少林サッカー
「火星に帰れよ。地球は危険だ」(挨拶)
つう訳で(いきなり)、一部で話題沸騰中の「少林サッカー」の先行上映を観てきました。
聞いた話によれば、新宿などの大都市圈の映画館では立ち見が出る程の大盛況だったそうですが、それに対して私が観に行った沼津の映画館では、モノ好きそうな茶髪の兄ちゃん姉ちゃんアベックや、如何にもオタクっぽい容貌のファッティなガイ(美化表現)など約10名程度しか観客がおらず、相変わらずの地方都市っぷりを如何なく発揮していましたよ。これでこそ!
まぁ、これが普通の映画だったら、「これくらいの客の数の方が余裕あって静かに鑑賞できるからいいよね! やっぱ新宿は映画を観るところじゃねぇよな!」と毒づくところなのですが、この映画はインド映画同様、沢山の観客と一緒に映画を観て一緒に騒いで盛り上がるグルーヴ感も楽しさのうちだと思うので、そういう意味では観客が一杯いる新宿で見た方が面白い映画なのかも知れません。
それはともかく映画の中身ですが、期待に違わぬビックリ映像の数々で、とても楽しく鑑賞できました。「これって全然サッカーじゃねぇじゃん!」という常識的なツッコミをすること自体がまったく無意味な、アクションコメディ映画の傑作だと思います。香港映画界の記録を塗り替える程の人気を博した、というのも頷けるというもの。
特に素晴らしいのがクライマックスとなるライバルチームとの決勝戦で、そこで繰り広げられる壮絶なシュートの撃ち合いは正に圧巻の一言。こちらの想像を遙かに凌駕する映像表現の数々を作り出した映画制作者達のイマジネーションの豊富さっぷりに対して、素直に感動できること請け合いです。映画というメディアが持つ「迫力だけで全てを納得させてしまう映像の説得力」を実感した気がしますよ。
物語は、基本的にはチャウ・シンチー演じる主人公が、かつての少林寺の修行仲間(しかし今ではすっかりダメ人間と化している)を集めてチームを作り、無茶なトレーニングを経て大会を勝ち抜いて行くサッカーシーンと、街で主人公が出会った饅頭屋の店員の女性(とは言っても太極拳の手捌きで饅頭をこねる辺りは既に只者ではないです)とのラブロマンスシーンが交互に繰り返されて進んでいくのですが、何しろサッカーシーンの方が映像的に面白すぎるので、「ラブはいいから早くサッカーやれ!」と誰しもが思ってしまうに違いありません(笑)。
ただ、ヒロインとのモタモタしたラブロマンスっぷりも、最後の試合のクライマックスシーンでは大きなカタルシスとなってキッチリ昇華される演出は見事。まぁ、ヒロインの扱いのヒドさ加減は「さすが香港映画!」と感服するしかないですが、ちゃんとハッピーエンドで終わっているので後味も良いです。
とりあえず、理屈抜きで楽しい一時を過ごしたいならお勧め。アベックで見るよりは、馬鹿な友人達と一緒に観てガハガハ笑った後、居酒屋で飲みながら映画を酒の肴にして更にガハガハ笑う目的で見る方が適しているタイプの映画だと思います。
そんな感じでマンガとは関係ない話題をしながらこんにちは。
FIFAワールドカップの開幕も近付き、沼津の街中に「沼津市は郷土の英雄・小野伸二選手を応援します!」みたいなことが書かれた横断幕が張られた途端に「小野伸二緊急検査!」なんて景気の悪いニュースが飛び込んで来てますますヒートアップする(景気の悪さが)今日この頃ですが、皆様如何お過ごしでしょうか。ワールドカップ開催による経済波及効果の拡大に貢献してますか?
で、例によってサッカーはお茶とミカンに並ぶ県の特産物である、という意識が強い我が故郷・静岡県では、ローカル新聞が「代表選手23人のうち、11人を静岡県勢が占める!」(静岡県出身、ではないところが数字のトリック)とかいう記事を堂々と載せるなど、相変わらずの静岡県人の自意識過剰っぷりを発揮していて微笑ましかったりするのですが、でもその一方でセネガル代表の事前キャンプ地であった藤枝では担当者が自殺する事件が起こったり、御殿場にキャンプインしたウルグアイ代表が地元の意向通りに動いてくれなかったりと、「ワールドカップ」なるイベントについて色々と考えさせられる事件が静岡でも起こったりしているのも事実なのです。
個人的には、この東京新聞のコラムにあるように、「各国のサッカーチームは日本でW杯を戦う為に日本にやって来ているのであって、別に地方都市と国際交流をするために来ているのではない
」という意見に賛同するものでありますが、別にここはサッカーサイトではなくマンガのファンサイトなので、この辺はうやむやにしながらマンガの話に持って行きたい所存:
うやむやビーム(ノ・_・)‥‥…━━━━━☆ピピ
ファンタジスタ第一部終了記念
そしてサンデーのサッカーマンガと言えば「ファンタジスタ」で決まりですが(いきなり)、先週ついにこのマンガも主人公の徹平君が愛しのマルコの待つイタリアに向かって旅立つ! という急展開を迎え、めでたく第一部完と相成りました(でも次号からいきなり第二部スタートなので注意)。
高校選手権予選の決勝戦が始まった辺りから、一部読者の間では「このマンガはもうすぐ終わってしまうのではないか?」と噂されていたりしていた事もあったらしいのですけど、さすがのサンデー編集部と言えども、ワールドカップが始まろうとするこの時期に唯一の連載サッカーマンガを終了させる程には尊大ではなかった模様です。良かったですね(誰ともなしに)。
それで先週掲載された第一部最終回は、イタリア行きを希望する徹平を相手に琴音姉さんが「アンタはアタシが育てるのヨ!
」とか独占欲丸出しなことを言いながら大暴れするという、これまでの優しい指導者像を覆す大活躍を見せてくれたので、個人的には非常に面白かったです。やっぱ、人間にはこういう歪んだ一面がないと面白くないよね!
しかし琴音姉さんは、自分が果たせなかったサッカーへの夢を託すはずだった最愛の弟はイタリア人の美少年に取られちゃうわ、彼女の萌え対象であるロベルト・バッショはW杯イタリア代表チームのメンバーから外れるわと、なんかこう今年に入ってから災難続きなご様子。せっかく選手権予選を突破しても、これではあまり浮かばれません。
彼女が主役の外伝を読みたいが為にファンタジスタの8巻を買ったこともある姉萌えファンの私としては、ぜひ琴音姉さんにはこの逆境を乗り越え、残されたサッカー部の少年達をビシビシ鍛えてストレスを発散させつつ高校サッカー全国大会を制覇し、自分のサッカーに対する愛情に全て応えてくれた訳ではなかったこれまでの人生に対する復讐を果たして、心の平安を取り戻して幸せになって頂きたい! と願ってやみません。
そんな感じで(どんなだ)マンガとしても普通に面白い「ファンタジスタ」なのですけど、第二部になるとイタリアが舞台となるために、琴音姉さんや福田しおりといった数少ない女性キャラ陣がゴッソリとレギュラーから外れてしまうことが予想され(レギュラーとして登場できる可能性がある日本人女性はスポーツ記者の眼鏡女だけですか?)、そういう方面を楽しみに読んでいた読者には今から失望感が漂っているのも事実です。
おそらく第二部は、まずはマルコに萌えられるかどうかが勝利への鍵となると思われますので、「キャラ萌え要素がないとマンガなんか読んでいられねぇ!
」と豪語する萌え要素が大好きなサンデー読者の皆さんは、頑張ってマルコに萌えて下さい(断言)。時代は美少年萌えの方向に着実に進んでいるんですよ姉さん。
しかし、だからといって今回の徹平のイタリア行きが(キャラ萌え方面で)悪いことばかりかと言えば、そうでも言えない側面もあります。例えば、サッカーに関しては天才的な活躍を見せる我らが徹平君も、「琴音姉さんが今まで徹平にベッタリだったため、彼は同世代の女の子に興味がまったく沸かない身体にされてしまっている」という弊害が発生していることを考慮しなければなりません。
これまでもこのマンガには「サッカー部のマネージャー女子であるしおりが徹平に対してあからさまに好意を寄せているのに、徹平はそれにまったく気付かない」というシーンが何回かあったと記憶していますが、それは単に彼がそういう事に鈍いということだけではなく、彼の近くにはこのマンガ世界における最強の女性であり、かつ姉萌え属性の必須要素である「身近」「親密」「包容」の全てを兼ね備えている琴音という存在があったからに他ならないのであります。
そりゃーアンタ、あんな女性が実の姉だったら、カワイイだけで色気のない同級生の女子(言い過ぎ)なんか、もう絶対眼中に入らないよね! 姉萌えバンザイ!
――という異常な環境下に置かれていたため、無意識のうちに歪んだ女性観を持つに至ってしまった(決めつけ)徹平君ですが、次回から始まるイタリア編ではついにこれまで彼の全てを支配していた『姉』の束縛から解き放たれることになります。
果たして彼は、そこで姉以外の異性に萌えられる新しい自分を発見することができるのか(←萌え?)、それとも姉以外の女性に対しては相変わらず不感なままの一途な人生を歩むのか、あるいはこのままマルコを始めとしたイタリアの美少年達とメロメロな関係を築く道を突き進むのか?
「ファンタジスタ」第二部は、サッカー以外の部分での徹平君の生き様にも(勝手に)要注目ですよ!
更新情報:
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「煩悩の部屋」の創作文集のページに、ジャン・バルジャンさんの作品、「長いお別れの後で……」を掲載しました。
今回はアシュタロス編の設定を踏まえた上での作品世界における美神美知恵が主人公のお話ですが、マンガの中にも出てきた概念の一つを使って、物語に大きなパラダイムシフトを起こしているところが興味深いです。このアイデアは面白いかも。 - サイドバーリンク集(もはやこの名称が正しいかどうか疑問ですが)に、先週ここで紹介したLOGIC & MATRIXを追加しました。