サンデー一覧

遅くなりました(いつものことです)サンデー33号感想

結界師

 良守が修行の果てに生み出した「極限夢想」はスゲエぜの巻。「極限夢想」は、要するに「スタンド」みたいなものだと解釈してます。能力そのものが姿形を取って具現化したものっぽいので。
 ただその良守の「極限夢想」たる「しぐま」は、見てくれが海外のトランプのジョーカーに描かれているような萌え要素皆無のクラウンみたいなデザインで極めてキモいっつうか不気味なので、どう考えてもマスコットキャラになってクレーンゲームの商品になるようなタイプではないなあと思いました。いやまあ、ここで「神のみぞ知るセカイ」のよっきゅんみたいな萌えキャラに出てこられても困るんだけど(萌えキャラ?)。

 個人的な感想ですが、「しぐま」の喋り方はどことなく火黒に似ているような気がしました。火黒はピュアに人を斬る道を極めちゃった挙げ句エンディングの向こう側にまで突き抜けてしまった存在でしたが、良守にもそうなっちゃうだけの資質があるのかも知れません。今の良守も割と黒い感じしますし。
 「しぐま」に染まってだんだん黒くなっていく良守に対して「そんなの良守じゃない!」って言うヒロインキャラの座を射止めるのは時音になるのか、それとも閃ちゃんになるのか。その辺を今後の見所にして行きたいです。

最強!都立あおい坂高校野球部

 あお高は守備ができない神木に対してバント攻撃をしかけて攻略するんじゃないかと思ってはいましたが、まさか「あお高」界きってのマスターオブ凡人であるところの我らがキャプテンがやってくれるとは痛快です。凡人が超人を制したよ! 多分、今がキャプテンの人生最良の瞬間ですよ! もう次はないかもよ!(ひどいよ)
 これからあお高は下位打線に入るわけですが、ここでもバンドばっかりやって完全に神木をキレさせたら「砂漠の野球部」みたいで格好いいなあ。どうなるんだろう。

金剛番長

 「細胞がスジを通した。
 サンデー33号でもっとも面白かったのがこのコマでした。
 今回、細胞がスジを通すと何で環境への適応をも超越して進化の極みを超えられる存在になれるのかという理由は全く解説されていませんが、連載開始直後から今までの間、主人公の金剛番長が「スジを通す」というただ一点を行動原理として活躍してきた結果、この無茶な言葉にも読者を「スジを通しているなら仕方がない」と納得させるだけの説得力を帯びさせることに成功しています。
 エンターテイメントにおいて、物語に一本スジを通すことの大切さを、このマンガ自体が体現していると言えましょう。正直感動しました。さすが「金剛番長」は違う。馬鹿馬鹿しさが(褒めてます)。

電脳遊戯クラブ

 「編集部注)この作品での『エッチゲー』は、中高生でもできる健全なものです
 これって「この作品に登場する人物は全て18歳以上です」とか「作中の登場人物に血縁関係はありません」とかと同じくらい説得力がないと思いました。マンガの中で出てくる「家族にエッチゲーをしていることに気付かれない方法」って、完全にエロゲーとかアダルトビデオを家族に内緒で鑑賞する方法論と一緒だもんなあ。いや、私はオトナなのでその辺は大人の事情で華麗にスルーしますが。
 とりあえず、こういうのは本人が気付かれていないつもりでも「それでもママは何でもお見通しだ」というオチに終わることが多いので、みんな母親には親切にしておいた方がいいと思います。

アーティストアクロ

 連載序盤はあまりに生身の女性キャラが出てこなかったため、「アーティストアクロに女はいらない」がこの作品のモットーではないかと思われていた(というか自分が勝手に決めつけてた)ものでしたが、ついにアクロに好意を持ってる美少女キャラが登場するフェイズに突入。読者にとっては微笑ましいことですが、アクロのことが大好きなデコにとっては一大事になりそうな予感がします。負けるなデコ(何となく)。
 にしてもアクロは7歳にして年下にしか興味がない真性だったとは。幼女しか愛せない少年マンガの主人公って、冷静に考えると凄いですよね。時節柄。表現の自由って素晴らしいです。


魔法使い(ネットスラング的な意味で)の皆さんこんにちは!サンデー33号「ジオと黄金と禁じられた魔法」感想

ジオと黄金と禁じられた魔法

 新連載。作者の桐幡歩先生は、かつて(椎名先生の読み切り「破壊僧ジョドー」が掲載されていた)サンデー超増刊に載っていた新人コミック大賞入選作「魔法の卵使い」を読んだ時から、「絵柄や作品世界は個性的で凄いものを持っているけど、少年誌でやるには向いていないんじゃないか」と思っていた人で、その後何度かサンデーに掲載される作品を読んでも、その認識は変わりませんでした。
 そして今回の「ジオと黄金と禁じられた魔法」も、また桐幡先生の特徴であるところの「独特の絵柄と世界観」を活かす為、安易に表現方法を少年マンガ向きにチューンしないまま誌面にぶつけて来た感が強いです。おそらく作者の側は、初連載作品にして早くも「オレはこういうマンガしか描けないんだ」と覚悟を完了させていると思われます。ジャイガンスティック!(専門用語)
 ちなみに、68ページもあるのに登場人物がわずか4人、それも主人公のショタっ子以外はじじいロン毛冷酷眼鏡という男性読者に全く媚びていないラインナップなのも凄いです。しかも唯一の希望のショタっ子も、最後の方ではもはやショタと呼ぶには微妙な年齢の少年に成長してしまってますしね。こんなところからも桐幡先生の本気っぷりが伝わってくるというもの。

 作品としては、「魔法使いになって弱くなる奴もいる」という台詞が強調されていることからも判る様に、テーマとしてはいわゆる “With great power comes great responsibility”(大いなる力は大いなる責任が伴う)路線になるものと思われます。この世界における最強の魔法「禁呪」を手にすることとなった少年ジオは、「禁呪」の力に溺れることなく、たった一人で「世界一の魔法使いになる」という極めて漠然とした目標に到達することができるのか否か。多分そんな感じ。
 真面目にやろうとするとかなり壮大なスケールな作品になりそうですが、とりあえず個人的にはこの読者に媚びない覚悟完了っぷりを貫いて頂き、桐幡先生ならではの作品世界を存分に描いて欲しいです。個人的に昔から注目していた作家さんなので、頑張って頂きたい所存。
 でも、できれば「鬼月」に出てきたようなミステリアスな美少女キャラも出して下さい(弱い)。

 あと「ジオと黄金と禁じられた魔法」はタイトルが長くて呼びにくいので、編集部側で適当な略称を付けるべきではないかと思われます。同系のネーミングのゲーム「剣と魔法と学園モノ。」の略称が「ととモノ」なので、このマンガは「とと禁」や「ジオとと」とかは如何でしょうか。もはや何のマンガか判りませんが。


バンダイの科学力で「はじあく」のネコ耳化メガネを商品化できませんか的サンデー30号感想

7/1追記:

神のみぞ知るセカイ

 久しぶりにダメな桂馬が見られたのでファンとしては満足です(ダメ)。

 今回登場した天理は桂馬の「幼なじみ」という設定ですが、桂馬が彼女のことをほとんど覚えていないということは、逆に言えば単に忘れてしまっていただけで当時は本当に仲が良かった可能性も考えられます。なので、最終的には彼女は桂馬が言うところの「TOYOTAが作る信頼の幼なじみ」っていうシチュエーションに全て当てはまってしまいそうな気がしないでもないです。
 少なくとも最後の「立場が全然変わって再会」には確実に当てはまると思う。明らかに天理ちゃんおかしいし。頭ではなく態度が。

電脳遊技クラブ

 ニシン君がゲームを逆アセンブルして動的に解析しているシーンは、かつて「絶チル」で紫穂がゲームを一瞬にして読み込んだシーンをものすごく派手にするとこうなるのかなと思いました。
 ただ、ニシン君はゲームのマシン語を逆アセンブル→それをC言語に変換→それを解析というステップを踏む必要がありますが、紫穂の場合はマシン語を逆アセンブルで翻訳することなく、ゲーム構造そのものを読み取ってそれを直接理解しているように見えます。英語を日本語に翻訳して解釈するか、英語を英語のまま解釈できるかの違いみたいなものですね。よってこの勝負は紫穂の勝ち(勝負してません)。

 そしてシューティングゲームの場合、二人プレイをするとソロプレイよりも多めにアイテムが出てくるものもあるので、そういう場合は一人にアイテムを集中させ、もう一人は影のようにその後を付いて行っておこぼれに授かる戦い方が割と有効です。「コバンザメ戦法」って言ったような気がする。ダライアスとかで有効だったような(例えが古い)。

 逆アセンブルで出てきたソースが、それなりにゲームの座標系の処理っぽい雰囲気だったのは良かったです(フォロー)。

アラタカンタガリ

 革とコトハが風呂場で半裸でどっきどきするというせっかくのけしからん展開だったのですが、革が「コトハのおっぱいを見て鼻血を垂らす」という持ち前の初心っぷりというか童貞っぷりを発揮して台無しに。女の子の裸を見て鼻血を出すだなんて20世紀的な演出だと思ってましたが、意外と現代でもイケるものだなあと思いました。
 何にしろコトハは現在のサンデーにおける横乳チラ見せ型ヒロインとして貴重な存在である上、「俺が俺であるという理由だけで俺のことを一方的に好きでいてくれる異世界の女の子」というボンクラ男子垂涎の属性も持ち合わせているたいへんにいい子なので、今後もこの調子で革に鼻血を吹かせてやって欲しいです。彼女の恋が報われるかどうかはともかく(ひどい)。

 あと今回は序盤でカンナギ様がヘタレずに活躍していたのですが、「オトナ」に捕まってヘタレていたところに限って革に見られてしまうとか、相変わらずヘタレ方がツボに嵌ってるなあと感心しました。さすがカンナギ様。

魔王

 ついに最終回。やはり最終的にこのマンガは第一部のメインテーマである「考えろ、考えろ、考えろ、マクガイバー」的なところに回帰して行くんだなと思いました。現実社会でもまもなく政治の季節が始まろうとしていますが、そういう意味でもこのマンガはこのタイミングで終わるのが相応しいのかも知れません。

 最終回でのサプライズは、「魔王」きっての最萌えキャラであるところの「バッカジャナイノー?」兄弟が実はこの作品内で最強の力を有しており、かつて犬養を狙撃から「救った」地震を起こしたのも彼らだった(そして潤也はそれを見越して彼らを雇っていた)ってところ。
 これによって犬養狙撃の時に残された伏線が回収されたと同時に、「犬養は潤也の画策した『兄の復讐』を果たすための筋書きに乗せられていたのでは?」という憶測が可能になります。今回潤也が行った行動は、まさに彼の兄が当時やるはずだった「犬養に扇動された人々の熱狂を解く」ことそのものでしたからね。

 何にしろ、連載おつかれさまでした。月刊サンデーでの「蝉」を主人公にしたスピンアウト作品にも期待させて頂きます。

お坊サンバ

 「ほとんどの視聴者はテレビに対して今以上の画質も情報も何も望んでおらず、デジタル化は余計なお世話である」という真実を堂々とオチにした今回の「お坊サンバ」は、ギャグマンガを社会風刺として機能させるという久米田先生放逐後のサンデーに欠けていたユーモアのセンスを久々に思い起こさせるものでした(大げさ)。

 うちも最近アナログTVが壊れたので仕方なく地デジ対応の液晶テレビを購入しましたが、映像がすげえ綺麗なのでもうアナログには戻れません(弱い)。


先週の「絶チル」は賢木先生のハードな恋のレッスンのためお休みでしたサンデー29号感想

結界師

 絶妙のタイミングで蒼士に助けられた閃ちゃんが、蒼士に惚れてしまうエピソード(意図的な曲解)。
 閃は良守のことが大好きなのは皆さんご存じの通りですが、彼は「烏森を守り、そして大切な人も全て守る」という意志のために命を捨てて戦う良守と同じ様なものを、「与えられた命令や良守との約束を全て守る」ために文字通り命を捨てて戦っている蒼士に見てしまったのかも知れません。閃ちゃんはやっかいな男に惚れちゃうタイプなのね。

 あと、死んだと思っていた奥久尼が幽霊になって復活したのはビックリしました。このマンガは基本的に幽霊もありなマンガであることを思い出させてくれたと同時に、奥久尼さんは何か死んでも生前と全く態度や雰囲気が変わらないところを見ると、むしろこの人は最初から生死を超越した存在だったんじゃないかと思うようになって来ました。D&Dで言うところのイモータルレベル。
 もしこのまま奥久尼さんが幽霊のまま正守のパートナーとしてレギュラーになっちゃったら、おキヌちゃん以来の幽霊美少女としてアイドル化するところまで狙って欲しいですね(少女?)。そして「死んでも生きられます! ちょっと死ぬほど苦しいけど」って言って欲しいものです。國府田マリ子ヴォイスで。ウソです。

マギ

 自分がアラビアンナイトを知ったきっかけは阿刀田高氏の「アラビアンナイトを楽しむために」だったので、アラビアン=エロという認識です。冒険とかロマンとかバイオレンスとか、そういうの以前にエロ。ですので、今回「サービスタイム」でアラビアンなお姉さんたちに入っていたのかどうかを妄想してしまうのも、致し方ないと言えます(←むしろ自分が仕方ない)。エリザベスさんはきっとそういう意味でのナンバーワンなんですよ。折れちゃうくらいの。何かが。
 ちなみにギリシャ神話も同様に阿刀田高氏の「ギリシャ神話を知っていますか」を読んで詳しい中身を知ったので、ギリシャ=エロです。現在ギリシャが舞台になっている「ハヤテのごとく!」もエロ。アーたんとかもう存在自体がエロいです。どうしよう(←むしろ自分がどうしよう)。

 マンガ的には、今後は砂漠のダンジョンを舞台にしたハック&スラッシュな冒険譚がメインになるみたいですね。と一応まともなことも書いてみた。

お茶にごす。

 姉崎部長が卒業の巻。このマンガから部長がいなくなることが信じられません。「マリみて」で例えて言えば、祥子さまが卒業していなくなった後のリリアン女学園の様子が想像できないようなものですよ。
 でもまだ「マリみて」の場合、既に祐巳は祥子さまとの決別という現実に対する覚悟を完了させて妙に逞しくなっているので、学園を例の調子で何となく支配する様子を想像することも可能だとは思うのですが、「お茶にごす。」の方は登場人物がどいつもこいつも部長との決別に対する覚悟を完了させていない感が漂っており、それ故に今後の彼らの行く末が心配です。特にまークン。ある意味相思相愛といっても良い関係になっているにも関わらず、生き様の違いを自覚して自分から身を引くだなんて、あまりに優しすぎます
 思うに、これからが彼らにとっての本当の物語の始まりになるのかも知れません。今後再びまークンと部長が相まみえる時は来るのか否か。姉崎部長のいない茶道部に我々はいる。

魔王

 「初回は大騒ぎでも、二回目は興味なしってことだよ
 これって、ハルヒ第二期の一回目のエピソードとなった「笹の葉ラプソディ」はネットでも騒ぎになったけど、二回目のエピソード「エンドレスエイト」の時はそれほどでもなかったってことでしょうか(せめて売上税廃案→消費税成立の例などを挙げるべきところでボケてみるテスト)。

 次週最終回な模様のこのマンガですが、最後のところで原作の持つ政治的なテイストを意図的に醸し出してみた、と解釈しました。「魔王」第一部は大衆を扇動する才能を持った犬養とそれに対抗する唯一の能力を持つ安藤兄との対決を描いた物語だった訳で、この作品は最後の最後でそこに立ち返ることになるのでしょう。
 勿論、今回の潤也の台詞は現実の日本の政治を揶揄するものでもあることは明白なのですが、ここは椎名高志ファンサイトを標榜しているサイトであるので、これに対する反応としては「のんぽり魂」を標榜することで回答とさせて頂きます。みんな「卵は産みましたからそこでなさってください」と赤面して語った人魚のように生きればいいと思います。


ゲームをプレイすることで救われたのは君だけじゃない!(マジレス)サンデー29号電脳遊技クラブ感想

電脳遊技クラブ

 東武伊勢崎線や東京メトロ千代田線に乗る度、「進め!聖学電脳研究部」のことをを思い出します(挨拶)。

 かつて「兄ふんじゃった!」でサンデー読者を震撼させたりさせなかったりした小笠原真先生が、サンデー本誌に復活。今度は、現在流行中のジャンルである(多分)文化系部活動マンガに挑む模様です。しかも題材はゲーム制作。
 ゲーム作りはプログラミングを志す人間なら誰もが一度は通る道である以上、現役職業プログラマとしてはこういうマンガの存在は応援していきたい所存です。なので、「C言語のmain関数には引数が二つあるので、main(int argc,char *argv[])と書いた方が良くね?」とか細かいことは今後言いません。言いません。

 個人的に面白いなと思ったのは、主役のプログラマ少年・ニシン君が『天才』であることを「OSを自作できるほどの腕の持ち主」という形で表現した点。この手のマンガだと、理系の天才キャラは「ゲームが上手いから頭もいいしIQも高いに違いない」みたいな、往年のファミコンコミックを彷彿とさせる割と安直な表現がとられがちなのですが、コンピュータに対するリテラシーが一般に広がっている現在であれば「OSを自作できる腕前」と来ればなんか凄そうなことが判ってもらえるんだなと思いました。
 また、そのOSのユーザーインターフェースであるパソ子のデザインのゆるさっぷりとそれに反比例した毒舌っぷりが、ニシン君のセンスというか頭のおかしさ(良い意味で)を示唆しているところも面白いです。

 小笠原真先生のやることなので当分真面目にゲーム作るような展開は期待できませんが(決めつけ)、題材としては面白いので今後に期待しますという感じ。

 あと職業プログラマ的には、「母が遺したカーネル」というのが何かグッと来ます。ファミコンマンガだと「父ちゃんが作ったゲーム」とかそういう感じの定番アイテムが、プログラムマンガになると「母ちゃんが作ったカーネル」になる訳ですね。
 自分もプログラマとして産まれたからには、何かソースコードを残して死にたいものです(死ぬの?)。


ネット感想界で一番遅いサンデー28号感想

最強!都立あおい坂高校野球部

 静岡県出身の私としては、静浜のピッチャー神木の根性の曲がりっぷりにもう萌え萌えです。自分が小学生の頃に読んだ野球の解説書には「ピッチャーは投球を終えた瞬間から九人目の野手となって守備体制に入らないといけない」と書かれていましたけど、そんな基本すら無視して投球に専念するというか、投球以外は面倒くさがってやりたがらないわがままっぷりが素晴らしいです。
 これでもし「あお高」が高校野球への無邪気な幻想を打ち砕くために作られたメタ的な視点を持ったマンガであったなら、こんなひねくれ者がエースなチームが優勝して「高校野球」的なものに問題意識を投じることも可能なのでしょうけど、しかし「あお高」はそういうマンガじゃないというか、むしろ努力友情勝利的少野球年マンガの基本フォーマットに沿った作品であるので、このままでは神木はあお高打線にかき回される→自分も守備しないと勝てないと認識させられる→バントを自分で捕球して神木が努力友情勝利路線に覚醒、みたいなパターンに落とし込まれることは必至の有様。神木はどこまで静岡県代表としてひねくれ者の意地を守り通せるのか、元静岡県民として期待したい所存です。静岡県関係ないけど。

 というか、いくら神木が守備をしないボンクラと言えども、このままあお高がバント戦法を続けるのもちょっと少年野球マンガ的じゃないというか、同じ少年野球マンガでもむしろ「砂漠の野球部」テイストな雰囲気を醸してしまう可能性もあるので、正当派少年マンガを名乗るにはその辺のさじ加減が難しいよなと思いました。

ハヤテのごとく!

 片思いだらけの「ハヤテ」界において初登場時からハヤテに片思いを抱いているマスターオブ片思いの西沢さんが、片思いの果てに得た悟りの境地をビギナーオブ片思いであるシスターに説いてハヤテの窮地を救うの巻でした。

 更に今回、西沢さんはハヤテに対して不意打ちでキスした上に「惚れてもいいんだぜ」みたいな照れ隠しの裏に本心が覗く言葉を繰り出して改めてアプローチするものの、ハヤテは遠回しな表現ながらも「お友達でいましょう」と回答、結果的にフラれてしまう形となりました。この反応は西沢さんもある程度は覚悟の上だったんでしょうけど、やっぱりフラれてしまっていることには変わりありません。
 ナギやヒナギクに対しては鈍感というか徹底的なボンクラっぷりを遺憾なく発揮しているハヤテですが、女をフる時だけ格好良くなるのは困りものです。何という女泣かせ。マリアさんから天然ジゴロの称号を得ているだけのことはあります。ダメだこいつ早く何とかしないと。

神のみぞ知るセカイ

 桂馬が攻略した女子が一同に介してみんなでモンモンするの巻。記憶からは消えても心には何か残るものがあるということなのか、それとも駆け魂が抜けてリセットされたおかげで桂馬の魅力に気が付くことができたということなのか。
 桂馬は桂馬で、一度攻略を終えて関係なくなったはずの女子に対して面倒見る責任みたいなものを感じ始めているっぽいですし、彼女たちと桂馬の関係はいずれまた生臭くなりそうな予感。専門用語で言うところの焼けぼっくいに火って奴?

 彼女たちのバンドの話はおそらく学園祭ネタをやる時に再び出てくると思われるので、その時に今回出てきた女子たちが桂馬に対してどんなアプローチをかけるのか期待。個人的には結局ドラムをやるメンバーが集まらず、桂馬が女装してドラムを叩く展開を希望していきたい。

魔王

 今回のエピソードを理解する上で、もっとも重要なキーワードを再確認します。
 「蜂」はパンツを履いていません

 斯様な認識の上で今回のエピソードを読み返してみると、パンツ履いてない蜂を前にして動揺してしまう辰美と、パンツ履いてない蜂を前にしても全く臆することなく渡り合った上、蜂に「こいつはバケモノだ」と認識させるに至った潤也とでは、もはや器が違うことは明白です。
 どちらも「犬養を失脚させる」という目的は共通しているのですが、その目的に対する覚悟の違いが、「蜂」というパンツ履いてない刺客と対峙した時の結果の違いだったのでしょう。刺客のパンツの有無に動揺する程度では、己の運命と向き合うことすら叶わないのです。

 「蜂」がパンツ履いてないことにここまで深遠な意味を持たせた作者の力量に感心しました(妄想です)。

トラウマイスタ

 ついに最終回。スジャータは常に僕たちの側にいるよ! みたいな、宗教的なレベルにまで到達した美しい形で無事収束できたことを喜びたいです。本当にこのマンガはやらかしてましたからね。特にダヴィンチが登場してからの急展開っぷりは、間違いなくサンデー読者の記憶に永く残ることになるはず。
 何というか、「今、自分は次回がどうなるのか想像も付かない週刊連載マンガを読んでいるんだ」と実感させられる、ダイナミックかつドラマチックな作品でした。作っている方からするとものすごく大変なマンガだったのではないかと思うのですが、一読者として楽しませて頂きました。感謝。
 中山先生の次回作にも期待させていただきます。


こんなパトラッシュみたことないよ?(月光条例読みながら)サンデー27号感想

マギ

 「アラビアンな格好をした精霊」と聞いてディズニーのジーニーじゃなくてアーナム・ジンの方が先に出てくるおっさんゲーマーの皆さんこんにちは(挨拶)。

 このマンガは、基本的には精霊(ジン)が入ったランプを手に入れた主人公の少年がジンと一緒に大冒険に! という王道パターンなのですが、そのジンが「極度のシャイで女性に触れられると全く役に立たなくなる」というギミックが入っているところが面白いです。
 この設定により、「女性が側にいるだけでピンチな状況に陥る→女性キャラが出るとストーリーが波乱に満ちる→なら女性キャラがたくさん出てきた方が面白くならね?」というロジックが成立するわけであり、即ちアラビアンな格好をしたお姉さんが今後もわんさか出てくることが期待できる訳ですよ。素晴らしい設定です。
 でも結局、一番かわいいのは主人公のアラジン少年なんですけどね!(だいなしな結論)

 あと今回のお話では、アラビア商人の少女と隊商の娘の間の友情がテーマになってましたが、こういう話を「隊商の娘と商人見習いの少年」という普通の組み合わせではなく、あえて女性同士にしたところが、何というか現代的だなと思いました。百合的な意味で。

MAJOR

 吾郎が「一試合完全燃焼主義」という言葉に恥じない、一人アストロ球団状態になって来てます。そろそろ観客が一斉に「男なら~男なら~男なりゃこそ死ぬ気でかけた~野球一筋アストロ戦士~」と歌い出してもおかしくないくらい(おかしいです)。タマとバットは男の証。

 これでもし吾郎ちゃんが再起不能になったりしたら、スポ根黄金期によく見られた「主人公ぶっ壊れエンド」に連なる作品として新たな伝説と化すに違いありませんが、しかし吾郎ちゃんはいずれ宇宙リーグで戦う男なので(地底少年チャッピーネタ)、まだこんなところで完全燃焼する訳には行かないのです。吾郎は生き残ることができるのか。世界制覇のその日まで! 男ならやってみな!(何だこの文章)

神のみぞ知るセカイ

 「けいおん!」でドラムの律がおもしろキャラ担当になっているのは、往年のバンドアニメ「アニメ・ザ・ビートルズ」でドラマーのリンゴ・スターがおもしろキャラ担当になっていた頃からのドラマーの伝統である説を提唱!(ウソ)

 そういうアレで、何か本当にガールズバンド編が始まってしまいました。若木先生のブログによればかなり作者の実体験が入っているとのことで、そういう意味でも単なるインターミッションではない実りの多いエピソードになりそうな予感。桂馬がどのようにこの騒動に巻き込まれるのかにも期待です。
 あと今回面白かったのが「軽音部を作りたい」とけしかけられて「英語で100点取れ!」と無茶な条件を出した時の児玉先生の、「どいつもこいつも『あいつ』とは違うな!」という反応です。『あいつ』とはつまり、授業中にゲームをやり続けるがために優秀な成績をキープしている桂馬のことであることは間違いなさそう。桂馬には己の道に邁進できるだけの力を持っていることを、暗に児玉先生も認めているのかも知れませんね。

オニデレ

 今回の話が始まった直後は「『オニデレ』がついに違うマンガになっちゃったのか?」と驚きましたが、読み終わる頃には「やっぱりいつもの『オニデレ』だった」と安堵させて頂きました。覇王巣ダメだわこいつら(いい意味で)。

 今回の結論としては、方言をしゃべる女子は素敵だと思います。

トラウマイスタ

 創造主たるダヴィンチが死に、完全なブラフマン(神)と化したスジャータを、かつてそのスジャータから「勇気の剣」を授かったピカソ少年がその剣を以て倒すという、宗教的なスケールにまで達したラストバトルでした。
 ダヴィンチ登場以来「何だかよくわからないけどとにかく凄いものを読んでいる気がする」オーラに充ち満ちていたこの「トラウマイスタ」も、ついに次回最終回。中山先生、本当にありがとうございました。

 というかもう今日最終回が載ってるサンデー出てるんですが。寝て起きたら買ってきます(おわり)。


「やおよろっ!」クラブサンデー移籍記念・サンデー26号感想

ハヤテのごとく!

 一難去ってまた一難。ただし危機の色はピンクスィーツ
 ミノコス編になってからの「ハヤテ」は、『三千院家の遺産』を巡る争いに巻き込まれたハヤテの危機をベースにラブコメ的な要素を絡ませることで、実に「サンデーに掲載されている少年マンガ」的に正しいマンガになっているんじゃないかと思ってます。

 ただ、今のままの展開で行くと、ミノコス編は最終的にヒナギクがハヤテに告白することが最終的な落としどころになりそうな感じ。かつて西沢さんはハヤテと自転車の二人乗りをして自分の気持ちに踏ん切りをつけたことをきっかけとして爆発的な成長を遂げたものでしたが、ヒナギクにもそれと同じ様な事がこのミノコスで起こりえるのか否か。というか、そもそもそのようなチャンスがヒナギクに起こりえるのか。というか、そもそもハヤテは無事ミノコスから生きて帰ることが出来るのか。
 斯様に大きな物語を内包しながらも毎回毎回バカバカしい(褒め言葉)ドタバタをしている「ハヤテ」は、ホントに読むのが楽しみなマンガになってます。

神のみぞ知るセカイ

 みなみ編終了。何か桂馬が頼もしい人生の先輩に見えて来ちゃいますが、今回は主眼が「みなみの視点から見た桂馬」を描くことにあったと思われるので、桂馬をそう見せることが本来の目的だったのでしょう。
 しかし桂馬もすっかり「落とし神」としての貫禄が身に付いてきました。「終わっても残ってる。すべての終わりがみなみちゃんの力になる」と桂馬はみなみに対して言ってますが、それは桂馬自身に対しても同じなのかも知れません。すぐに消えてしまう仮初めの恋愛を繰り返している桂馬ですが、そうすることが彼の「力」になっている――と、桂馬自身が信じたいが故に出た台詞だったら、なんか色々と深いですよね。知らないけど(知らないのか)。

はじめてのあく

 ジローの大姉上・アヤ登場の巻。おっぱいでかいです(強調)。ジローがやたらキョーコのおっぱいをでかくしようとしていたのは、アヤの存在によって「おっぱいがでかい女はすごい」と刷り込まれていたが故なのかも知れません。
 でももう今はキョーコの存在によって「おっぱいは小さくてもおっぱい」って刷り込まれているっぽいですけどね。オレ達が

魔王

 「鯨」が出て来たと思ったら、最後の最後で「押し屋」まで登場。これまで「魔王」に出てきた殺し屋のオールスターが勢揃いするという大盤振る舞いの展開に、個人的に大喜びしてます。
 これだけの人間を雇うために半年もかけて自分の能力で金を貯め続けた潤也の執念はやはり異常の域に達していると思われますが、これが彼の戦い方なのでしょう。金こそが彼の力。ここまで金に執着する主人公がサンデーに出てくるのは「GS美神」の美神令子以来かも(比較対象として不適切)。

トラウマイスタ

 「ただピカソを苦しめるため」だけという凄まじい理由で、スジャータがブラフマンとして巨大化して復活。ダヴィンチのピカソに対する歪んだ愛憎のために世界が崩壊の危機に陥るという、なんかもの凄いシュールな展開になってきました。それでこそ「トラウマイスタ」です。
 ブラフマンと化したスジャータが世界を危機に陥れる一方、ピカソは自意識の中でスジャータに出会い、スジャータから最初に与えられた力である「勇気の剣」を取り戻します。巨大化したスジャータがダヴィンチの自意識の具体化であるならば、「勇気の剣」はピカソの自意識の具体化。いよいよ自意識が世界と一体化するセカイ系っぽいスケールに入って来ました。果たしてこのマンガの行く末や如何に。


皆本は教育以前に女心を学ぶべきでした(過去形)サンデー24号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 四コマの方は、本格的に本編とは独立した「連載内連載」の様相を呈してきました。スケジュールとか精神とか色々なものが割と追い詰められて余裕がないはずの椎名先生がわざわざこんな凝ったことをするとは、「読者を喜ばせたい」という漫画家としての性なのか、それとも本編の薫同様に「忙しいからこそ、余計なことをしたい!」という心理の発露なのか。
 まあ読者としては、この細雪編(仮称)は非常に面白そうなので大歓迎なんですけどね。特に雪乃の双子の弟の幸生は、割と将来世界を支配しそうな雰囲気があって好感。紫穂と気が合いそう。黒い方向に。

 そして本編は、パンドラの新アジトのお披露目がメイン。パンドラのアジトの船の名前が「カタストロフィ号」とはまた洒落てます(「パンドラ」的な意味で)。
 薫を見たパンドラのメンバーがことごとく口からモノを吹き出しているのはギャグのお約束ですが、中でも真木は「じゃあ連れてきちゃダメじゃん!?」と思わず兵部にタメ口聞いちゃう程の動揺っぷりを見せていたのが面白かったです。語尾に「じゃん」とか付けるんだ彼。

 最後の「ESP学習法」ですが、何か個人的には「ドラえもん」のアンキパンを連想してしまいました。パンを食べまくった挙げ句、テストの日の朝に腹を壊して食べたパンが全て流れてしまって台無しになるアレです。
 学習マンガの世界だと「楽して覚えようとしてもダメで、結局は反復学習が最善」という結論に持って行くのが常道なのですが、しかしこのマンガはまかり間違っても学習マンガではないので、どういう結論に持って行くつもりなのか気になるところです。

 寝て起きたらサンデー買って読んでみます(おわり)。


サンデー24号感想

結界師

 氷浦の正体がついに明かされたの巻。歳のせいか、「番号なんかで呼ぶな! 私は自由な人間だ!」というフォウ・ムラサメの台詞が脳裏に浮かんでしまいました。氷浦を番号で呼ばない良守の必死さが報われる展開になってくれるかどうか。
 あと月刊少年サンデーに載ってた田辺先生の読み切りは、読後に「『結界師』で積み上げたイメージをかなぐり捨ててまで、そんなにオッサンが描きたかったんか…」と呟いてしまいました。

アラタカンガタリ

 カンナギのヘタレっぷりを目の当たりにしながらも、「全ての鞘を束ねなければならない」という使命を負った革はカンナギを仲間にせざるを得なかったの巻。救国の英雄となる者の大変さが伝わります。

神のみぞ知るセカイ

 桂馬の仕掛けた罠通りに一方的にみなみのゲージが上昇していくエピソード。今の桂馬の余裕はまさに神に相応しい貫禄です。
 でも、このまま上手く行くはずがないですよね(ひどい)。

魔王

 スプーン目玉ほじくり返しフェチ男が殺されるであろうことは予想済みでしたが、まさか一番最後に犠牲になる(ある意味)おいしい役にありつくのは予想外でした。でも仲間に情報を売られて狼狽するする姿が一番様になりそうなのはこいつなので、そういう意味ではこうなるのも必然だったのかも知れません。
 次回は寺原ジュニア残酷ショーとなることは確実。潤也の用意周到さっぷりに戦慄しながら次回を楽しみに待ちたいです。あと「バッカジャナイノー?」は萌え。

トラウマイスタ

 アクセスログを調査した結果、このサイトの急上昇検索ワードは「トラウマイスタ」であることが判明しました。みんな大好きボクも大好きトラウマイスタ。

 ストーリーの方は、ピカソがピンチの時に仲間が駆けつけて窮地を救った! というジャンプ的王道パターンを見せたんですけど、ピカソは仲間に感謝するでもなく満身創痍のまま社長と戦い続けようとするし、社長は社長で何故か「クソアァーメンン!」と叫びながらダヴィンチに変身しちゃうし、というか最初からダヴィンチが社長に変装していたと解釈するべきなんだけど、でもアンタ社長に派遣切りされたばかりじゃなかったっけ? いつ入れ替わったん? とツッコミを入れる余地すらなくファイナルバトルに突入する勢い。もはやこのテンションが止まる気配は全くありません。
 このマンガは、暴走の果てに何を見いだすつもりなのか。今サンデーで最も注目するべき作品は、やはり「トラウマイスタ」なのかも知れません。