C-WWW一覧

烏丸君は、中二病です。サンデー40号「BIRDMEN」感想

BIRDMEN

 今週の「BIRDMEN」を読んでいて気が付いたのですが、もしかしてこのマンガって、いわゆる中二病テイストの含有量が割と半端ないんじゃないんでしょうか。

 今週特にグッと来たのが、烏丸のクラスメートの鮫洲あやめが彼に「おはよう」と声をかけた時に見せた、烏丸の表情と態度ですね。
 ここではないどこか遠くを見ているような焦点の合わない瞳、周囲に全く興味がなく、かつ周囲を見下しているかのようにも見える態度、そして「まあ俺、主な活動時間夜だから」という、自分は他の奴らとは生活そのものが違うんだよ的なアピールを含んだ台詞。いいですね。実にソレッぽいと思います。

 我々読者は、既に烏丸が人類を超越してセラフ達を導く「先導者」として覚醒しているが故に、彼の言動が結果的にそうなってしまうことを知っていますし、また彼のその態度から「烏丸はどんどん鷹山に似てくるなあ。やっぱり彼は鷹山が大好きなんだろうなあ」とか妄想を働かせて楽しむこともできるのですが、当の鮫洲あやめはそんなことは知らないため、彼のあまりに中二病的な言動を目の当たりにして「烏丸君って、あんな感じだったっけ…?」と不審に思わざるを得ないのです。

 その他にも今週は、EDENから捨てられた実験体達(実験体!)で構成される秘密結社エクソダスという新たな組織が登場(秘密結社!エクソダス!)、その組織に接触しようとしたイヴ(イヴ!)にEDEN(EDEN!)の生体強化兵(バイオブーステッドソルジャー!)が瞬間強化剤(ライトニングブースター!)を使って襲いかかり、それを一撃で撃退したフードで全身を覆ったエクソダスの構成員は(フード!)、「薬使ってあの程度…」と呟いて「フ…」と鼻で笑ったり(フ…と鼻で笑う!)、更にイブはエクソダスの首領であるナイル教授(教授!)に、「次の人類」であるセラフが統べる世界を作るため、セラフを「拡散者」(スプレッダー!)の能力で増やしつつ今の人類を抹殺する計画を提案する(人類を抹殺!)という、何かンもうあらすじを書いているだけでワクワクするようなキーワードが満載で、実に愉快なエピソードだったと思いました。

 考えてみたら、BIRDMENって「先導者(ベルウェザー)」とか「繋げる者(リンカー)」とか「超越者(トランセンダー)」とか、セラフのタイプの呼称にいちいちフリガナをカタカナで振ってある辺りからして、そういうセンスを内包していたんですよね。今更ながら気付きを得た気分です。

 そういえば今週の「古見さんはコミュ症です。」に自称中二病の中々さんが出て来ましたが、彼女の「中二病」っぷりは所詮は「中二病でも恋がしたい!」のフォロアーの域を出ておらず、「中二病でも~」以降に定着したテンプレート化された中二病の症状を演じている程度に過ぎないのがちょっと残念だなと思いました。
 彼女も真の中二病キャラを目指すのであれば、「BIRDMEN」の烏丸や鷹山のように、人類を超越した者だけが持つ尊大さ、「超越者」であるが故に浮世では生きられない孤独感を醸し出しつつ、教室の窓から外を眺める姿が様になるくらいのレベルにはなって欲しいです。彼らはホンモノなので(中二病がではなく、人類を超越した存在であるという意味で)貫禄が違います。
 中々さんもホンモノの超人を目指せ! 中二病の道は険しくないのよ!(「古見さん」はそういうマンガではありません)。

 あと今回では、鮫洲あやめがクラス内で中二病的な態度を取り始めた烏丸に対して「烏丸君って…あんな感じだったっけ…?」と感じた時、彼女が妙にドキドキしていたのが気になります。彼女のこのドキドキの正体は一体何なのでしょうか。
 もしかしたら、普段とは違う烏丸君を見て恋に落ちてしまったのでしょうか彼女。「中二病でも恋がしたい!」どころか、烏丸は中二病になったらモテるようになってしまったのでしょうか。

 ただ、鳥男になる前の烏丸だったらともかく、今の烏丸はもう人間の女子からモテても何とも思わないんじゃないかと考えると、ちょっと寂しいですね。連載が始まった頃に「烏丸バリアー」(教室で机に座って顔を手の平で覆ってるアレ)をやってた彼の姿が懐かしいです。あの頃の君のままで居て欲しかったよ…


BIRDMEN 8 (少年サンデーコミックス)
田辺 イエロウ
小学館 (2016-08-18)
売り上げランキング: 2,531

はい、「BIRDMEN」は「中二」ではなくあくまで「青春ジュヴナイル」であることは承知しています


さようなら、枝垂ほたる記念・ここ一ヶ月くらいの「だがしかし」感想

だがしかし

 このマンガのキャッチコピーは「ウマイ駄菓子×ヘンな美少女? ハイテンション駄菓子コメディー開封ッ♪」なのですが、ココノツとほたるの夏祭り花火デート回以降は明らかに話の雰囲気が変わって来ています。まるでタイトルが「さようなら、枝垂ほたる」に変わったかのような切なさと重苦しさです。
 ほたるがいずれこの町からいなくなるであろうことは、これまでのエピソードの中でも示唆されてはいましたが、ついにその時が訪れてしまいました。

 話の雰囲気が変わってきたのは、明らかにココノツがほたると「二人きりで」花火に誘った、ホームランバーのエピソードからでしょう。
 本当なら遠藤兄妹と一緒に行くはずだった花火大会を、ココノツがほたると二人で行くと言ってしまったことは、彼にとってはほんの一時の気の迷いというか、(ほたるから「二人で?」と聞かれたことによる)偶発的な出来事だったと思うのですが、しかしその選択はココノツ・ほたる・遠藤兄妹の間の微妙な人間関係のバランスを壊し、今後の彼らの関係を大きく変化させるきっかけになってしまう可能性はあり得ると思います。

 そしてほたるは、おそらく現在の人間関係や駄菓子屋を巡るこの町の状態に満足しており、それが大きく変わることは望んでいなかったのではないかと思われます。
 しかしその一方、いずれそれらは時代と共に変わってしまうであろうことも、多分彼女は判っているはずです(幼少期に通っていた駄菓子屋がなくなってしまったエピソードが象徴的)。

 そんなほたるに対して、ココノツがこれまでになく積極的なアプローチをして来たことは、ほたるにとっては「ついにこの町も変わる時が来てしまった」ことを意味していたのかも知れません。この町が変わってしまう以上、自分もこのままではいられない。そんな考えが、彼女を動かしたのかも知れませんね。全て自分の妄想ですが。

 あと今回の話では、ほたるが不在であってもいつも通りにココノツに接するサヤの姿が印象に残りました。
 でも、彼女の側から今のココノツ達の状況を見た場合、

  • 花火大会の時にココノツとほたるの姿がなかった
  • つまり花火大会の時、ココノツとほたるは「一緒に花火を観る」約束を破って二人きりで逢っていた
  • 二人は付き合っていたのか?
  • しかし花火大会が終わった途端、ほたるは姿を見せなくなってしまった
  • ほたるが姿を見せなくなったのは、花火大会の時にココノツがほたるに何かやらかしたからなのでは?

 と訝しまざるを得ない訳であり、サヤの今の態度はココノツに対して微妙に引いている結果である可能性も否定できないのでは(嫌な感想)。

 そんな感じで、否応なく人間関係がネクストステージに進む可能性を秘めたこのマンガ。
 次にココノツの店に訪れた時のほたるの姿は、これまでのままの駄菓子大好きな美少女の姿なのか、それとも駄菓子界隈の衰退を憂うあまりホームランバーの当たり棒どころか全てを忘却の彼方に追いやってしまった、変わり果てた姿なのか。
 そんな妄想をしつつ、次回の「帰ってきた枝垂ほたる」編を待ちたいと思います。

 今回の結論としては、「二人で?」と言ってココノツを見つめる時のほたるさんはすごく可愛いと思いました。


だがしかし 1 (BD初回限定版) [Blu-ray]
ポニーキャニオン (2016-03-16)
売り上げランキング: 6,853

今考えると、アニメ版のほたるさんは少々エキセントリック過ぎた気がする


「GS美神25周年記念 椎名高志原画展」に行って生原稿に興奮しました日記

GS美神25周年記念 椎名高志原画展

 もう今日で終了してしまいますが、8/11~8/23に中野ブロードウェイ内のpixiv Zingaroで開かれていた、「GS美神25周年記念 椎名高志原画展」に行ってきました。自分が行ったのは19日です。

 椎名先生の原画展といえば、ちょっと前に秋葉原でやってましたよね? と思っていつのイベントだったのか調べてみたら、もう遥か昔である2009年の出来事でした。全然ちょっと前じゃないことに衝撃。そりゃ歳を取る訳ですよね…。


 椎名先生の原画に限りませんが、マンガにおける原画の魅力と言えば、やはり「漫画家が直接原稿に手を入れているが故に生じる『生』の迫力」に尽きます。

 ファンにとっては作者が直接手掛けた原稿を直接拝めるというのはそれだけで魅力的ですし、更には「筆で描いた跡」「ホワイトで修正した跡」「手書きの文字跡」「写植指定の跡」といった、実際の印刷には載らない様々な痕跡を見ることで、作者がその原稿を描いていた時の息吹を感じることができるのが素敵です。漫画家が原稿を作るために要された努力の全ての痕跡が、生原稿には残されているんですよ。
 原画展とは、その痕跡を鑑賞するためのイベントであると言っても過言ではないと思います。

 椎名先生が! アシスタントの皆さんが! 編集者の方々が! この原稿を仕上げるために費やされた全ての人々の努力の全てが! この生原稿の上に! 残されているんですよ! ですよ! 何かンもうちょう興奮しますよね! しますよね! 椎名先生の生の全てが、ここにあるんですよ! まだ若かった25年前の、椎名先生の生のアレが! もう辛抱たまらん!
 って感じで、会場に展示された原稿全てをハアハアしながら閲覧してました。いやもうすっごく楽しかったです(真顔で)。


 この辺のアナログ手書き原稿を見る楽しさについては、会場のオーナーであるpixivが「手描き原稿を間近で!『絶チル』椎名高志先生の原画展は見どころいっぱい!」という判りやすくて面白いガイド記事を作成して下さっているので、今後マンガの原稿を見る機会がある方はご一読をオススメします。

 個人的には、「精霊石が輝いている」効果を出すために使われたホワイトのぶちまけっぷりに最高にグッと来てました。椎名先生のホワイト液…!(しつこい)

 今回のイベントはTVアニメ「GS美神」アニバーサリー・ブルーレイ 発売記念という名目で行われたものだと思いますが、今後もぜひ何かの機会を作って原画展を開いていただきたいと思った次第です。
 次のチャンスは2019年のデビュー30周年記念か、2020年の「絶チル」15周年記念辺りでしょうか。その時まで何とか無事生き延びて、再び生きて生原稿を拝みたいものですね…(切実)。


GS美神 極楽大作戦!! 1 (小学館文庫 しH 7)
椎名 高志
小学館 (2016-08-18)
売り上げランキング: 18,402

美神令子さん、今見ると脚が長く描かれていてビックリ。「大人の女性」の表現の仕方の一つだと思う


コミックマーケット90 椎名高志作品関連サークル

8/12(金曜日)
8/13(土曜日)

少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(後半)

kindleでサンデーを購入するイメージ画像

 お久しぶりです(´・ω・`)。

 8/9まで実施されている、サンデー32号を無料で入手することができるキャンペーン便乗記事の続きです。


初恋ゾンビ/峰浪りょう

額の怪我をきっかけに、初恋相手を理想化した脳内彼女的思念体=初恋ゾンビが見えるようになってしまった高校生・久留目タロウ。自分のばかりか、学校中、いや町中の初恋ゾンビが見えてタロウは混乱しまくり。初恋の相手が一瞬でも「付き合う」と言えば、初恋ゾンビは消えるはず…と仮説を立て、タロウは思い切って指宿に告白するが、クラス全員に目撃されるわ、フラれるわ、イヴは消えないわ…(涙) そうこうしているうち、中にはブラック化する初恋ゾンビまで現れ…!?
 ゾンビ…というタイトルとは裏腹のきゅんきゅん♥ラブコメ!!

 基本的には「自分のことが最初から大好きな、人間じゃない女の子が空から降って来た!」という、如何にもサンデーに載っていそうなパブリックイメージに沿った設定のラブコメマンガなんですが、そこに『過去に色々あった結果ジェンダー的にひねくれて現在は男性として生活している、主人公の幼馴染であり初恋の女の子』という複雑な設定を持った指宿君の存在を加えたことで、この物語を単なるお色気ファンタジーだけではなく、思春期特有の恋心と性の揺らぎを物語の中に与えることに成功しています。
 個人的には、従来のサンデーのイメージを踏襲しつつも新しいものを生み出して行くという「リニューアルされた現在のサンデー」の姿勢を象徴しているマンガだと思っています。個人的にオススメ。

古見さんは、コミュ症です。/オダトモヒト

古見さんは、コミュ症です。なので人付き合いがとても苦手です。でも友達が欲しい古見さん。人の気持ちを察するのが得意な只野くんが友達になり、その伝手で長名なじみとも友達になりました。だけど……
 話したい。話せない。沈黙の美少女・古見さんのコミュ症コメディー!!

 いわゆるコミュニケーション不全症候群な人々を題材にしたコメディー。
 基本的には、文字通りのヒロインである古見さんの「お嬢様」的な雰囲気と、彼女の極端な人見知りの性格に端を発する不審な挙動のギャップに起因するドタバタ劇を楽しむマンガなんですが、この作品の特徴として「古見さんがみんなから愛されまくっている」が故に常に周囲が古見さんの行動を良い方向に解釈して立ち振る舞うため、いわゆる「コミュ症」をネタにした作品の読後に感じる「コミュニケーションが不得手な人の不審な行動を笑いものする」系統のストレスを感じない作りになっていることが上げられると思います。
 そういった意味で、非常に優しい作品です。

柊様は自分を探している。/西森博之

同年代の生徒達から「お疲れ様」挨拶される少年・白馬圭二郎はある日、美女を見た。それはただ美しく、綺麗なだけの美女ではなかった。屋上から落ちた少年を助けたり、悪さしようとしたチャラい不良をボコったり… その後出会った圭二郎に対し、凛と、颯爽と、家来に指名した。そんなこんなで、あやふやな記憶のその美女・柊様は、しばらく圭二郎の家で預かる事に…

 藤田先生同様、現少年サンデー編集長が三顧の礼でサンデー復帰を願い出たと言われる西森博之先生の作品。「天使な小生意気」「道士郎でござる」の頃から一貫している、「主人公が己の姿勢を貫くことで、周囲の人間も次第に変わっていく」というテーマを、この作品も踏襲しています。

 それらの作品と「柊様」との大きな違いといえば、柊様が超人的な精神力や洞察力を発揮して時にハッとさせられるような活躍をする一方で、茶目っ気たっぷりにイタズラをしたり、圭二郎に対する自分の感情の意味をよく判っていなかったりする幼さをも持ち合わせてる、良く言えばとても可愛げのある人物として描かれていることでしょうか。
 とりあえず、柊様に萌え萌え(死語)になって読むのがいいと思います。

暁の暴君/伊織

天才的な実力を持つ柔道家・朱点一真は、いきなり大会に乱入して優勝者を圧倒。伝統や理念を掲げながら不正な勝負をする講英館に対し、「三年以内にぼくを倒してください」と、不敵な笑みを浮かべて宣戦布告する!!
 そしてついに全日本柔道選手権が開幕! 全国から集まった猛者たちが「日本一強い柔道家」の座を賭けて熾烈な戦いを繰り広げる!!
 すべての努力家達へ送る、反柔道奇譚!!

 現在の編集長に変わってから最初に始まった新連載。主人公のカズマは「最初からものすごく強い」「実家は大金持ちでメイドを引き連れている」「倒した相手に対してその実力不足を躊躇なく指摘する不遜な態度を取る」など、普通の柔道マンガだったらまかり間違いなく主人公の敵役になるであろうタイプのキャラで、それだけでもこれまでのサンデーの柔道マンガの代表である「帯をギュッとね!」「いでじゅう!」等の作品とは相当毛色が異なります。どちらかと言えば「修羅の門」の系統に属するマンガという印象。

 現在、マンガの中では全日本柔道選手権の決勝戦が繰り広げられていますが、未だにカズマの「正体」や、彼が柔道界の権力の権化である講英館に喧嘩を売る本当の理由は、(色々と匂わせる描写はあるものの)まだ物語の中では明確に語られてはいません。今後そこまで話が進むことに期待してます。

ふれるときこえる/本名ワコウ

 肌と肌で相手に触れると、その心の声が聞こえる…… 突如異常な体質になってしまった高校生・噪は、この体質のおかげで、片思いの相手・結川が親友・拓海を想っているとの心の声を聞いてしまう。ちょっと不思議な転校生・さとりは「自分も同じ体質であり、噪に恋したためにそれを感染してしまった」と言う。過去にもさとりが好きになった人が同じ状態になり、でも好きな気持ちを諦めたら元に戻ったらしい。さとりはがんばって噪の恋を成就させ、自分の恋心を絶つ努力をすると宣言。時間はかかりそうだけど、奇妙な「聞こえる」コンビが一歩踏み出す…!!
 聞きたい、だけど聞きたくない…ジレンマじりじりラブストーリー!!

 「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」「ノゾ×キミ」の本名ワコウ先生の最新作。

 アクの強いヒロインをメインに据えた前作までは打って変わり、今回は主人公の噪君を始めとして常に友達のことを思って周囲への心配りを忘れない仲良しな善男善女達がメインキャラだったので最初のうちはどうなることかと思ったんですが、物語が進むに従ってそんな善男善女にも心の内側には「友達」には決して明かせな恋愛感情や疑心暗鬼や嫉妬といった様々なドロドロしたものが渦巻いていて、やがてそれが明らかになるに連れ、これまで彼らの関係が友達のことを思い遣るがゆえに徐々に壊れていく──という感じの話になって来たので、やっぱり本名ワコウ先生の作品はこうじゃなくちゃ! と安心しました。

 「ふれるときこえる」という表題は、文字通り「他人に触れると心の声が聞こえてしまう」能力を持ってしまった主人公・噪君のサイコメトリーのことを指しているんですが、物語が進むに連れて「心の声が聞こえたとしても、それだけでは大切なものは聞くことができない」「心の声が聞こえないからこそ、心に通じるものもある」といった意味合いを含んだものになりつつあるように思えます。
 連載の方は佳境に差し掛かりつつある印象ですが、今後の展開に期待していきたいところです。

 個人的な結論としては、さとりが良いです。

週刊少年サンデー 2016年36号(2016年8月3日発売) [雑誌]

今、まさに今週号をkindleで読んでます。電子書籍元年が来たよ!


少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(前半)

論旨

 先週号より、ついに週刊少年サンデーが電子書籍化され、Amazon等の各種電子書籍販売サイトで購入できるようになりました。

 ジャンプ・マガジン・チャンピオンのライバル週刊少年マンガ各誌が先行して電子書籍化されてスマートフォンで読めるようになり、また同じくスマートフォンでマンガを読むことに特化したいわゆるマンガアプリがマンガ業界で存在感を伸ばす中、唯一電書化されないサンデーは「電子書籍化に乗り遅れている小学館」を象徴する存在となっていたと言わざるを得ませんでした。
 が、これでサンデーや小学館もようやく競合他社と同じ土俵に立つことができたと言えましょう。

 そしてサンデーの電子書籍化を記念する形で、8/9までの間、先々週号となるサンデー32号を無料で入手することができるキャンペーンが実施中です。せっかくタダでサンデーが読めるんですから、一応サンデーのファンサイトという形態になっている当サイトとしては、この機会にサンデーを読んで欲しいところではあります。

 サンデーは昨年の夏に編集体制に大鉈を振るう大改革を実施したことはまだ記憶に残っている方も多いとは思いますが、この電子書籍版サンデーは、実際に「大鉈が振るわれた後」の新しいサンデーをじっくり読めるチャンスです。しかもタダで。
 という訳で、昨年夏以降に連載が開始された作品の簡単な紹介記事を作成してみました。ご参考になさって下さい(引用文はサンデーのサイトより)。タイトルの順番は32号の掲載順です。

鬼ヲ辿リテ幾星霜/兎中信志

大昔、大陸には国を殺す妖怪「西神鬼」がいた。最強最悪のその妖怪は、一人の道士に一度殺されかけたが、体を千に散らばせ逃げおおせた。その時の道士は転生の術を使って幾度も生まれ変わり、今でも西神鬼を追っている…それが、少年・アキである。
 時は明治、舞台は横浜。道士・アキは西神鬼の体の一部が取り憑いた化け物を追い、ひたすら倒しまくる!! 宿命の妖鬼殲滅活劇!!

 主人公は太古の昔から転生を繰り返しながら「西神鬼」と戦い続けている道士の魂を持った少年、というタイムスケールの大きさが設定上の特徴ですが、個人的には何よりこのマンガを特徴づけているのは、良くも悪くもこれまでのサンデーっぽくない個性的な絵柄や雰囲気だと思っています。このマンガに出てくるのは基本的に男と妖怪だけです。

 作者の兎中信志先生は、以前は講談社の少年ライバルで「弟キャッチャー俺ピッチャーで!」を連載、その後サンデーSでの読み切り掲載を経てサンデー本誌で連載を開始したという経歴を持ちます。
 「生え抜きの新人作家を育成して輩出する」という現編集部の方針の下で、講談社のマンガ雑誌での連載キャリアを持ちながらも小学館のマンガ雑誌での再スタートを選択した作者が、今後どんな作品を描いていくのか? という意味で興味深い作品です。

天野めぐみはスキだらけ!/ねこぐち

これは、中学校で疎遠になるも同じ高校に進学し再び距離を縮めた、凸凹で真逆な幼なじみの二人──東大を目指すガリ勉スリム・学と、剣道に励む体育会系ぷに子・めぐみ──の、微笑ましくもドキドキな日々の物語である。

 端的に言えば、好意を持っている幼馴染の男子の前で油断してうっかりパンチラとかをしてしまう、いろいろな意味で隙が多い少女・天野めぐみの姿を、「尊い…」と呟きながら眺める作品です。
 いわゆる「ちょっとエッチなラブコメマンガ」として面白いという以上に、天野めぐみの健康的なむちぷにな肢体、そして彼女と学の間の青春時代特有の微妙な距離感が醸し出す初々しい雰囲気に対して「ありがとうございます…本当にありがとうございます…」と感謝の念を込めてしまうこと請け合い。私は毎回拝んでます。

 この作品、おそらくそう遠くないうちにアニメ化されるに違いない! と勝手に信じています。ぜひこの作品の名前を覚えてからお帰り下さい。

あおざくら 防衛大学校物語/二階堂ヒカル

勉強好きの近藤勇美は、食堂を営む実家が再開発で潰れることになり、学費無料で給料をもらえる防衛大学校に進学することを決意し、見事合格する。
 幹部自衛官を養成する機関・防衛大学校を舞台に繰り広げられる、疾風怒濤の青春物語!!

 サンデー往年の名作「め組の大吾」や「モンキーターン」と同系統の、独自性のある職業の世界をマンガ化した作品として分類されるであろうこのマンガですが、作品の舞台として「幹部自衛官を養成する防衛大学校」を選んだところが今っぽいです。
 『極限状態で花開く若者たちによる青春群像』と書けば聞こえは良いのですが、まあ舞台が舞台なだけあって基本的な物語の構成は「先輩が何かと押し付けて来る理不尽な問題に主人公たちが翻弄される」という体育会系(というか文字通りの軍隊系)のノリであり、読者層が非体育会のボンクラに偏っていて体育会系に強い嫌悪感を持っているに違いない少年サンデーのイメージ(あくまでイメージです)とは異なっているのが興味深いです。
 そういった意味では、現在のサンデーの「攻めの姿勢」を象徴している作品の一つと言えるのかも知れません。

魔王城でおやすみ/熊之股鍵次

かつて、人と魔が存在していた時代。その安定を乱す魔王が人間の姫をさらい、自らの城に幽閉した。「返してほしくばこの世の支配を全て魔の物に引き渡せ!」と……
 人々は怒り、勇者は姫を救うために旅立った!! 魔が棲まう城で姫は泣き、絶望し、助けを待つ…はずだった。…が!?
 暇を持て余したスヤリス姫が、安眠を求めて魔王城で好き放題! 新感覚、睡眠ショートコメディ―♥

 古典的なドラクエタイプのコンピュータRPGのパロディ的な雰囲気の世界を舞台にしたファンタジーといった趣きのある作品ですが、本来であれば「勇者に助けられるのを待っている姫君」役であるスヤリス姫が「魔王城で安眠したい」以外のこと(例:魔王の城から脱出する)を全く考えておらず、自分の安眠のためなら魔物相手にあらゆる乱暴狼藉を何も考えずに実行してしまう姫さまのアレな様子を楽しむのがこの作品の基本コンセプトです。姫様に萌えられれば勝ち。

 最近始まったサンデーうぇぶりでも掲載されるなど、着実に人気が出てきているように思われます。本編を読んで面白いと思ったらぜひサンデーうぇぶりでチェックを。多分そのうちアニメ化されます(願望)。

双亡亭壊すべし/藤田和日郎

東京・沼半井町に佇む屋敷「双亡亭」は大正時代より存在し、有名な幽霊屋敷として噂されていた。近隣に住む凧葉 務は、「双亡亭」に引っ越してきた少年・緑朗と仲良くなるが、緑朗はその家で父を亡くしてしまう。そんな時総理が、因縁深い[双亡亭」へ異例の空爆を指示。しかし屋敷は自衛隊の空爆を受けても傷一つ負わなかった… その直後、45年前の行方不明機が突如飛来し、中には一人の生存者・凧葉青一が乗っていた。務の親戚と思われる名の不思議な少年は、緑朗同様に双亡亭を憎んでいるが…
 謎に満ちた奇妙な屋敷「双亡亭」… 叫ぶ声も亡失する、戦慄のスペクタクル・モダン・ホラー!!

 現少年サンデー編集長がサンデー復帰を強く願い出たと言われる、藤田和日郎先生の最新作。コミックス1巻が7/12に発売され、COMIC JINにおける週刊コミックランキングで首位になるなど、既に人気を博している模様です。

 既にメジャーな作品なので特にここで述べる必要もないと思うのですが、連載の方はいよいよ主人公たちを含めた変な能力者達が集まって双亡亭に乗り込む展開になって来ており、かなり盛り上がって来ている感があります。
 能力者達はみんな個性的でキャラが立ってるので彼らが喋るだけで楽しいんですけど、何か最終的には主人公チーム以外みんな死んじゃいそうな予感がヒシヒシとするところが特に良いです(良いのか)。

週刊少年サンデー【期間限定無料配信】 2016年32号(2016年7月6日発売) [雑誌]

この機関限定版、期間が過ぎたら読めなくなっちゃう仕掛けが付いてるのかしら


桜庭さんがデレた記念 サンデー31〜32号「BE BLUES!」感想

BE BLUES!

 前回のサンデー31号は、見事に均衡を破るPKを決めた桜庭さんが「周囲から賛美され、歓声を受ける」という彼のサッカー人生においてめったにない事態に直面、あまりの周囲からの歓迎っぷりにどうしていいのか判らず「困るぜ!オレ様がこの程度と思ってもらっちゃ!」とか言いながら赤面して照れるシーンがとても印象的でした。

 彼のこの反応は、典型的なツンデレキャラがデレた時の態度そのものです。かつて「神のみぞ知るセカイ」において桂馬がツンデレキャラを『ツンキャラは 純情守る 鎧だね』と評していましたが、31号における桜庭の態度はまさにそれ。
 周囲から暖かい尊敬の眼差しを受けたことで、彼本来の繊細でピュアで純情な内面を、ほんの少しだけですが垣間見ることができました。ありがとうございます

 そしてその次のサンデー32号においても、桜庭さんはその超絶テクニックを遺憾なく披露して対戦相手の大浦南のプレイヤー達を絶望に叩きこみつつシュートまで持って行けたものの、そのシュートはゴールキーパーに弾かれた上、その弾かれたボールをよりによって龍がゴールに入れるという展開に。
 龍がゴールを決めた直後に試合終了のホイッスルが吹かれたので試合には勝ちましたし、結果的に桜庭さんは試合投入後の僅かな時間で全てのゴールに絡む大活躍を見せたんですが、でもおそらく桜庭さんのことなので、そういった試合の勝ち負けよりも「自分のシュートを防いだ大浦南のキーパー」と「自分のシュートのこぼれ球を拾ってゴールを決めた龍」に対する怒りゲージが急上昇しているのではないかと、勝手に推測しています。

 もしここで桜庭さんが、自分の二度目のシュートを防いだキーパーの執念に敬意を表したり、何だかんだで試合を決定付ける追加点を上げた龍を褒めるようなことができたりしたら、名実ともにミルコが言う「わがままな子供から、尊敬を受ける存在へと目覚めた」ことになるんでしょうけど、まあそんなことは絶対にないですよね(決めつけ)。ここで両者に対して「次やったら容赦しねえぞ!」と悪態を付いてこそ、みんなが大好きな桜庭さんなはずです。
 賞賛に戸惑う繊細でピュアで純情な内面と、自分を過信するあまり周囲に対して過剰に攻撃的になる尊大な外面が両立していることが、桜庭さんの桜庭さんたる所以なのです。

 何にしろ、桜庭はミルコの期待に答えて見事に結果を出した訳で、次回以降の試合にも何らかの形で起用される可能性はかなり高くなったのではないのでしょうか(次の試合にはジョージと友坂が出場できないという事情もありますし)。
 高校生編におけるツンデレヒロインに昇格した桜庭さんの今後の活躍に期待です。

[まとめ買い] BE BLUES!~青になれ~(少年サンデーコミックス)

「BE BLUES!」Kindle版のまとめ買いができるんだAmazon


人間じゃない美少年登場記念 サンデー31号「魔王城でおやすみ」感想

魔王城でおやすみ

 スヤリス姫様の相方になれそうな美少年キャラ・アラージフが登場して喜んでます。魔導書の精霊という「絶チル」の宇津美みたいな立ち位置のキャラなのにも関わらず、あえてアラビアン風なヘソ出し半裸な格好をしているのが素晴らしいですね。あと顔がちょうカワイイ(ハキハキと)。

 彼は元々は人類の作った魔導書の化身という設定なので、この世界における人類を統べる王族であるところの姫様には無条件で従うようになっているっぽい性格も良いです。
 本来、彼には主の意のままに魔法を操って魔族を滅ぼせる力が備わっているはずなのですが、彼の現在の主となったスヤリス姫は魔族と戦って脱出するという発想そのものがなくて単に魔王城で安眠することしか考えていないため、結果的にその力を振るうこともなく、単に姫様のボケっぷりに振り回されるばかり。平和でいいと思います。

 なお「魔王城でおやすみ」の作者の熊之股鍵次先生は、前作「ぬいぐるみクラッシュ」で見目麗しい美少年やモフモフな熊のぬいぐるみが出てくるマンガを描いてますので、おそらく秋口になるであろう「魔王城でおやすみ」のコミックス発売が今から待ちきれない方にはオススメしておきます(嘘は言ってない)。

ぬいぐるみクラッシュ(2) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2015-05-29)
売り上げランキング: 93,015

すみませんまだ1巻までしか読んでません


真のヒーローと桜庭は遅れてやってくる。サンデー30号「BE BLUES!」感想

龍は桜庭の何に畏れを抱いたのか
BE BLUES!

 古来より「真のヒーローは遅れてやってくる」と申しますが、「BE BLUES!」では重要な試合で必ず遅れて登場して来ることで有名な桜庭さんが、今回の大浦南との対戦においても、試合後半で友坂とジョージが退場! という大ピンチな局面でついに登場。
 桜庭を送り出したミルコは「目覚めろ…わがままな子供から…尊敬を受ける存在へと!」と彼がこのピンチを乗り越えて人間的な成長を遂げることに期待をかけている様ですが、でもあの桜庭さんがそんなことを意に介するはずもなく、持ち前の超絶テクと俺様っぷりを存分に発揮し、いきなり試合に大混乱を巻き起こす展開となっております。

 「省吾!そいつが桜庭だぞッ!!」「うわっマジか!」「やっぱ、桜庭だよ!
 「なんだなんだあいつ!」「ハンパねえ!」「メチャメチャうまいぞ!」「止めてくれっ!」「なんだあー!

 桜庭がボールを持ってワンプレーしただけで、対戦相手の大浦南の選手から悲鳴が上がるのは勿論のことなのですが、桜庭が狡猾なプレイでPKを奪ったら今度は

 「無責任なあのヤローにだけは任せられない!」「PKは、もし外しても皆が納得できる奴が蹴るもんだ!」「腹からボールを出せ…!」「いいかげんにしろよ!

 と、味方の武蒼からも悲鳴が上がる始末。その天才的なセンスとワガママな性格ゆえに、敵味方双方から迷惑がられてます。それでこそ桜庭さんです

 主人公の龍は、色々悩んで成長したのはいいけど最近ちょっといい子ちゃん的なキャラになって来ている感がありましたけど、それだけにこの桜庭の周囲に迷惑をかけ続けてでも自分のスタイルを貫き通す、よくも悪くも変わらない姿はとても魅力的に見えますね。

 そして今回の話でちょっと興味深かったのが、相手の選手の掌にわざとボールを当ててPKを取って喜んでる桜庭を見て、龍がぶるっと震えているカットがあったことです。龍には絶対にできない狡猾かつゴールへの執念を感じさせるプレイをした桜庭に対して、龍がある種の畏怖を感じたのは間違いないでしょう。
 この作品における今回の試合のテーマはおそらく「勝利への執着心」だと思いますが、『執着』に関しては龍よりも桜庭の方が(これまで散々試合に出ずにいたこともあって)遥かに強いはずです。桜庭のような執着心が今の自分に欠けていることを、龍は桜庭から感じ取ったのかも知れません。
 龍と桜庭の間でこういう表現はこれまであまりなかったと思うので、あのカットは余計に印象に残りました。

 でも、その後で「これを外すようならサッカー辞めてやらあ。そんくらいの覚悟だ、コラ!」と桜庭がヤンキーみたいなフカシをこいているのを見た龍はドン引きしているような表情を浮かべているので、内心では単に「駄目だこいつ…早くなんとかしないと…」と思っているのかも知れませんが。

おなかぽんぽん

 以上、自分がPKを蹴りたいばかりにボールをユニフォームの中に隠してお腹をぽっこりさせてる桜庭はカワイイという主張を述べつつ、今回の結論としたいと思います。


BE BLUES!~青になれ~(23) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2016-06-17)
売り上げランキング: 1,240

24巻は8月発売らしいです


公式が病気記念 サンデー28号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 真木と兵部の組み合わせは「絶チル」二次創作界隈でもメジャーなカップリングとして有名ですが(いきなり)、ついに本編でその両名が激突。ギリアムの手によって精神汚染を受けてしまった真木との決着を付けるため、兵部が単身で彼に勝負を仕掛ける展開が開始されました。

 特に、バトルが始まる前の「お前だから僕が相手をするんだ。不服かい?」「あなたのことは知り尽くしています。簡単には倒せませんよ」の掛け合いからは、これまで長い間共に戦って来た二人の関係の深さを垣間見させるのに十分な重さを持っていると思います。
 これはつまり、公式による真木×兵部展開であると解釈するしかありませんよね公式が病気! というか公式が最大手!(パティさんの声で)

 これまでの真木と兵部の関係については、自分の生命を賭けて自暴自棄な行動をした兵部に対して真木がたしなめることで、兵部に「パンドラには貴方を必要としている仲間たちがいる」ことを再認識させる働きをして来たといえます。
 例えば、コミックス15巻の小学生編で自分の全ての生命エネルギーを皆本を子供に戻すために使おうとした兵部に対して、真木が「あなたについていこうと決めた我々がバカみたいではありませんか」とスネるシーンや、コミックス38巻の中学生編でギリアムと単身で戦って窮地に陥った兵部を救うために兵部の指示を待たずに行動、「過去の怨念が僕の全てだ!」と激昂する兵部に「らしくない」と冷静にたしなめたりするシーンなどが、この二人の関係を象徴していると思っています。

 真木は他のパンドラのメンバーと同様に兵部に救われた一人であると同時に、兵部に救われたパンドラのメンバーを代表する人物でもあります。パンドラのメンバーは皆兵部のことを必要としており、それが兵部にとって「過去の怨念を晴らす」以外の存在価値を与えていることを、真木は兵部に対して伝えて来たのです。
 そしてそれは、結果的に真木が兵部の魂を救って来たとも言えるのではないのでしょうか。

 破滅の未来を白紙に戻した高校生編になってからの兵部は、中学生編以前のように「過去の怨念」のために全てを捨てることを放棄し、軽やかに生きることができるようになったと思います(その結果が「生徒会長ごっこ」なのがアレだけど)。彼がそのように生きられるようになったのは、真木の存在が大きいと思いますし、兵部も真木に対しては感謝の念を持っていることでしょう。今度は、兵部が真木の魂を救う番なのです。
 個人的に、今回のお話はそういう意味を持っているに違いないと信じています(思い込み)。

 あと、不二子が「黒い幽霊」に支配されてしまったと知った皆本は隠密行動を取りつつ逆襲の機会を狙っていますが、真木が「黒い幽霊」に支配されてしまったと知った兵部は逆に真正面から勝負を挑みにかかるというのは、両者の性格を端的に表していて面白いと思いました。良くも悪くも。

絶対可憐チルドレン(15) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2012-09-25)
売り上げランキング: 78,947

「絶チル」はとりあえず小学生編までは読んでみましょう