サンデー一覧

kindle版コミックス1巻購入記念 サンデー20号「天野めぐみはスキだらけ!」感想

天野めぐみはスキだらけ!

 コミックス1巻読みました。コミックスには週刊連載が始まる前にサンデーSで連載されていたエピソードも載っているので、週刊の方で初めてこのマンガの存在を知って気に入った方は、割と必読かと思います。
 個人的な感覚では、週刊連載になってからは、受験勉強に固執する学の性格やめぐみのボケっぷりがいくらかはマイルドになったかな、という気がしますね。あれでも

 このマンガ、現段階での最終的な到着点は、おそらく学が「東大へ行って憧れの女子の美川さんに逢う」という到達不可能な夢に固執さえしなければ、(ムチムチした幼なじみの形をしている)幸せの青い鳥はずっと直ぐ側にいたことに気付くという形になると思うんですが、今の調子だと学がその領域にまで到達して悟りを得るのはまだ当分先になりそうな感じがします。

 何にしろ、個人的にはこのマンガは「ありがとうございます…! 本当にありがとうございます…!」と心の中で大感謝しながら読んでいるので、願わくばこの状態がずっと続けば良いなと思ってます。
 特に今週は、「めぐみが銭湯でおばちゃん達に撫でられたり揉まれたりする様を学が妄想するだけ」という、これまでのエピソードと比較してもかなり感謝が捗る話でしたね。いいと思います。

 なお、風呂あがりに水分を沢山取っても最終的にはそのまま汗や尿として排出されるので、体重の増減には影響されないので心配ありません(マジレス)。

天野めぐみはスキだらけ! 1 (少年サンデーコミックス)
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先月発売されたリアル書籍版は、描きおろしペーパーがもらえたんですよねー


ビキニで蹲踞記念 サンデー19号感想

双亡亭壊すべし

 前回、巻頭カラーで乳首券を発行してまで全裸を晒すという大技を披露していた、本作のメインヒロイン(あるいはヒーロー)となるであろう柘植紅が本格参戦した回。

 彼女、初回から何かものすごく曰く有りげな描写をされているので、さぞやものすごい能力の持ち主なのではと思わせておきながら、その実態は生き別れの弟のことが大好きなブラコン女子であり、かつ都会慣れしてなくて地下鉄で迷って泣く系のちょっとドジっ子女子でした。都会に不慣れなのに弟が心配な一心で上京してくる健気さにグッと来ます。

 サンデーにおける弟大好き女子といえばもちろん「姉ログ」のモヤ姉なのですが、「姉ログ」の連載はまもなく終了するので、サンデーにおける筆頭ブラコンの座は柘植紅さんが譲り受けること確実な状況です(「双亡亭」はそういうマンガではないことは認識しています)。

 しかし、彼女が大好きな弟の緑郎くんは、父をショッキングな形で失ったトラウマによって既に双亡亭を積極的に壊していきたい殺意の波動に目覚めており、同じく双亡亭を壊したい系男子であり腕がドリルになる系男子でもある清一と、意気投合してしまっている様子。
 果たして彼女は、弟をドリルから身も心も取り戻すことができるのか。その辺が次回の見どころかも知れません(「双亡亭」はそういうマンガではないことは認識しています)。

だがしかし

 アニメにも登場した、お好み焼き屋の玉井たまこが本編に再登場。
 彼女とココノツ父が一緒にいると、そういうマンガじゃないのは判っているのですが、何かすごいいけない大人の関係な雰囲気がすごい醸されてる気がしてドキドキしてしまいます。この二人の「酒が飲みたくなる」は何かエロいことの暗喩なのではないかと思ってしまう程です。

 ベビースターのぐるぐるもんじゃは、たまに食べると美味いと思います(感想)。

柊様は自分を探している。

 このマンガ、最初のうちは「道士郎でござる」のような、一本筋が通った傾奇者が周囲の人達を爽やかに変えていく系統の話かと思っていたのですが、何か実は彼女の正体は人から生命力を奪うことで永遠の命を得られる人智を超えた不老不死の超生命体であり、彼女と同じような別の超生命体からちょっかいを出されているかのような描写がなされ始めているのが気になります。

 もしかしてこのマンガ、実は超人たちが跋扈する異能バトルな世界が舞台だったのでしょうか。それとも、柊様が人間じゃないということは、いわゆる「空から降ってきた人間じゃない女の子さいこう!」的なラブコメが展開される可能性もあるということでしょうか。油断できなくなってきました。

天野めぐみはスキだらけ!

 ビキニ姿の剣道少女に蹲踞の姿勢をさせるのって、ものすごい大発明なのではないかと思いました。
 ありがとうございます。

初恋ゾンビ

 回を追う毎に指宿くん(ヒント:本当は女)がどんどん可愛くなっていくことで有名な「初恋ゾンビ」ですが、今回は「自分をモデルにして作られたタロウにとっての理想の女性であるイヴが『タロウがワタシの方が可愛いって言ってくれた』と言っているのを聞いただけで赤面してしまう」という一面を見せてくれました。
 その後の様子からも、間接的ながらもタロウに可愛いと言われたから自分が赤面してしまったことを明らかに自覚していることが伺えます(一生懸命その感情を否定してるけど)。

 この調子で自分がまだタロウのことが好きなことを自覚してモリモリ可愛くなって行って欲しいところではありますが、でも今の指宿くんはこれまでの人生におけるつらい経験を経て「指宿くん」という男性のペルソナをアイデンティティにするに至った経緯も持っている訳で、そう簡単には彼が己のペルソナをかなぐり捨ててタロウへの愛を語るようなことにはならないのではと思われます。
 タロウの理想であるイヴと、イヴのようには絶対なれない現実の自分との違いに対して、どう折り合いを付けていくのか。その辺がこのマンガのもう一つのテーマなのではないのでしょうか。

 それはともかく、今のエピソードのメインキャラクターである姫夏利っておっぱい大きいですよねえ。
 おっぱい大きい幼なじみなんて最高なはずなのに、透くんたらどうしちゃったんでしょうねえ(頭悪い感想)。

絶対可憐チルドレン

 谷崎主任が久しぶりに登場。色々な意味で相変わらずで何よりですし、何より「左遷先の勤務地に先に着任していた」といく役割にこれほど馴染むキャラは他にいません(断言)。

 あとちょっと意外だったのは、結局ナオミちゃんも大学時代で彼氏の一人もできなかったことですね。あれだけモテそうなのに意外です。谷崎主任に仕込まれた完璧な礼儀作法と、これも谷崎主任によって形成されたサディスト的な性格と相まって、逆に近寄りがたい雰囲気を醸しだしてしまったのかも知れません。
 それより何より、彼女が画策した谷崎主任のモホーツク送りは、何か客観的に見ると高度な放置プレイの一環のようにしか見えないのも問題です。何かこう理想的なSMの関係じゃないですか君たち。

 これだと、ますます谷崎主任と結婚するしか道がないのではと思ってしまいます。
 頑張れナオミちゃん。もう手遅れかも知れないけど。

読み切り:アルタイルの懺悔

 かつて「ファンタジスタステラ」において、ラブコメシーンをものすごく恥ずかしそうに描いていたあの草場先生が、こんなピュアなラブロマンスを描けるようになっただたんてスゴイ! と思いました。いやマジで。

 お話としては、「天体観測が大好き」という確固たる自我を貫き通した主人公の舟が、LINEに象徴される下世話な人間関係に迷った幼なじみのヒロインの渚を救うという美しい話でしたが、個人的には主人公の友人というか、「ノゾキが趣味」という下世話な塊のファッティなメガネ男子が良かったです。彼こそが本当の人間ですよ! 人はみんな舟君のように清く正しく真っ直ぐな生き方に憧れるけど、でも結局はあのメガネデブのように醜く欲望に負けて生きるしかないんですよ!(「アルタイルの懺悔」はそういうマンガではないことは承知しています)

天野めぐみはスキだらけ!(1) (少年サンデーコミックス)
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ともあれ、双亡亭は滅ぶべきであると考える次第である。(カト・ケンソリウス) サンデー18号感想

双亡亭壊すべし

 藤田和日郎先生新連載。物語としてはまだ始まったばかりで、登場人物達の素性にしろ舞台となる「双亡亭」そのものにしろまだ未知の部分が多いのですが、とにかく(主人公格の凧葉務を除いて)ほとんどの登場人物がことごとく双亡亭を壊していきたい意志に溢れていることだけは判りました。

 あと、第一話でネコ好きの緑郎少年が血涙を流して発狂して笑い出すシーンは確実にトラウマレベルの怖さであり、かつて『吠えろペン』で富士鷹ジュビロが語った「世界中の子供たちに愛と勇気をね! 与えてあげる前提で、まず怖がらせるだけ怖がらせてあげちゃうよーん!」という例のセンスは未だ健在であることも把握できました。それでこそ藤田和日郎先生のマンガです。藤田先生がサンデーに帰って来たって実感が湧いて来ますね!

なのは洋菓子店のいい仕事

 ほの香が傷心のセージを部屋に連れ込む展開になった時はどうなることかと思いましたが(性的な意味で)、しらかわの店内で本当の菓子店の仕事を目の当たりにしたセージが菓子職人としてのやる気を覚醒させるという、いたって健全な方向に話が流れる形になりました。

 ちょっと前には、言葉がなのは洋菓子店の先々代のマニュアルを読んで感心するエピソードがありましたけど、彼女の店員としての手腕の高さと実家の財力、そしてセージの菓子職人としてのやる気が合わされば、案外なのは洋菓子店はマトモなお菓子屋として立ち直れる未来が見えてきたような気がします。
 なので、店を復活させたいのであれば、セージは言葉と結婚してタイムから店を乗っ取ればいいのでは? という結論になりそうなのですが、その辺どうなのでしょうか(と言われても)。

BE BLUES!

 「今の武蒼はオレとお前のチームだ

 コーメイがここに来て「龍はオレのものだ」宣言を!
 友坂と龍の間にフラグが立ちそうなことを察知したコーメイが、ここに来て積極的にアプローチを仕掛けてきましたよ! 武蒼と大浦南との対戦はお互いに強いところを見せる形で盛り上がって来ましたが、龍を巡るコーメイと友坂の攻防戦も白熱してきましたね!(煽り)

 まあ普通に少年マンガ的な文脈で考えたら、コーメイの独善的な主張はいつか失敗するフラグそのものなんですけどねー

だがしかし

 アニメの放送が終わってしまいました。アニメ版は期待以上に面白かったので概ね満足していますが、キャベツ太郎さんに声が付かなかったことだけは残念です。
 もし2期があるなら、ぜひコミックス2巻に収録されているキャベツ太郎エピソードをアニメ化して欲しいところです。マジで。

 連載の方は、ほたるさんは全裸になっても相変わらず全く恥じらいがないので、あんな体つきなのに全くエロさが醸しだされないのがやっぱりスゴイなと思いました。エロさという面では、逆にココノツが入浴しているところに顔を出しているシーンの表情の方がエロいのではと思います。こういうタイプの魔性の女ってのもあるんでしょうか(魔性?)。

天野めぐみはスキだらけ!

 本当にありがとうございます。(感想)

絶対可憐チルドレン

 真木の縦ロールな髪型は似合っている上に機能面でも優秀なので、秘密奥義と言わずもっと積極的に縦ロールになっていくべきでは? と思いました。そしてパンドラのみんなに笑われるがいいと思います(ひどい)。

 物語の方は、何かすっかり「黒い幽霊」にヤラれてしまっているらしい不二子が悪い方向に大活躍した結果、色々と状況が悪くなって来ていて大変なことになってしまっていますけど、それはそれとして真木とタイマンでサイキックバトルをして簡単にねじ伏せたり、己の権限を利用してあっさりバベル内で独裁体制を作ってしまう辺りは、彼女の有能さが遺憾なく発揮されているなーと思いました。ここまで彼女が有能そうに描写されるの、実は結構珍しいのではないのでしょうか。

 不二子は、これまではどちらかといえば「ホントはすごい人だけど色々と残念」な系統のキャラとして描かれていた印象が強いのですが、自分の力を自由に発揮させている彼女は、ある意味とても楽しそうに見えます。戦後は一貫してエスパーの保護と社会的地位の向上に影の存在として務めてきた彼女ですけど、本当はこういう羽の伸ばし方もしてみたかったのかも知れませんねー


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傑作と名高い「黒博物館」シリーズ。読みたい


第一回・大改革を生き残りそうな連載作品予想アンケート結果発表

 サンデー17号より藤田和日郎先生の新連載「双亡亭壊すべし」が始まりましたが、これによって以前新編集長の市原氏がナタリーのインタビューで公言していた「藤田和日郎先生、西森博之先生、久米田康治先生。この3名には一刻も早く帰ってきてほしいと思っています」が本当に実現したことになりました(久米田先生は読み切りだったけど)。
 西森・藤田両先生が復帰したことで、昨年の夏から始まったサンデーの「大改革」は一応最初の区切りは付いたとみて良いのではないのでしょうか。

 当サイトでは、サンデー大改革が始まった昨年の8月に「週刊少年サンデー大改革開始記念・大改革を生き残りそうな連載作品予想アンケート」を実施していました(やった理由:面白そうだったので)。
 とりあえず紙面改変の区切りが付いたということで、アンケートの結果を公表しつつ、実際どのくらいの連載作品が入れ替わったのかを振り返ってみたいと思います。

質問:サンデーは今後大幅な連載作品や作家の交代を含む大改革が予告されていますが、現在連載されている作品の中で、その改革を生き残って半年以上は連載が続きそうとあなたが考えている作品、あるいは単にあなたが連載が終わって欲しくないと想っている作品はどれでしょうか?

タイトル 投票数 結果
BE BLUES!~青になれ~ 51
だがしかし 50
絶対可憐チルドレン 49
BIRDMEN 40
なのは洋菓子店のいい仕事 29
銀の匙 Silver Spoon 27 ○(不定期連載)
湯神くんには友達がいない 22
サイケまたしても 21
境界のRINNE 19
名探偵コナン 18
マギ 16
MAJOR 2nd 15
競女!!!!!!!! 14
ハヤテのごとく! 14
姉ログ 13
トキワ来たれり!! 13
常住戦陣!!ムシブギョー 11
ヘブンズランナーアキラ 11 ×
リオンさん、迷惑です。 11 ×
天使とアクト!! 9
アラタカンガタリ~革神語~ 8 ○(不定期連載)
tutti! 8 ×
アンペア 7 ×
今際の国のアリス 7 ×
まじっく快斗 7 ○(不定期連載)
おいしい神しゃま 6 ×
キャラクタイムズゴールデン 6
闘獣士 6 △(サンデーSに移籍)
レタス2個分のステキ 6 ×
AREA D 異能領域 5 ×
さえずり高校OK部! 5 ×
戦争劇場 5 ×
電波教師 5

 実際には、これに(アンケート開始時には既に終了が決まっていた)「ドリー・マー」、サンデーSに移転した「闘獣士」、およびアンケート実施後に連載が始まり今週号で連載が終了した「ニッペン!」が加わるので、この期間に終了した作品は13件です。サンデーの通常の掲載枠は22~24作品なので、約半数の作品が七ヶ月で入れ替わったことになります。

 七ヶ月で13作品が終了というのは他の週刊少年マンガ誌と比べて多いのかどうか? という点についてですが、昨年の週刊少年ジャンプで終了した作品数を数えたところ12件だったので(参照)、少なくともあのジャンプをも上回るハイペースな勢いで掲載作品が入れ替わっているといえます。
 これは、これまでのサンデーではちょっと考えられないスピードであり、サンデーの大改革は本当に行われているのだ、ということがお分かり頂けるのではないかと思います。

 終了した作品は、円満に終了したと思われるものに加え、かつて「マギ」「銀の匙」がヒットしてから顕著だった外部からの作家の招聘方針の見直しによると見られるもの(「おいしい神しゃま」「ヘブンズランナーアキラ」「レタス2個分のステキ」など)が見られるのが特徴でしょう。特に「ヘブンズランナーアキラ」は、個人的にはおそらく編集長が変わらなければまだ連載が続いていたのではと思っています(=連載が終わってしまって個人的には残念という意味)。
 また、いわゆる不人気による連載打ち切りと思われるものにしても、これまでと比べると条件がかなり厳しくなって来ている感があります。こちらも、個人的には「tutti!」「戦争劇場」などは、多分昔のサンデーだったらまだ連載が続いていたのでは? という感覚があります(=連載が終わってしまって個人的には残念という意味)。
 新編集長下になってから連載が始まり、そして終わってしまった「ニッペン!」の連載期間の短さを考えると、よく言われていた「サンデーは最低でもコミックス3巻分は連載を続ける」という伝説はもう今の編集部下においては通用しなくなっていると考えるべきなのでしょう。

 そして最大の問題である「それでサンデーは前よりも面白くなったのか?」という点については、まあ面白さというのは主観的なものなので断言することはできませんが(予防線)、少なくとも今は「何故このマンガがサンデーに載っているんだ?」と思ってしまう作品が載っていないくらいには面白くなっていると思ってます。まあ、前はそういうマンガもあったということなのですが(ドクロ)。
 また新人作家の読み切りが掲載される機会も従来に比べてかなり増えていますし、「サンデーは新人作家の育成を絶対的な使命とする」という方針はまだ堅持されていると見てよいでしょう。

 市原編集長はナタリーのインタビューで「2年以内にはかなり変わってくると思います」と言っていますし、サンデーの大改革はこれからも続いていくのでしょう。これからどのような作家が育成され、どんな作品が掲載されてどうサンデーが変わっていくのか、楽しみに待ちたいと思います。

 そして、改めて投票にご協力下さった皆さま、ありがとうございました。


ビッグカツは酒のつまみに最適記念 サンデー16号感想

だがしかし

 今回のお話は、端的に言えばほたるとココノツがビッグカツをネタにイチャイチャしてる話だよなーと思いましたが、ビッグカツが豚肉ではなく魚肉であることを指摘するココノツに対して「とんかつ」とグルグル目で強弁するほたるからは、「駄菓子コメディ」というこのマンガのジャンルが普段は覆い隠している、ほたるが抱えている内面の狂気が垣間見えたような気がします。あの表情はやっぱりヤバいですよほたるさん。

 実は彼女はああ見えて立派な(駄菓子の)狂人なのだという基本的な設定を、改めて再認識させられました。彼女は美しかったがイカれていた! 駄菓子マニアだった!

ふれるときこえる

 「主人公とヒロインがクラスメートの困り事を解決する」という、前の連載の「ノゾ×キミ」路線を彷彿とさせるお話でした。
 物語としては、主人公の噪君が、やっかいなサイコメトリー能力を他人を助けるためにも使えることに気付いた、という意味で極めて重要なエピソードだったと思うのですが、なによりこういう日常的な話を織り交ぜる余裕が出てきたということは、しばらくは連載が継続される見込みが付いたんだなあと思いました。良かったです(エラそうな感想)。

 あと今回の隠れたテーマは「さとりの眼鏡は伊達メガネであり、メガネをかけた彼女の姿は『自分の本性を隠すためのペルソナ』に過ぎない」ことが明らかになった点だと思います。つまり、彼女が自分の本性を隠す必要がないと自分で判断したらいずれ彼女はメガネを自ら外す時が来るでしょうし、この作品の最終的な終着点もおそらくはそこになるのでしょう。
 このまま噪達と明るく楽しいリア充ライフを繰り広げていれば、いずれ彼女はメガネを外して自分の本当の姿を晒してしまうことは必至なんでしょうけど、個人的なこのマンガ最大の見せ場はやっぱり「普段は冴えない容貌のさとりが、キメるべき時にはメガネとマスクを外して美少女面でバッチリキメる」点にあると思っているので、何とかしばらくは現状のコミュ障的な容姿と性格を維持して欲しいものだと思ってます(ひどい)。

暁の暴君

 一見するとただの非力なじじいだけど実は達人だった! というパターンが個人的に大好きなので、そんな達人じじいが三人も出てきて寄ってたかって将来有望な若者に己の技を伝授しているここ最近の「暁の暴君」のハヤト編はたいへんにツボです。ありがとうございます。自分も将来は若者に何かを伝授できる立派で偏屈なじじいになりたいですね。

 この展開の唯一の問題は、じじいから技を伝授されているハヤトは主人公でも何でもなく、まだ一真への挑戦者の一人に過ぎないという点です。柔道マンガの主人公としては最も正統派な位置にいることは間違いない彼が脇役に過ぎない辺りが、この作品がひねくれた柔道マンガである証左であると思ってます(ほめてます)。

アドアストラ ペルアスペラ

 主人公とライバルがモビルスーツで戦いながらお互いの主張を叫んでる! まるでロボットアニメみたいだ! もはやアニメ化必至の有様! と思いました(感想)。

 サテラの偏狭的な正義心は、まあ彼女の生い立ちからして致し方ないところはありますけど、彼女の純粋な「正義」の心を利用して彼女を戦わせようとする彼女の上司はとてもタチが悪いなと思いました。ああいう大人になっちゃダメですよ皆さん(娯楽マンガから教訓を得ようとする努力)。

競女!

 「ご存知の通り、競女ルールにおいて、水着の80%以上の破損はレース続行不能とみなされ、ポロリ負けとなります!」  

 ご存知ないよ! 今まで散々ブラを外しておっぱい振り回したしてたのはポロリ負けにならないのかよ! 「これは尻と水着による協奏曲『春』だ!」とか上手いこと言ってる場合じゃないよ! と叫びたくなるのは山々ですが、しかしこのマンガはこれまで散々やらかして来た「競女!」なので、我々は今更このような理不尽に屈するわけにはいかないのです。
 いかなる理不尽にも屈することなく立ち向かう、それが競女ファイターの心意気!(鼓舞)

 でも、こうやって「ポロリ負け」という概念が提示されたことで、今回のような「相手の水着を剥がしてポロリ負けに追い込む」という形のバトルが可能となり、競技における駆け引きの要素が増えたと思えば、取ってつけたような今回の唐突なルールにも納得がいくというものですよ! と自己暗示をかけることに成功したので、また一つ自分は強くなれたような気がします。ありがとうございました(グルグル目で)。

読み切り:カナミの音楽

 ちょっと前にサンデー本誌に掲載された「ファンタスティックリンク」の黒郷ほとり先生が再登場。こうして新しい作品を発表したということは、昨年末の読み切り企画である「新世代サンデーグランプリ」を勝ち抜いたと解釈していいんでしょうか。
 「ファンタスティックリンク」にしろ今回の「カナミの音楽」にしろ、少女マンガに近いタッチの繊細な絵柄で、美しく幻想的な作品世界を創り上げるマンガを描く人だなあという印象を受けました。今のサンデーにはちょっといないタイプの貴重な作風だと思うので、サンデー編集部におかれましては大事に育てて頂きたいと思う次第です。いやマジで。

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この作品、連載開始当初からは想像もできないくらい精神的にタフな展開になるのではと危惧してます(危惧?)


「エロすぎ!」問題を考える サンデー15号「競女!」感想

競女!!!!!!!!

 「エロすぎ!」ジャッジが読者を震撼させたことが記憶に新しい、今回の「競女!」。

 「競女!」を読み慣れている歴戦のサンデー読者の方々は、このマンガで起こる大抵のとんでもないことは「まあ、『競女!』がやることだから」とスルーできるようになっていると思われますが、今回の「エロすぎ!」発言は、そんな歴戦の強者達をもビビらせるに十分なインパクトを持っていたと思われます。

 「エロすぎ!」が何故そんなに読者に衝撃を与えたのかといえば、これまで散々「ブラを外して乳ビンタをする『パイ・パイル・パイパー』」、「おっぱいを高速で震わせることでおっぱいを透明化して相手の視覚を狂わせる『インビジブル・バスト』」、「一つの水着に二人の体を密着させてねじ込む『ヒップップ・トレイン』」など、通常の概念であればエロすぎと判断されて当然な技がごく普通に行われて来たのにもかかわらず、今回はジャッジがあえて「エロすぎ!」と警告を発した点にあります。
 もし競女というスポーツに相撲における「不浄負け」の概念があったらとっくに退場に値するような技がこれまで散々行われて来たのに、何故今回に限って「エロすぎ!」という警告が出てしまったのでしょうか。

 これは私個人の感想なのですが、これは実は「エロス」というものの本質に迫る問題なのではないかという気がしてなりません。

 もともと「競女!」という作品は、『女性同士が水着で尻相撲をする』というエロに直結しそうな競技をテーマにしているにも関わらず、女尻相撲というタームから連想されるお色気要素が全く含まれていません。サンデー編集部自らが「ヒロインが毎週裸同然でお色気をふりまいているのにファンからは特にそこを喜ばれるわけでもない」と広告で言ってしまっている(サンデー13号参照)ことからも、製作者側があえてエロを全面に売りとして出す形にしていないことが伺えます。

 実際、上記の例として上げた『パイ・パイル・パイパー』『インビジブル・バスト』『ヒップップ・トレイン』は、どれもみんな乳をほっぽり出したりしている技にも関わらず、絵面からは全くエロスを感じません。感じるのはエロスではなく、「何だかよく判らないけど何かすごい技だ!」という、視覚による圧倒的な暴力のみです。
 このマンガの本質は、プロの競女ファイター達が己の特異な肉体を駆使して戦いを繰り広げて勝利を目指す超能力バトルであり、彼女たちの乳や尻は皆すべてエクストリームな暴力によって勝利を得るための武器なのです。ここには、もはや「女尻相撲」という単語が本来発するべきファンタジーは存在しません。このマンガにおける乳や尻は、全て暴力です。
 乳も尻も暴力である以上、単におっぱいやお尻を露出してぶつかり合うだけでは、そこにエロスには発生し得ないのです。お分かりいただけるでしょうか

 しかし、今回ののぞみと宮田のバトルは、単なる暴力を超えた領域にまで到達しつつあるのではないか? と個人的には思っています。

 この二人は長年に渡る戦友であり、そしてライバルでもある訳なのですが、そのあまりの仲の良さから「この二人、実はデキてるのでは?」と周囲から疑われています(サンデー11号参照)。
 勿論本人たちはそれを口では否定するんですけど、今回のバトルにおいては宮田がのぞみに対して「あなたが一番だった!」「あなたにとって一番でいたいから!」と愛の告白にも等しい想いをのぞみにぶつけ、のぞみもまた「全力でぶつかろうや、相棒!」とその気持ちを真正面から受け止めている覚悟を示しているところからして、この二人はもう相思相愛の仲であることは疑いようがありません。

 相思相愛の二人が、乳首を立たせて体をぶつけ、尻を振動させて相手の身体を心地よくさせ、相手の名前を呼び合い見つめ合いながら、激しく下半身をぶつけあう。これって、もはやセックス以外の何物でもないですよね。万人が観戦する中で公然とセックスが行われれば、ジャッジが「エロすぎ!」と警告を発するのも致し方ありません。

 単におっぱいやお尻が露出してぶつかり合うだけではエロスにならないことは先程述べましたが、そこに「相手を愛し、思いやる感情」が加わることで、初めてエロスが生まれるのです。実際、今回の二人の対戦を「相思相愛であることが初めて判ったカップルが、自分の愛情を相手に激しくぶつけあっている」というメタな視点を加えた上で鑑賞してみると、何かこうとてつもなくエロく感じるものがあるのではないのでしょうか。
 競女における能力バトルに相思相愛のカップルが睦み合うエロの文脈が持ち込まれた結果、この勝負は著しくエロいものになってしまった。私はそう思うのです。

 今回のバトルがセックスの暗喩であると仮定すれば、ラストでお互いの水着が弾け飛ぶシーンってつまりお互いが同時に絶頂に達し(略)。

 以上、何故今回の戦いでジャッジがあえて「エロすぎ!」と警告を発したのか、その理由を私なりに考えてみました。如何でしょうか(目をグルグルさせながら)。

競女!!!!!!!!(10) (少年サンデーコミックス)
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空詠先生の出世作・揉み払い師がゲスト出演するコミックス10巻。
アニメ化決定で「オレは揉み払い師の頃から空詠大智先生に注目していたんだ!」って主張するファンが出そう。オレとか


はいてないことなんて些細な問題ですよと思ったサンデー14号感想

天野めぐみはスキだらけ!

 今回は浴衣ネタの定番であり、最強の飛び道具でもある「はいてない」ネタを繰り出して来た天野めぐみさんですが、今回の主題はむしろ「まーくんと手を繋いでみたい」というピュアな欲求のために彼女なりに頑張るかわいい姿を拝む点にあったと言えます。
 本当にありがとうございます

 何にしろ、彼女のピュアさ加減はこの世に存在していることそのものが奇跡のレベルであるので、関係者各位においてはその保護に全力を尽くして欲しいと思う次第です。具体的には、このマンガ面白いのでもっと続いて欲しいです。

なのは洋菓子店のいい仕事

 「菜花としらかわの共同作業」というセージの洋菓子屋としての理想が垣間見えた前回の学園祭パンケーキ回とは打って変わって、全てがゆるい感じの言葉メイン回でしたけど、さりげなく「言葉がセージの学校に転校して来る」という重要な情報が含まれている点は見逃せません。

 彼女の行動は全て「セージを籠絡してなのは洋菓子店を乗っ取る」という目的に直結しており、彼と同じ高校に行くことはその目的からすれば極めて合理的なんですけど、唯一にして絶対的な問題は、彼女が高校生活を無難に過ごしてセージとラブコメするような展開を繰り広げるのは彼女にはそもそも不可能であるということを、彼女自身が認識していない点です。
 今の状態の彼女が高校に入学したら、ラブコメどころか即「しきたりを知らない闖入者が騒動を引き起こす」系のスラップスティック学園ドラマに移行するのは必至の有様。いいですよねドタバタ学園モノ。「うる星やつら」以来のサンデーの伝統ですよね。色々な意味で楽しみです。

柊様は自分を探している。

 記憶喪失の検査のために入った病院で騒動を起こして脱出するって、「神聖モテモテ王国」のファーザーとやってることが一緒なのではないかと思いました。ギャワー。そう言えば彼女、常に男と物理的なトラブルを起こしているところもファーザーと共通してます。
 柊様って、謎の自称お嬢様だったり、23個くらいは秘密がありそうだったり、死んでも死にきれなさそうだったり、3つのノウハウがありそうだったり、にこやかな日本人女性の夢を見たり(正体か?)と、案外ファーザーと共通点が多いのでは? という気がして来ました。どうでしょうか(と言われても)。

 そんな彼女にとって幸運だったのは、彼女と同居しているのがボンクラなメガネスキーではなく、全てにおいてデキる男である白馬圭一郎であることだと思います。
 もし圭一郎が「もう、お前、好きに生きろ。だってお前の人生なんだから」と言って柊様を見捨てるような人物であったらこのマンガはそもそも成立しないことを考えると、やっぱり真のお嬢様には、お嬢様をお嬢様として立てることができる紳士の存在が必要不可欠なんだよなと思いました。
 お嬢様という存在は、周囲との関係性の上で成り立つものなのですね(感想?)。

ふれるときこえる

 ちょっと前までは『泉澤くんは、まだ人の心の声が聞こえることの残酷さをまだ判っていない! 彼を守るためなら、この私はなんだってやる! たとえ彼からどれだけ憎まれようとも、私が彼を人の心の声が聞こえる呪われた能力から救う!』とかっこよく悲壮な覚悟を決めてたはずのさとりが、今回は何かちゃっかり噪と仲良くなってフラグを立ててしまったところが面白いと思いました。

 このマンガは基本的に善男善女しか登場していませんが、さとりもその例外にもれず内面はものすごく良い子であり、噪達と付き合うことで彼女はいずれ本来の明るさを取り戻し、モリモリ可愛く魅力的になっていくんじゃないかと期待してます。
 ただ、さとりが噪達のグループの中で存在感を増して噪と仲良くなっていくことは、即ち現在の噪と結川と拓海の微妙な三角関係を突き崩すことを意味する訳で、いずれ彼らは善男善女の仮面をかなぐり捨てて、これまでの関係を破壊するような本心をぶつけ合う日がいつかやって来ることでしょう。
 個人的には、その日が来るのを今からものすごく楽しみにしています(性悪)。

BIRDMEN

 アーサーの夢敗れるの回。
 端的に言えば「アーサー達は目立ちすぎたのでEDENの大人達の判断で処分された。汚いさすが大人汚い」という話でしたが、彼らが壊滅する前の夜にアーサーとロビンがいちゃついてるシーンを入れることで「深夜のキャンプ場で男女がいちゃつく→死亡フラグが立つ」という基本的なプロセスをきちんと描写しているのは丁寧さを感じました(多分感心するところが間違ってる感想)。

今際の国のアリス

 最終回。実質的な話は前回で終わっていたので、最終回にはどんな話を持ってくるつもりなのか? と思っていたら、何かものすごくエモーショナルな表現をして来たので驚きました。
 いわゆる「デスゲーム」というジャンルは極限状態におかれた人間の有様を描くことが主眼であることを考えると、究極的にはこういう形でエモくテーマ性を全面に出すのも漫画表現としてはアリなのかなと思います。

 そして「今際の国のアリス」というタイトルが、死と隣合わせのデスゲームの有様を表現したものではなく、文字通り登場人物たちが今際の際にいたというダブルミーニングになっているのは上手いなーと感じました。長い間おつかれさまでした。

絶対可憐チルドレン

 「スリーピングビューティー」を自称する不二子ちゃんが久しぶりにその眠りから復活。でも、何かこうあからさまに様子がおかしいというか、サンデー13号のハシラで既に「黒い幽霊の計画は、不二子にレアメタルを植え付け実行段階へ」って堂々と書かれてしまっているので、もう「実は叙述トリックでした」とか言い訳できないレベルで「黒い幽霊」にヤラれてしまっていることが明確になってしまいました。

 「黒い幽霊」に精神をヤラれてしまった結果、彼女は何かいつにも増して性格が悪くなっていますが、なんだかこれはこれでというか、こういう不二子も割とアリなんじゃないかと思えてしまうところは、彼女の人格の賜物だと言えましょう(ひどい感想)。
 普段の態度がアレなだけに忘れがちなことではありますが、彼女も兵部と同様に戦中戦後におけるエスパーの歴史の闇の部分に浸かりつつ、己の理想のために社会を相手に戦い抜いてきた人間であることは間違いはない訳で、「黒い幽霊」によってその闇の部分が増幅されることは十分に考えられます。

 サンデー14号の冒頭で、兵部が不二子の悪夢を見たことから推測すると、最終的に不二子を「黒い幽霊」から解放するのは兵部の役目になるんじゃないのかな? という気はします。
 過去への執着を捨てて闇に囚われることを止めた兵部が、再び過去の闇に飲まれようとしている不二子を助け出す──という物語がもし本当に展開されたらとても美しいと思うんですけど、でも色々とひねくれている兵部と不二子のことなので、これから相当ひねくれたことになるのではないかと思います。この二人が今更ラブにコメるとか想像できないですしねえ。

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最終巻となる18巻は4月発売の模様。最終戦となるハートのクィーン戦は驚きの連続でした


「キャラクターが似ている」問題を振り返る サンデー12〜13号「ムシブギョー」感想

ムシブギョー

 陰陽師からくりロボ少女「壱与」・江戸で大暴走編が終了しました。

 この陰陽師ロボ、既に皆さんの記憶から消されているかも知れませんが、初登場時はドイツミリタリー風ゴスロリ衣装だったものの、中国のゲームメーカーから「うちのゲームに登場するキャラに似てる」とのクレームがあったため、翌週にはデザインが現在の甲冑娘風のものに変更されるという事件がありました。

 クレームに対して無駄に争うことなく即座にデザインを変更した手際の良さは素晴らしかったのですが、しかしサンデー編集部がウッカリ「タイトルすら聞いたことがない海外ゲームのキャラに似ているとの指摘を受けました」という、ちょっと先方への配慮が足りなさそうな表現でデザイン変更の告知を行ってしまったばっかりに、先方のゲームメーカーが怒って謝罪を要求する事態になってしまいました。
 この辺は、さすが過去に舌禍事件を何度も引き起こしてきたサンデー編集部の伝統は体制が変わっても未だ廃れず、といったところでしょうか(皮肉)。

 個人的には、クレームでデザインが変わってしまったとこよりも、服のデザインが変わってしまったことでからくりロボのおっぱいが目立たなくなってしまったことの方が悲しいです。ロボ娘のおっぱいは、まさにロマンの塊ですからね!(本来は必要以上にデカくする必要がない部位なので)

 最終的には「朝廷の威信をかけた最終決戦兵器」を経て「天間のためのメイドロボ」にその役割を落ち着かせた壱与さんですが、「二十歳までしか生きられない男の子に甲斐甲斐しく尽くす人造少女」というテーマは少女型最終決戦兵器とはまた違った意味でアニメ的というか、むしろエロゲー的な文脈であり、いろいろとグッと来る要素を満載していると思うので、何らかの機会でもう一度この二人にフォーカスが当たるといいなあと思いました。

 物語では、仁兵衛が最後の戦いに向かうため江戸から去ってしまうことを察したお春がついにアクションを仕掛けそうになるなど、いよいよ物語の終局が近づいて来ている雰囲気が濃厚ですけど、だからこそこれから「ムシブギョー」は色々と盛り上がること必至でしょう。楽しみです。

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23巻は今月発売。もう23巻かー


論旨:高橋留美子先生が「バブみ」の境地に挑んだ意欲作 サンデー12号「境界のRINNE」感想

境界のRINNE

 謎の失踪を遂げていた主人公の母親が、変わり果てた姿でついに主人公の前に姿を表し、秘められた謎について語り始める──という、作品によっては最終回間近にならないと出てこないようなストーリー上における最重要級な謎を、「母親は既に近所の幼女に転生していた」「しかも母はとんでもないホラ吹きだった」ってネタに落としてしまう、大らかというか大胆というか「え? こんなオチでいいの?」ってこちらが戸惑ってしまうくらいの投げ出し感が、色々な意味で凄いなと思いました(ほめてます)。

 あとこの「幼女の中身が母親」であるというところから感じる彼女独特の貫禄は、世間で言うところの「バブみ」に相当するものではないか? とも思ったのですが、何か微妙にこの事例はバブみとは前線違うような気もします。この幼女に対して、りんねや鯖人がいわゆるバブみを持つ女性に対する典型的な反応(例:シャアのララァに対する「私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!」的な昂ぶるアレ)をしておらず、母や妻に対する普通の反応をしているからなんでしょうか。

 「バブみ」という概念は、母性を与える側と受ける側の双方の協力がないと成立しないものなのかもしれません。概念って難しいですね。おわり(何この文章)。

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アニメ版は独特のリズム感にようやく慣れて来ました


論旨:ほたるは性と無垢の象徴 サンデー12号「だがしかし」感想

だがしかし

 ほたるさんはそのデザイン全てがエロスであるが故に、彼女がこの作品におけるココノツから観た「性の象徴」であることは間違いありませんが、そんな彼女に決してパンチラはしない・させないところが、「だがしかし」の作品世界を健全なものにしているんだなと改めて思いました。

 即ちこのマンガにおいて、彼女のパンツは決して登場してはならないのです。もしパンツが見えてしまったのなら、性と無垢の間の絶妙なバランスで成り立っていたこの作品における健全性は失われ、ただほたるのパンツを読者が期待してしまうお色気作品に変化してしまうことは必至。
 故に、「だがしかし」が今の「だがしかし」であり続けるために、ほたるのパンツは聖域として位置付けられているのです。

 まあでも、彼女はマンガの中で全裸を晒したことはあるんですけど、基本的に無垢が故に性に対する恥じらいというものがない彼女の場合、全裸を晒してもエロくなるどころかむしろギャグマンガ的な面白さを帯びてしまうところが、またマンガのキャラクターとして素晴らしいと思っています。
 パンツは聖域だけど生尻は晒せる、この微妙なバランスがほたるというキャラの奥深いところだよなーと改めて思いました。

 でも、パンスト越しのパンチラっていいですよね(だいなし)。

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ほたるの貴重な脱衣シーンはコミックス1巻に収録