兵部の読んでた『超能力が世界を破壊する』はタケシ君父の著書だということに気付いて嬉しいサンデー31号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 今回は先週までのコメディ色が強い絶チル学園モードとは打って変わり、極めてシリアス度が高い話でした。「さぷりめんと」無し、ギャグシーンはわずか2カ所4コマのみという徹底っぷりが、今回のエピソードにおける緊迫度の高さを物語っていると言えます。
 というかむしろ、そんなエピソードにすらギャグ入れないと気が済まないのも凄いとも言えますが。兵部が命を賭けている状況下でも天然ボケができる澪はホントにバカでいい子です。

 その辺はともかく今回読んだ後にまず思ったのは、兵部は実はもう自分の寿命が永くないと思っていて、それであえてあのような行動に出たのではないか? ということでした。そしてもう一つは、兵部は皆本のことをそれなりに評価しているのではないか、ということです。

 今回のエピソードにおける兵部の目的は、皆本を(超能力を持った)子供に戻して薫と一緒にさせることで「薫が皆本に撃たれて死ぬ運命」を回避し、薫が皆本と一緒に生きていける未来を作ることにあると本人が説明していますが、兵部は皆本を若返らせる代償として全ての生命エネルギーを費やす必要があります。即ち
 つまり兵部は、今回の行動に対して文字通り命を賭けていると言えます。

 彼の性格からすれば、例え薫の将来を変えるためとはいえ身を賭した行動に出るのは異例な訳で(真木が「少佐のことだ、またすぐ気が変わる」と言ったのが、今回の兵部の行動が普段とは違うことを裏付けています)、それだけに兵部が今回の行動を起こすに至った理由として考えられるのは、「兵部は自らの死期を悟っていて、もう残された時間が少ないことを自覚している」からなのではないか、と思いました。兵部の体調が万全ではないことや、いずれ自らが去って薫がパンドラのリーダーとなるのを知っていることは、これまでのエピソードの中でも触れられて来てますしね。
 でも、もし本当にこのエピソードで「絶対可憐チルドレン」というマンガをこれまで牽引してきた立役者である兵部がいなくなるのであれば、今後の作品の方向性は間違いなく大きく変わってしまうのは確実。というか、個人的にはもはや兵部がいない「絶チル」なんて考えられません。兵部がいないなら終わった方がいいくらいです(言い過ぎ)。

 そしてもう一点、兵部が自分の能力の全てを使ってまで皆本の体と記憶を作り替えようとしているのは、逆に言えばそれだけ皆本のことを(薫の保護者として)評価していることを意味するのではないか? とも思いました。例え子供に戻ろうとも、薫が成長するまでの間「守る」ことができるのは皆本だけだという形で、兵部は皆本のことを認めているのかも知れません。

 ただ兵部の思惑が何にしろ、薫達チルドレンは(子供の皆本ではなく)大人の皆本と一緒にいることを自ら選択したので、今回の彼の目論見そのものは失敗に終わるでしょう。
 今回のエピソードは次号で完結すると思われますが、作者の椎名先生が今回のエピソードを「暫定最終回」と宣言した理由は何だったのか、次回ではいったい何か「終わる」のか、それが次の話で明らかになるものと思われます。
 ちょっとドキドキしながら、次のサンデーを待ちたいと思います。

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