加筆修正によって皆本がキャリーとヤッてないことが公式設定となったと解釈したコミックス11巻感想
小学館 (2007/11/16)
発売日に買いました!
感想書きます!(発売から1ヶ月以上経過していることをごまかしつつ)
この巻のメインは、「空から降ってきた人間じゃない女の子と恋に落ちる
」という、全人類男子憧れのシチュエーションに皆本が遭遇した「面影」編。通称キャリー編。
いやもう、空から降ってきた、人間じゃない、身体は大人だけど中身は子供な、しかもオレだけを愛してくれる女の子って、やっぱ最高っスよね!(満面の笑みで)
しかしこのエピソードは単にいきなり湧いて出てきた女の子とイチャイチャできてめでたしめでたしなだけの話ではなく、相思相愛状態にあった皆本とキャリーが「皆本はキャリーの、そしてキャリーは皆本にとって最も良い結果となる行動を取ったが故に、二人は結ばれず別々の道を歩くこととなる」という悲恋の物語でもあります。
コミックス化されるにあたって追加された2ページ(P.103~P.104)でキャロラインが「半分別人になった私は今ここでこうしてたかしら
」と独白しているシーンがありますが、キャリーが皆本への想いをキャロラインと融合させないようにしたからこそキャロラインは自分の意志で宇宙に飛び立つことができ、また皆本も日本へ戻ってキャリーが観た『翼』の持ち主である薫達チルドレンの育成任務に就くことができたのですから、結局「面影」編で取った皆本とキャリーの選択は正しかったのでしょう。正しいが故に結ばれない。だからこそこの物語は悲しく、かつ美しいのです。
キャロラインが自分がキャリーと融合した仮定の話をしようとした時、皆本が「『もし』はないんだ
」とキャロラインに言って言葉を遮ったのは、「あの時はそれ以外に選択のしようがなかった」という皆本の意志の表れと取ることができます。まあ、自分がキャリーと結ばれなかったことへの未練を断ち切りたいだけなのかも知れませんけどね。
ただ、薫はそんな皆本に対して「好きだったら一緒になればいいじゃん
」という、至極子供らしいストレートな疑問を持ちます。また皆本も、あの時は「君さえいればそれでいい」と言ってはいけないことが判ってはいても、「もう一度同じことがあったら、僕はどうするんだろう
」と迷いを見せています。
「もう一度同じことがあったら」とは予知されている薫と皆本の未来のことであることは明らかなのですが、こんな今の二人のままではやっぱり破滅の未来になってしまうんでしょうか?
そんな感じで、「面影」編は今後のこのマンガの行く末を示唆する意味でも極めて重要なエピソードであったと、改めて思いました。
以下雑感。
- サンデー掲載時の感想にも書いた気がしますが、「キャリー」という名前にしろ超能力を持った少女が国から狙われる展開にしろ、そして「アルジャーノンに花束を」を想起させるラストにしろ、椎名先生のオールドタイムSF映画に対する好きっぷりが出てるよなあと思いました。
- オマケマンガは、「皆本をからかうと面白い」ことに目覚めた賢木がえらい楽しそうでした。自分が彼の立場でも、絶対に皆本をああやってからかったと思う。いいなあ賢木。
- 教授に「単位やるから」と言われただけで、拳銃を持った黒服連中に全くひるまずに襲いかかって KEEEL!! NAGOOOL! するアメフト部の連中がバカ過ぎて熱いです。体育会系キャラに対する扱いが相変わらずヒドイですね。それでこそ椎名先生です。