生存報告兼サンデー18号感想

神のみぞ知るセカイ

 ハクアがその中途半端なツンデレっぷりを存分に発揮した結果、桂馬に対するアプローチに予定調和的に失敗。桂馬の様なロジカル志向のボンクラ男子に対しては「何でもはダメだからね!」というツン言葉の裏に隠された「あなたになら何をされてもいいの♥」というメッセージを読み取ってもらうことは全く期待できないので、ハクアはもうちょっと直接的なアプローチを取るべきだと思います。それが無理なのがハクアというキャラなんだけど。

 あとハクアの「協力者」である雪枝さん(敬語)が出てきましたが、かつて「絶対可憐チルドレン」3巻の折り返し四コママンガで皆本を窮地に陥れた「フツーのおばはん」を彷彿とさせるおばちゃんだなあと思いました。
 この手のマンガにおける「おばちゃん」はある意味リアルの権化として描かれることが多いのですが、多分この雪枝さんもそういうキャラなのではないかと想像します。ここで言う「リアル」とは、おばちゃんがテレビを寝っ転がって観ながら煎餅食べつつ屁をするとか、そういう容赦のないリアルです。桂馬は彼女が敵(あるいは攻略対象)として出会わなくて良かったと安堵するべき。

アラタカンガタリ

 部下を失ったばかりか自分の鞘まで奪われ、かつて自分が拾った少女にまで罵倒されるという、カンナギ様のヘタレっぷりを存分に堪能するべきエピソードでした。
 というかカンナギ様って、最初に出て来て秘女王を殺害した時がピークで、後はヘタレる一方ですよね。ライバルキャラがここまで早期にヘタレて来るマンガは、サンデーではちょっと例がないように思えます。渡瀬先生はやはり全く容赦がありません。

 今のところ「アラタカンガタリ カンナギ ヘタレ」で検索しても40件程度しかヒットしませんが、カンナギはカンナギであるが故に今後もヘタレてくれること間違いなしなので、今後この件数は急上昇すること間違いありません。カンナギ様の存在のおかげで「アラタカンガタリ」がますます楽しく読めますね!(ダメな方向に)

はじめてのあく

 藤木俊先生渾身の薄い胸少女・キョーコのオールヌードが白眉でした。あのシャイな藤木先生が、自分の胸の大きさを気にして自分で自分のおっぱいをぺたぺた触っているだなんていう大胆なカットを描けるようになれるとは…(ひどい褒め方)。
 そしてジローがサイエンス特集番組(推定:NHKスペシャル)を観ようとしているところに激しく共感。「NHKスペシャルが好きな人に悪い人はいない」という独自の価値観に基づき、彼とはいい友達になれそうな気がします。

魔王

 「〈令嬢〉なんてクズに犬養が殺られたら、あんたと命懸けで戦った兄貴の命まで安くなる

 少年向け格闘マンガとかだと、一度戦ったライバルキャラが主人公に対して「お前を倒すのはこのオレだ!」という理屈で主人公に襲いかかる他の敵と戦うようになり、最終的には仲間になったり主人公を守って死んじゃったりするパターンってのは割とよく見かけるものなのですが、このメソッドを主人公がライバルキャラに対して適応するのはちょっと珍しいのではないかと思いました。
 要するに、潤也は犬養のことが兄と同じくらい好きなのですね?(まちがい)

 あとそれとは関係なく、「お前は俺が始末する」と鼻血を流しながら言う潤也が、彼がこの言葉に込めた想いの強さと、それに相反する客観的にこのシーンを観た場合の珍妙さがミスマッチになってて面白かったです。

トラウマイスタ

 ピカソ君がダ・ヴィンチに完全敗北の巻。しかもタダの敗北ではなく、いわゆる「精神と時の部屋」的な空間で修行をし、ダ・ヴィンチに対抗しうる決定的な力「勇気の剣」を得た後での敗北という、ちょっと普通ではあり得ない展開を見せてるところが凄いです。
 もし「トラウマイスタ」が普通の少年マンガであれば、「努力・友情・勝利」というジャンプ三大原則に沿った展開でまかり間違いなくこの戦いは主人公が勝利したはずなのですが、残念ながらダ・ヴィンチが登場してからの「トラウマイスタ」は既に普通のマンガではなくなっているらしく、「勇気の剣」はへし折られ、スジャータを失うという、主人公の努力が全く報われることがない展開になってしまいました。

 この経験は間違いなくピカソにとってのトラウマになると思われますが、このトラウマは彼に新たなアートマンを与えることになるのかも知れませんね。もしかしたら、我々は「主人公の心の傷が能力となる」このマンガのコンセプトの真の恐ろしさを、これから思い知らされることになるのでしょうか。
 「トラウマイスタ」…なんて恐ろしいマンガ…(ゴゴゴ)

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コメント

  1. 神無月 より:

    カンナギは「ヘタレ」でもあるけど、「ストーカー」でもあるよ。
    なぜならカンナギは革が持つ「剣神」に執心してるから(笑)
    カンナギ自身が革を「ガトヤ」に流刑したのに、何故か後を追跡してるし←ある意味ストーカー行為!?
    もし仲間になったら世界に存在する全ての剣神の「神意」を知り尽くしてるから、何かの役には立つかも。

  2. fukazawa より:

    カンナギさんはヘタレでストーカーで勝手に革をライバル視しているとか、もうマジ完璧ですよね。それ系のキャラとして。
    カンナギが仲間になるかどうかはまだ判りませんが、そのうち「べ、別にあんたを助けるためにやったんじゃないんだからね! か、勘違いしないでよ!」みたいな台詞を言いつつ、革のピンチを救うような行動を取るようになるんじゃないかなと期待してます。ヘタレでストーカーでその上ツンデレという究極超人の完成です。