それはともかく、「星界の紋章」は面白いですね。根っからの「宇宙人」であるアーヴ種族独特の行動形式や価値観が、ラフィールというキャラクターの個性付けに大きく役立っている辺りはもの凄くSFっぽいですし、そんな彼女の奇想天外な行動に終始振り回されながらも何とか彼女をなだめすかせようとする主人公・ジントとの掛け合いも絶妙。「ガンパレードマーチ」の芝村舞と速水厚志の関係みたいで萌えです(´Д`;)。
こんなに面白いなら、もっと早くちゃんと読んでおくなりビデオ借りて観ておくなりしておくべきでした。無限に広がる大宇宙より深く反省。
という訳で、椎名高志ファンサイトを自称する C-WWW へようこそ(挨拶)。
Howl from Beyond
それでここは「星界の紋章」ファンサイトではなく椎名高志作品マンガのファンサイトなので話を「カナタ」の方に戻しますが、9/18 に「一番湯のカナタ」のコミックス1巻が発売になりました。皆さんは既に入手なされたでしょうか?
書店員のたわごとさんの日記に「ちょっと入荷数が少ない気が
」と書かれていた辺りはちょっと気になりますが、私の見た範囲では出回りはそれほど悪くなさそうです。
それで「一番湯のカナタ」のコミックスなのですけど、一ファンではなくサンデーウォッチャー的な視点から観察した場合、この作品は椎名高志氏が今後も少年マンガ家としてやっていけるかどうかの試金石となるマンガになる、と認識しています(大げさな表現だけど)。
「一番湯のカナタ」からは「椎名百貨店」以降の椎名氏の芸風の集大成的なものが感じられるのは前にも述べましたし、実際そう感じている方もおられるのではないかと思いますが、その「百貨店」から10年以上経った今でも、氏のセンスは少年マンガ雑誌の読者に対して通用しているのかどうか? という点に興味があります。今後椎名氏がどんなマンガを手がけるかはまだ判りませんけど、「一番湯のカナタ」の評価はこれからの氏のマンガ家としてのキャリアの中でも結構重要な意味を持つのではないか、とか思っている次第。
勿論、単なるファンの立場からすればこのマンガは売れて欲しいですし、椎名氏にはまだまだサンデーで少年向けマンガを描き続けて欲しいんですけどね。
あと、先週発売されたサンデー42号に掲載された「一番湯のカナタ」のエピソードは、セイリュートとブラッドがメインの話でした。
個人的な感想ですが、今回のお話はこれまでのエピソードの中でもトップ3に入るくらいオモロかったです。この前のワネットちゃん大暴れでカナタが振り回されるエピソード、ドイルとアニーザキスの薬物中毒カップル(まちがい)のエピソードに引き続き、今後のキャラクター同士の関係の進展を期待させてくれる物語だと思います。
これまでのエピソードでは、ブラッドがセイリュートに惚れる過程がかなり豪快にすっ飛ばされている印象があり、それ故に「ブラッドはセイリュートの身体(=宇宙船)だけが目当てなのか、それともセイリュートの精神(=ホログラム)もまとめて惚れているのか」の判断ができないところがありました。なので、「ブラッドにゃまだまだうちのセイリュートは嫁にはやれんね!
」と娘を持つ父親みたいな心境に陥っていたところもあったのですが、どうやらブラッドはセイリュートの身体だけじゃなく精神に対しても本気で惚れてしまっている模様。それが判ったのは収穫でした(娘を持つ父親の心境として)。
また、セイリュートもそれなりにブラッドを意識しだした辺りも微笑ましいです(娘を持つ父親の心境として)。
それと、セイリュートがブラッドの作ったソフトを見て言った「美しいプログラムだ
」って台詞は、実はその筋の人にとっては相当な
でも、住所不定無職のブラッド君には、うちのセイリュートはまだ嫁に出す気にはなれんね! もっと精進したまえ若造!
プハー(タバコを吹かす仕草を伴いながら)
(゜Д゜)
あと、今回は椎名氏が完成原稿速報ページで「ブラッドがちんぽこをブラブラさせてるシーンが登場する
」と公言されたこともあって、そういう方面でちょっと期待されていたような気がしないでもなかったのですが、やっぱり単にちんこを出してブラブラさせているだけだと、ギャグにはなりますが全然エロくはならないですな。
例えモザイク処理がされていようがいまいが、ちんこはちんこだからいやらしいのではなく、そこにちんこが存在していることがいやらしさを増長させるシチュエーションでなければあまりやらしくならないんだなー、とか思いました。
これはどういうことかと申しますと、例えば、このマンガの中に時々出てくる女湯のシーンにおいても、単にそこで裸で風呂入ってる女性キャラの絵が出ただけでは、エロの観点から見るとそれほどやらしくはありません。でも、そこにリョウの親父のやらしい目つきが加わり、その視線に気づいた女性がそれを嫌がって頬を赤らめて身体を隠すような仕草を見せると、途端にその場面がエロく思えてくるようになるんですよ。「いやらしさを増長させるシチュエーション」ってのは、そういうことを言うんです。納得して頂けたでしょうか?(力説)
このマンガに出てくる男性キャラの中で平気で脱いでくれそうなのはブラッドだけっぽいので(カナタは子供なので除外)、今後の彼の脱がせ/脱がされシチュエーションの進化に期待したいところ。
……ただ、仮にブラッドの全裸を今のセイリュートが見ても、セイリュートの方は全然気にしないと思われますがどうか。そもそも、人間と星龍では肉体構造が全然違う訳ですから、そういう意味ではブラッドはまだ彼女の興味の対象外ではないかと推測されます。
一方のブラッドは、そんなセイリュートに一方的に見つめられる格好になるので、意識過剰になってやたらと興奮しそうです。彼はセイリュートの実体である宇宙船のボディーを見ただけで発情するホンモノであることが判明しましたし、もしそんなシチュエーションになったらさぞかしちんこが(以下略)。うわぁこのシチュエーション見てみてぇー(*´Д`*)
つうか、あんまりちんこちんこ言うなや→オレ(手遅れ)
Seize the Day
あと、サンデー42号の大きなトピックスとしては、やはり井上和郎氏の新作「美鳥の日々」の連載開始を取り上げなければなりません。
前回もちょっとネタにした「美鳥の日々」ですが、いざ連載が始まってみたら、その内容は意外というか何というか、ここで書いたような非倫理的な要素をまったく含まない、極めて真っ当なラブコメマンガになっているのでビックリしました。
主人公に対して最初から好意を持っていて、優しくてかわいくてお料理やお掃除が得意な女の子がいきなり主人公の家に押し掛けて来て、なし崩し的に一つ屋根の下で同居開始! これは「うる星やつら」や「ああっ女神さまっ」に代表される、業界用語で「落ち物」と呼ばれる少年/青年向けラブコメマンガの基本中の基本とも言える正統派ストーリーです。
井上和郎氏は、初の週刊連載にあたって、とても真っ当な路線で勝負して来たと思います。
――ただ、このマンガを読んだ人は、正統派ラブコメがどうこう言う以前に、絶対「なんだこの変なマンガは?」と思ったに違いありません。
このマンガが普通のラブコメマンガと大きく異なっている(そしてそれが大きなアドバンテージとなっている)点はただ一つ、「ヒロインが居着いた場所が主人公の右手だった」こと。
それに追い打ちをかけるのが、第一話のサブタイトルである「右手のコイビト」。これが何を隠喩しているのかは、説明しなくてもお判り頂けるでしょう。右手の恋人ですよ右手の恋人! そのまんまじゃないですか奥様! お宅の息子さんは大丈夫ですか!(何が?)
何というか、登場するキャラクターそのものは極めて普通のラブコメっぽいものであるにも関わらず、「ヒロインが小さくなって主人公の右手に居着いた」という設定が一つあるだけで、たちまちおかしいラブコメになってしまうのは素晴らしいです。この奇想天外っぷりは「これはマンガだから〜」という言い訳が成立するマンガの世界でなければ絶対できないものであり、そういう意味においては正にマンガらしいマンガと言えます。
その一方で、万事においてクエスチョンにアンサーを求めるタイプの設定マニアな御仁は、既に「美鳥の体はどんな状態で主人公の腕にくっついているのか見せろ」とか「人間があのサイズまで縮小されると生物学的に生存することは不可能」とか「これは心霊現象か何かで、本当は右手にくっついている訳ではないのではないか」とか色々ツッコミを入れて喜んでいるのではないかと思いますが、でもこのマンガの場合は「そんな些細なことに突っ込んだって意味ねぇんだよ! モテない男の右手に突然美少女が生えてくるのも、モテない男の部屋に突然美少女のメイドさんがやって来るのも、マンガ的な荒唐無稽さという意味では等価値ということを知れ!
」とか強弁しつつ、深く考えずに読んだ方が遙かに面白いと思います。
勿論、これらの謎は後々物語の中で解明されていくことが期待されますが、多分作者もそんな細かいところまでは全然決めていないに違いありません(勝手に断言)。
まぁ、そこまで考え込む設定マニアな方じゃなくても、「こんなことになっちゃって、風呂とかトイレとか一人エ(中略)とかはどうするんだ?」と下世話な方向に妄想が及んだ人は沢山いるはずですが、このマンガの最大の強みは、こういう誰でも思うような妄想がそのまんまストーリーのネタになる=読者が主人公に感情移入しやすいところではないかと思います。おそらく、この辺のエピソードについては同棲生活を続ける上では避けて通れないので、割と早いうちにネタとして出てくるのではないのでしょうか。
いや、一人(中略)はやってくれるかどうかは不明ですが。でも普通やるよな。男も女も。高校生だし(中略)。
(・ω・)ノ
あと、一部では前作「葵DESTRUCTION!」の時のあまりの衝撃が忘れられず、「この人のマンガのヒロインはかわいい男じゃないとダメだ! 小さくなった女子じゃ萌えねぇ!
」という向きもあるようです。
確かに、女装美少年は今や単なるトレンドを越えて一つのジャンルとして定着した感がありますが(あるのか?)、今回のような「女の子が普通よりも遙かに小さいサイズに変身してしまう」タイプのものは、ジャンル的には「縮小女」と呼ばれている(らしい)ところに分類される、かなりマニアックな嗜好に属するものではないかと思われます。
これに関しては、以前「GS美神」で美神令子が呪いで小さくなってしまうエピソード(「縮み行く美神!」)の話に萌え萌えになっていた人のサイトを偶然発見したことからこのジャンルの存在を知り、ちょっと調べてみたことはあったんですけど、何というか「世界は広いなぁ……(´Д`;)
」というのが正直な感想でした。
ファンタジー世界で飛び回る半裸の妖精さんに萌えるならともかく、現実の女性を圧縮して(中略)な妄想プレイを愛でることができるようになるには、それ相当の萌え試練が必要になると思われます。
つまり、萌えと言う観点からすると、「美鳥の日々」は「葵DESTRUCTION!」よりも遙かにニッチな方向に傾いていると言えます。果たして「葵DESTRUCTION!」に萌えることに成功した新世紀のキャラ萌えエリート達は、よりニッチな萌えである「美鳥の日々」についていくことができるのか否か?
「美鳥の日々」とは、新しいタイプのラブコメマンガであると同時に、我々に対する新たな萌えへの挑戦である、と受け取らねばなりません。週刊少年マンガ誌の読者の中でも、心に闇を持っている読者が一番多いと称される週刊サンデー読者の資質が、今改めて問われているのではないのでしょうか。
……以上、今回は全体的に品がない文章になってしまい、大変申し訳ない(おわり)。