要約:西沢さんはすごい サンデー17〜18号「ハヤテのごとく!」感想

ハヤテのごとく!

この記事の要約:西沢さんはすごい

 まもなく本当の意味でのクライマックスを迎えてしまう「ハヤテのごとく!」。
 これまでのハヤテとの関係が誤解の上で成り立っていたことに気付いてしまい、「王族の庭城」に立て篭もり、「王玉」の奇跡の力で自分の理想の世界に自分を閉じ込めることで宇宙最強の引きこもりと化してしまったナギをハヤテが救い出すという、「ハヤテのごとく!」のメインストーリーラインの総決算とも言える展開に、毎回グッと来てます(頭の悪い感想)。

 サンデー18号では、ナギに対してハヤテが「例え誤解から始まった関係でも、自分が君を命をかけて守りたいと思ったことは本物だった。この日々に間違いなんてない」と説得するシーンが印象的でしたが、ハヤテがこの言葉をナギに伝えられる意志を持つことができたのは、その前の回のサンデー17号での西沢さんからの言葉があってこそだと思っています。

 西沢さんは、ナギとの誤解の上に成り立っていた「偽りの関係」の秘密を守れずにナギを傷つけてしまって後悔するハヤテに対し、こう語りかけました。

出会い方は間違ってたかもしれないけど、
それでもこの一年に、間違いなんかなかったよ。

思い出して、ハヤテ君。
たとえつらい結末でも、たとえ間違った出会い方でも、
全力で挑んだこの一年に、間違いなんてなかったでしょ?

今はまだつらくてもここはまだ終わりじゃない。
ハヤテ君ならきっと未来を変えられる。

 ハヤテはこの直前に西沢さんに「好きだ」と告白しているのですが、それを振り切ってまでハヤテを絶望の淵から立ち直らせ、ナギの元へと送り出しました。偽りの世界に囚われたナギを救うことこそがハヤテの成すべきことであり、偽りの世界で自分を愛することではないと、彼女は理解していたからです。

 そして今回。ハヤテはナギに対して、こう訴えかけました。

僕達の出会い方は、間違っていたのかも知れません。結末も、酷いものだったのかもしれません。
だけど、嬉しかったことも悲しかったことも、楽しかったことも苦しかったことも、救われたと思った気持ちも、君の笑顔を命をかけて守りたいと思ったことも、全部本物。勘違いなんかじゃありません。


僕達のこの日々が、たとえ誤解と勘違いで始まったものでも、絆はあったと信じたいんです。
欲しいものがあるんじゃなくて、失いたくないものがあるんですよ。

 ハヤテのこの言葉は、彼が西沢さんから「出会い方は間違ってたかもしれないけど、それでもこの一年に、間違いなんかなかったよ」と言われたからこそ、彼の中に生まれた言葉だったと思うんですよね。
 きっかけは何であれ、ハヤテのこれまでの人生を西沢さんが肯定してくれたからこそ、ハヤテもまたナギとの誤解の上に生じたこの一年間を「間違いなんてない」と肯定し、そこにナギとの本物の絆を見出した上で、ナギを救うことで自分がどんな運命に見舞われようともそれを受け入れる覚悟を決めることができたのでしょう。

 ナギは、ハヤテのこの言葉自らが作り出した幻の世界から抜け出す決意を固めることができ、宇宙最強の引きこもりを脱することに成功した訳なのですが、彼女を救ったのは西沢さんの尽力があってこそだと思われます。
 西沢さんってキャラは、超人だらけのこのマンガにおいて(ハヤテのことが以前から好きだったという以外に)特にこれといった能力も特徴もない、元々はハヤテにフラれるために登場したような存在だったはずなのですが、最終的には今回のように物語の要所でものすごい輝きを放つ魅力的なキャラに成長しましたよね。

 つまり何が言いたいかというと、西沢さんはすごいと思います(おわり)。

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現在のクライマックスへ向かい始めたエピソードが掲載された50巻

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高橋留美子先生単行本二億冊突破記念企画 サンデー17号「私の”るーみっくわーるど”」感想

私の”るーみっくわーるど”

 サンデー17号は高橋留美子先生単行本二億冊突破記念と称して、サンデー連載陣の先生方による高橋留美子作品のキャラクターイラストが掲載されていました。

 基本的にお祭り企画なので、我々読者としては素直に「わーすごーい」と思って眺めていればいいんですけど、どの先生もキャラクターの選択や描き方が極めて個性的であり、それぞれの作品に対する各先生方の思い入れの深さをイラストから窺い知ることができるという意味でも、とても興味深いものだったと思いました。
 荒川弘先生が「うる星やつら」の竜之介の親父を描いていたり、大高忍先生がおっぱいがすごい大きい「らんま1/2」の乱馬を描いていたり、田辺イエロウ先生や渡瀬悠宇先生が「人魚の森」を描いていたりするところなんか、こう実に「らしい」です。

 その中でも個人的に一番面白いなと思ったのは、「闇をかけるまなざし」「笑う標的」「忘れて眠れ」という、高橋留美子作品の中でも特にサイコホラー寄りな作品を選んだ藤田和日郎先生です。

 藤田先生が漫画家を志していた頃はこれらの作品に強い影響を受けたとのことで、イラストも「サンデー連載作家が描いた高橋留美子先生のキャラクター」というよりは、むしろ「ファンロード」や「OUT」といった往年のサブカル雑誌の読者投稿欄に掲載された、熱心なファンが描いたハガキといった雰囲気を醸し出していると思いました(四十代以上にしか判らない比喩)。
 藤田先生の漫画家としての原点がむき出しになっている、という意味でもとても素晴らしいイラストです。

 そして椎名先生はラムちゃん一択かと予想していましたが、連載作品の主役キャラが武器を持って勢揃いという構図のサービス精神あふれるイラストだったのは嬉しい誤算でした。
 イラストの中では「めぞん一刻」の響子さんがホウキを持って登場していますが、響子さんのホウキは彼女の怨念がこもったある種の武器であるのは間違いないので問題ないと思います。


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闇をかけるまなざし」「笑う標的」「忘れて眠れ」が掲載された「るーみっくわーるど」の保存版。藤田先生のイラストで興味を持たれましたら是非。
単行本二億冊を記念し、高橋留美子先生のコミックスの全てが電子書籍化されたというニュースも報じられています

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「初恋ゾンビ」林間学校編の指宿くんへの一言感想

 サンデー16号において、「初恋ゾンビが見えなくなるようになるためには、初恋ゾンビそのものへの恋心を失わなければならない」という極めて重要な情報が提示された「初恋ゾンビ」。物語がまた一つ大きく動いたような感じがします。

 本当は、今回は「初恋ゾンビ」の夏休み編に入ってからのまとめ的な記事(江火野さんと指宿くんはどちらがアドバンテージを取っているのか。主にエロ方面で)を書くつもりでしたが、諸般の事情で記事を書く時間が取れなくなってしまったので、林間学校編が終わった段階での感想を一行で書きます。

 指宿くんは、自分の体が持つ女としての魅力について、もっと自身を持っていいと思います。
 指宿くんの肉体を間近にしたタロウが、どれだけ劣情を抱いたのか教えてあげたいくらいですよ!

 あと江火野さんについては、家庭環境的に「洒落っ気」という概念を育てる余地がなかったことが『恋愛には興味がない』という彼女の性格(というか、今やタロウへのアプローチを妨げる心理的な制約になってしまった)を形成してしまったのが大変にもったいなく思いましたが、でもそういう家庭環境がなければプール編でのピッチピチ水着も拝めなかった訳であり、大変に難しい問題だなあと思った次第です。

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江火野さんの水着をもう一度拝みたい方はこちら

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