サンデー一覧

新人作家大抜擢記念 サンデー47号「RYOKO」感想

RYOKO

 リィヨコォー!ウィーンズ!ファイターズヒストリーダイナマイトの勝利ナレーションっぽく挨拶)

 これがデビュー作となる、三ツ橋快人先生の新連載。「新世代サンデー賞」大賞受賞作にして、その受賞作を編集長の一存でそのまま連載作品にしてしまったという、色々な意味でダイナミズム溢れる作品です。
 『「新世代サンデー賞」史上初の大賞受賞作!』『新人賞の受賞作が、そのまま少年サンデー本誌にて連載!』『河合克敏、藤田和日郎以来の快挙!』『市原編集長が異例の大抜擢!』と様々な売り文句が並ぶ様からは、とにかくサンデー編集部はこの大型新人を力の限り積極的に売り込みたい! とにかく売り込んでいきたい! という並々ならぬ意気込みを感じさせるに十分ですね。

 市原氏が編集長に就いた時には「生え抜きの新人作家を育成して輩出する」ことに注力することを宣言していましたが、あれから一年が経過した今、いよいよその「育成した生え抜きの新人作家」が誌面を飾る時がやって来たということなのでしょう。宣伝に力を入れたくなるのも判るというものです。

 話の内容は、端的に言えば「食肉や野菜がモンスター化した世界で、セーラー服着て日本刀を持った女の子が食材を狩って食べるファンタジー」ということになるのですが、個人的な感想としては、まず何よりもその「セーラー服着て日本刀を持った女の子」である主人公の料子がものすごくカッコイイのが素晴らしいと思いました。刀を構えている姿、母の敵である牛に突進する姿、刀を振りぬいて一刀両断にする姿など、要所要所のカットがいちいち様になってて素敵です。
 あと、戦闘中にちらちらヘソやパンツを見せてるところもいいですよね。ヘソ見せはセーラー服戦士の醍醐味です。

 そして、そういった凛々しいフォルムで魅せる一方で、ところどころで料子がまだ歳相応の幼さを残した少女であることを示唆するようなカットもちゃんと入れているところも印象的です。
 「師匠抜きだと不安だよぉ」と不安げに呟いているコマや、その師匠に「甘い匂いするぞ」と言われて照れてるコマが代表的ですが、家族のために料理を作っている姿や、美味しそうに料理を食べる姿といった日常的なシーンに見せる表情などからも、彼女が「普通の女の子」としての一面もちゃんと持っていることを感じさせてくれます。

 そういう意味では、戦闘中に見せてるヘソやパンツからも、彼女の幼さや若さというものが醸しだされていると思うんですよね。年上の異性である師匠の前であんなに惜しみなくヘソ出しパンチラアクションができるのは、彼女の体や心がまだ未成就だから故だと思うんですよ。そう考えると、彼女のヘソ出しやパンチラにも単なるサービスカットを超えた必然性が生まれて来るんですよ。素晴らしいですね。

 全体的な感想としては、とにかく主人公の料子を魅力的に見せることに全力を注いでいる作品だと思いました。
 こういうキャラは個人的に大好きですので、今後の彼女の体を張った活躍に期待したいです。

週刊少年サンデー 2016年47号(2016年10月19日発売) [雑誌]

「RYOKO」は一話完結の読み切りマンガとしての完成度が非常に高いので面白いッスよ


サンデー46号感想メモ

天野めぐみはスキだらけ!

 前回にしろ今回にしろ、もし掲載誌がサンデーではなくCOMIC高だったら(以下略)! というお話でしたね。
 めぐみに始終抱きつかれていた学が最後すっかり枯れ果てていましたけど、めぐみのおっぱいをあれだけ押し付けられれば、そりゃまあまだウブな学が枯れるまでイッちゃうのも致し方ないと思いました(酷い感想)。

 でも気のおけない幼馴染とはいえ女子があれだけ怖がってるんだから、学はもうちょっとめぐみに優しく接してしてあげても良いのではとも思いましたが。学君もまだまだですねえ。

マギ

 シンドバッド!? 死んだはずでは…(ポプテピピック風に)

 ウーゴ君にしろダビデ老にしろ、何かみんな目の輝きが既に常道を逸しているというか、端的に表現するとおかしい(頭が)感じが出ているのが素晴らしいと思いました。
 ここ最近の「マギ」はちょっと普通じゃないんですが、こういう我々の常識を飛び越えた神話的なスケールのマンガを少年誌で読める機会もそうそうはないので、貴重な機会だと思って楽しんで読むようにしてます。

だがしかし

 久しぶりに「だがしかし」本来のノリである駄菓子のうんちくマンガが帰ってきた回でした。
 「ああ見えてハジメは地頭が良い」という特性を、森永チョコボールのキョロちゃんのデザインとピカソが使った技法の共通点を述べることで表現しているのが新しいです。これはほたるやココノツではできない形のうんちくですね。

 あとはハジメがココノツに対して「好きな子いるの?」とかお姉さんぶりながらも、ココノツに下手なこと言うと解雇されるのではと疑心暗鬼になってるところも良かったです。異性で年下の雇用主にどんな態度で振る舞えばよいのか悩む新人女性なんて題材、ちょっと社会派レディコミっぽくないですかね?(ないです)

湯神くんには友達がいない

 ちひろへの告白が飛び交うラブコメ回になるはずだった回(ならなかったの意味)。

 今回ばかりはちょっとラブコメマンガっぽい雰囲気になるのかな? と期待させておきながら、やっぱり普通のラブコメ展開を頑として拒否する、いつもの「湯神くん」が拝めて楽しかったです。「彼女とのデートを賭けて勝負だ!」というお約束的な言葉が、ここまで空虚に響くのも素晴らしいというか何というか。
 これが「タッチ」を排出したサンデーに載ってる唯一の野球マンガというのもメタ的な意味で面白いですよね(と言われても)。

 今回、一応ちょっとソレっぽいかな? という描写は、最後の最後で湯神が倒れたちひろに手を貸すところだけでしたが、そのシーンがあるだけでも「如何な『湯神くん』と言えども、いつかはもしかしてもしかするのでは?」と期待できてしまうところも上手いなと思います。

初恋ゾンビ

 褐色巨乳美人の吐瀉物にまみれるという新属性が爆誕!
 すげえ! 前回の「古見さん」の黒髪まみれフェチを早くも超越する、新たなフェチが登場したよ!(そこかよ)

絶対可憐チルドレン

 椎名先生、この前Twitterで山に行ったとかそんなことをつぶやいていたと思ったら、早速それがマンガに反映されてますね。取材と趣味を兼ねていたんでしょうか。

 本編の方は、谷崎主任が合流したことで、ついに可憐ガイズに谷崎が加入するのか!? とちょっとだけ期待していたのですが、彼の役どころは可憐どころか「自分勝手な行動をして危機に陥ることで、現在の主人公達の状況が最悪であることを読者に教える」系のすっかり駄目な人枠として起用されており、やっぱり基本的にはこういうキャラだったんだよなと再認識するに至りました。
 谷崎主任は基本的にエスパーを躾けて育成すること、およびナオミに虐げられて悦びを感じることに関してだけは有能なので、もし今後があるなら、そういうフィールドで輝いて欲しいなと思います。最後にナオミと再開できてよかったですねえ(フォロー)。

 あと話の中で「誰にも気付かれることなくチルドレン達に助言を与える人物」の存在が示唆されていましたが、これは一体誰なんでしょうか。バベルの管轄が及ばない日本国籍以外のエスパー? それとも「財団」の関係者? 謎の眼帯男?

天野めぐみはスキだらけ! 4 (少年サンデーコミックス)
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小学館 (2016-10-12)
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今や「からかい上手の高木さん」「恋は雨上がりのように」と並ぶ、小学館を代表するラブコメマンガになりつつ感


「競女!!!!!!!!」アニメ版開始記念 サンデー45号感想

競女!!!!!!!!

 アニメ第一話を見ました。始まる前は「よりによって、あの『競女!!!!!!!!』をアニメに!? 本当に大丈夫なのか!?」と心配でしたけど、実際に見てみたら個人的には期待以上の出来だったと思います。

 何より、「競女!」の世界とは「水着のお姉さんたちがプールの上で尻相撲をしている」という設定から想像される、「女の子アイドルが『ポロリもあるよ!』みたいなお色気を振りまいてキャッキャウフフと戯れる」ものでは全く無く、乳と尻を戦う武器とみなして壮絶な能力バトルを繰り広げるガチな格闘技を描いたものであることを制作側がちゃんと悟っていることが、第一話から伺えたことが嬉しかったです。
 アニメが始まる前に心配だったのが嘘みたいに(「競女!」として)よくできたアニメでした。「案ずるより尻が易し」とはまさにこのことだったのですね!(グルグルした目で)

 あとは、エンディングでちゃんと登場人物達が走っているところも良かったです(よりによって風に流された競泳水着を追って)。エンディングで走るアニメは名作の法則に従えば、「競女!」のアニメは第一話から既に名作の仲間入りです。

 本編の方は、のぞみの新必殺技「真空烈尻・弐式」が、すごい風を尻から巻き起こすことで相手の尻の体温を急速に奪い、その結果相手の尻を攣らせるものであることについて、読んでいる時は「なるほどわかった」と素直に納得しかけたんですけど、しかし読んだ直後に「いや、いくら何でもそのりくつはおかしい。気化熱でそこまで急速に熱を奪えるだけの風圧を、人間が尻だけで発生できるとは思えない。この技は熱力学を超越してしまっているのでは?」と疑問を持ってしまったので、まだまだ自分は「競女」に対する悟りが足りないなと反省しました。
 そもそも「UNCO」とか言ってる作品世界に常識を持ち込んではいけないんですよ(知性の喪失)。

だがしかし

 ほたる亡き後の(死んでません)「だがしかし」界に、まさかの新女性キャラ・尾張ハジメ(20)が登場。しかも何か住み込みとか言ってますよこの人。彼女、いったい自分が何を言っているのか判っているのでしょうか。

 今のココノツにとって異性と一つ屋根の下で一緒に生活するということは、ココノツがほたるに捧げた純潔への想いが本当かどうか、日々試されるということを意味しているんですよ。ほたるを失って(死んでません)心に穴を穿たれたココノツに、更に性的な意味で過酷な試練を課すことになるんですよ。ハジメさんはそれが判っているんでしょうか。明らかに判ってないですよね。
 彼女を雇用したことが、文字通りシカダ駄菓子店にとっての終わりの始まりとなってしまう可能性も否定できません。尾張ハジメなだけに(シャレ)。

 それはそれとして、ハジメさんは高スペックな頭の持ち主だけどマトモな日常生活が全く送れないキャラということになっていますが、リアルでもそういう人物には何度もお目にかかったことがあるので、彼女には割と近親感を抱けます。
 彼らを見てると、天才を天才のまま活かしておくためには、天才に常識を求めてはいけないんだよなとつくづく思います。

マギ

 シンドバッド、「聖宮」を目指す夢半ばで散ってルフになって輪廻の輪に取り込まれるの巻。あのシンドバッド様が、まさか最期は神の光に撃たれて炭になって消える結末を辿ることになろうとは。
 彼の最期が満ち足りたものであったのが救いではあります。次はどこの誰に生まれ変わるんでしょうか。

 あと、物語が既に神話的スケールに入り込んでいるので全体的に絵の表現が観念的なんですけど、シンドバッドにこの世の摂理を説いているウーゴ君を「人型の白いシルエットに丸い目を入れただけ」の描き方で神々しさを表現しているのが、ある意味すごいと思いました。
 そういえば、前にアリババが超常的な力でハニワになった時も「人型の白いシルエットに丸い目を入れただけ」でしたし、このマンガにおいては丸い目だけの人物表現=神性の現れなのかも知れません。

古見さんは、コミュ症です。

 古見さん水着回でしたが、個人的には古見さんの黒髪を顔にバッサバッサ当てられた結果、「髪フェチ」なる新たな性的嗜好に目覚める只野君がただただ羨ましいなと思いました。
 フェチの中でも比較的ニッチと思われる髪フェチに目覚めてしまった只野君が、これから古見さんの長髪を見るたびにあの時の感触を思い出して悦に浸ると共に、それ以上のプレイを求めたいけどそんなことは絶対にできないし彼女にこの性癖のことなんて言えないという、己の満たされないフェティシズムに悶々とする日々を送ることになるかと思うと、何かこう青春って感じがしていいですよね!

 はしゃいでコケる古見さんが可愛いです(マトモな方の感想)。

天野めぐみはスキだらけ!

 基本的に先々週のサンデーに載った「銀の匙」の一コマ、「だったらとっとと八軒の下宿行って返事して不純異性交遊すりゃいいじゃん!」が思い浮かぶような話でした。
 幼馴染の女の子が「自分の部屋で一緒に勉強しよう」と誘って来たら、まあ普通ならヤることは一つだと思うんですけど、残念ながら「天野めぐみ」はそういうマンガじゃないんですよね。まー君かわいそう…。

 そんなアレでめぐみのムッチムチで無防備な肉体を見せられて終始悶々としていた学とは逆に、話の最後に描かれためぐみの学に対する初恋のエピソードがあまりにピュアであり、この辺の両者の対照っぷりがこのマンガの肝なんだろうなと思った次第です。
 めぐみの学に対する感情が、子供の頃の初恋の状態に留まっていないと今のこのマンガの健全なエロさを醸している雰囲気が整理しないことを考えると、二人の関係は今の状態のまま当分は進展しないんだろうなーとも思います。

読み切り:始発電車

 週刊少年サンデーには久しぶりに登場の小山愛子先生の読み切り。前にサンデーに登場したのは2005年とのことなので、実に11年ぶりの登場ということになります。
 マジか! 前に小山先生の作品が載ったのはほんの数年前だと思っていたんですが、もうそんなに経つのか! そりゃー歳取る訳だわ!(日記)

 小山愛子先生は、ゲッサンで横濱の喫茶店で働く少女の日常を描いた「ちろり」という作品を連載していたのですが、今回の「始発電車」も兄妹の日常の何気ない積み重ねを描くことで、ラストの「妹が結婚する」=これまでの日常が終わることの重みを感じる構成になっていると思いました。
 いくら幼少期にお兄ちゃんのことが大好き! と言ってる妹も、一般的にはいずれ彼氏を見つけて結婚して他所に行っちゃうんですよね。お兄ちゃん大好き系のエロマンガばっかり摂取しているとそういった常識的なことを忘れてしまいがちなので、気を付けたいです。

ふれるときこえる

 最終回。友達を気遣える心の清らかな善男善女達が、キレイな心を持っているが故に恋と友情の間で思い悩むという美しい物語だったという印象でした。
 「ふれるときこえる」というタイトルに象徴されるサイコメトリー能力は、最終的には「サイコメトリーを持っていても全てが判る訳ではなく、相手が口に出して自分の意志で言ったことこそが相手の本当の気持ちである。本当に大切なことはちゃんと言葉に出さなければ相手に伝わらない」というところに落ち着いたところからも、この作品の抱えるテーマの美しさが伺えるというものです。

 あとこのマンガのもう一つの特徴は、メインヒロインであるさとりがここぞという時にメガネとマスクを外してキメ顔を晒す点にあったんですけど、最終回でもそれをちゃんとやらかして噪君を籠絡しにかかっているので満足しました。
 さとりの眼鏡は彼女の心を外から守るためのペルソナの象徴であったんですが、最後に眼鏡を外して噪の前に現れたことで、彼女は自分の心を他人に晒す覚悟を手に入れるまでに成長できたことを示しています。つまりこの物語は、最終的には「さとりが眼鏡を外すまで」の物語だったのです。
 「眼鏡を外すと美人」のパターンって、さとりみたいな子には極めて有効に働くんだなと思いました。

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「始発電車」の小山愛子先生のゲッサン連載作品。女の子かわいい


お久しぶりです(´・ω・`) サンデー43〜44号感想

西脇サブ長の人柄が伺える一コマ(サンデー43号より)
あおざくら

 あまり本編とは関係ないのですが、西脇サブ長って何だかんだで面倒見が良いし先輩後輩関係なく慕われているオーラがあるように思えます。前回の「近藤は乙女心というものが、何一つわかっとらーん!」の下りは、西脇サブ長の優しさがにじみ出ていて個人的に感動しましたね。
 そんな面倒見が良く乙女心に通じている彼は、この手の話だと有事の際には何か部下や民間人を庇って撃たれて死ぬタイプのキャラなんじゃないのかなと思ってます(ひどい感想)。このマンガの中では有事にならないといいですね。

 坂木部屋長は、戦場でも弾避けるのが面倒くさくなって匍匐前進とかしないでズンズン歩くけど何故か弾が当たらないタイプ(ひどい感想)。

マギ

 「聖宮」を目指すことを決意してからのシンドバッドは、随分と活き活きしていると感じます。
 アリババが商売人として頭角を現すようになってから、シンドバッドは「新興勢力に既得権益を脅かされる側」を象徴する嫌な感じのボスキャラとしての立ち回りを余儀なくされていたところがあったのですが、これまで築いた全てを捨て、自分の野心のためだけに神の力を得ようとしている今の彼は、自身に満ち溢れていてとても魅力的です。
 死んじゃいそうだけど。

だがしかし

 これも前回の話になりますが、ココノツがコンビニ店長に「店員になればスケベな本を読み放題なのでウチでバイトしろ!」とアルバイトを迫られた際、ほたる(のおっぱい)を脳裏に浮かべ、「欲しいスケベは自分の手で掴み取る!」と宣言してその誘惑に耐えた話が非常に良かったと思います。
 つまりココノツは、既にほたる(のおっぱい)に貞操と純潔を捧げており、いつかほたる(のおっぱい)を自分の手で掴もうと決意している訳ですよ。ココノツの性的な精神的な成長を感じます。

 そして今回は、そんなココノツを眺めてニヘラニヘラしているサヤ師が良かったです。

古見さんは、コミュ症です。

 最近は(何だかんだでクラスの中では一番古見さんのことが判っている)只野くんに対し、古見さんがかなり彼を意識しているような展開になって来ていて大変に只野くんが羨ましいので、これからこのマンガを読む時は「オレが只野だ! 只野がオレだ!」と自意識を高めるマインドセットを仕込んでおきたいと思いました。

競女!!!!!!!!

 今回ののぞみの対戦相手の柏葉さん、敬愛している竜胆様から「ジャブ的な胸技を覚えねーとな」と言われて伝授されたのが、ジャブというよりはむしろ必殺技レベルの大技である百裂系の「乳・爆烈拳」だったというのが面白かったです。
 この「乳・爆烈拳」には、対戦相手との間合いを取って行動を制限するとか、細かいダメージを積み重ねて相手を追い詰めるといった一般的な「ジャブ」の意味合いは全くありませんが、そもそも「競女!」とはそういう世界のマンガであるということを、アニメをきっかけにこの作品を知った読者に知らしめる効果は十分にあると思いました(前向きな感想)。

絶対可憐チルドレン

 個人的に「公式が最大手」と勝手に呼んでいた、真木と兵部の過去話展開が終了。
 何故「公式が最大手」かというと、これまで真木達パンドラ三幹部が幼少期だった頃のエピソードは原作内であまり触れられておらず、それだけに絶チルの二次創作界隈でよく題材にされていた印象があったんですけど、そのネタを公式エピソードで堂々とやってしまったことに由来します。さすが椎名先生です(褒めてます)。
 今回の公式エピソードを燃料に、更にファンの皆様の二次創作意欲(具体的には真木×兵部妄想)が捗ることをお祈りしております。

 話の展開としては、これだけ兵部が真木との過去のエピソードを語って真木のことをどれだけ大切に思っているかを訴えたのにも関わらず結局ギリアムの洗脳は解けず、兵部は不二子に続いて真木までギリアムに奪われることになってしまいました。兵部の最も大切な人間を標的にするギリアムの性格の悪さは、既に兵部のそれを上回っているということでしょうか。

 おそらく今後は、兵部は(不二子を助けるために極秘に行動している)皆本や賢木と協力して事態を打開しようとする行動に出るものと思われます。可憐ガイズ再結成の流れが来てますね!
 更に、最強の独身中年男性である谷崎主任も可憐ガイズに合流すること必至!(必至なのか) 兵部と谷崎のやり取りはちょっと想像できないので、その辺が今から楽しみです。

古見さんは、コミュ症です。(1) (少年サンデーコミックス)
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古見さん1巻は、現在Amazonでは品切れでプレミア価格になってますね


過去のサンデー振り返り感想:「BE BLUES!」埼玉地区大会決勝戦の展望について

BE BLUES!

 先週号から、ついに武蒼対聖和台の埼玉頂上決戦の試合が始まりました。
 これまでこの試合に向けて張られていた伏線や設定などを、このタイミングで思い返していきたいと思います。

聖和台について

 もし「BE BLUES!」が普通の少年マンガであれば、決勝戦で「勝つ」ための伏線を張られているのは、武蒼の対戦相手である聖和台であると思われます。
 以下その理由。

「小早川を高校卒業即プロへ!」の意識でチームが団結
 サンデー39号では主に聖和台側の事情が語られていましたが、そこでは聖和台のエースである小早川忍は、何らかの事情により「高校を卒業して、すぐにプロリーグに入らなければならない」という強い決意を持っており、チームメイトもそれを後押ししている描写がされています。
 「忍の夢を手助けをするため、絶対に負けられない!」という、チームとしての統一された意志を感じさせます。

 一方の武蒼は、桜庭というフォア・ザ・チームの意識の欠片もない厄介者を抱えていることもあり、団結力という意味では聖和台に劣るのは否めません。努力・友情・勝利という少年マンガ普遍の価値観に合致しているのは、どう考えても聖和台の方でしょう。

 更にこの聖和台の現在のチーム状況は、「BE BLUES!」中学生編のクライマックスである、大浦東対麻倉キッカーズ戦における大浦東の状況に似ています。
 あの時は、龍が親の都合でインドネシアに引っ越すのを阻止するため、宮崎を始めとしたチームメイト達が「龍を全国大会へ連れて行って活躍させれば、龍のインドネシア行きを阻止できるに違いない!」という意識でまとまり、主人公チームらしい非常に高いモチベーションで試合に望むことができていました。実際、大浦東対麻倉キッカーズ戦は、「BE BLUES!」全編を通しても一番面白い試合だったんじゃないかと思えるほど盛り上がりましたよね。
 でも結局、ナベケンを擁する麻倉キッカーズに負けちゃいましたけど。

小早川の双子の姉・薫の存在
 サンデー39号で登場した、小早川忍の双子の姉である薫さん(敬語)。彼女の登場で、聖和台のチームメイトは更なる盛り上がりを見せ始めました。
 武蒼には既にベンチマネージャーを超えて崇拝の対象の域にまで達し、チームメイトの信心を集めている藍子という絶対的なマドンナが存在しますが、薫の登場によって聖和台も藍子に十分対抗できるヒロインを手に入れたと言えましょう。
 何かこのマンガ、根底に「男子は女子に応援されると奮起する」というオッサンっぽい思想が入っているのは確実なので、そういう思想の元ではチームの信心を集めるヒロインの存在は重要と言えます。

 更にこの薫さん、39号で登場した時に「膝にサポーターを巻いている」ことを強調するような描写がなされている点が気になります。
 「あたしもう平気だから! 忍は自分と仲間のために戦いなよ!?」という台詞が入ったコマの次に彼女のサポーターを巻いた膝のカットが入るところからして、「過去に忍は薫の脚に怪我をさせたことがあり、それを引け目に感じているのは?」「彼がプロにこだわるのもその辺に関連が?」と読者に推測させるように仕向けていることは確実でしょう。
 今回の試合では、その辺を交えた小早川姉弟の過去や、彼らの心理描写についても注目していきたいところです。

桜庭さんについて

 前回の大浦南との試合で貴重な決勝点を叩き出し、聖和台戦ではツートップの一角としてエース級の扱いで先発として起用されるなど、すっかりレギュラーキャラに復活した感があるみんな大好き桜庭さん。レギュラーに復帰してからというもの、彼の「俺様を尊敬しろ」的な増長っぷりは留まることを知りません。

この桜庭様がバックの事に興味を持つなどと…思ってるのか?
いい加減オレ様の事分かれ!
ボケが…俺様が立てばソコが…最高になるんだよ!
下僕どもよ…ナイス!

 どれも実に桜庭さんらしいキラキラした名セリフの数々で心に染みるんですけど、でも「BE BLUES!」を努力・友情・勝利が全てを統べる一般的な少年マンガと仮定した場合、これらの桜庭さんの言動はどう考えても悪役が言う台詞ばかりなんですよね。こんなのをエースに本当に据えて、本当に大丈夫なんでしょうか。

 桜庭さんも、試合前に亮太やジョージと一応ハイタッチをしたり、試合中には小田の指示に従う素振りを見せるなど、一応前とは違った一面も見せてはいるのですが、「下僕どもよ…ナイス!」という台詞が示す通り、彼にとって基本的にチームメイトは自分にボールを運ぶための下僕という認識なのは変わりないので、(自分を活かすために)チームプレーをする精神が彼に芽生えたということは全くなさそうです。

 「傲慢なエースを中心に据えたチーム」との対戦というと思い出されるのが、田中モトユキ先生の前作「最強!都立あおい坂高校野球部」の全国大会決勝戦です。その時は勿論、対戦相手の「傲慢なエースを中心に据えたチーム」のエースがその傲慢さを挫かれて敗北するという、少年マンガ的に正しい結末を迎えました。「BE BLUES!」もそれに倣う可能性はあるんじゃないかと思います。
 チームのため、自分のため、そして姉のためにプロ入りを目指して戦う小早川率いる聖和台は、邪悪なエースを擁する武蒼を倒すことができるのでしょうか?(まちがい)

 ただ、本来のこのマンガの主人公であるところの龍は、「俺様を尊敬しろ!」な桜庭の実力をちゃんと評価し、素直に彼の技術を尊敬しているところは流石と言えます。
 おそらくこの試合で、桜庭は(桜庭絶対殺すマンとして起用されるであろう聖和台の眞鍋から)一度はけちょんけちょんにされるにされるんじゃないかと思うんですけど、その窮地を救えるのは桜庭を正しく尊敬している龍の役目なのではないか、と期待してます。

優人について

 大事な決勝戦で、何とジョージの代わりにセンターバックとして起用されることとなった優人。彼が今大会の武蒼における最大の不確定要素であることは間違いありません。宮崎はともかく諸星からも「大丈夫なのかあいつ」と心配される始末です。

 彼はこれまでの走力・スタミナ・与えられた仕事をやり遂げる強い精神力を持った選手であることは何度も描写されていますし、一応それなりにセンターバックとして仕上がっている演出もあったのでいきなり崩れることはないんでしょうけど、センターバックは聖和台から「武蒼唯一のウィークポイント」とみなされているので、今後ガツガツ攻められることは必至でしょう。
 果たして聖和台の猛攻に彼が耐えられるのか。少年マンガらしく試合中に何か新たな能力に覚醒する! とかいう展開はあり得るのか。

 もしここで優人が覚醒してこれまでの評判を覆す大活躍をすれば、ついに彼にも念願のモテ期が訪れる可能性がなきにしもあらずだとは思うので、頑張って欲しいですね。
 優人がうっかり女子からモテるようになった時の、彼のおどおどする挙動不審な様を見てみたいです(ひどい)。

最強!都立あおい坂高校野球部(1) (少年サンデーコミックス)
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今見ると、「あおい坂」の鈴ねえのデザインってすごいあざといッスね(褒めてます)


過去のサンデー振り返り型感想:サンデー35号の「BE BLUES!」でゼリー食べてた藍子の心の闇について

BE BLUES!

 ちょっと前の話になりますが、サンデー35号で藍子が風邪を引いて女子マネージャーチームがお見舞いに行った時の、「ゼリーうめえ。超うめえ。和菓子より全然うめえ」(要約)と呟きながら虚ろな瞳でゼリーをモリモリ食ってた藍子の姿が忘れられません。
 これまであまり隙を見せなかった藍子が垣間見せた、彼女の心の闇を象徴するシーンだったからでしょうか。

 物語的には、そこをきっかけに藍子が「自分は和菓子屋の跡取りにはなりたくないばかりに英語を独学で勉強して海外に脱出することしか考えていない、何も持っていない女」と自分の心情を暴露し、(何気に同姓を籠絡して自分に懐かせる必殺技を持つ)優希から「ちゃんと根性あるじゃん! イケるよ!」とフォローされて立ち直り、最後はチームメイトからベンチコートをプレゼントされて自分が武蒼に受け入れられて笑顔を取り戻す──という爽やかな展開を辿ることになるのですが、でも個人的には虚ろな瞳でゼリー食って本心を吐露していた藍子の姿もとても魅力的だったので、彼女にはあの時の心の闇を忘れないで欲しいなとも思いました。

 彼女は過去に「和菓子屋の跡取り」という宿命から逃れられない不安と恐怖を抱えていたからこそ、それから逃れるために外国語を積極的に学んでそれがきっかけでミルコの通訳となり、結果的に現在の武蒼高校サッカー部のマドンナの座を手に入れた訳であり、つまりは心の闇こそが今の魅力的な彼女を作ったと言えます。心に闇を持ってひねくれた女子さいこう!(個人の感想です)

 あと、あれだけ女子が一つの部屋に集まってお菓子食べてお喋りしてるんだったら、普通は恋バナの一つや二つは出てくるんじゃないかと思うんですが、その辺どうなんでしょうか。特に窪塚マネージャー。あの彼女が、あそこでああいう話をしないはずがないとは思いませんか皆さん。
 まあでも、あの場では落ち込んでた藍子が優希に励まされてやる気を取り戻している様子を目の当たりにしていることもあって、あえて空気を読んで自重したのではないかとも考えられます。もしあそこで恋バナがヒートアップして藍子と優希の間で龍を巡って正妻争いをされたら、今後のチームの運営に支障をきたすことは必至ですしね。窪塚さんオトナだなあと思いました。

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まだ闇を表に出していなかった頃の藍子


烏丸君は、中二病です。サンデー40号「BIRDMEN」感想

BIRDMEN

 今週の「BIRDMEN」を読んでいて気が付いたのですが、もしかしてこのマンガって、いわゆる中二病テイストの含有量が割と半端ないんじゃないんでしょうか。

 今週特にグッと来たのが、烏丸のクラスメートの鮫洲あやめが彼に「おはよう」と声をかけた時に見せた、烏丸の表情と態度ですね。
 ここではないどこか遠くを見ているような焦点の合わない瞳、周囲に全く興味がなく、かつ周囲を見下しているかのようにも見える態度、そして「まあ俺、主な活動時間夜だから」という、自分は他の奴らとは生活そのものが違うんだよ的なアピールを含んだ台詞。いいですね。実にソレッぽいと思います。

 我々読者は、既に烏丸が人類を超越してセラフ達を導く「先導者」として覚醒しているが故に、彼の言動が結果的にそうなってしまうことを知っていますし、また彼のその態度から「烏丸はどんどん鷹山に似てくるなあ。やっぱり彼は鷹山が大好きなんだろうなあ」とか妄想を働かせて楽しむこともできるのですが、当の鮫洲あやめはそんなことは知らないため、彼のあまりに中二病的な言動を目の当たりにして「烏丸君って、あんな感じだったっけ…?」と不審に思わざるを得ないのです。

 その他にも今週は、EDENから捨てられた実験体達(実験体!)で構成される秘密結社エクソダスという新たな組織が登場(秘密結社!エクソダス!)、その組織に接触しようとしたイヴ(イヴ!)にEDEN(EDEN!)の生体強化兵(バイオブーステッドソルジャー!)が瞬間強化剤(ライトニングブースター!)を使って襲いかかり、それを一撃で撃退したフードで全身を覆ったエクソダスの構成員は(フード!)、「薬使ってあの程度…」と呟いて「フ…」と鼻で笑ったり(フ…と鼻で笑う!)、更にイブはエクソダスの首領であるナイル教授(教授!)に、「次の人類」であるセラフが統べる世界を作るため、セラフを「拡散者」(スプレッダー!)の能力で増やしつつ今の人類を抹殺する計画を提案する(人類を抹殺!)という、何かンもうあらすじを書いているだけでワクワクするようなキーワードが満載で、実に愉快なエピソードだったと思いました。

 考えてみたら、BIRDMENって「先導者(ベルウェザー)」とか「繋げる者(リンカー)」とか「超越者(トランセンダー)」とか、セラフのタイプの呼称にいちいちフリガナをカタカナで振ってある辺りからして、そういうセンスを内包していたんですよね。今更ながら気付きを得た気分です。

 そういえば今週の「古見さんはコミュ症です。」に自称中二病の中々さんが出て来ましたが、彼女の「中二病」っぷりは所詮は「中二病でも恋がしたい!」のフォロアーの域を出ておらず、「中二病でも~」以降に定着したテンプレート化された中二病の症状を演じている程度に過ぎないのがちょっと残念だなと思いました。
 彼女も真の中二病キャラを目指すのであれば、「BIRDMEN」の烏丸や鷹山のように、人類を超越した者だけが持つ尊大さ、「超越者」であるが故に浮世では生きられない孤独感を醸し出しつつ、教室の窓から外を眺める姿が様になるくらいのレベルにはなって欲しいです。彼らはホンモノなので(中二病がではなく、人類を超越した存在であるという意味で)貫禄が違います。
 中々さんもホンモノの超人を目指せ! 中二病の道は険しくないのよ!(「古見さん」はそういうマンガではありません)。

 あと今回では、鮫洲あやめがクラス内で中二病的な態度を取り始めた烏丸に対して「烏丸君って…あんな感じだったっけ…?」と感じた時、彼女が妙にドキドキしていたのが気になります。彼女のこのドキドキの正体は一体何なのでしょうか。
 もしかしたら、普段とは違う烏丸君を見て恋に落ちてしまったのでしょうか彼女。「中二病でも恋がしたい!」どころか、烏丸は中二病になったらモテるようになってしまったのでしょうか。

 ただ、鳥男になる前の烏丸だったらともかく、今の烏丸はもう人間の女子からモテても何とも思わないんじゃないかと考えると、ちょっと寂しいですね。連載が始まった頃に「烏丸バリアー」(教室で机に座って顔を手の平で覆ってるアレ)をやってた彼の姿が懐かしいです。あの頃の君のままで居て欲しかったよ…


BIRDMEN 8 (少年サンデーコミックス)
田辺 イエロウ
小学館 (2016-08-18)
売り上げランキング: 2,531

はい、「BIRDMEN」は「中二」ではなくあくまで「青春ジュヴナイル」であることは承知しています


さようなら、枝垂ほたる記念・ここ一ヶ月くらいの「だがしかし」感想

だがしかし

 このマンガのキャッチコピーは「ウマイ駄菓子×ヘンな美少女? ハイテンション駄菓子コメディー開封ッ♪」なのですが、ココノツとほたるの夏祭り花火デート回以降は明らかに話の雰囲気が変わって来ています。まるでタイトルが「さようなら、枝垂ほたる」に変わったかのような切なさと重苦しさです。
 ほたるがいずれこの町からいなくなるであろうことは、これまでのエピソードの中でも示唆されてはいましたが、ついにその時が訪れてしまいました。

 話の雰囲気が変わってきたのは、明らかにココノツがほたると「二人きりで」花火に誘った、ホームランバーのエピソードからでしょう。
 本当なら遠藤兄妹と一緒に行くはずだった花火大会を、ココノツがほたると二人で行くと言ってしまったことは、彼にとってはほんの一時の気の迷いというか、(ほたるから「二人で?」と聞かれたことによる)偶発的な出来事だったと思うのですが、しかしその選択はココノツ・ほたる・遠藤兄妹の間の微妙な人間関係のバランスを壊し、今後の彼らの関係を大きく変化させるきっかけになってしまう可能性はあり得ると思います。

 そしてほたるは、おそらく現在の人間関係や駄菓子屋を巡るこの町の状態に満足しており、それが大きく変わることは望んでいなかったのではないかと思われます。
 しかしその一方、いずれそれらは時代と共に変わってしまうであろうことも、多分彼女は判っているはずです(幼少期に通っていた駄菓子屋がなくなってしまったエピソードが象徴的)。

 そんなほたるに対して、ココノツがこれまでになく積極的なアプローチをして来たことは、ほたるにとっては「ついにこの町も変わる時が来てしまった」ことを意味していたのかも知れません。この町が変わってしまう以上、自分もこのままではいられない。そんな考えが、彼女を動かしたのかも知れませんね。全て自分の妄想ですが。

 あと今回の話では、ほたるが不在であってもいつも通りにココノツに接するサヤの姿が印象に残りました。
 でも、彼女の側から今のココノツ達の状況を見た場合、

  • 花火大会の時にココノツとほたるの姿がなかった
  • つまり花火大会の時、ココノツとほたるは「一緒に花火を観る」約束を破って二人きりで逢っていた
  • 二人は付き合っていたのか?
  • しかし花火大会が終わった途端、ほたるは姿を見せなくなってしまった
  • ほたるが姿を見せなくなったのは、花火大会の時にココノツがほたるに何かやらかしたからなのでは?

 と訝しまざるを得ない訳であり、サヤの今の態度はココノツに対して微妙に引いている結果である可能性も否定できないのでは(嫌な感想)。

 そんな感じで、否応なく人間関係がネクストステージに進む可能性を秘めたこのマンガ。
 次にココノツの店に訪れた時のほたるの姿は、これまでのままの駄菓子大好きな美少女の姿なのか、それとも駄菓子界隈の衰退を憂うあまりホームランバーの当たり棒どころか全てを忘却の彼方に追いやってしまった、変わり果てた姿なのか。
 そんな妄想をしつつ、次回の「帰ってきた枝垂ほたる」編を待ちたいと思います。

 今回の結論としては、「二人で?」と言ってココノツを見つめる時のほたるさんはすごく可愛いと思いました。


だがしかし 1 (BD初回限定版) [Blu-ray]
ポニーキャニオン (2016-03-16)
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今考えると、アニメ版のほたるさんは少々エキセントリック過ぎた気がする


少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(後半)

kindleでサンデーを購入するイメージ画像

 お久しぶりです(´・ω・`)。

 8/9まで実施されている、サンデー32号を無料で入手することができるキャンペーン便乗記事の続きです。


初恋ゾンビ/峰浪りょう

額の怪我をきっかけに、初恋相手を理想化した脳内彼女的思念体=初恋ゾンビが見えるようになってしまった高校生・久留目タロウ。自分のばかりか、学校中、いや町中の初恋ゾンビが見えてタロウは混乱しまくり。初恋の相手が一瞬でも「付き合う」と言えば、初恋ゾンビは消えるはず…と仮説を立て、タロウは思い切って指宿に告白するが、クラス全員に目撃されるわ、フラれるわ、イヴは消えないわ…(涙) そうこうしているうち、中にはブラック化する初恋ゾンビまで現れ…!?
 ゾンビ…というタイトルとは裏腹のきゅんきゅん♥ラブコメ!!

 基本的には「自分のことが最初から大好きな、人間じゃない女の子が空から降って来た!」という、如何にもサンデーに載っていそうなパブリックイメージに沿った設定のラブコメマンガなんですが、そこに『過去に色々あった結果ジェンダー的にひねくれて現在は男性として生活している、主人公の幼馴染であり初恋の女の子』という複雑な設定を持った指宿君の存在を加えたことで、この物語を単なるお色気ファンタジーだけではなく、思春期特有の恋心と性の揺らぎを物語の中に与えることに成功しています。
 個人的には、従来のサンデーのイメージを踏襲しつつも新しいものを生み出して行くという「リニューアルされた現在のサンデー」の姿勢を象徴しているマンガだと思っています。個人的にオススメ。

古見さんは、コミュ症です。/オダトモヒト

古見さんは、コミュ症です。なので人付き合いがとても苦手です。でも友達が欲しい古見さん。人の気持ちを察するのが得意な只野くんが友達になり、その伝手で長名なじみとも友達になりました。だけど……
 話したい。話せない。沈黙の美少女・古見さんのコミュ症コメディー!!

 いわゆるコミュニケーション不全症候群な人々を題材にしたコメディー。
 基本的には、文字通りのヒロインである古見さんの「お嬢様」的な雰囲気と、彼女の極端な人見知りの性格に端を発する不審な挙動のギャップに起因するドタバタ劇を楽しむマンガなんですが、この作品の特徴として「古見さんがみんなから愛されまくっている」が故に常に周囲が古見さんの行動を良い方向に解釈して立ち振る舞うため、いわゆる「コミュ症」をネタにした作品の読後に感じる「コミュニケーションが不得手な人の不審な行動を笑いものする」系統のストレスを感じない作りになっていることが上げられると思います。
 そういった意味で、非常に優しい作品です。

柊様は自分を探している。/西森博之

同年代の生徒達から「お疲れ様」挨拶される少年・白馬圭二郎はある日、美女を見た。それはただ美しく、綺麗なだけの美女ではなかった。屋上から落ちた少年を助けたり、悪さしようとしたチャラい不良をボコったり… その後出会った圭二郎に対し、凛と、颯爽と、家来に指名した。そんなこんなで、あやふやな記憶のその美女・柊様は、しばらく圭二郎の家で預かる事に…

 藤田先生同様、現少年サンデー編集長が三顧の礼でサンデー復帰を願い出たと言われる西森博之先生の作品。「天使な小生意気」「道士郎でござる」の頃から一貫している、「主人公が己の姿勢を貫くことで、周囲の人間も次第に変わっていく」というテーマを、この作品も踏襲しています。

 それらの作品と「柊様」との大きな違いといえば、柊様が超人的な精神力や洞察力を発揮して時にハッとさせられるような活躍をする一方で、茶目っ気たっぷりにイタズラをしたり、圭二郎に対する自分の感情の意味をよく判っていなかったりする幼さをも持ち合わせてる、良く言えばとても可愛げのある人物として描かれていることでしょうか。
 とりあえず、柊様に萌え萌え(死語)になって読むのがいいと思います。

暁の暴君/伊織

天才的な実力を持つ柔道家・朱点一真は、いきなり大会に乱入して優勝者を圧倒。伝統や理念を掲げながら不正な勝負をする講英館に対し、「三年以内にぼくを倒してください」と、不敵な笑みを浮かべて宣戦布告する!!
 そしてついに全日本柔道選手権が開幕! 全国から集まった猛者たちが「日本一強い柔道家」の座を賭けて熾烈な戦いを繰り広げる!!
 すべての努力家達へ送る、反柔道奇譚!!

 現在の編集長に変わってから最初に始まった新連載。主人公のカズマは「最初からものすごく強い」「実家は大金持ちでメイドを引き連れている」「倒した相手に対してその実力不足を躊躇なく指摘する不遜な態度を取る」など、普通の柔道マンガだったらまかり間違いなく主人公の敵役になるであろうタイプのキャラで、それだけでもこれまでのサンデーの柔道マンガの代表である「帯をギュッとね!」「いでじゅう!」等の作品とは相当毛色が異なります。どちらかと言えば「修羅の門」の系統に属するマンガという印象。

 現在、マンガの中では全日本柔道選手権の決勝戦が繰り広げられていますが、未だにカズマの「正体」や、彼が柔道界の権力の権化である講英館に喧嘩を売る本当の理由は、(色々と匂わせる描写はあるものの)まだ物語の中では明確に語られてはいません。今後そこまで話が進むことに期待してます。

ふれるときこえる/本名ワコウ

 肌と肌で相手に触れると、その心の声が聞こえる…… 突如異常な体質になってしまった高校生・噪は、この体質のおかげで、片思いの相手・結川が親友・拓海を想っているとの心の声を聞いてしまう。ちょっと不思議な転校生・さとりは「自分も同じ体質であり、噪に恋したためにそれを感染してしまった」と言う。過去にもさとりが好きになった人が同じ状態になり、でも好きな気持ちを諦めたら元に戻ったらしい。さとりはがんばって噪の恋を成就させ、自分の恋心を絶つ努力をすると宣言。時間はかかりそうだけど、奇妙な「聞こえる」コンビが一歩踏み出す…!!
 聞きたい、だけど聞きたくない…ジレンマじりじりラブストーリー!!

 「ノ・ゾ・キ・ア・ナ」「ノゾ×キミ」の本名ワコウ先生の最新作。

 アクの強いヒロインをメインに据えた前作までは打って変わり、今回は主人公の噪君を始めとして常に友達のことを思って周囲への心配りを忘れない仲良しな善男善女達がメインキャラだったので最初のうちはどうなることかと思ったんですが、物語が進むに従ってそんな善男善女にも心の内側には「友達」には決して明かせな恋愛感情や疑心暗鬼や嫉妬といった様々なドロドロしたものが渦巻いていて、やがてそれが明らかになるに連れ、これまで彼らの関係が友達のことを思い遣るがゆえに徐々に壊れていく──という感じの話になって来たので、やっぱり本名ワコウ先生の作品はこうじゃなくちゃ! と安心しました。

 「ふれるときこえる」という表題は、文字通り「他人に触れると心の声が聞こえてしまう」能力を持ってしまった主人公・噪君のサイコメトリーのことを指しているんですが、物語が進むに連れて「心の声が聞こえたとしても、それだけでは大切なものは聞くことができない」「心の声が聞こえないからこそ、心に通じるものもある」といった意味合いを含んだものになりつつあるように思えます。
 連載の方は佳境に差し掛かりつつある印象ですが、今後の展開に期待していきたいところです。

 個人的な結論としては、さとりが良いです。

週刊少年サンデー 2016年36号(2016年8月3日発売) [雑誌]

今、まさに今週号をkindleで読んでます。電子書籍元年が来たよ!


少年サンデー電書版公開記念 過去1年間サンデーを読んでいない人向け・電子書籍版無料サンデー作品ガイド(前半)

論旨

 先週号より、ついに週刊少年サンデーが電子書籍化され、Amazon等の各種電子書籍販売サイトで購入できるようになりました。

 ジャンプ・マガジン・チャンピオンのライバル週刊少年マンガ各誌が先行して電子書籍化されてスマートフォンで読めるようになり、また同じくスマートフォンでマンガを読むことに特化したいわゆるマンガアプリがマンガ業界で存在感を伸ばす中、唯一電書化されないサンデーは「電子書籍化に乗り遅れている小学館」を象徴する存在となっていたと言わざるを得ませんでした。
 が、これでサンデーや小学館もようやく競合他社と同じ土俵に立つことができたと言えましょう。

 そしてサンデーの電子書籍化を記念する形で、8/9までの間、先々週号となるサンデー32号を無料で入手することができるキャンペーンが実施中です。せっかくタダでサンデーが読めるんですから、一応サンデーのファンサイトという形態になっている当サイトとしては、この機会にサンデーを読んで欲しいところではあります。

 サンデーは昨年の夏に編集体制に大鉈を振るう大改革を実施したことはまだ記憶に残っている方も多いとは思いますが、この電子書籍版サンデーは、実際に「大鉈が振るわれた後」の新しいサンデーをじっくり読めるチャンスです。しかもタダで。
 という訳で、昨年夏以降に連載が開始された作品の簡単な紹介記事を作成してみました。ご参考になさって下さい(引用文はサンデーのサイトより)。タイトルの順番は32号の掲載順です。

鬼ヲ辿リテ幾星霜/兎中信志

大昔、大陸には国を殺す妖怪「西神鬼」がいた。最強最悪のその妖怪は、一人の道士に一度殺されかけたが、体を千に散らばせ逃げおおせた。その時の道士は転生の術を使って幾度も生まれ変わり、今でも西神鬼を追っている…それが、少年・アキである。
 時は明治、舞台は横浜。道士・アキは西神鬼の体の一部が取り憑いた化け物を追い、ひたすら倒しまくる!! 宿命の妖鬼殲滅活劇!!

 主人公は太古の昔から転生を繰り返しながら「西神鬼」と戦い続けている道士の魂を持った少年、というタイムスケールの大きさが設定上の特徴ですが、個人的には何よりこのマンガを特徴づけているのは、良くも悪くもこれまでのサンデーっぽくない個性的な絵柄や雰囲気だと思っています。このマンガに出てくるのは基本的に男と妖怪だけです。

 作者の兎中信志先生は、以前は講談社の少年ライバルで「弟キャッチャー俺ピッチャーで!」を連載、その後サンデーSでの読み切り掲載を経てサンデー本誌で連載を開始したという経歴を持ちます。
 「生え抜きの新人作家を育成して輩出する」という現編集部の方針の下で、講談社のマンガ雑誌での連載キャリアを持ちながらも小学館のマンガ雑誌での再スタートを選択した作者が、今後どんな作品を描いていくのか? という意味で興味深い作品です。

天野めぐみはスキだらけ!/ねこぐち

これは、中学校で疎遠になるも同じ高校に進学し再び距離を縮めた、凸凹で真逆な幼なじみの二人──東大を目指すガリ勉スリム・学と、剣道に励む体育会系ぷに子・めぐみ──の、微笑ましくもドキドキな日々の物語である。

 端的に言えば、好意を持っている幼馴染の男子の前で油断してうっかりパンチラとかをしてしまう、いろいろな意味で隙が多い少女・天野めぐみの姿を、「尊い…」と呟きながら眺める作品です。
 いわゆる「ちょっとエッチなラブコメマンガ」として面白いという以上に、天野めぐみの健康的なむちぷにな肢体、そして彼女と学の間の青春時代特有の微妙な距離感が醸し出す初々しい雰囲気に対して「ありがとうございます…本当にありがとうございます…」と感謝の念を込めてしまうこと請け合い。私は毎回拝んでます。

 この作品、おそらくそう遠くないうちにアニメ化されるに違いない! と勝手に信じています。ぜひこの作品の名前を覚えてからお帰り下さい。

あおざくら 防衛大学校物語/二階堂ヒカル

勉強好きの近藤勇美は、食堂を営む実家が再開発で潰れることになり、学費無料で給料をもらえる防衛大学校に進学することを決意し、見事合格する。
 幹部自衛官を養成する機関・防衛大学校を舞台に繰り広げられる、疾風怒濤の青春物語!!

 サンデー往年の名作「め組の大吾」や「モンキーターン」と同系統の、独自性のある職業の世界をマンガ化した作品として分類されるであろうこのマンガですが、作品の舞台として「幹部自衛官を養成する防衛大学校」を選んだところが今っぽいです。
 『極限状態で花開く若者たちによる青春群像』と書けば聞こえは良いのですが、まあ舞台が舞台なだけあって基本的な物語の構成は「先輩が何かと押し付けて来る理不尽な問題に主人公たちが翻弄される」という体育会系(というか文字通りの軍隊系)のノリであり、読者層が非体育会のボンクラに偏っていて体育会系に強い嫌悪感を持っているに違いない少年サンデーのイメージ(あくまでイメージです)とは異なっているのが興味深いです。
 そういった意味では、現在のサンデーの「攻めの姿勢」を象徴している作品の一つと言えるのかも知れません。

魔王城でおやすみ/熊之股鍵次

かつて、人と魔が存在していた時代。その安定を乱す魔王が人間の姫をさらい、自らの城に幽閉した。「返してほしくばこの世の支配を全て魔の物に引き渡せ!」と……
 人々は怒り、勇者は姫を救うために旅立った!! 魔が棲まう城で姫は泣き、絶望し、助けを待つ…はずだった。…が!?
 暇を持て余したスヤリス姫が、安眠を求めて魔王城で好き放題! 新感覚、睡眠ショートコメディ―♥

 古典的なドラクエタイプのコンピュータRPGのパロディ的な雰囲気の世界を舞台にしたファンタジーといった趣きのある作品ですが、本来であれば「勇者に助けられるのを待っている姫君」役であるスヤリス姫が「魔王城で安眠したい」以外のこと(例:魔王の城から脱出する)を全く考えておらず、自分の安眠のためなら魔物相手にあらゆる乱暴狼藉を何も考えずに実行してしまう姫さまのアレな様子を楽しむのがこの作品の基本コンセプトです。姫様に萌えられれば勝ち。

 最近始まったサンデーうぇぶりでも掲載されるなど、着実に人気が出てきているように思われます。本編を読んで面白いと思ったらぜひサンデーうぇぶりでチェックを。多分そのうちアニメ化されます(願望)。

双亡亭壊すべし/藤田和日郎

東京・沼半井町に佇む屋敷「双亡亭」は大正時代より存在し、有名な幽霊屋敷として噂されていた。近隣に住む凧葉 務は、「双亡亭」に引っ越してきた少年・緑朗と仲良くなるが、緑朗はその家で父を亡くしてしまう。そんな時総理が、因縁深い[双亡亭」へ異例の空爆を指示。しかし屋敷は自衛隊の空爆を受けても傷一つ負わなかった… その直後、45年前の行方不明機が突如飛来し、中には一人の生存者・凧葉青一が乗っていた。務の親戚と思われる名の不思議な少年は、緑朗同様に双亡亭を憎んでいるが…
 謎に満ちた奇妙な屋敷「双亡亭」… 叫ぶ声も亡失する、戦慄のスペクタクル・モダン・ホラー!!

 現少年サンデー編集長がサンデー復帰を強く願い出たと言われる、藤田和日郎先生の最新作。コミックス1巻が7/12に発売され、COMIC JINにおける週刊コミックランキングで首位になるなど、既に人気を博している模様です。

 既にメジャーな作品なので特にここで述べる必要もないと思うのですが、連載の方はいよいよ主人公たちを含めた変な能力者達が集まって双亡亭に乗り込む展開になって来ており、かなり盛り上がって来ている感があります。
 能力者達はみんな個性的でキャラが立ってるので彼らが喋るだけで楽しいんですけど、何か最終的には主人公チーム以外みんな死んじゃいそうな予感がヒシヒシとするところが特に良いです(良いのか)。

週刊少年サンデー【期間限定無料配信】 2016年32号(2016年7月6日発売) [雑誌]

この機関限定版、期間が過ぎたら読めなくなっちゃう仕掛けが付いてるのかしら