親父サイコー!(感想)
キャラに関しては、斯様なオヤジキャラを生成してくれたことを感謝。番台から女子高生を覗く仕草のあまりのホンモノっぽさを見ただけで、もうこのオヤジに感情移入しまくり決定です。判りやすく言えばオヤジ萌え。オレもああいうオヤジになりてぇ!(ダメ)
それにしても、斎藤道三や平手政秀といった凛々しいオヤジがわんさか出て来たマンガを描いてからたったの半年で、「仕事中でもワンカップ大関を手放さない酔っぱらいのダメオヤジ」が出てくる日が来るだなんて、予想もしていませんでした。今後も、カナタとは違う意味でのトラブルメーカー+狂言回し役として活躍が期待されます。
あと、一応男の子向けのサイトを標榜している当サイトとしては、そんなオヤジに毎週騙されて脱がされそうな役回りのユウリ姉さんにも注目です。
彼女は「世間知らずでおっとりしている」系の、スタンダードではあるけど椎名マンガでは逆に珍しいタイプのキャラと言えますが、正直一話目を読んだだけでは「カナタの姉」という設定がまだそれほど有効に活かされていないと思いました。
彼女がカナタの姉じゃなくて、カナタに仕えるメイドだったら萌えキャラになったのになァ! とか思った読者も絶対にいるはず!(ダメ)
椎名マンガにおける「幼い男の子と年長の女性」の組み合わせと言えば、「GS美神」における天龍童子と小竜姫のような主従関係に基づいた関係が多く、普通の姉弟というケースはこれまでなかったような気がしますので、今後「姉弟」という設定をアドバンテージとして活かしたエピソードが作られることを期待しておきます。個人的には「弟をやたら可愛がる姉」はツボなので、ぜひそっちの方向で一つ。
妹萌えの次は姉萌えが来ると見たね!(←注:リンク先は本作品とは無関係です)
そしてカナタについては、外見からして「MISTERジパング」の竹千代系統の(やや間違った)雅なお子様っぽさが出ており、非常に判りやすいキャラであると思いました。あと主役格のリョウは、前述したように堅い意志を持つナイスガイなので、キャラ的にはまったく問題なさそうです。
とりあえず、このマンガが作者の目論見通り(?)に「銭湯が舞台のちょっとエッチなSFコメディ」になるか、それともなし崩し的に「銭湯が舞台の量産型ダメハーレムマンガ」になるかの鍵はこの二人の活躍が読者に受け入れられるかどうかにかかっている、と言っても過言ではありません(多分)。この二人がどう動くのかに注目して行きたいです。
あと気になっているのが、椎名氏のサイトの速報ページに登場している、黒髪ショートカット女子が何者なのか、ということなのですが。
とりあえず、IRC の #C-WWW チャンネルの中では「リョウが通っている高校のクラス委員」という設定がオフィシャルとなっており、既に「委員長」というコードネームも与えられているのですが(与えた奴:オレ)、果たして彼女の正体は!
これで「単なるモブキャラ」だったりしたら泣くぜ!(オレが)
更新情報:
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「煩悩の部屋」の創作文集のページに、SUMMERさんの作品、GS!!極楽浄土大作戦!?の第四話を掲載しました。
これまではオリジナルに沿ったエピソードが中心でしたが、今回からはオリジナルエピソードに物語が分岐し始めた模様。個人的には、ちょっと意表を突かれました。今後に期待します。 - 同じく「煩悩の部屋」の創作文集のページに、初投稿となるヒッターさんの作品、HAND RED FUTUREを掲載しました。
「小説を書いたのはこれが初めて」ということで、正直表現的に稚拙な箇所も結構見られますが、「やりたいこと」がハッキリしている点(および、GS美神読者なら普遍的に理解できるテーマを選んでいる点)を買いました。キャラクターの感情表現に気を配れば、もう少し面白く、かつ読みやすくなると思います。 - 今まで試験的にこのページの右側に表示していたリンクリスト集ですが、一部のブラウザで表示がおかしくなるという報告を受けた為に撤去し、更に実験的にページ上部に「サイドバー表示」というボタンを作りました。このボタンをクリックすると、リンクリスト集のウィンドウが開きます(要 Java Script)。
あわてて作ったのでちゃんと動作するかは未確認ですが(笑)、必要な方はご利用下さい。
お知らせ:
今年の週刊少年マガジンはGWも休みませんが、オレは休みます!(挨拶)
っつう訳で、最近更新が遅れ気味なこのサイトですが、次週の定期更新は都合によりお休みします。次回は 5/13 頃になる予定です。ご了承を。
5/1 に発売されるマガジンやサンデー超増刊を読みながら、ゴールデンウィークを楽しくお過ごし下さい。