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今年もよろしくお願いします。サンデー2016年4+5号感想

ふれるときこえる

 メインヒロインのさとりのメガネ+マスク姿を見て、藤子・F・不二雄先生の「耳太郎」に出てきたテレパスのおじいさんを思い出した勢の人?(挨拶)

 「ノゾ×キミ」の本名ワコウ先生の新連載が開始。「ノゾ×キミ」は「覗く」という視覚的な要素をテーマに男女の心理の探りあいを描いていた作品でしたが、今回の「ふれるときこえる」は文字通り「相手に触れると相手が何を考えているのかが判ってしまう」超能力を持ってしまった高校生の男子が主人公ということで、今度は触覚をテーマにしていることが伺えます。触覚と書いておさわりと読むアレです。

 並の高校生男子だったら、こんな能力を持った暁には周囲の女子に触って触って触りまくってゲスい欲望を満たそうとすること必至であると思うのですが(その後女子の思考の闇の深さに怯えて絶望するオチ)、残念ながら今作の主人公の噪君は意中の同級生女子に触って誰が好きなのかを確認しようとすることすら躊躇してしまう紳士な好青年なので、あんまりゲスい展開にはならなさそうなのが残念です(そもそもそういうマンガじゃない)。

 「さわるときこえる」能力を彼に与えたさとりの能力の発動条件は「相手の男子を好きになること」なので、彼女に惚れられてしまった噪君としては彼女が自分を嫌ってくれるような行動をするしかないんでしょうけど、初対面のさとりに傘を差し出すイケメンっぷりからして、そういう態度を他人に取れるような人物ではないことは明白。さとりから意図しない能力を与えられ、しかも自分が親友との間で三角関係の渦中にあることを知ってしまった噪君は、果たしてこれからどう生きて行くのか。
 これまでの本名ワコウ先生の作品とはちょっとテイストが違った物語が読めそうで、今後の展開が楽しみです。

 あと、さとりが自分の脳力を噪君に明かすときにメガネとマスクを外したシーンは、「メガネを取ったら実は美少女」な演出って今でも有効なんだなと感心しました(そこか)。

天野めぐみはスキだらけ!

 サンデーSから移籍の新連載。基本的な話の構成が、ムチムチな身体に育ってしまったけど、そのことについてあまり自覚がないという、良い意味で純朴な女子高生の天野めぐみさんの日常を、幼なじみの学くんの(主に性的な)視点から観察して愛でるという形になっているのが特徴で、何というかこう「素晴らしい」としか言えない点が素晴らしいマンガだなと思いました。素晴らしい。

 また、ただ単に天野めぐみさんを(主に性的な)視点から観察して愛でるだけの話ではなく、第一話でめぐみが学と手を繋ぐ時に剣道でできた手のマメが少ない右手を差し出すところや、第二話で「天野がいないと平和だ」と言ってる学がさりげなくめぐみの帰りをバス停で待ってるところなど、双方がそれとなく相手を意識している幼なじみ同士の初な恋愛描写がさり気なく盛り込まれているところも良いと思います。
 総じて言えば、週刊少年サンデーに来てくれて本当にありがとうございます!という感想です。

 あと、「天野めぐみ」って我々の世代の人間だと知る人ぞ知る名作「菜々子さん的な日常」を思い起こさせる内容だなと思って久しぶりに読んでみたところ、「奈々子さん」ってこんなエロかったっけ? と思うくらいエロかったのでビビりました。「奈々子さん」と比べれば「天野めぐみ」は健全極まりないですよ。
 さすが「奈々子さん」は往年の「ホットミルク」に掲載されていただけのことはありますよねーとか変なところで感心した次第です(日記)。

初恋ゾンビ

 2015年後期のサンデーの大きな特徴として、「初恋ゾンビ」、「天野めぐみはスキだらけ!」、「ふれるときこえる」と、矢継ぎ早にラブコメ系のマンガを新連載として投入してきたことが上げられると思います。最近のサンデーで短い期間に連続してラブコメマンガが始まるのは、ちょっと珍しいのではという気がします。
 今から30年以上前、「うる星やつら」「タッチ」「さよなら三角」「ただいま授業中!」などのラブコメ作品を擁してジャンプに発行部数で肉薄した伝説を作って以来(参照)、「ラブコメのサンデー」はサンデーのパブリックイメージとしていまだに残っているものと思われます。サンデーの復活を目している現サンデー編集部としては、「サンデーのアイデンティティとしてのラブコメ」の復活、そしてあの頃の明るく楽しくライトな雑誌というイメージの復活も、また外せない要素なのかも知れません。

 そのラブコメ新連載陣の中でも、この「初恋ゾンビ」は、基本的には突然空から降ってきた人間じゃない女の子がパンツを無駄に見せて来る系の伝統的な明るく楽しくライトなエロコメっぽいマンガでありながら、イヴの存在の謎がこの作品の根幹となるミステリーとして成立している点、本来ならメインヒロインになり得る存在である指宿が複雑な事情で男装している点など、単なるエロコメで済ませるにはもったいない読み応えのある内容になっているのが、本当によくできていると思います。「ラブコメのサンデー」のイメージに沿っている作品という感じ。
 2016年にブレイクして欲しい作品の一つですね。

 本編の方は、「ギャルに恋心を抱いてしまったオタク男子の葛藤」を、『初恋ゾンビ』というこの作品特有のギミックを使って表現しつつ、このマンガの根幹となっているイブの存在の謎をより深めるエピソードも盛り込んであって良かったです。
 あと、「ギャルが清楚な格好をするとカワイイ」って演出も、「メガネを取ったら実は美少女」な演出と同様に古典的ながらも極めて有効なんだなと感心しました(そこか)。

ノゾ×キミ 8 (少年サンデーコミックス)
本名 ワコウ
小学館 (2015-06-18)
売り上げランキング: 36,776

「ノゾ×キミ」は、終盤のノゾミが本心を明らかにするまでの流れがステキだった記憶


コミックマーケット89 椎名高志作品関連サークル

12/29 (火曜日)

サヤ氏の眼鏡記念・サンデー2号感想

メガネ
だがしかし

 サヤ氏の眼鏡! サヤ氏の眼鏡!(連呼)
 これがアニメ化決定のパワーなのか…調子乗ってるとここまでできるのか…アニメ化すごい…というのが今回の感想です。

 しかし今回のサヤ氏眼鏡事件により、彼女は実は目が悪いけど普段はメガネを掛けていないのか、それとも伊達メガネを「こんなこともあろうかと」的な先読みで喫茶店の店内に常備していたのか、どっちなのか? という謎が新たに発生しましたが、比較的どうでもいい謎なので追求しなくて良いという結論に達しました。

なのは洋菓子店のいい仕事

 佐井涼子編が終了。お話的には佐井が自分がどんな菓子を作りたいのかという目標に目覚め、彼女のお菓子作りのための居場所を守ることもでき、変装しなくてもちゃんとお菓子作りへの夢を語れるようにもなって、めでたしめでたしといった感じでしたけど、実はこのマンガで「お菓子を作ることで人を救う」展開が発生したのはこれが初めてなのではないのでしょうか。

 あの、第一話目にして「ケーキは暴力」と言い放ち、パティシエが自らタバコを吸い、お菓子に関する悩みを抱えて来店する少女たちを誰ひとりとして救ってこなかった、「洋菓子店が舞台のパティスリーコメディ」から連想される一般的なハートフルなイメージを常にぶち壊してきた、あのなのは洋菓子店のいい仕事」が! ついに! 一人の少女の悩みをお菓子で解決したんですよ! 少女の! 悩みを! お菓子で! これはすごいパラダイムシフトなのではないのでしょうか!(←無駄に煽るスタイル)

 多分こういう話になったのは、今回の主役キャラがタイムではなくセージであることが大きいんだと思います。セージはタイムとは違い、お菓子で人を幸せにできる才能と人柄を持ち合わせた、このマンガでは極めて稀有な存在だったんだよなーと、今回のお話を読んで思いました。
 ただこのマンガにおけるお菓子を作る側の人間は、タイムや今出川やそして今回のヒロインである涼子のようなロックな性格(穏当な表現)なのがデフォルトっぽいので、涼子が言うようにセージがこれから本当にお菓子を作る側に回れるのかどうかは、まだ判りません。彼の人生の往く道はどっちなのか。

 それはそうと変装してないモードの涼子はエライかわいいというか、我々のような嗜好の読者にはとてもグッと来る造形をしているキャラなので良いですね(感想)。

マギ

 アリババ君の「一瞬を永遠に感じる超集中力」は、個人的には旧版の「銃夢」のコミックス最終巻でガリィがやってた「脳のクロックを上げることで世界がスローモーションに見える」アレを思い出しました(古い)。
 この能力は事実上アリババ君が無敵化することに等しい訳であり、彼を暴力によって止められる者はもう誰もいないでしょう。つまり彼は文字通り「何にでもなれるし、どこにでも行ける」存在になったことを意味しています。オーバー・ザ・フューチャー!(←ファンサイト要素)

 ここまで主人公が進化するとなると、やっぱり物語は終盤に近づいて来ている感じがします。誰にも止められない能力で、アリババ君がこれから何を何遂げようとするのか注目。

暁の暴君

 ハヤトとカズマの戦いは、カズマがいわゆる初見では対処不可能な「わからん殺し」によってハヤトに勝利しましたが、このタイミングでついにこのマンガにおける現段階のラスボスであり、かつこのマンガの中で最もカズマに執着している存在でもある大嶽さん(さん付け)が登場、ハヤトの指導権を彼の父親からまんまと奪取することに成功しました。
 大嶽さんは、最終的にカズマが倒さなければならないラスボスであるにも関わらず、カズマに対して嫌がらせができる状況となれば自ら進んで行動して色々と小細工を弄する、いい年したオッサンのラスボスらしからぬフットワークの軽さを持ち合わせているのがとても良いなと、常々思っています。

 もっとも、指導権を手に入れたとはいえ、荒ぶるハヤトが大嶽の意のままに動くとは思えないのですが。
 大嶽さんがハヤトをどう調教していくのかも見ものですね(ひどい感想)。

絶対可憐チルドレン

 「他人の恋をただ見続ける影の存在でありたい!
 パティさんのこの台詞、何かものすごく共感します。もし自分が女子に生まれていたら、「来世は乙女ゲームの世界にいるモブな女子キャラになって、攻略対象の男性キャラ同士がイチャイチャするところを観ていたい!」って願っていたに違いないと、かねがね思ってますからね!(それもどうか)

 ただ、今回の話はパティのアレな言動を表層に置きながらも、不幸な過去を背負っているパティや悠理が心の奥底に今も抱えている「自分の幸せ」についての複雑な感情を垣間見ることができたエピソードだったのではないかと思います。
 悠理が薫に過剰に惹かれているのも、パティが二次創作に熱中しているのも、単に対象に萌えているからだけではなかったという訳ですね。好意的に解釈すれば。

読み切り:マギレモノ

 ヒロインが通行人を惨殺するシーンにわざわざ「新風と共に本誌初登場!」というアオリ文句を入れる辺りに、この作品の推しっぷりが伺えます(ドクロ)。
 作品としては、ひたすら人間が切り株になる系統の、割と救いのないスプラッタな内容でしたが、サンデーでこの手の血まみれな作品が載るのはかなり久しぶりな気がするので、そういう意味では新鮮でした。こういう路線のマンガも今後の連載の選択肢の一つとしてアリと考えているのかも知れません。

だがしかし 4 (少年サンデーコミックス)
コトヤマ
小学館 (2015-12-18)
売り上げランキング: 51

4巻は18日に発売。アニメをプロモーションにして更に売り込みたい感じがすごくします


パズドラパワーで週刊少年サンデー完売記念 サンデー1号感想

パズドラ×うしおととら 限定アイテムシリアルコード

 去る12/8、サンデー編集部より「サンデー1号が完売してしまったため、クラブサンデーにおいて期間限定でサンデー1号の掲載作品を全て公開する」という発表がなされました。

 サンデーが完売してしまった理由は公表されていませんが、サンデー1号の付録である「パズドラ×うしおととら」のシリアルコード欲しさに多数のユーザーが買い求めたことが原因であると考えられています。スマホのソーシャルゲームの購買力の高さは半端ないなーと改めて思いました。

 あとこの件で改めて思ったんですが、サンデーはいまだにジャンプやマガジンのように電子版を定期的に売り出していないので、「紙の本は売り切れたけど、電子版でなら読めるので買ってね!」って言えない状態なんですよね。
 小学館は電子書籍の販売にものすごく疎い出版社であることは重々承知していますが、もう21世紀になって随分経つ訳ですし、この辺もうちょっと何とかならないんでしょうか。

MAJOR 2nd

 最終回で1点リードながらもノーアウト満塁の大ピンチというシチュエーションで、離れ離れになっていた光と大吾が、ついにマウンドの上でバッテリーとして再会! という超燃える展開に。
 普通のマンガだったらもうこれで勝ったも同然って雰囲気になるんですが、ここであえて「光がランナーを背負った時の牽制モーションができない」という弱点を持ってきて必勝ムードを自ら台無しにする「MAJOR 2nd」の展開が色々な意味でアツいなと思いました。

 これはもう、我々を焦らしに来てますね。「光と大吾のゴールデンバッテリーで勝って早く気持ちよくなりたい!」って我々の気持ちを察した上で焦らしに来てます。さすが満田先生、焦らしのテクを使うタイミングを弁えてますね! と思いました(褒めてます)。

だがしかし

 夏祭りエピソード以降の「だがしかし」は、駄菓子のマンガという主軸は維持しつつも、徐々にほたるとサヤとココノツの三角関係ラブコメ的なノリにシフトしつつあるように思えます。既にサヤとココノツの二人は、もういつラブコメ展開に走ってもおかしくない雰囲気になりつつあります。

 そんな中で徹底してラブコメ展開を拒否し、駄菓子ネタでボケ続けるほたるさんは、このマンガが駄菓子マンガで在り続けるための生命線的な存在になりつつあるという気がしてきました。もし彼女がココノツの気持ちを判ってる上であえてボケまくって彼を弄んでいるのであれば、ほたるさんは最高の悪女なんですけど、まあそういうことは絶対になさそうなので安心してます。
 そういう悪女なほたるさんは薄い本で読みたいです(感想)。

アド アストラ ペス アスペラ

 「自分は帝国軍人である」ことが己のプライドの全てである、如何にも性格が硬そうな金髪美少女が登場。勿論、主人公に惚れそうなフラグは今回のエピソードでキッチリ立てられましたので、「帝国軍人としてのプライド」が「正義を体現している少年」の前に屈することは、もはや当然の有様と言えます。そういうところも軍人系女子のパターンをわきまえていると言えましょう。

 美少女わんさかコメディ化への順当な第一歩を踏み出しましたね!(ダメな感想)

BE BLUES!

 本編では相変わらずDr.ミルコの教育的指導!!マッチ(←椎名高志ファンサイト的表現)が継続中。龍やレノンは徐々にミルコの意図に気付いて来た感じはありますが、まだ全く予断を許さないハラハラした展開が続きそう。

 それはそうと、この試合では相変わらず窪塚マネージャーがこれまで見せたことがなかったような眼鏡女子特有のボケ顔や恐怖顔を披露して下さっており、彼女の大ファンである私としては大変に嬉しいです。
 これまでの彼女は「サッカーが判ってる理知的な眼鏡女子」的なポジションにいた感じがありますが、ミルコが彼女の想定を遥かに超える未知の采配をして来るおかげで、「理解不能な展開にとまどうボケ役の眼鏡女子」という新しいポジションを確保しつつあるように思えます。監督が変わるとサッカーチームは大きく変わると言われていますが、まさかベンチ外のマネージャー陣にまで影響を与えているとは。これが世界レベルの采配なのか(ウソです)。

 あと今回は、コーメイさんが「マコさん下げて桜庭入れて欲しいけどな…」と言ってる後ろで「オレを試合に出せ」と言いたげな感じで必至にアピールしている(けど明らかに空回ってる)桜庭さんの姿が可愛かったです(感想)。

読み切り:だめてらす

 ライトなラブコメとオタク的なギャグ、そして熱血バトルの絶妙なバランス感覚を持ちあわせ、「こわしや我聞」「はじめてのあく」といった人気作をサンデーで連載して一時代を築いた藤木先生が、久しぶりにサンデーに帰ってきました。
 往年の先生の作品が大好きでコミックスを全部買って来た私としては、素直に嬉しく思います。先生が昔コミケで出した同人誌も勿論まだ持ってます(アピール)。

 藤木先生の作品は、先ほども述べたようにラブコメとギャグとバトルの要素が絶妙に絡み合って成立していると言えますが、今回の読み切りの「だめてらす」はその中でもオタク的なノリのギャグにパラメータを割り振って来たという意味で、かなりエクストリームな内容であったと思いました。よりわかりやすく言えば、藤木先生のいい意味でダメなマンガという感じ。前作の「透視・ミーツ・ガール!」が極めて真っ当なラブコメだったのとは対照的です。

 この「だめてらす」は読み切りではありますが、設定的には色々と広がる要素を持ち合わせていますので(てらす様をこの世界に突き落としたのは誰か?など)、将来的には連載化も視野に入れているかも知れません。
 近いうちにまた誌面で藤木先生の作品を読める日を楽しみにしたいと思います。

 あと、今回の敵役は神としての力はそこそこあるけどニートで無職のキモオタ男子でしたが、彼が無職なのは本人の責任だけではなく、神としての教育システムの失敗を招いたことに象徴される神社会の構造的な問題も大きいのではないかと思うのですが、「キモオタが無職なのは自己責任」的な感じなノリになっていたのは、現代日本社会の縮図を感じてしまいましたね。ダメなマンガなフリをして、実は社会派マンガだったの?(多分ウソ)

絶対可憐チルドレン

 今回は、「悠理がパティと結託し、男子に変装して薫をデートに誘う」という筋書きからして明らかにギャグ回になるに違いないと思っていたんですが、悠理が「薫の理想を自分に反映させるようにする」ヒュプノの真髄となるテクニックを披露することで、薫が内面で思っている理想の男性像を図らずも具体化することになってしまうという、何か超能力ラブコメディーマンガとしての奥深さを感じさせる展開になって来ました。このマンガ侮れないですね!(今更)

 しかし全体としてはやはりパティさんの趣味のアレっぷりが目立つ回でした。やっぱりパティさんは、悠理をダシにしてこの状況を楽しんでいるような気がします。

パズル&ドラゴンズ(Puzzle & Dragons)
GungHo Online Entertainment, Inc. (2012-12-14)

パズドラはハマると底知れないのが怖くて手を出してません…(弱い)


2016年もよろしくお願いします サンデー52号感想

2016新春大攻勢予告

藤田和日郎&西森博之がサンデーに帰還!新連載スタート、久米田康治読み切りも – コミックナタリー

 市原氏が週刊少年サンデーの編集長に就任した際、コミックナタリーのインタビューで「藤田和日郎先生、西森博之先生、久米田康治先生。この3名には一刻も早く帰ってきてほしいと思っています。」と語っていた通り、本当に藤田先生と西森先生と久米田先生がサンデーに戻って来ることが発表されました(久米田先生は読み切りだけど)。
 また、本名ワコウ先生の新連載、藤木俊先生の読み切りの掲載、「サイケまたしても」の第5シーズンの開始、「銀の匙」新エピソードの掲載、サンデーSの連載作「天野めぐみはスキだらけ!」の本誌移行なども同時に告知されており、ずっとサンデーを読んで来たオッサン愛読者が大歓喜する内容になっていたと思います。

 これに関しては「オッサンが喜ぶような内容の攻勢でいいのか」というツッコミもあるんでしょうけど、今回の新連載予告には『現在のサンデー編集部は「戻ってきて欲しい」と公に宣言した作家を本当に戻せるだけの力がある、有限実行な体制である』ことをアピールして誌面改革への本気っぷりを示すことでオッサン読者の信頼を改めて得ることが何よりも目的だと思いますし、これまでのネットでの反応を見る限りでは、実際それはそこそこ成功しているのではないかと思います。

 個人的には、何より約一年ぶりとなる藤木俊先生の読み切りが掲載されるのが嬉しいですね。藤木先生が生きててよかった(ひどい)。

暁の暴君

 天才型の一真に対するライバルキャラとして位置付けられるであろう、努力の塊たるキャラ付けをされた軍場ハヤトが登場。普通の柔道マンガであればハヤトの方が主人公になってもおかしくないくらい、柔道に対して誠実な努力家さんといった印象を受けます。

 これまでの努力の成果として得た圧倒的な技の知識で徹底して読み合い勝負に持ち込んでいるハヤトですが、一真は多分ハヤトの知識を凌駕した、専門用語で言うところの「わからん殺し」的な技を仕掛けてくるのではないかと思います。見た目は下段だけど実は中段攻撃なので立ちガードしないと転んでしまって再び二択を強いられるみたいなアレです。対戦格闘ゲームではよくあることです(その程度の知識)。

 あと個人的には、ハヤトの父ちゃんが職場から解雇通知書をもらうコマと、解雇された父ちゃんが交通整理のアルバイトをしているコマをわざわざ描写する芸の細かさにグッと来ました。
 社会的には多分この父ちゃんはダメな人なんでしょうけど、息子に柔道を教え込もうとする意欲の高さだけは窺い知ることができました。

初恋ゾンビ

 指宿くんの正体が明かされた回。彼は元々「何故かタロウと同じく初恋ゾンビが視える」筆頭として色々と謎が多い人物だったのですが、実は彼は彼ではなく彼女だったというか、端的に言えばちんこが付いていなかったことが、今回明らかになりました。

 このマンガの真のヒロインは最初から指宿くんであり、故に最終的にこのマンガはタロウと指宿くんが真実の愛に目覚めるに至るまでの物語であると私は思っているので、本来ちんこの有無は真実の愛の前には基本的に大きな問題ではないはずなのですが、でも「指宿くんが美形の男子」であるのと「指宿くんが男装した女子」であるのとでは二人が乗り越えるべき壁の質が異なってくる関係上、今後の物語の趣は大きく異なって来ざるを得ません。まあ、個人的には「それはそれで」といった感じですが。
 個人的には、彼女がわざわざ男装している理由が「自分をこんな身体(=初恋ゾンビが視える身体)にしたタロウに復讐するため」であるという歪みっぷりにはグッと来るものがあります。この歪みがいつ真実の愛に変わるのかと思うとゾクゾクしますね(ダメ)。

 このマンガ、一見すると常時女の子のパンツとかが見えてる典型的なお色気マンガの形態を取ってはいますが、実は人間関係がそこそこ複雑な上、単なる概念上の存在だったはずのイブが意思を持ち始めていたり、指宿くんの性別が初期設定から変わったりと、かなりディープな恋愛物語を描くことが可能な構成になっている奥深さも持ちあわせており、なかなか侮れない作品になって来つつあると思っています。
 これから人気が出て欲しい作品の一つです。いやマジで。

 あと、江火野さんのエロいコスチュームを日々妄想している人吉君におかれましては、今後はぜひ「上が縦縞セーターで下がタイツだけ」みたいな系統の着衣フェチに目覚めていただけると私が喜びますので、ぜひその方向の妄想をお願いしたい次第です。露出が多ければエロいという訳ではないんですよ! 君はやればできる男ですよ! 任せたよ!

ヒメゴト~十九歳の制服~(2) (ビッグコミックス)
小学館 (2013-03-29)
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「初恋ゾンビ」の峰浪りょう先生の「ヒメゴト」、一気に読むのがもったいなくて一話づつじわじわ読んでます


今週のミルコ語録:「まだ時間はある」 サンデー51号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 ミルコ新監督初試合で、前監督とは全く違ったフォーメーションを組んだために試合がガタガタになってる展開が続くこのマンガ。
 今回は、徹底して反復練習をした結果ちゃんと成果を出した聖和台の小早川と、いまだに練習の成果が出ていない(というか、何のために徹底的に早いパス回しを練習させたのかまだよく判ってない)武蒼の選手たちという対比構造が明確になっていたと思います。

 ゲームが不利になっても、あくまで「走りながら考えろ」なスタイルを強要して選手を強化しようとしているところからは、ミルコのモデルとなったオシム元日本代表監督を思い出します。監督が変わる度にチームの戦術や選手に要求されるスキルが変わるのは世の常ですが、武蒼の選手たちにとってはここまでドラスティックに変化が起こるのは初めてのことではないのでしょうか。サッカー選手って大変ですねえ(感想)。

 あとはサンデー49号の話になりますが、ミルコのチーム編成にビックリした窪塚マネージャーが、何かの見間違いかと思って眼鏡を外す→「3」の形をしたのび太君みたいな目が出てくる→眼鏡を拭く→眼鏡をかけ直す→改めてビックリする、という古典的眼鏡キャラにおける最強ムーブをしたのがとても良かったです。この人、本気を出したらこういうマンガみたいな動きができるんだと思いました。窪塚さんの魅力は底なしですね!(褒めてます)

BE BLUES!~青になれ~ 21 (少年サンデーコミックス)
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コミックス21巻はみんな大好きノアさん大暴れの対赤城中央戦


お久しぶりです(´・ω・`) サンデー49〜50号感想

トキワ来たれり!

 「殺す理由ではちきれそうだ!」(おっぱいが)

 サンデー49号の「トキワ来たれり!」は、おっぱい忍者登場の巻でした。
 このマンガは既におっぱい要員としてりいんが存在していますが、それに加えて更に新しいおっぱい要員を登場させる辺り、このマンガも本気で勝負に出てきていることを伺わせます。

 りいんと女忍者さんは「おっぱいが大きい」という点においては共通していますが、違いはそのコスチューム。りいんはレオタードを基調とした全身タイツ的なアレで常時そのエロボディを晒しているのに対し、女忍者さんは鎖帷子ベースのいわゆる忍者裝束をしています。つまり、女忍者さんはりいんとは違い、いわゆるパンチラアクションが可能な仕様になっていますね。
 これは松江名俊先生のマンガなので常時パンツは見えまくっていますが、それでもパンツがチラチラする仕掛けがあるのはコスチュームとしては大きな強みだと思います。

 あとは、「男子が不可抗力で押し倒してしまって女子のおっぱいを触ってしまう」という定番シチュエーションをキッチリやっているところも好感が持てます。
 美少女わんさかラブコメディーの分野では「登場即おっぱい触られる」は、そのキャラがヒロイン枠として収まるための必須行動であり(参考資料:なぜラノベ原作ヒロインは3分以内に脱ぐのか)、その点においてもこのおっぱい忍者さんは今後このマンガにおいて重要な存在となることが暗示されていると言えるのではないのでしょうか。

マギ

 最終章に入ってからの「マギ」は、ロールプレイングゲームでラスボスを倒して平和な世界を取り戻した後、プレイヤーキャラの一人が同じパーティーの仲間たちを訪ねて世界を回る系のエンディング演出を見ているような気持ちになって来ます。初代「グランディア」のエンディングでスーが久しぶりにジャスティンを訪ねて行くとか、「グランディア2」でロアンが主人公キャラのリュード達を探して世界を歩きまわるとか、あんな感じの演出です(何故例がグランディアばかりなのか)。
 ただ「マギ」の場合は平和に見えて実はまだ根本的な問題が解決していない状態なので、ここからどう転ぶのかはまだ判りません。シンドバッドとアリババがどんな話をするのか期待。

 そういえば初代「グランディア」では、エンディングでジャスティンとフィーナがわらわら子供を作っててビビったものでしたが、「マギ」でもし失踪中のモルジアナと白龍が実は子供を作ってたりしたらと想像したら、怖い考えになってしまいました。
 もはやマンガの感想の体をなしてないですね(おわり)。

電波教師

 庵野監督と富野監督と宮崎監督が組んで作るアニメに対しては個人的には絶対に出資したくはないのですが、もし宮崎監督がその天才的なアニメーターとしての能力を遺憾なく発揮して「ガールズアンドパンツァー」のキャラを動かすとかだったら観てみたいです(感想?)。

 S学級編も佳境に入りつつある「電波教師」が、このタイミングで「鑑が詐欺に騙されて莫大な借金を背負う」系の話をするのはちょっと意外なんですが、鑑そのもののキャラを主役にするエピソードはここのところ出てきていなかったので、これはこれで面白そう。
 鑑なら、自力で庵野監督と富野監督と宮崎監督を組ませてアニメ作らせて資金を回収するとか本当にやりかねないところがアレですが。

暁の暴君

 「暁の暴君」は、個人的には既に一真を目の敵にしている当面のラスボスであり、このマンガにおける柔道界腐敗の象徴である大嶽の姑息な行動を楽しむマンガになりつつあるのですが、今回は「接待ゴルフの最中に、ジュニア選手権の都大会に出現した新人選手を気にする」という、「接待ゴルフ」と「ジュニア選手権の都大会」のスケールの大きさの微妙なギャップがちょっと面白かったです。
 というか大嶽さん、各地方の有力選手はジュニアレベルでもひと通り把握してるということなんでしょうか。自分の地位を守るためには一真を倒す刺客をどうしても育成しないといけない目的があるとはいえ、ジュニアの選手までちゃんと知ってるということは、もしかして大嶽さんは柔道組織のトップとしてはそこまで無能ではないのかもと思いました。

 あと今回登場した大嶽さんの側近の「高木君」と呼ばれていたメガネスーツの男、何か明らかに只者ではなさそうな雰囲気を感じます。多分、この高木を通じて大嶽を意のままに操ろうとしている真の黒幕とか出て来るに違いないです(決めつけ)。

ニッペン!

 第二話で主人公がヒロインに引っ叩かれるマンガは名作の法則!(挨拶)

 先週号の新連載の「ニッペン!」は、過去に幼なじみの女の子と色々あって卓球を断念した主人公の朝日が、再び卓球への情熱を取り戻して再起への道を歩き出すという王道路線のスポーツマンガであり、作者の大谷アキラ先生の緻密な描写も印象的で今後の展開に期待したいところです。

 このマンガは第二話までの話の間に、いくつか今後の展開のフックになりそうな要素が仕込まれていますが、その中でも一番ウェイトが大きそうなのが、主人公の朝日君が過去に色々あって死別した少女・すずにソックリな同級生である大川さんの存在でしょう。
 すずと見た目が似ているのはおそらく偶然ではなく、彼女もまた卓球関係者であることが予想されますが、それ以上にすずと朝日が一緒にいる写真を持っていて、それを確認するなり「私はあなたを絶対許さない!」などと訳のわからないことを言いながら左ビンタを綺麗にキメる彼女は、明らかに只者ではないことを伺わせます。
 というか、まず引っぱたくところから入るコミュニケーションはツンデレキャラの基本ですよね(と言われても)。

 普通のラブコメマンガであれば主人公がヒロインのおっぱいを触るところから恋が始まるものなんですが、逆にヒロインが主人公を引っぱたくことで二人の新しい関係が始まるというのも、またいいものなのではないのでしょうか(続く)。

絶対可憐チルドレン

 (続き)ただ、あまりにツンデレが過ぎて常時引っぱたくなどのバイオレンスなコミュニケーションが常態化すると、50号の「絶対可憐チルドレン」に出てきた東野・ちさとカップルやカズラ・カガリカップルのように調教が完了してしまって色々とおかしい感じになってしまうので、あまりツンが過ぎるのもよくないのかなと思いました。
 東野とちさとのカップルって、小学生編では「ノーマルとエスパーの間の絆を繋ぐ、未来への希望の一つ」的な扱いを受けてもおかしくない感じだったと思うので、いくらノーマルとエスパーの間での全面戦争が回避されて心置きなくツンデレできる世界線とは言えども、もうちょっとナチュラルな幼なじみカップル的な感じを醸せるようになってもいいのではも思います。
 あまりに関係が一方的かつ脅迫的だと、いざと言う時に男のちんこが役に立たなくなってお互いに困ってしまうこともあるので、ちさとちゃんはもう少し彼にやさしくしてあげるべきでは(ひどい感想)。

 そして本編は、何か生真面目かつ天然ボケが著しい悠理があらぬことを企んだおかげで、よりによってパティからカップリング妄想指南を受けることになりそうな展開に。
 この組み合わせはどう転がっても面白いことにしかなりそうにないので、今から続きを読むのが楽しみです。

ツール!(1) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2013-02-04)
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大谷アキラ先生のサンデーでの前作。あれから5年も経ったのか


マギ「もうちっとだけ続くんじゃ」 サンデー48号感想

マギ

 ついに最終章が開始。最終章では、シンドバッドが統べる「戦争のない世界」を舞台に、シンドバッドと一体化したダビデから世界を守るためにアリババがアラジン達を探す旅に出る──という筋書きになりそうですが、まず今回はアリババが肉体を取り戻して人間として生き返った点がちょっと驚きでした。

 彼が肉体を取り戻したということは、即ち彼が童貞の座を取り戻したということを意味します。かつて肉体を失って精神体となってこの世界の理を知り、人智を超えた存在となっていたアリババ君も、再び肉体を取り戻した今は再び童貞の身に。人智を超えた童貞の誕生です。
 文字通り死から蘇って肉体を復活させた今のアリババ君は、「世界を守る」意思に満ち溢れた眼差しを持つ立派な男になりましたが、でもかつてはモルジアナ相手に非モテ特有のぎこちないコミュニケーションをしていた時のピュアなマインドも忘れないで欲しいなと、個人的には思ってます。

 もはや神話的なスケールに突入しているこのマンガだからこそ、神ならぬ人としての心の象徴としての童貞力を保って欲しい。私が「マギ」に望むのはそこですね。
 何この文章。

BE BLUES!

 龍と同じく将来はプロ選手になりたいという野望を持つ清和台の小早川君の心境にフォーカスしたエピソードでしたが、でも我々としてはどうしても優人のストレッチの介助をしている優希の太ももに注目してしまうのは致し方ないことだと思いました(自己弁護)。

 あとは、アンナが龍の応援よりも自分のフィギュアの練習を優先する心境の変化も描かれていました。龍に色ボケして優希相手にエロ妄想トークを繰り広げていた海水浴の時とはエライ違いです。これはもしかすると、彼女が数年後にアスリートとして龍と並ぶくらいの大物に成長する伏線なのかも知れません。
 高校生編終了後に始まるであろう日本代表編に、ものすごい美女になって出てくるであろうアンナに期待したいところですが、逆に言えば高校生編のラブコメ戦線からは脱落するってことなので、ラブコメ展開ではしばらくは藍子っちーの独壇場になりそうです。
 優希は読者サービス要員として頑張れ(ひどい)。

初恋ゾンビ

 「彼女なんて十代のうちはいらん。学生時代の恋愛なんて、どうせ別れるからコストの無駄なんだよ

 特に非モテを自覚してる若者は恋愛をこう思いがちなんですが、しかし歳を取っていわゆる「婚活」をせざるを得ない状況に追い込まれてみると、結婚相手として理想的ないい女や男は、だいたい学生時代につきあっていた彼氏や彼女とごく普通に結婚していて既に手遅れなことに気付くんですよ。そうなってからでは遅いんですよ!(←何があった)

 ただタロウちゃんの場合は「『来る者を拒む』という労力をオレは惜しむ」とか言っちゃってるので、こいつは信念を持った非モテではなく、単なるボンクラなんだなと思いました。そんなことじゃ指宿くんを君の嫁には出せないね!

なのは洋菓子店のいい仕事

 ここのところは、まるで「なの菓子」はラブコメマンガなのではないかと錯覚するようなお話が続いていたのですが、今回の「なのは洋菓子店で飼ってるミツバチのレデイースがスズメバチの襲撃と戦う」みたいなおかしい話をやってくれるのが、「家族経営の洋菓子店を舞台にした物語」から連想されるハートウォーミングなイメージを真っ向から打ち砕くストロングスタイルな作風がウリの「なの菓子」本来の姿なのです! と、個人的に勝手に思ってます。

 でもまあ、こういう系統の話はたまにやるくらいが丁度いいのではとも思います(感想)。

BIRDMEN

 「次回、怒涛の急展開!?
 次々に連載作品が入れ替わっている今のサンデーにおいて、「怒涛の急展開」という文字列は色々と要らぬ憶測を呼んでしまうので、あまり多用するのは控えていただきたいと願います。心臓に悪いです(気弱)。

 
 物語としては、前回まで戦って瀕死の状態になっていた強化人間っぽい少女・アイリーンに対して鷹山が血を与えることで「鳥男」の仲間にしつつ、かつみんなが戦っている間にヒロイックな人命救助を行って世間の目をそちらに向けさせることで「鳥男」に対するイメージを劇的に改善させ、更にはアイリーンを自分に惚れさせることにまで成功していたという、総じて言えば鷹山おそるべしといった内容でしたが、個人的には鳥男達が繰り広げる男子トークが妙に面白かったです。ワイルドシングがどうこうとか、鷹山の食事シーンをまた見逃したとか、あのへんのくだり。

 このマンガはこんな感じの男子同士がキャッキャウフフする雰囲気が大好きなんですけど、「怒涛の急展開」と言ってる以上、日常エピソードが入る余地もそろそろなくなって来るんでしょうか。ちょっと寂しいですね。

ヘブンズランナーアキラ / おいしい神しゃま

 どちらも今回で最終回。この二作は、どちらも前編集長時代にサンデー外で活躍していた作家をサンデーに招聘したという点で共通しており、そしておそらく編集長が変わらなければ連載がまだまだ続いていたであろうという点でも共通していると思います。

 特に「アキラ」は、主人公がちょっと特異な以外は少年マンガとしては比較的真っ当な内容で、このまま連載が続いていればそれなりに人気は続いたのではとも思うのですが、純正なサンデーの作家を育成したいという今の編集部の意向はそれだけ強いものだったということなのでしょう。
 「マギ」も最終章に突入して終わりが見えて来ましたし、これからサンデーは本当に激変して行くんだなーと思ってるところです。

おいしい神しゃま 1 (少年サンデーコミックススペシャル)
藤沢 とおる
小学館 (2015-02-18)
売り上げランキング: 101,218

「おいしい神しゃま」は、正直「どうしてこうなった?」という心境です…(´・ω・`)


ほの香さんは呪われてしまった。サンデー47号感想

なのは洋菓子店のいい仕事

 一読すると「かの香→セージ→ほの香→タイム」な人間関係を淡々な雰囲気で描いたお話のように思えるのですが、つまるところ「ほの香さんの気は既に狂っています」ということを改めて言いたいのではないかと推測しました。

 今の彼女、パターンとしてはヤンデレの一種なんだとは想うのですが、初恋の相手に対して「死ねばいいのに」と思うくらいに拗らせている今の状態は、果たしてヤンデレというカワイイ言葉の範疇に入るのかどうかすら怪しいのではと思ってます。
 普通のヤンデレさんは、相手のことが好きすぎて独占したくなった結果、ンもう刺し殺すしかないワ! ってところまで思いつめちゃう感じだと思うのですが、ほの香さんの場合はタイムの死を願うあまり、刺し殺すとかそういう生易しいレベルではなく、全人類を呪殺しかねない狂気を孕んでいるに違いありません(決めつけ)。

 セージは「兄が既に死んでいることをほの香が知ったら悲しむだろうか」と言ってましたが、それはこのマンガの中でいつかは明かされるヒミツでしょうから、いつかはほの香がタイムの死を知ることになるでしょう。
 もし本当に彼女がタイムの「死」を知ったら、その時はいったいが起こるのでしょうか。予測ができないだけに本当に怖いです。

 「歴史のある洋菓子店と和菓子店の間で繰り広げられる『ロミオとジュリエット』的な悲喜劇」から連想される一般的なロマンスとは、ちょっと異なるところに突っ走ってますよねこのマンガ。いいと思います

初恋ゾンビ

 「指宿くん! 好きだ! オレと付き合ってくれ!

 この時は『初恋ゾンビ』を消すための嘘だったんだけど、後で思えばこれが本当の恋の始まりでした…! 的な展開になるに違いないと思ってます。半分本気です。

 

暁の暴君

 一真が柔道十段の老人・虎熊に勝負を仕掛けるという展開。
 いわゆる「達人は保護されているッッッ」的なアレで、多分虎熊さんはものすごい強いんじゃないかと予想されます。髪型がちょっと「鉄拳」の三島平八っぽいので、多分風神拳や雷神拳が使えると思います(柔道?)。

 あと、現段階でのこのマンガのラスボスであるところの講英館の大嶽館長ですが、自分の配下の柔道家達と一真の戦いを遠くから不敵な笑みを浮かべて見守るとかいう大物のラスボスっぽいことは全くせず、わざわざ毎回登場しては自ら一真を策略にはめようとするセコさというか器の小ささを露呈しており、とても好感が持てます
 多分この人、一真のことが気になって仕方がないというか、多分もう一真のことが大好きなんだと思います。

 前回からは新聞部の女子がレギュラーキャラとして登場していますが、主人公のことが大好きなヒロイン力的には圧倒的に大嶽館長の方が高いですね。このマンガのヒロインは大嶽館長で決まりですね。

競女!

 今回の「競女!」は、「尻を突きつけられた!?」から始まって、あまりに『しげ夫の網パンツ』のパワーが強いために水着が入ったケースに胸を近づけるだけで立ってしまう乳首、ちょっとイイ台詞的なノリで繰り出される「尻は道連れ世は情け」という諺、そして「先輩、後輩の尻束固まり」って書かれたラストのアオリに至るまで、この作品世界における競女ファイターの尻と乳が如何に我々の常識からかけ離れていて、それでいてそのギャップが如何に面白さを生み出しているのかを、流れるような展開で表現していると感じました。

 このマンガ、やっぱり頭おかしいけど面白いです(最高級に褒めてます)。

tutti!

 『君の瞳に恋してる』(曲名)と桜井さんが言っただけで周囲の部員共がドキドキしてしまうという、桜井さんにサークルクラッシャーの才能の鱗片を見てしまったエピソードでした。
 あんな小さな部活で唯一の女性ですし、彼女が本気でおんなのいろけ(何故かひらがな)を部員たちに醸し始めたら、あっという間にサークルは崩壊してしまうに違いありません。桜井さんが純粋に音楽が大好きな女の子で本当に良かったです。

 個人的には、彼女には実はオケ部部長との音楽性を巡る確執があって、あえてオケ部ではなく独立した吹奏楽部に所属して己の音楽を突き詰めようとしているとか、そういうドロドロしたハードコアな裏設定があって欲しいと思っていたんですけど、「tutti!」ってやっぱりそういうマンガじゃないですよねー(感想?)。

読み切り:空に想う

 物語の舞台が夏休みの閑散とした図書館、登場人物は実質的に男女の二人だけというミニマル極まりない設定なのにも関わらず、この二人が一緒に「物語」を大真面目に創作していくやり取りだけで24ページの作品を作り上げていることに驚きました。
 「作文をヤギに食べられる」オチをギャグではなく真面目にやらかしているのも凄いです。そういうことが許される世界観を作り上げている、という意味で。

 話としては、主人公が女の子と共に物語を創作していく楽しさに目覚めて行く過程をポエジックに描いた爽やかな青春物語なんですけど、自分の心が穢れているせいか「これって図書館で男女が『物語を創作する』ことを口実にイチャイチャしているだけなのでは?」と思ってしまいました。
 誠に遺憾に存じます。

絶対可憐チルドレン

 自分が生まれた家の近くには小さな製紙工場があって、よく工場の倉庫に忍び込んで遊んでいたりしたんですが、原紙のロールって本当に巨大で重いんですよね。あんな巨大な質量のものをサイキックでボンボン飛ばす悠理のパワーは本当に底知れないんだなーと思いました。
 彼女、製紙工場でフォークリフト代わりに働くといいのでは(まちがい)。

 今回は悠理のバトルが物語の主題でしたが、「元ファントム・ドーター」としての彼女がベースにありつつも、その上で「黒い幽霊」と戦って勝ち得た自分自身の強さと、「仲間と共に戦うことでより強くなれる」今の彼女の心意気を垣間見ることができたと思います。
 あとは、ちょっと上手いこと言ってドヤ顔して見せる辺りは、戦闘中でも彼女が基本的には天然ボケキャラであることを忘れていない感じが伺えて良かったです。

なのは洋菓子店のいい仕事 2 (少年サンデーコミックス)
若木 民喜
小学館 (2015-10-16)
売り上げランキング: 1,065

言葉が登場する2巻からが本当の「なの菓子」の始まりなような気がします


サンデーにちょっとエッチなラブコメマンガが帰ってきた記念・サンデー46号感想

専門用語ではアニマって言うんでしたっけ
初恋ゾンビ

 野球のボールが頭に当たって人が死ぬマンガと聞いて、「MAJOR」よりも先に「おじゃまユーレイくん」の最終回を連想する人?(アラフィフ向け挨拶)

 サンデー新体制下の新連載第二弾。第一弾である「暁の暴君」は、サンデーの柔道マンガらしからぬ雰囲気溢れる野心作といった感じでしたが、こちらの「初恋ゾンビ」はロケットおっぱいな幼なじみが体操服で練り歩き、空には美少女が浮かびまくり、そしてさも当然かのようにパンチラが飛び交う、ある意味とても「サンデーらしい」マンガであると思いました。

 なお、ここで言う「サンデーらしい」とは、最近のサンデーというよりは、かつて『ラブコメのサンデー』と呼ばれていた1980年代的ならしさを指します。「タッチ」や「さよなら三角」や「はっぴぃ直前」といったマンガが載っていた、サンデーがラブコメマンガで黄金時代を築いた時代のことですよ。判っていただけますか?(アラフィフな方々に向かって)

 そういった意味においてはとても古典的なサンデーらしいラブコメマンガという印象を受けましたが、主人公のタロウ君が恋愛を含めた何もかもに対して情熱を持たない冷め切ったタイプであるところや、そのタロウ君の初恋の相手・イブが実は男の子だったところなどは、現代のマンガらしい設定であるとも言えます。
 また設定面では「『初恋ゾンビ』は初恋が成就すれば消える」ということは示されましたが、逆に言えば初恋が実らないと彼の前からゾンビは消えないということでもあるので、『初恋ゾンビ』をどうにかするには、実は男の子だったイブとの初恋をどうにかして成就させる必要があるということを意味します。
 その辺のジェンダー的な矛盾をどう解消するのか(あるいは解消しないのか)というのが、この物語の当面の主題となるのではないのでしょうか。

 見た目はおっぱいとパンツが舞い飛ぶ判りやすいラブコメマンガと思わせておいて、実はジェンダー的にかなり踏み込んだ表現をして来る物語がこれから始まるのではないか? というのが個人的な第一話の感想です。
 作者の峰浪りょう先生は、代表作「ヒメゴト~十九歳の制服~」でジェンダー絡みで思い悩む人々のセクシャルな人間関係を描いた経歴のある方ですが、少年誌掲載のラブコメというフィールドにおいて「実質的なヒロインが男の子」な設定を使ってこれからどのような物語を描いてくれるのか、個人的にはかなり期待しています。

MAJOR 2nd

 いやでも、やっぱり野球のボールが頭に当たって人が死ぬマンガといえば「MAJOR」ですよ!(と言われても)

 今回の「MAJOR 2nd」は幸いにも打球が大吾の頭に当たる話ではなく、外野フライを大吾がキャッチしてタッチアップの走者をホームで刺すことに成功した話でした。
 「肩が弱くて遠投ができない」大吾の長年のコンプレックスを、寿也のコーチの元でたゆまぬ努力で練習を続けて今回ついに克服できた訳ですから、そりゃー大吾の母の薫も涙を流して喜びますよね。

 彼女の涙を見て気が付いたんですが、自分も大吾に感情移入するのではなく、むしろ薫の視点で大吾の成長を見つめて喜んでいることに気付きました。
 少年マンガを読んで少年ではなくその親に感情移入するとか、やっぱりもう自分はいい歳したオッサンなんだよなあと思いました。

だがしかし

 アニメ版の公式ティザーサイトが公開され、監督や脚本を手掛けるスタッフの情報も出てきて徐々に盛り上がって来ている感があり、そろそろ皆さんもほたるやサヤ師の声優が誰になるのか気になる頃だと思われますが、個人的には何よりもキャベツ太郎さんの声優が誰になるのかが気になります。
 「だがしかし」は駄菓子がメインの物語ですから、当然アニメ化にあたっては、駄菓子のキャラクターにもそれぞれ固有の声優が付くに決まってますよね! ね!

 キャベツ太郎さん、脳内のイメージでは割とスネ夫みたいな声質なのではないかと想像していますが、意表をついて若本規夫的なオッサン声もいいかも。いやでも、そもそも声が付くのかどうかというところから心配するべきなのか。どうしましょう(と言われても)。

 ほたるさんは基本的にアダルトな雰囲気を漂わせてはいますが、中身が駄菓子のことしか頭になくてアダルトとは程遠いギャップが良いと思います(本編の感想)。

ムシブギョー

 最近の「ムシブギョー」は、蟲奉行様こと奈阿姫さまがものすごい勢いで仁兵衛に対するラブっぷりが加速していて正ヒロイン化が著しいなーと思っていました。
 が、今回の話で彼女が実は豊臣家最期の姫君であり、かつものすごいレベルの虫マニアでそれが結果的に日本の半分が蟲で埋まってしまう事態を招いたことが明らかになるに連れ、彼女は実は「正ヒロイン」という生易しい存在ではなく、「仁兵衛にとってのファム・ファタール」という領域に達しているのではないかと思うようになりました。ファム・ファタール、つまり運命の女です。

 仁兵衛は蟲から人々を守るためにここまで強くなったんですけど、奈阿姫がこの世に蟲が蔓延った全ての元凶であり、彼女を殺さないかぎり仁兵衛の願いが果たされないとすれば、この二人は決して結ばれることはありません。仁兵衛がここまで強くなったのは、奈阿姫を殺すためだったのですから。
 彼女が人間に戻って仁兵衛とくっついてハッピーエンド、みたいなポエミーなエンディングは決して訪れず、この二人はその想いとは裏腹に殺しあわなければならない運命にあることが、徐々に明かされつつあります。何という劇的な展開。
 果たして全ての真相を知った仁兵衛は、それでも奈阿姫を斬ることができるのか。仁兵衛なのでできなさそうだけど。

 正ヒロインからファム・ファタールの座に昇格した奈阿姫にとって唯一の問題点は、仁兵衛は基本的におっぱいが大きい女性が好みなので、もし仮に彼女が運命から解き放たれて自由の身となったとしても、おっぱい的な問題によって奈阿姫ががっかりフラレナオンになる可能性が否定できないことでしょうか。がんばれ姫。

BE BLUES!

 前回は感想を書けませんでしたが、ミルコと黒部先生のおっさん二人ががっちり握手を交わすシーンは最高にグッと来ました。やっぱりこのマンガで自分が一番好きなのはおっさんキャラであると強く自覚しましたよ。
 いやもう、田中モトユキ先生の描くおっさんキャラは最高ですよね! 私は「鳳ボンバー」の頃からそう思ってました!(古参ファンっぷりをアピール)

 物語としては、黒部監督が「両親の介護のため」という妙にリアルな事情で退場し、ついにミルコが武蒼の監督として指揮を執ることになる、という新展開が始まりました。
 ミルコが監督となったことでおそらくAチームの構成も黒部時代とは変わることが予想されますし、黒部監督に目をかけてもらっていたビッグ4を中心とする旧レギュラーと、今後の龍を中心とするであろう新レギュラーの間で摩擦が起こったりするんじゃないかなー大丈夫かなーと思ったりもするのですが、とりあえず今の段階で確実に言えることは、ミルコが監督に就任してこのマンガのレギュラーキャラになったので、彼の専属通訳の藍子の出番もこれまで以上に増えるのは間違いないでしょう。

 実際、常にサッカー部に顔を出せる口実を得られた今週の藍子は、何かこう終始ものすごく嬉しそうでした。自分の好きな通訳の仕事ができることや、龍の側に居られるのが楽しくて仕方ないって感じ。嬉しそうな彼女をこれから毎週見られると思うと、こちらまで楽しくなってきます。

 あと今回は、ミルコが監督になったことで、これからは自分がレギュラーで使われるに違いないと慢心している桜庭さんも良かったです。
 この浅はかさっぷりが桜庭さんの魅力です。

読み切り:モンスターストライクをひっぱった漢たち

 mixiのゲームといえば「サンシャイン牧場」ですよね!(ボケ)

 自分はスマホのゲームは現在のところ「Hearthstone」と「ねこあつめ」しかやってないので、モンストのことは正直よく判りませんが、スマートフォンアプリの開発という内容そのものは自分の本業に近い世界なので、そういう意味ではとても興味深く読むことができました。

 前半に出てきた、開発会社のコンペで企画書から実際に動くデモを作って持ち込んだ会社が採用されたエピソードは、この業界におけるプロトタイプを素早く作れることの重要さが伺える良い話だと思いました。
 あと後半の「その後、ユーザーの応援を励みにエンジニアたちは何とかサーバーを復旧させた」エピソードについては、このひとコマの裏でどれだけの数のサーバーサイドエンジニアの屍が積まれたのかと思うと、同情の念を禁じえませんでした。個人的には、むしろこの部分のエピソードをエンジニア残酷物語としてマンガ化するべきではと思ったくらいです。

 やっぱりゲームは、開発する側じゃなくて遊ぶ側にいた方が気が楽でいいのかも知れませんねー(感想?)。

絶対可憐チルドレン

 兵部はエスパーの幼女が好きなんじゃなくて、あくまでエスパーの幼女がエスパーであることだけを理由に不幸な境遇にならず幸せに生きているのを見守るのが好きだったはずなのですが、マンガの中でもこの辺の境界が曖昧になって来ているのではないかという気がしてきます。高校生編になってからは特に。
 このままだと、兵部の読者アンケート1位のご褒美エピソードは、ナイやユウギリのエスパー幼女勢に接待されるだけの話になってしまいかねない懸念が。いやでも別にそれはそれでという気もしますが。

 今回の話の感想ですが、悠理がティムとバレットの手を握って「全力を尽くしますから。あなたたちのためにも!」って言ってるところが良かったです。悠理が再びチルドレン達の元に戻って共に戦う理由の一つは、まさにティムやバレットに対してかつて彼女が行った罪に対する償いをすることですからね。
 ティムとバレットは過去の記憶が封印されているので悠理が何故自分達の手を握ったのかは判らないんでしょうけど、彼女が何か強い決意を持ってここに来ていることは理解できたのではないのでしょうか。

 このシーンにおける唯一の問題点は、ティムもバレットもまかり間違いなく女の子から手を握られるだなんて経験はほとんどしたことがないはずなので、何か勘違いして悠理に対していきなり惚れてしまったり、あるいは「彼女、実は俺たちに気があるのでは?」と誤解してしまったりする可能性を否定できないところです。なんて可哀想なティムとバレット…(決めつけた)。


ヒメゴト~十九歳の制服~(1) (ビッグコミックス)
小学館 (2013-03-29)
売り上げランキング: 6,201

kindle版が安かったので読み始めました。登場人物がみんな歪んでるところにグッと来ます。あとエロいです