サンデー一覧

ギリアム×兵部展開突入記念 サンデー5・6〜7号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 中学生編の最後で因縁をつけられた兵部に嫌がらせをするため、ギリアムが不二子を操って兵部の動揺を誘う展開。兵部を痛めつけるためなら文字通りどんな回りくどいことでも労力と時間を惜しまずに投入する、ギリアムの陰険っぷりが輝く話になっています。

 ギリアムは兵部に執着しているので、彼が出てくるとどうしても話の雰囲気がギリアム×兵部になってしまうのは致し方ないところではありますが、個人的には超常部隊編の頃から兵部×不二子のカップリングが大好きなので、ギリアムの性癖も判るけどもうちょっと兵部と不二子との絡みも楽しませて欲しかったなーというのが正直なところです。

 でも、不二子にわざわざ超常部隊時代の制服を着させて兵部の動揺を誘ったり、不二子が自害しようとして瀕死の重傷を負った時に兵部から「僕を置いて行く気かッ!」と不二子に対する本音の言葉を引き出させたのは、ギリアムちょっといい仕事したな! と評価して差し上げたい所存です(歪んだ感想)。

 そして、前回のサンデー7号では不二子が「今やっていることは全部自分の意志」と言いながら、「人間は異質なマイノリティを受け入れることができない愚かな存在だ! 人間はダメだ! なのでエスパーとノーマルの間に最終戦争を起こして世界を滅ぼし、エスパーが世界を征服する!」みたいなことを演説していましたけど、これって「ノーマルとエスパーの間の確執を解消する世界を実現する」ためにこれまで働いてきた不二子が、その影で日頃こぼしていた愚痴みたいなものなんじゃないのか? と思いました。
 我々一般人も、例えば仕事が上手く行かなくて気落ちしている時は「こんなクソ仕事もうやってられねえ! 会社爆発しろ!」とか「上司が無能で迷惑なので勝手に死んでくれないかな!」とか「もう働きたくない! 家の庭から石油が湧いて大金持ちになって仕事しないで済むようになりたい!」とか思いがちになりますが、つまりはそれと同じようなものです。多分。
 不二子の高説に対して、兵部や葉は勿論のこと賢木も「気持ちは判る」と言ってましたけど、この手の感情はマイノリティであるエスパーである彼らにとって、不二子の言葉は心の何処かに常に抱いていたものであることは間違いないでしょう。

 こういった負の感情も自分の中から生まれるものなので、これも「自分の意志」であると言えばそうなるのですが、勿論これらは心の疲労やストレスから生じた一時の気の迷いに過ぎないので、実際に会社を爆発させたり上司を殺しに行ったり庭を掘削したりは普通はしません。
 ギリアムの洗脳は、そういった負の感情を増幅し、愚痴に過ぎなかった気の迷いこそが「本当の自分の意志」だと思い込ませるものであると言えます。誰もが持っている心の弱みに付け込んで相手を支配し、意のままに操る。汚いさすがギリアム汚い。

 そんな感じで心が弱った時の対策としては、やっぱりよく食べてよく寝るのが一番と決まっていますので、「黒い幽霊」対策としては日頃から健康的な生活をして心と体の疲労を溜め込まないようにすることが大切ですよね! という結論に達しました。
 私も今日は早めに寝たいと思います。おやすみなさい(おわり)。

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47巻は真木と兵部の過去編がメイン


小山愛子先生サンデー帰還記念 サンデー5・6号「舞妓さんちのまかないさん」感想

舞妓さんちのまかないさん

 新連載。作者の小山愛子先生は、昔(といっても10年くらい前)は男の子が活躍する正統派な少年マンガらしいマンガを描く人というイメージがありましたが、カフェで働く一人の少女に焦点をあてて彼女の働く様を丁寧に描写した「ちろり」のゲッサンでの連載を経て、今度は舞妓さんの屋形でまかない飯を作る少女が主人公となった、普通の少年マンガとは少々ノリが異なる「舞妓さんちのまかないさん」で少年サンデーに再登場を果たすこととなりました。

 「舞妓さんちのまかないさん」は、いわゆる少年マンガらしくはない極めて雰囲気が静かな作品ですが、「少年マンガ」という枠に囚われずに多様なジャンルの作品を許容するというか、むしろ積極的に多様性を求めるようになった今のサンデーにおいては、こういった作品も普通に存在できるようになったんだなーと思います。個人的にはこういう系統のマンガは大好きなので、ンもう大喜びです。
 何と言っても、サンデーに掲載されている料理がテーマのマンガなのに、登場人物の舞妓さんが料理を食べても「なんやて!」と叫ばず、ダルシムに変身とかもしないんですよ? これってすごくないですか?(前例が異常という説が有力)

 あとこの物語は京都が舞台ということもあって(主人公のキヨさん以外は)登場人物がみんな京都弁を喋っているんですけど、他人のプリンを勝手に食べたり他人の化粧品を勝手に使ったりしつつも、みんな流暢な京都弁を喋りながら適当に責任逃れをしている腹黒いところが、何というかこう我々のイメージする「京都人」っぽくていいなと思いました。
 我々が観たかった京都がここにあるよ!(あるの?)

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自分が連想する小山愛子先生の作品というと、まずこれが思い浮かびます(古い)


武井からツンデレヒロインの気迫を感じたサンデー3・4号「あおざくら」感想

あおざくら

 武井の遅刻が原因で始まった、全校生徒を巻き込む厳しいヘルウィーク(ただし一週間では終わるとは言っていない)の真っ最中の展開。

 全学年に渡ってハードな指導が飛び交う中、原因となった武井だけは罰則の事故走り等をやらされないという、周囲のヘイトが武井に集まることで彼に反省の念を促して周囲に弁明を言わせる社会的な制裁システムの真っ只中に叩きこまれているにも関わらず、当の武井は未だに弁明を口にしないため、それが更に周囲のヘイトを高める結果になっています。

 これがもしサンデー掲載の「あおざくら」ではなく、ベトナム戦争モノの合衆国海兵隊新兵訓練基地が舞台の物語だったら、多分次回辺りに武井がトイレで同級生からリンチされた挙句殺害されるに違いないフルメタルジャケットな展開になることは必至でしょう。少年誌掲載の「あおざくら」の登場人物で良かったですね武井くん(そういう問題なのか)。

 当の武井は、己のプライドとかまだ明らかになっていない(けど多分客観的に見たらそんなに大した理由ではなさそうな感じの)理由とか何か色々あって未だに反省の弁を述べていないんですが、勿論今の最悪な状況を招いているのは自分が原因であることも判っている訳で、そのアンビバレンツな心理状態に相当心身ともにヤラれている様子です。
 こんな彼の心理状態をあえてラブコメに例えるなら、自分が彼のことが好きだということを自覚していながら、己のプライドや今までの彼に対する高慢な態度が仇になって自分の気持ちに素直になれないツンデレ美少女の心理と一緒であると言えるのではないのでしょうか。ツンデレキャラが素直になれずに思い悩んでいると思えば、武井のワガママも多少は可愛く見えてくること請け合いです。

 まあ、並のラブコメの登場人物はどんなに思い悩んでも胃が食べ物を受け付けなくなるくらいのストレスを感じたり、ましてや仲間にトイレで絡まれてリンチされたりはしないものなんですけど、それだけ今の彼が抱えるツンデレ的な葛藤はハードコアなものだと言える訳ですよ。
 果たして武井は最終的に無事デレることができるのか、それともこのままフルメタルジャケットな世界の狂気に陥って微笑みデブと化すのか。デレオアダイ! デレオアダイなのです!

 ここまで極限状況に追い詰められるツンデレキャラって、なかなか例を見ないのではないのでしょうか(まちがった感想)。

あおざくら 防衛大学校物語 2 (少年サンデーコミックス)
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コミックス2巻は16日発売。2巻は坂木部屋長の巻と言えます


ほたるさん突然再登場記念 サンデー3+4号 「だがしかし」感想

だがしかし

 マンガの持ち込みに行ったはいいけど酷評されて帰ってきて傷心なココノツの前に、突如としてほたるさんが再登場の回。
 ココノツが己の純潔の全てを捧げる勢いで崇拝しているほたるが! ココノツの心が傷ついているこの絶妙なタイミングで! 失踪する前と何も変わらぬ、あの時のままの姿で! 相変わらず立ってるだけでエロいほたるが! 今ココノツの前に! 立っているんですよ!(興奮)

 今のココノツは、「漫画家になる」という自分の将来の夢が揺らぎ、かつ「駄菓子屋の店長」という今の自分の現実に対しても疑問を持ち始めた、精神的に非常に不安定な状態にあることは間違いありません。今のココノツを「神聖モテモテ王国」風に言えば、がっかりフラレナオン祭り状態です。
 がっかりフラレナオンは確率変動中で大当たりの確率が高まって落としやすいって、ファーザーも言ってました。

 そんなタイミングでほたるに出会ってしまったココノツは、仮にほたるが以前と同じように駄菓子に対する偏愛っぷりを語りだしたとしても、冷静にツッコミを入れられるとはとても思えません。自分のマンガを酷評されてそのまま家に帰りたくない心境になっている今のココノツにとって、ほたるは今の悩みから逃れる場所を与えてくれた救いの女神のように見えるはずです。
 色々と心が揺らいでいる今のココノツに対し、もしほたるが「漫画家の夢を捨てて駄菓子屋を継げ」と言ったとしたら、がっかりフラレナオン祭り中で確率変動中のココノツが実際にそうしてしまう可能性は非常に高いのではないのでしょうか。

 もっとも、ほたるはまかり間違いなくそういうことを言うキャラではありません。彼女はあくまでココノツの駄菓子屋の店長としての高いセンスと志を買った上で、自分の意志で駄菓子屋への道を選んで欲しいと思っているはずです。
 ほたるが今の迷えるココノツにどんな言葉をかけて来るのか。次回はその点が非常に注目されます。


 あと今回の話で感心したのは、これまではちょっと(というか相当)頼りないボンクラなお姉さんと思われていたハジメさんが、ココノツがマンガの持ち込みに向けて原稿描いてる姿を見て「大丈夫です。完成させましょう。自分が手伝いまス!」と応援して目一杯手伝ったり、その一方で(ココノツがマンガ家になるかも知れないと浮かれるサヤに対して)「めっちゃ落ち込んで帰ってくると思うんで」と今のココノツのマンガ家としての力量を見抜いていたりと、ココノツの「夢」に対して極めて前向きかつ冷静なスタンスを取り続けていたことですね。

 ココノツのマンガ家になりたいという(駄菓子屋の店長という今の立場からすると荒唐無稽な)夢を簡単に否定せず、むしろ彼が最大限の力を発揮できる環境を作ってあげる一方、今の彼の実力ではそう簡単にマンガ家にはなれないことを判っていて周囲に浮かれないようにと優しく諭す。とても理知的な、大人な態度だと思います。

 このマンガ、基本的な構造が「周囲のおかしな人達にココノツが常識的な観点からツッコミを入れる」になっている関係上、ココノツの周囲には大人も含めておかしい人しかおらず、今回のハジメのようにココノツに対してフォローを入れられる歳上の人材は皆無でした。そういった意味で、今回はハジメに「ココノツの成長を見守ることができるお姉さんキャラ」という、新しい存在価値を与えた回でもあったと思います。

 何にしろ、「だがしかし」はココノツの漫画家へのチャレンジ、そしてほたるの再登場をきっかけに新しい局面に向かいつつあることは確かであり、これからますます目が離せなくなって来たと言えるのではないのでしょうか。

 そして駄菓子界は今、おやつカンパニーのベイちゃんが2016年を以って引退し、新たなイメージキャラとしてパリピ系男子がフィーチャーされるというニュースが流れて騒然となるなど、正に新しい激動の時期を迎えています。
 このタイミングで駄菓子界の守護者であるほたるが帰ってきたことということは、即ち来年は駄菓子の世界に更なる大きなうねりが起こることは必至であり、ほたるは駄菓子界の大変動に立ち向かい愛する駄菓子文化を守るべく、表舞台に戻ってきたのではないのか。そうは思えないでしょうか?(思えません)

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6巻最期のココノツとほたるの別れのシーン、今読んでもちょうドキドキします


皆本と兵部が歴史的な共闘を成し遂げた記念 ここ最近の「絶チル」感想

絶対可憐チルドレン

 前回の銭湯を舞台にした皆本と兵部の全裸会談を経てバベルとパンドラが共闘、洗脳された不二子の奪還を目指してバベルに侵入を開始するという、いよいよ対不二子編のクライマックスが近いことを予感させる展開になって来ました。

 今回のバベルとパンドラの共闘劇は、不二子と真木というそれぞれの組織の最重要人物が共に黒い幽霊に洗脳されてしまったことをきっかけに実現した訳なんですが、よく考えてみたら皆本が兵部に対して「力を貸してくれ」と面と向かって頼み、それを兵部が(気まぐれとか、成り行きとかそういう理由ではなく)「女王のためだ」という理由を付ける形にしろ正式に承諾するという展開は、実はこのマンガ史上初めてのことなのでは、という気がします。

 皆本が目指すエスパーとノーマルが共存する世界を作るためには、皆本はいつか兵部のことを認めて共に戦わなければならないのではないか──と、自分は「絶チル」が小学生編だった頃からずっと思って来たんですけど、前回の銭湯のエピソードはこの物語がついにその地点にまで到達したことを示していたのかも知れません。
 皆本と兵部が銭湯の大浴場で漫才しながらイチャイチャしてするとか(やや語弊)、銭湯の番台に「一番湯のカナタ」のカナタが座ってるとか、その辺の突っ込みどころがあるサービスシーンなのかと思いきや、実は「絶チル」の歴史が大きく動いた会談だったんですよねアレ。侮れません

 そんな感じで皆本と兵部の関係についてはある程度の決着が付いたと思われるんですが、その銭湯の回の更にもう一つ前の回でやっていたはずの「隠れ家になってる安アパートで寝っ転がってる皆本のところに、薫が一人で世話を焼きに来る」という皆本と薫の関係については、何か途中で話が終わってしまって中途半端な印象を受けました。

 せっかく薫が「今夜は友達の家に泊まるって言って来たから!」と、何かラブコメマンガみたいなことをウッカリ言ってしまった訳ですし、この辺はもうちょっと掘り下げて欲しかったなというのが正直な気持ちです。
 薫も皆本もお互いのことを意識していることは確実なんですし、あの後二人で一緒に夕食を食べたからには、何かもうちょっとこう「初情事まであと1時間」的な微妙な雰囲気のトークが繰り広げられたのでは? とか思ってしまう訳ですよ。いやもうこいつら絶対そういう雰囲気になってたよね!(決めつけ)

 そういうちょっとエッチなラブコメ路線な話は、賢木が言うように今の事態が収拾してからじゃないとダメということなんでしょうか。さっさと不二子を倒してラブコメ展開に移行して欲しいッスね(まちがい)。

絶対可憐チルドレン Blu-ray BOX
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アニメ版のBD-BOXは12/23発売。あれからもう8年も経つのかー


あけましておめでとうございます サンデー2017年1号感想

天野めぐみはスキだらけ!

 「サンデー非科学研究所」で前号からやってるねこぐち先生のインタビューは、先生が「ただひたすらムチムチな女子の尻を描きたい」という一念でここまでやって来たことがよく判る、素晴らしい記事でした。
 特に、ムチムチな女子を描きたいという自らの情熱と、「ヒロインは細い女の子の方が普通だ」という編集者からの一般的なアドバイスが相剋して葛藤する辺りが、何かこう理想と現実の間で苦しむ芸術家っぽくてグッと来ます。

 結果的にムチムチな女子を描き続けることでねこぐち先生は今やサンデー筆頭レベルの人気作家になれた訳で、やはり漫画家として成功するには斯様なレベルにまで気が狂った情熱が必須なんだよなと思った次第です。褒めてます(フォロー)。

 本編の方は、まーくんからカツサンドの差し入れをもらっためぐみがエラい可愛かったのがとても良かったです。勿論ストレッチのシーンも良かったです。本当にありがとうございます
 「天野めぐみ」を読んでいると感謝の心が自然と芽生えてくるので、男の子の情操教育にも良いと思います。

古見さんは、コミュ症です。

 「古見さん」の家族が出てくる話を読むたび、私は常々「古見さんのお父さんになりたい」という感想を抱くようになっているのですが、今回の話を読んだ結果、「古見さんのになっても良いのかも知れない」と思うようになりました。

 それにしても、弟の部屋に姉がTシャツ短パン姿で無断で侵入し、弟にちょっかい出しつつ勝手にマンガを持っていくという行動は、姉が弟に取る行動として一般的なんでしょうか。
 自分にも姉がいますが、姉は自分の部屋には入ろうとせず、逆に自分が勝手に姉の部屋にこっそり侵入して勝手にマンガ持っていく方だったのでよく判りません(ダメ)。

マギ

 物語がイモータルな神話レベルのスケールに突入した結果、もはや宗教ファンタジーとでも言うべきジャンルに変貌しつつある最近の「マギ」ですが、今回のような「現世の絶対神となったシンドバッドの意志に、世界中の人民がイッちゃった瞳をキラキラさせつつ大喜びで従う」様子を見ていると、意識と理想がむやみに高い人が神様になるのも考えものだよなあと思わざるを得ません。
 社長が高潔な理想を掲げていてそれを実現するために、社員を洗脳してブラックな労働環境で自己犠牲を強いるみたいなものですよねこれ(社会問題化)。

 シンドバッド様のような妙に思想が高くて意識も高い神様よりは、「だめてらすさま。」のテラス様のように、面倒くさいことが大嫌いで万事いい加減で現世に対して崇高な理想を抱かない適当な神様の方が、我々のような民草にとっては良い神様なのではないかと思いました。

初恋ゾンビ

 江火野さん水着回。「中学の時に買った水着を着させられているが故に、水着姿が大変なことになっている」というマニアックな設定の元に描かれた必要以上に露出が高い水着姿は勿論素晴らしいのですが、それ以上にタロウのことをいつも以上に意識してしまって頬を赤らめたり微笑んでいたりする表情が大変に良かったです。
 プールから出てタロウと別れた直後の表情からすると、彼女はもう自分が幼馴染のタロウのことが好きだと自覚していると気付いているのかも知れませんね。

 民宿バイト編では既に指宿くんがタロウにメロメロになっちゃってましたけど(やや語弊)、もし指宿くんが江火野さんがタロウに好意を持っていることを知ったら、どうするんでしょうか。指宿くんが「性別を偽っている」という秘密を守るかどうか葛藤できる時間的な余裕は、もうそんなにないのかも。

BE BLUES!

 武蒼のエースである「ドリブルの技術は最高だがソレ以外の全てが最低」な桜庭に卑劣な行為をされてセンターバックを潰された聖和台が、桜庭に対する復讐心に燃える眞鍋がその桜庭からボールを奪ってチャンスを作り、エースの小早川からゴールへの嗅覚に優れた光一に繋いでワンチャンスから貴重な先制点をゲット! という展開に。
 普通の少年マンガのフォーマットでは、桜庭のようなワガママな暴君がフォワード張ってるチームはまかり間違いなく悪役であり、「この試合に勝って小早川をプロリーグへ!」という気持ちでまとまっている聖和台こそが正統派の主人公チームであることは以前ここでも指摘しましたので、現在のこの展開には非常に説得力があります。
 勝負を決めるのは個人技に走ったテクニックではなく、一丸となったチームプレイなのだ! 正義は勝つ!(説得力)

 本編の主人公であった(過去形)龍は「こっからでしょ!」と強がったことを言ってますけど、龍はまだ小早川を止めることはできていないし、桜庭は既にヘバッてるし、優人は相手の攻撃を止められなかったことを悔いてこれから凹みそうだしと、実際問題としてここから逆転できる芽は今のところ全くなさそうに見えます。
 このまま武蒼が本当に負けてしまって、主人公チームが正統派の聖和台に変わってしまうのか否か。このまま聖和台が主人公チームになってしまったら、正ヒロインの座が江藤さんから小早川忍の姉の薫に変わってしまうんだけど、それはいいのか。いや何かそれはそれでという気もするのでいいかも(いいのか)。

 今後の展開をハラハラしながら待ちたいと思います。


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5巻は1/18に発売とのこと


うちの子にかぎって…!(古い) サンデー52号「BIRDMEN」感想

BIRDMEN

 鳥男を巡る状況が著しく変化していることを察した烏丸がついに母親と決別、自らの自由を得るため、そして自分たちを置いて失踪した鷹山を探すために、実家を離れて旅立つという話。

 今回のクライマックスは、勿論烏丸が母親に自分の正体を明かすシーンなんですけど、母親の前でおもむろに服を脱いで鳥男に変身した後、諦めに似た表情を浮かべながら「全然…いい子になれなくてごめん」と母親に言うシーンが、ンもう最高にグッと来ましたね。こんなカッコいい家出宣言、今時めったに見られるものじゃありません。

 自分の中に潜む邪気眼的な能力によって自分が世界から迫害される対象となり、これまでのような平穏な生活を捨てて世界と戦うために飛び立つ覚悟を決めた少年が、かりそめの平穏の象徴だった家族に己の正体を晒し、「いい子に育って欲しい」という両親のささやかな希望を叶えられなかった後悔の念と共に、全てを告白したんですよ! いいですね! もし自分が現役の中学二年生だったら、絶対烏丸の真似をして家出するフリをするに違いない! って本気で思いました。

 「BIRDMEN」という作品が内包する中二病的な志向はこのサイトでも以前指摘していますが、今回の烏丸の家出宣言のシーンもそういった視点で見るとものすごくカッコいいんじゃないかと思いました。中二病を自称する「古見さんは、コミュ症です。」の中々さんも、友達と楽しくスマブラやるのもいいけど、同じ雑誌に載ってるホンモノの超人でありリアルバウト中二病伝説の真っ只中である烏丸の徹底した清々しさを見習って欲しいですね(相変わらずひどい感想)。

 あと興味深かった点は、これまでは瞳が描かれずにのっぺらぼうだった烏丸の母親が、烏丸の告白を受けて初めて瞳が描かれたことでしょう。あれは「息子にいい子でいてもらいたい母親」のペルソナが外れたことの表現であると解釈していますが、彼女の本当の表情が描かれたのが息子を失った後だったというところが悲しさを感じさせます。
 そして烏丸君って、顔が母親似だったんだなとも思いました。男の子は母親に似るっていうけど、烏丸も例外じゃなかったんですねえ(そこか)。

 全体的な感想としては、アイリーンはやっぱ猫っぽくてカワイイなと思いました(おわり)。


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はい、「BIRDMEN」は「中二」ではなくあくまで「青春ジュヴナイル」であることは承知しています(二度目)


サンデー50号 短め感想

双亡亭壊すべし

 物体をテレポーテーションできる能力・物質現出(アポーツ)を持ったアウグスト博士の「孫娘」のフロルに話の焦点が当たりつつありますが、彼女のボンテージっぽいファッションって誰のセンスなんでしょうか。
 アウグスト博士チームの他の科学者のおっさん達がみんなボンテージファッションで統一されていれば「そういう集団なんだな」と理解することができますが、どうもそういう感じではなさそうなので、多分あれはアウグスト博士の趣味なんじゃないかと思いました。

 彼女が普段からあんな性的な格好をしていたら、そりゃー彼女に恋するグラハム君も彼女をいやらしい目で見てしまうのは致し方ないと思われます。それを知った上でグラハムをネチネチとなじっていた辺りを考えると、アウグスト博士は中々いい性格をしていらっしゃる人物なのかも知れません(歪んだ感想)。

古見さんは、コミュ症です。

 このマンガの本質は「古見さんと只野くんがコミュ症めいたラブコメをする」マンガであると、今回の話を読んでようやく理解しました。恋人未満な高校生男女がお互いを意識してラブにコメるという意味では、「古見さん」は「天野めぐみはスキだらけ!」と同ジャンルなんですね。

 「天野めぐみ」が至って健全なお色気ラブコメであるのに比べると、「古見さん」の方は古見さんが挙動不審にどもったり、口下手なあまり只野くんを無言で凝視したり、古見さんの髪の毛が只野くんの顔にバサバサ当たって興奮したりとお色気シーンが少々マニアックなのがアレですが、でも古見さんの場合はむしろそれがイイので仕方がありません。
 この調子で、コミュ症らしいラブコメの新機軸を切り開いていって欲しい所存です。

RYOKO

 このマンガは主人公の料子の可愛らしさをアピールするのが目的であると私は理解していますが、そういう観点からすると今回は「プールで制服女子中学生が制服のままびしょ濡れになってはしゃぎ回る」という、何か中学生アイドルのPVのような構成になっており、全力で料子を推しに来ているなと感じました。
 一般的な女子中学生アイドルのPVと異なるのは、アイドルに相当する女子が巨大な鈍器を持っている点なんですけど、「小さな体の女の子が巨大な武器を持つ」スタイルは萌え要素のジャンルの一つとして確立しているので問題はないと思います。私は萌えます(感想)。

だめてらすさま。

 第三回目にして、これも藤木俊先生作品の定番の一つである妹系黒髪キャラ・一乃が登場。明るくてカワイイですねー(素直な感想)。

 話としては、アマテラスが来たことで自分のシマが荒らされたと勘違いした「土地神」の静馬が一乃に乗り移って大変なことに! という感じになっていますが、今回は「土地神」という概念の説明や、一乃や静馬といった今後の主要人物になるであろうキャラが登場したにも関わらず、最初から最後までテンポよく話が進み、たいへんに面白く読めました。藤木先生、マジで絶好調っぽいです。このマンガは来年クルね!(希望)

BE BLUES!

 桜庭が先発出場と聞いて、おそらく全ての読者が「桜庭は途中でバテるに違いない」と予想したに違いないと思われますが、今回の展開は「相手DFにバテたと思わせてフェイントを仕掛けて突破し、心理的に動揺させる」という、読者の予想を逆手に取る形の演出がなされていたところが面白いです。
 ただまあ、桜庭が既に相当バテてるのは確実なんですけど、その状態で「泣きが入るまでぶち抜きまくってやるよ!」と威圧しにかかるところは、さすが桜庭さんは違うと思いました。もうノアに散々潰されてキレてたあの頃の桜庭じゃないってことなんですね。あの桜庭さんがこんなに成長する姿を拝めるだなんて…(ウットリ)。

双亡亭壊すべし(2) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2016-11-18)
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物語が動き出す2巻。kindle版は11/18リリースだそうです


藤木先生ご帰還記念 サンデー48+49号「だめてらすさま。」感想

だめてらすさま。

 オレ、藤木俊先生がコミケで配布した同人誌「夏休みの友」を持ってるもんね!(古参アピール)

 かつて週刊少年サンデー誌上で「こわしや我聞」「はじめてのあく」を連載し、その独特のアクションとラブコメの絶妙のバランスの良さのテイスト、および女性キャラ達の可愛らしさから固定ファンも多い藤木俊先生が、久しぶりにサンデー本誌に復活。我々のような10年以上前からサンデー読んでるおっさん達はみんな大喜びしているものと思われます。

 藤木先生、3年くらい前に脳内出血が見つかって入院するなんてことがあって心配していたんですが、週刊連載に耐えられるだけの体調に復活されたようで、ホントに何よりでした。
 そういう意味でも、藤木先生の本誌復活はファンとして嬉しい出来事です。

 そして今回の「だめてらすさま。」なんですが、内容は本当にいつも通りの藤木俊先生の作品だったので安心しました。
 ヒロイン(多分)のアマテラス様は「最高神」という地位と実力を持っていながら、自ら全く働こうとしないというタイトル通りに人としてダメな神なんですが、藤木先生の作品の登場人物は基本的に大抵どっかしらダメなので、そういう意味においてもその伝統を正しく受け継いでいると言えます。
 また、ヒロインがスレンダーな貧乳キャラなのも、割と先生の作品の伝統です。ホント貧乳好きですよね先生(きめつけ)。

 藤木俊作品の伝統ということを考えると、今後は「我門」の桃子や「はじあく」のルナのようなロリっ子、および「はじあく」のエーコのような黒髪ロンゲ女子などが登場して来ることが予想されます。そうなってからが藤木俊作品としての本番なので、それらのキャラが登場するのを今から心待ちにしていきたい所存です。

 そしてこの話の大まかなストーリーは、様々なモノに宿っている八百万の国津神が全然働かなくなってなってしまったので、天津神が新たに人を神にする計画を立案した──という形になっており、「ニート」という言葉に象徴される昨今の「働かない若者」を揶揄する体裁を取っています。
 が、現実問題としては、薄給なのに多忙で劣悪な労働環境・職場に蔓延するパワハラやセクハラ・正規雇用への道が狭く不安定な非正規雇用に甘んじなければならない雇用情勢・将来への明るい展望が見えない社会情勢など、様々な社会的・経済的要因が重なった結果として働けなくなってしまったと言えるのであり、単に働かない者達を成敗したところで解決する問題ではないのは、既に皆様もご存知のとおりです。

 私の予想では、この「だめてらすさま。」という作品は、現代社会を舞台に「労働」をテーマに掲げている以上、サンデーを読んでいる若者たちに対して、斯様な情勢の中でどのようなスタンスで労働に向き合って生きていけば良いのか? ということについて、風刺を交えて考えさせられる作品になるはずです。多分
 今のところは、八百万の神々も、天津神たるアマテラスも、そしてアマテラスから神の力を頂いた主人公のコーヘイも、誰ひとりとして己に課せられた労働をあまりマトモにやってませんけど。でもテーマはあくまで「労働」ですよこの作品。多分

 まあ今のところの結論としては、働かなくて済むならそれが一番いいってことですかね…(おわり)

はじめてのあく(16) (少年サンデーコミックス)
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「はじあく」最終巻は、今も時々読み返して幸せだったあの頃を思い出してます(←つらいの?)


連載終了残念記念 サンデー48号「なのは洋菓子店のいい仕事」雑感

なのは洋菓子店のいい仕事

 最終回。しばらく前から連載が終了することはアナウンスされていたとはいえ、実際に終わってみると寂しいですね。
 セージが「自分の人生は自分で切り開かなければならない」と覚悟を完了させて菓子職人への道を歩き始めた辺りからの展開は本当に面白かっただけに、彼のこれからの菓子職人としての栄光のモテモテ人生(多分)を見ることができないのは本当に残念です。

 このマンガ、前作「神のみぞ知るセカイ」程ではないにしてもそこそこ人気はあったと思いますし、「なのは洋菓子店」の歴史を巡る物語にしろ、セージを中心としたラブコメ的な展開にしろ、今後の展開を匂わせる様々な伏線が仕込まれていたので、連載を続けようと思えばまだまだ続けられたのでは? と思われます。
 作者の若木先生のブログなどを拝見している限りは「ねじの人々」の連載と並行して「なの菓子」を作るのは精神的にも肉体的にもしんどそうな様子が伺えたので、ここで連載が終わってしまうのもその辺の都合があったのかな? と思っていたのですが、若木先生のブログのこの記事によると連載終了の最大の理由は「なのなとねじの連載を続けると大赤字だったから」だった様ですね。世知辛いなー(´・ω・`)
 個人的には「なの菓子」は「BIRDMEN」や「湯神くん」のような月イチ連載化してもいいから続いて欲しかったのですが、それでもコスト的には見合わなそうなので致し方ないところです。

 作品としては、美少女がわんさか出てきた「神のみぞ知るセカイ」の若木先生の新連載というイメージ、および「洋菓子店が舞台の物語」から連想されるハートウォーミングな物語のイメージを意図的にぶち壊しにかかったであろう連載初期の展開がちょっと衝撃的過ぎて、良くも悪くもそこでこのマンガに対する印象が決まってしまったのが勿体なかったかなーとは思います。
 ただ、序盤でそれをやったからこそ、その印象を更に覆しに来たコミックス3巻以降の展開がとても面白くなったのも事実なので、難しいところではありますが。

 おそらくそう遠くない時期に再び若木先生の作品がサンデーで読めることになるとは思うので、その時を今から楽しみに待ちたいと思います。おつかれさまでした。

 ここだけの話ですが、「なの菓子」で一番好きな女子キャラは佐井でした(告白)。

なのは洋菓子店のいい仕事(3) (少年サンデーコミックス)
小学館 (2016-02-19)
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この作品はここら辺からが本番