マンガでわかるDCG「クロノマギア」ガイド
クロノマギア
サンデー21号より、土星フジコ先生の「クロノマギア〜時の召喚者と白刃の花嫁〜」が始まりました。
「クロノマギア」はガンホーがリリースした対戦型デジタルカードゲームであり、そのプロモーションを兼ねている作品です。
サンデーでゲームが原作の作品というと、ポケットモンスターを題材にポケモンと人間が融合して戦うオリジナルな新機軸を生み出した「ポケットモンスター ReBURST」が良くも悪くも思い出されますが、今回の「クロノマギア」の場合は、純粋なカードゲームのマンガ化という訳ではなく「題材としてカードゲームを使っているけど、マンガの主眼はあくまでラブコメ」といった趣きが強い作品になっているのは、既に読んだことがある方ならご存知の通りでしょう。
作者の土星フジコ先生は、サンデーでの前作「戦争劇場」がラブコメとして個人的に大変に面白かったので、作者のストロングポイントを活かすという意味ではラブコメ風味にするのは悪くない選択だと思います。
ただ、それでも「クロノマギア」はカードゲームが原作なので、マンガの中でもカードゲーム要素の描写は比較的比重が高いです。ですので、マンガの中でカードゲームのキャラクターが登場している箇所を抽出し、ゲームの方の「クロノマギア」では実際にはどんなカードなのかを紹介してみたら面白いのでは? という趣旨の記事を書いてみました。
なお自分の「クロノマギア」の対戦実績ですが、現在のBP(対戦すると増える実績みたいなもの。勝つと5ポイントもらえる)は56ポイントなので、その辺を考慮して頂けるとありがたいです。
ゲーム版とマンガ版の違い
「クロノマギア」とは(ゲーム版)
時を統べる神々の世界「時海」を舞台に、この世界のどこかにあると言われる「時を戻す」ことが可能な謎の機械(アンティキティラ島の機械がモデル)を巡り、「時を戻りたい」と強く望むことでこの世界にやって来た者同士がより強い力を求めて戦う、本格的対戦型デジタルカードゲーム。
「クロノマギア」とは(マンガ版)
「
幼なじみのハナたんと再び出会って、幸せな結婚をするんだ!」と「ラブひな」みたいなことを堂々と言い放つ、正義感は強いけど直情的なバカである主人公・犬丸のところに、日本刀を持った手乗りサイズの女子高生・花梨がカードゲームのデッキと一緒にやって来て、カードと魔法が全てを統べる黒埜学園でドッタンバッタン大騒ぎするマンガ。
ゲームとマンガは、設定からしてぜんぜん違うことがお分かりいただけると思います。
なおゲームの方の「クロノマギア」は、一見すると「ハースストーン」や「シャドウバース」系統の普通のデジタルカードゲームのように見えますが、「クリーチャーは場に伏せて出され、その状態では攻撃されない」「クリーチャー同士が戦闘した場合、一方的に攻撃側のみが防御側にダメージを与える」「プレイヤーがダメージを受けるとその分だけマナが増え、反撃されやすくなる」「カードと共に『マギアスキル』と呼ばれる特殊能力を組み合わせることでデッキを構築する」といったユニークなシステムが採用されているため、そのプレイ感覚は「ハースストーン」等とはかなり異なります。その辺の感想については後述します。
第一話
《神道花梨》
マンガの方ではメインヒロインでありながら何故か手乗りサイズになってしまったという扱いを受けている彼女ですが、ゲームの方ではプレイヤーが操作する「能力者」(「ハースストーン」で言うところのヒーロー)の一人です。
彼女のマギアスキル(「ハースストーン」で言うところのヒーローパワー)は軽めのコストでダメージを与えるものが多く、マギアスキルで対戦相手のクリーチャーを除去しながら自分のクリーチャーを並べて攻める、アグロ〜ミッドレンジタイプのデッキの構築を志向している能力者だと思われます。
キャラクターの設定としては「代々受け継がれる『ツクヨミ信仰』の一族の出身で、幼い頃に行方不明となった父を探すために時を戻る力を必要としている」という割と辛気臭いバックグラウンドを持っているのですが、マンガの方でこの設定が活かされるかどうかは今のところ不明です。
あと、明るく元気で健気で可愛い妹がいます。
《ミノタウロス》
犬丸が学園に来て最初に対戦したクリーチャー。
4マナ4/4のバニラと言うと「ハースストーン」などの他のTCGを知っている方には弱く感じるかも知れませんが、「クロノマギア」においてはこのスタッツ(カードの攻撃力・防御力の数値のことを指す専門用語)は標準的で、クラブタイプや悪魔属性のカードが必要なデッキに普通に入るくらいには強いです。
4マナ4/4のバニラがレアカードなのが「クロノマギア」です。
《アルテミスの矢》
人の話を聞かない犬丸が、案の定あらぬ方向に撃ってしまった攻撃呪文。
クリーチャーにもプレイヤー(能力者)にも撃てる便利な1マナ3点ダメージ呪文ですが、これ1枚では上記の《ミノタウロス》は除去できず、他にクリーチャーもマジックも持っていない状況なので、どちらにしろここで《アルテミスの矢》を撃つのはプレイミスです。
《月狼ハティ》
犬丸が最初に召喚できたクリーチャー。マンガ版のマスコットキャラ的な存在でもあります。
ゲームの方でも速攻が付いているパワー4のクリーチャーとして有用で、場に出したターンに対戦相手のクリーチャーやプレイヤーを攻撃できる上、ダイヤマークが必要なマギアスキルも使えるようになるので普通に強いです。マンガのように《ミノタウロス》もちゃんと倒せます。
また、犬丸は《月狼ハティ》を召喚するまでに《ミノタウロス》から2回攻撃を食らっていますが、「クロノマギア」ではプレイヤーがダメージを受けるとその分マギア(「ハースストーン」で言うところのマナ)が溜まるシステムが採用されているため、犬丸はパワー4の《ミノタウロス》に2回攻撃されたことで《月狼ハティ》を召喚するマナを溜めることができた、と解釈できます。マンガの内容がちゃんとゲームに沿っている貴重な事例の一つです。
マンガの中に出てくるハティのスタッツが間違えているのはご愛嬌。
第二話
《レッドスライム》《コルキスのゴブリン》《ホワイトちびドラ》
一般生徒同士がバトルしている時に召喚していたクリーチャー。
どれも低コストでスタッツも低い雑魚キャラなのですが、「クロノマギア」はマギアスキルを使うために場にクリーチャーが存在している必要があるため、序盤からマギアスキルを使ってテンポを取りたい系のデッキに低コストのカードを入れることは十分ありえます。
また、「クロノマギア」には場に出ているクリーチャーの上に重ねてクリーチャーを召喚することでクリーチャーのスタッツを上げる「レベルアップ」という概念があるので、それを見越してデッキに入れる戦略も考えられます。マンガの中にはまだ「レベルアップ」は出てきていませんが。
《黄の精》
犬丸がステージ上のハナたんのところまで飛んでいくために使用。ゲームにはこのようなルールはありません(当然)。
《黄の精》は召喚された時に相手のタイプを書き換える能力を持っているのですが、書き換えなんて面倒なことをしないで邪魔なクリーチャーはぶっ殺した方が早いのでは、と個人的には思います。
第三話
《ワーム》《スペードゴーレム》《デモンズハンド》
世紀末トリオが生徒会長を脅すために召喚したクリーチャー。
主に、見た目のキモさと適度な雑魚キャラ感を出すために選ばれたと思われます。
《ワーム》や《スペードゴーレム》はスタッツが標準的なので盤面を取るために召喚するには良いクリーチャーですが、《デモンズハンド》は能力が「場に出た時に正面にいるクリーチャーの攻撃力を減らす」ものであるため、こういう使い方はしないで対戦相手がクリーチャーを出した返しに場に出すべきでしょう(真面目な考証)。
あと真ん中の《スペードゴーレム》は「挑発」を持っており、仲間のクリーチャーを守ることができます。あの真ん中の世紀末覇王さん、実は仲間を庇う器量を持ったいい奴だったのでは?
《魔族の母エキドナ》《神機ハギオス》《大鎌の巨人アダマス》
世紀末トリオに対して生徒会長・ハナたんこと鳳凰華火が2ページ使って派手に召喚したクリーチャー。
どのカードも二つ名が付いていることからも判るようにレアリティが高くて強力なのですが、能力を考えると《ハギオス》が《エキドナ》の攻撃力を上げる以外にはこれらのカードを同時に出すことに特にシナジーがないので、これもやっぱり見た目の派手さと生徒会長の強キャラ感を出すための選出だと思われます。
あと「クロノマギア」のルールでは1ターンに使えるマナは最大15マナなのですが、この3体のクリーチャーを出すためには18マナが必要なので、生徒会長はチートをしている疑いがあります。もしこれがラブコメマンガではなく本格カードゲームマンガだったら、ジャッジを呼ばれて警告を出されかねない危険なプレイです。
「クロノマギア」についての個人的雑感
以下は、マンガではなくゲームについての感想です。
「クロノマギア」のゲーム版を少し遊んだ感じとしては、「お互いにプレイが難しいコンボデッキを抱えて睨み合うプレイを要求され続けるゲーム
」という印象を持ちました。
このゲームには「ダメージを受けるとその分だけマナが増える」システムがあってうかつに攻撃すると返しのターンで一気に反撃されてしまうため、「クリーチャーを盤面に展開して有利な状況を作りながらも、相手を一撃で倒せるだけの手段が手札に揃うまではあえて全力で攻撃せず、ジリジリと相手を削っていく」ような展開を狙うことになります。
しかし、あんまりもたもたしていると逆に相手の手札が揃って状況をひっくり返される可能性も勿論高くなるので、「いつ勝負を仕掛けるか?」の読み合いがこのゲームの肝なのかな? と感じました。
「クロノマギア」は、見た目はシンプルに見えますが色々と考えることが多く、そういった意味で玄人向けなゲームな印象です。
あとマンガ版を読んで思ったのですが、「クロノマギア」に出てくるクリーチャーはデザインがリアル寄りというか色彩が暗めでホラーっぽいものが多いので、クリーチャーのデザインがラブコメマンガの絵柄と噛み合っていない感じがするのが、正直ちょっともったいないなと思ってます。「クロノマギア」の世界観は元々殺伐としたシリアスなものなので仕方がないところではあるのですが。
勿論「クロノマギア」にもエルフの美少女とか獣耳お姉さんとかソレ系のカードは沢山ありますし、「能力者」も花梨だけではなく金髪ツンデレ美少女から妖艶な美女まで揃っているので、マンガの方でも美少女キャラがわんさか出て来る展開がいずれやって来るに違いないと信じてます。
なお、個人的なイチオシの能力者はエレナです。見た目は勝ち気なツンツンお嬢様ですが、ストーリーモードでは最終的にネコミミ少女と百合百合な関係になる、心優しい少女です。よろしくお願いします。
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サンデー大改編期に巻き込まれて終了したのが惜しい作品。お互いにエロいことをしたくて天使と悪魔がバトる大学生編が読みたい(正直)