若木先生再登場記念 サンデー24号「キング・オブ・アイドル」感想

これが若さというものですよ皆さん
キング・オブ・アイドル

 「キング・オブ」と来たら「ファイターズ」よりも先に「ドラゴンズ」を連想する人と友達になりたいです(挨拶)。

 「神のみぞ知るセカイ」「なのは洋菓子店のいい仕事」の若木民喜先生が、早くもサンデーに復帰。
 若木先生の新連載の第一話と言えば、前作「なのは洋菓子店のいい仕事」が「『若木先生の最新作』『洋菓子店が舞台の物語』から連想される、来店する美少女たちとパティシエが織りなすハートウォーミングなストーリー」のイメージを、「ケーキは暴力ですよ。バカな客の舌を打ち倒す力です」という決め台詞で徹底的に否定しにかかるという大変に暴力的なものであったため、今回の「キング・オブ・アイドル」も「普通の美少女アイドルものマンガと思わせておいて、最後の方でなんかものすごい暴力を振るわれるのでは?」と、ビクビクしながら読みました(弱い)。

 その感想ですが、若木先生が自ら「少年誌王道マンガ」と仰っている通り、アイドルが主人公の極めて判りやすいマンガという認識を持ちました。
 主人公のまほろは純粋にアイドルを目指すピュアなハートと「ものすごくよく通る声」という歌うことに特化した判りやすい必殺技を持った清々しいキャラクターですし、まほろと共にアイドルグループを組むことになるであろう仲間たちも皆「真面目なツンデレ」「内気な巨乳」「明るいスポーツ少女」「場数を踏んでるジュニアタレント」とひと目で特徴が判るメンツばかりと、とても判りやすいです。

 更に言えば、今回の第一話は「アイドルになるための登竜門的なオーディション」という精神的に厳しそうな場所が舞台であるにも関わらず、出て来る芸能事務所の人はみな親切で優しく、オーディションの観客たるアイドルオタク達もアイドルを目指す女の子達を素直に暖かく応援し、まほろの歌声には素直に感動するなど、「アイドル」という職業から連想されるネガティブな要素が全くないことも、この話の特徴と言えるかも知れません。ジュニアアイドルの周りを支える大人達がみんな良い人達というのは、個人的にはアニメの「アイカツ」を思い起こしました。
 何にしろこのマンガには、「なの菓子」第一話のような暴力的要素は全くありませんでした。とりあえず、このマンガを読み始める前の懸念が全てとりこし苦労であったことは本当に良かったです。

 唯一王道じゃなさそうな点を上げるとすれば、「ガールズアイドルの頂点を目指す主人公のまほろが、実は男の子だった」ということですが、まあでも可愛くて歌や踊りが上手くてガールズアイドルとして魅力的であり、何より本人が「ガールズアイドル」として輝きたいと思っているのであれば、我々としては物理的なちんこの有無には関係なく応援するのは至極当然のことなので、個人的には全く問題ありません。ちんこの有無だなんて些細なことですよ。いやマジで。
 それに「ジェンダーの差を乗り越えて本当の夢を掴む」という物語は、現在のサンデーでも「天使とアクト!」や「初恋ゾンビ」が該当しますし、アイドルという題材においても過去に「アイドルマスター ディアリースターズ」や「AKB49」といった事例がありますので、「性別を偽ってアイドルを目指す」物語はもはや王道ストーリーの一つと言っても問題ないのかも知れません。

 何にしろ、若き先生が全力を尽くして本気で王道アイドルマンガを描いてやろうとする気概が十分に伝わって来る第一話でした。この「キング・オブ・アイドル」は今後まかり間違いなく面白くなるマンガだと思うので、素直に今後の展開に期待していきたいと思います。

 それでもし「キング・オブ・アイドル」がギャルゲーだったら、瀬川さんをまず最初に攻略したいですね(感想)。

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フィジカルで王道な「キング・オブ・アイドル」とは対局の、ロジカルシンキングを極めた作品。これを描いたからこそ今の若木民喜先生があるとも言える

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