真のヒーローと桜庭は遅れてやってくる。サンデー30号「BE BLUES!」感想
BE BLUES!
古来より「真のヒーローは遅れてやってくる
」と申しますが、「BE BLUES!」では重要な試合で必ず遅れて登場して来ることで有名な桜庭さんが、今回の大浦南との対戦においても、試合後半で友坂とジョージが退場! という大ピンチな局面でついに登場。
桜庭を送り出したミルコは「目覚めろ…わがままな子供から…尊敬を受ける存在へと!
」と彼がこのピンチを乗り越えて人間的な成長を遂げることに期待をかけている様ですが、でもあの桜庭さんがそんなことを意に介するはずもなく、持ち前の超絶テクと俺様っぷりを存分に発揮し、いきなり試合に大混乱を巻き起こす展開となっております。
「
省吾!そいつが桜庭だぞッ!!」「うわっマジか!」「やっぱ、桜庭だよ!」
「なんだなんだあいつ!」「ハンパねえ!」「メチャメチャうまいぞ!」「止めてくれっ!」「なんだあー!」
桜庭がボールを持ってワンプレーしただけで、対戦相手の大浦南の選手から悲鳴が上がるのは勿論のことなのですが、桜庭が狡猾なプレイでPKを奪ったら今度は
「
無責任なあのヤローにだけは任せられない!」「PKは、もし外しても皆が納得できる奴が蹴るもんだ!」「腹からボールを出せ…!」「いいかげんにしろよ!」
と、味方の武蒼からも悲鳴が上がる始末。その天才的なセンスとワガママな性格ゆえに、敵味方双方から迷惑がられてます。それでこそ桜庭さんです。
主人公の龍は、色々悩んで成長したのはいいけど最近ちょっといい子ちゃん的なキャラになって来ている感がありましたけど、それだけにこの桜庭の周囲に迷惑をかけ続けてでも自分のスタイルを貫き通す、よくも悪くも変わらない姿はとても魅力的に見えますね。
そして今回の話でちょっと興味深かったのが、相手の選手の掌にわざとボールを当ててPKを取って喜んでる桜庭を見て、龍がぶるっと震えているカットがあったことです。龍には絶対にできない狡猾かつゴールへの執念を感じさせるプレイをした桜庭に対して、龍がある種の畏怖を感じたのは間違いないでしょう。
この作品における今回の試合のテーマはおそらく「勝利への執着心」だと思いますが、『執着』に関しては龍よりも桜庭の方が(これまで散々試合に出ずにいたこともあって)遥かに強いはずです。桜庭のような執着心が今の自分に欠けていることを、龍は桜庭から感じ取ったのかも知れません。
龍と桜庭の間でこういう表現はこれまであまりなかったと思うので、あのカットは余計に印象に残りました。
でも、その後で「これを外すようならサッカー辞めてやらあ。そんくらいの覚悟だ、コラ!
」と桜庭がヤンキーみたいなフカシをこいているのを見た龍はドン引きしているような表情を浮かべているので、内心では単に「駄目だこいつ…早くなんとかしないと…」と思っているのかも知れませんが。
以上、自分がPKを蹴りたいばかりにボールをユニフォームの中に隠してお腹をぽっこりさせてる桜庭はカワイイという主張を述べつつ、今回の結論としたいと思います。
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24巻は8月発売らしいです